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魔王と一緒に壺に封印されました

中編

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「…………」
「…………」

 動けるようになった二人ですが、喉が張り付いたように言葉が出てきません。特に勇者に至っては、泣きそうなくらい真っ赤になって震えています。

 それも仕方ありません。魔王が一番好きだと思うところが笑顔で、自分が一番好きだと思うところがおちんぽなのですから。あまりの落差と淫猥さに熱が出てしまいそうです。

「ぁ……、う…………、ちが、違う……、俺は、あれは、ただの、気の迷いで……っ」

 潤みだした蜂蜜色からポロポロと雫が零れます。我慢できなくなった勇者は、逃げるようにベッドに飛び乗ると頭から布団を被ってしまいました。ひぐひぐとくぐもった泣き声が部屋に響きます。

 魔王は鏡に浮かんだ新たな試練内容を一瞥すると、そんな勇者の元に歩を進めました。こんもりと膨らんだ布団の上から、あやすようにポンポンと叩きます。

 羞恥で涙が止まらない勇者は、布団を剥がされないようぎゅっと握りました。きっと魔王はドン引きして嘲笑しているはずです。向こうは向こうで不法侵入していましたが、自分と比べると些細なことです。
 魔王をオカズにオナニーしていたことが、本人に知られてしまった以上、どんな罵詈雑言を浴びせられてもおかしくないと思っていました。

「……ミコト」

 ああ、それなのに。

「聞こえているか、ミコト」

 これまで聞いたことがない程の甘ったるいハスキーボイスで、勇者の名前を呼ぶのです。
 『勇者』になった日から、その名前はなくなったも同然のものでした。早くに親を亡くしたこともあり、勇者のことを名前で呼ぶ人はいなくなってしまったのです。
 その名を魔王が知っていたことにも驚きましたが、続く言葉に更に目を見開きます。

「そのままでよいから聞け。……我も、貴様を思って抜いたことがある。何度もだ」
「……っっ!?」
「故に、貴様がそうして逃げる必要はない。まあ……、我のイチモツを気に入っていたのは予想外だったがな」
「…………」
「ミコト。次の試練とやらは『名前を呼び合う』ことだそうだ。布の塊などではなく、我は貴様の顔を見て呼びたいのだが」
「……ぅ……」

 たっぷり数十秒経った後。
 もぞりと布団が動きます。すすり泣いていた音はいつの間にか止まっていました。そうして、ゆっくりと身を起こした勇者は、布団に包まったまま紅潮した顔を向けました。蜂蜜色はすっかりうるうるとろとろと蕩け、唇がもどかしそうにはくりと開きます。

「……ザ、ザファール」
「ふ……、食べ頃の果実のようではないか、ミコトよ」

 揺らいだ視界に入る魔王は、これっぽっちも嘲笑を浮かべていませんでした。対峙していた時のヒリつくような敵意がなりを潜め、まるで愛おしいものを見るような目で見つめてきているのです。
 さらりと髪を撫でられて、どうしようもなく胸がきゅうっと疼いてしまいます。敵同士であるというのに、胸が高まるばかりです。

「それはもう不要だろう」
「あ……」

 いとも簡単に剥がされた布団が、ばさりと床に落とされます。ベッドに膝をついた魔王がそのままゆっくりと迫ってきて、気付けば勇者は抵抗出来ないまま押し倒されていました。
 ……いえ、抵抗しなかったのです。

 小さな人間の手のひらに、長い指がするりと絡みます。普通でしたら、そのまま握り潰されてもおかしくありません。
 けれども、魔王の大きな手は、形を確かめるように柔く捕らえるだけでした。

 熱い視線に耐えられず目を逸らすと、鏡に次の試練が記されているのが見えました。

『告白する』

 もう順番も情緒もめちゃくちゃです。

 魔王もそれに気づいたようで、薄く微笑みました。

「告白、か。どうとでも捉えることが出来るが……、貴様が望んでいるのは一つのようだな」
「っ……!だ、だめ、だ、こんなの……っ、ザファールは……、魔王は、倒さないと、いけない相手で……!」
「自分に言い聞かせているようにしか聞こえんな。……まあ、我も同じようなものか」
「や、やめ……、ちか、近いから、はなれ……っ」
「だが、『告白』せねばならぬというのなら、我から告げてやろう。──好きだ、ミコト。孤高の勇者よ」
「~~~~~~ッッッ♡♡♡」

