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常識改変された街で働き先を探します

その①

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成人したら街の中で働かないといけないおはなし

物腰柔らか王子系美形×無骨な恥ずかしがり屋


☆☆☆☆☆


 俺は今日、成人を迎えた。

 この街の習わしで、成人になった男は必ずこの街で働かなきゃいけないって決まりがある。ま、好きなとこで働けばいいんだろうけど、そこは適材適所ってやつだ。非力な男が体力勝負の仕事ってのもミスマッチだろ?

 花形となるとやっぱり舞台系か?けど、それには俺だと分不相応だ。全く花がないからな。寧ろ俺の友人のハイベルの方が向いてると思う。

「ガラッド!お店見学、一緒に回ろうよ」
「ハイベル」

 そんなことを思ってたら、当の本人がパンフレット片手にやってきた。俺より頭一つ分くらいでかくて、やたらキラキラした美青年。王子ってあだ名も頷けるくらいの美形っぷりだ。
 どこをどう転んで俺みたいな無骨な奴とつるみだしたのかは忘れたけど、昔から何かと一緒にいる存在だ。正直、俺がハイベルに抱いているのは友情以上のものだと思う。……いや、疑いようがないくらい好きだ。
 ただ、伝えたところで玉砕するだろうし……、それだったらこの親友ポジに甘んじてた方がいい。

 さて。成人式も終わったし、後は自分達で店を回って働く所を選ぶだけだ。とはいっても、最終的に合否を出すのは店側だけどな。

「ガラッドが気になってるのはどこ?」
「あー……、取り敢えず、裏方系だな。ハイベルは?」
「オレはガラッドと一緒ならどこでもいいよ」
「はぁ?お前なら寧ろ人気店の方から引く手数多だろ」
「そこにガラッドがいなかったら楽しくないし。オレと一緒は嫌?」
「……別に、嫌じゃねぇけど」

 こういうことを当たり前のように言ってくるものだから、無性にドキドキしてしまう。こんなの、嬉しいに決まってんだろ。

「じゃあ、近いところから行ってみようか。……でも、ガラッドには裏方じゃなくて華やかな場所が似合うと思うんだよね」
「……それは流石に言いすぎだろ」
「本心さ」

 嬉しい、照れくさい、恥ずかしい。
 リップサービスだって分かってんのに、ハイベルの言葉はすぐに俺を嬉しくさせる。

 ……俺だって、お前と一緒に働けたらすごく嬉しいんだからな。
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