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店長
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私は腹を括った。
「すいませーん。誰か居ませんか?」と私は大声で叫ぶ。
返事は帰ってこなかった。
私は深い溜め息をつく。
諦めるな。明海。もう一度や。もし出てこんかったらこっちから厨房へのりこむんや。
「すいませーん。誰か居ませんか?」と私はもう一度大声で叫ぶ。
その時店の奥から何かが割れる音がした。
何か巨大なものがやってくる。それは2メートル近い、小太りの中年男性だった。
私は目を剥いた。
何故ならば、私の前に現れたその中年男性が着ている衣装は、罰ゲームもかくあるやという格好だったのだ。
わがままボディに体中毛むくじゃらの無法地帯。その上にミミと書かれた小学生用の体操着に、千切れそうなくらい伸び切った真っ赤なブルマ。
悪夢だ。悪夢に違いない。
中年男性は私をみると微笑み、野太い声で言った。
「注文はお決まりですか?」
お決まりも何も、この店雑巾うどんしかないやろ。とツッコミを入れたくなる気分を抑えて私は尋ねた。
「ひょっとしてこの店の店長さんですか?」
中年男性はコクリと頷いた。
なんでそんな格好をしてるのか、問いたい気分はあった。けれど下手に刺激するのはまずい。
とりあえずこの店から出る事を最優先にしよう。
私は恐る恐る尋ねる。まずは雑巾うどんが何なのかの確認が先だ。
「雑巾うどんって、おアゲさんや餅等を、雑巾に見立てたキツネうどんか何かですか?」
しばらく沈黙される。しんどい。
店長はゆっくりとクビを横にふった。
「安心してください。100%正真正銘の雑巾そのものです」
なーにが安心してくださいだ。キレるぞ
とりあえずもう一つ私は尋ねた。
「雑巾を抜いて素うどんを頼めますか?」
これは脱出トリガーではない筈だが、どうしても確かめておきたかった。
店長はゆっくりとクビを横にふった。
「安心してください。抜いたり減らしたりはできませんが増やす事は可能です」
その答えを聞き、私は白目を剥いた。
「すいませーん。誰か居ませんか?」と私は大声で叫ぶ。
返事は帰ってこなかった。
私は深い溜め息をつく。
諦めるな。明海。もう一度や。もし出てこんかったらこっちから厨房へのりこむんや。
「すいませーん。誰か居ませんか?」と私はもう一度大声で叫ぶ。
その時店の奥から何かが割れる音がした。
何か巨大なものがやってくる。それは2メートル近い、小太りの中年男性だった。
私は目を剥いた。
何故ならば、私の前に現れたその中年男性が着ている衣装は、罰ゲームもかくあるやという格好だったのだ。
わがままボディに体中毛むくじゃらの無法地帯。その上にミミと書かれた小学生用の体操着に、千切れそうなくらい伸び切った真っ赤なブルマ。
悪夢だ。悪夢に違いない。
中年男性は私をみると微笑み、野太い声で言った。
「注文はお決まりですか?」
お決まりも何も、この店雑巾うどんしかないやろ。とツッコミを入れたくなる気分を抑えて私は尋ねた。
「ひょっとしてこの店の店長さんですか?」
中年男性はコクリと頷いた。
なんでそんな格好をしてるのか、問いたい気分はあった。けれど下手に刺激するのはまずい。
とりあえずこの店から出る事を最優先にしよう。
私は恐る恐る尋ねる。まずは雑巾うどんが何なのかの確認が先だ。
「雑巾うどんって、おアゲさんや餅等を、雑巾に見立てたキツネうどんか何かですか?」
しばらく沈黙される。しんどい。
店長はゆっくりとクビを横にふった。
「安心してください。100%正真正銘の雑巾そのものです」
なーにが安心してくださいだ。キレるぞ
とりあえずもう一つ私は尋ねた。
「雑巾を抜いて素うどんを頼めますか?」
これは脱出トリガーではない筈だが、どうしても確かめておきたかった。
店長はゆっくりとクビを横にふった。
「安心してください。抜いたり減らしたりはできませんが増やす事は可能です」
その答えを聞き、私は白目を剥いた。
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