いちゃらぶ×ぶざまえろ♡らぶざま短編集

セクハラ異世界人はチョコが苦手らしいので撃退してやろうとした結果

その①

美麗異世界人×強気人間

バレンタインにかこつけた突発おはなし


☆☆☆☆☆


　異界との扉が繋がって、異世界人が地球にやってきたのが数年前。

　異形な見た目に反し、彼等は高度な知能と協調性を持っていて、あっという間に俺達の生活に馴染んでしまった。

　会社の同期であるライカもその一人だ。2メートルを超える長身で、肌は赤銅色、反転した瞳は黒と金のコントラストで暗闇に光る猫の目みたいだ。腰まである長い銀髪を高いところで一つに結っていて、時々風もないのに勝手に動いているのを見かける。口の中に綺麗に並ぶギザ歯も、トカゲのような太く長い尻尾も、人間だと有り得ないものばかりだ。

　タイピングしながらそんな彼の横顔をチラチラ眺めていると、ふいと視線が合ってしまった。

「んだよ、そんなに見つめて。惚れたか？」
「っ……、だ、誰が惚れるか！いいからお前は自分の仕事してろ！」
「もう終わったっての。どこぞのシローくんはまだ終わってないみたいだけどな？」
「う……」

　隣のデスクから椅子ごと身を寄せてきたライカが、太い尻尾を巻き付けてくる。ちろりと覗く赤い舌は長くて、先が割れたスプリットタン。思わずこくりと喉を鳴らしてしまった。
　うっそりと、彼の四つ目が開かれる。

「もう少し我慢しろよ。終わったらたっぷり可愛がってやるからさ」
「い、いるか、ばか……！お前は受付のレイラちゃんと楽しくやってればいいだろ！」
「は？何であの女狐の名前が出てくんだよ。オレの一途な気持ちが無視されて悲しいわー」
「一途な奴は初対面でえぐいベロキスかまさないんだよ！」

　……思い出すのも恥ずかしい、入社したばかりの頃。同期として挨拶をした時、俺はライカの姿に見惚れていた。もともと異世界人に対してかっこいいと思っていたから、単純な俺は仲良く出来たらいいなと気楽に考えていた。

　その直後、上司や他の同期が居る前で。

　ライカは俺の身体を軽々と抱き上げて、喉奥まで犯してくるような深すぎるベロキスをしてきやがった。慌てた部長が剥がそうとしても全く効果なし、きゃあきゃあと声が飛び交う中、あまりの気持ちよさに翻弄された俺は碌に抵抗も出来ず。別部署の虎獣人がライカを引き離してくれるまで、ずっと咥内を蹂躙され続けた。

　しかも最悪なことに、俺はその無理矢理で唐突なキスで軽くイかされてしまった。
　その日は放心してまともに考えることすら出来なくて……、ようやく怒りやら羞恥やらが湧いてきたのはその翌日だった。
　思いつく限りの悪態をついた俺に対して、ライカは素直に謝ってはくれたものの、それ以降もこうして俺に対するセクハラ行為は続いている。