 さて。
 もうお分かりだと思いますが、勇者は魔王のことが好きで好きで大好きで、オナニーどころかアナニーまでしていました。

 恋に転がり落ちたきっかけは、一体何だったのでしょう。魔王であるはずなのに、まるで遊び感覚でちょっかいをかけてくるところ?町人から、武器を持たないことを揶揄された後に、魔王から実力を認められた時?人間に擬態した魔王と一日楽しく過ごしてしまったこと?……きっと、そのどれもがきっかけで、積もり積もって崩れてしまったのかもしれません。

 これまでどうにか敵だと割り切って対峙してきましたが、こんな壺の中で二人きりにされ、ちょこんと触れた程度とはいえキスもして、勇者の恋心は満杯状態なのです。
 そんな時、魔王から告げられた『好き』という囁きに、勇者はとうとう我慢が出来なくなってしまいました。

 シュイイイッ……

 ふと、小さな水音が鳴り出したことに、魔王は首を傾げます。その音はどんどん激しくなっていき、勇者が仰向けになっているベッドの上にどんどん広がっていきます。

 なんということでしょう。告白が嬉しすぎた勇者は、犬のようにジョロジョロとうれションをしてしまったのです。

「あ、あぅ……♡お、俺も、好き……♡♡ザファールのこと、大好き……っ♡♡♡」

 喜色満面の彼は、自分が漏らしていることに気付いていません。ぶるっと身体を震えさせ、恍惚とした笑みを浮かべて幸せに浸っています。自分からもぎゅうっと手を握り返し、うっとりと蜂蜜の瞳を細めます。

 なんとも直球すぎる反応を返してくれた勇者が可愛すぎて、魔王のおちんぽはイライラが頂点に達しました。
 むくりと膨らんだそれが、あっという間に大きくテントを張ってしまいます。

 それは、おもらし中の勇者のおちんぽにゴリッと当たり──、そこでようやく彼は今の状況を把握しました。

「……は、っ、あああぁ……っ!!?な、なんで、俺っ、漏らして……!?っあ♡ま、魔王の♡ザファールのチンポ……♡ぼ、勃起して……ッッ♡♡♡」

 おもらしはもちろん恥ずかしいのですが、大好きなおちんぽに思考が傾いてしまいます。濡れそぼった小さなおちんぽを布越しにぐりぐりと刺激してくる、逞しいおちんぽ。きゅんっ♡とおまんこが疼いてしまうのは、魔王を想ってたくさんアナニーをしてきたからでしょう。

 びしょ濡れになってしまったベッドですが、放尿が終わると同時に綺麗なシーツに戻りました。女神が作った空間なので、何でも都合よく出来てしまうのです。ただし、下着やズボンに染みたおもらし跡はそのままのため、無駄に羞恥を煽ってきます。

 身体を密着させ、おちんぽをくっつけ合った二人は、興奮を隠しきれません。

「ほ、ほんとに♡すっ、好きなのかよ、俺のことっ……♡」
「ああ。貴様が人間でなければ、とっくの昔に攫って抱き潰していただろうな」
「だき、つぶ……っ♡」

 きゅうんとメロメロに顔を蕩けさせる勇者に、魔王はおちんぽを擦りつけながら続けます。

「魔族が持つ魔力は、人間に取って害になることが多い。それこそ、密接に触れ合うとなると体調を崩す程にな。だが、互いに好意を抱いている場合は……」
「んんっ♡」
「……こうして、好きなだけ口づけが出来る」
「は、ぁ……♡きもち、い……♡もっと、ちゅう……♡♡」

 可愛く尖った唇が、何度も何度も塞がれます。最初のふにゅりとしたキスが嘘のような、激しいキスが始まりました。まるでお互いを貪り合っているような、それでいてとろとろに溶け合っているような、我武者羅なキスです。魔王の長い舌が咥内に留まると、勇者は嬉しそうに舌を這わせました。ジュルジュルピチャピチャといやらしい水音が響きます。

 勇者から求めてくれるのが堪らなく嬉しい魔王は、完勃ちしたおちんぽをゴリッ♡と強く押し付けました。ただでさえ限界だった勇者のおちんぽは、とうとうビュルッと精液をおもらししてしまいます。

 チュパッ♡といやらしいリップ音を立てて唇を離した魔王は、そこでようやく密着させていた身体も離しました。

「ほひゅ……♡んぅ♡」

 イった余韻でうっとりと目を細める勇者を愛おしそうに見つめ、ちらりと鏡に目をやります。
 そこには、たった一文。

『二人が満足するまでラブラブセックス』

 理性とさよならする言葉が、浮かんでいました。

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