18 / 109
浄化には聖水が必要です
その②
しおりを挟む
──一週間程前、クラニウスは魔物を浄化するため洞窟に足を踏み入れた。だが、仕掛けられていたトラップにより足を滑らせ、横穴から地下の奥深くへと落ちてしまったのだ。そこで出会ったのが、彼、ホルミットである。
ここを拠点にして生態を調べているとのたまった彼は、クラニウスの怪我を心配し、それどころか治療まで行ない、食料を用意し、甲斐甲斐しく面倒を見てくれた。その優しさに触れたクラニウスは、彼にころっと絆されてしまった。
実際、彼との会話は楽しかったのだ。浄化の方法が人前で見せられないものである以上、仲間を持つことが出来ず、孤独に旅をしてきたのだから。
ホルミットが語る話は面白く、久しぶりに声を出して笑い、胸を高鳴らせた。寒いだろうからと擦り寄って眠る時、感じる人肌にドキドキした。
神官失格かもしれないが、まだ怪我が治らないでほしい、と思ってしまった。
きっとそれが駄目だったのだろうと、クラニウスは自嘲する。
ある日目覚めると、いつも身につけていたロザリオのペンダントがなくなっていた。あのロザリオの力がないと、浄化の行為が更に面倒なことになってしまう。
慌てて飛び起きたクラニウスは、拠点から少し離れた所でホルミットの姿を見つけた。その手に握られたロザリオを見て、かっと頭の中が熱くなる。彼はシーフだ。優しく接し、油断したところで盗みを働いているのだ。そう結論付けたクラニウスは、声を荒げてホルミットに詰め寄った。
「ホルミット!それは私のものだ、盗んだ物を今すぐ返せば許してやる」
「は?盗んだ……?」
「その手に持っているロザリオだ!」
「別に、盗んでねーんだけど?ちょっと借りただけだし」
「それなら一言断るのが筋というものだろう?いいから返せ」
「……ふーん、決めつけんだ。……なぁ、クラ。神官が浄化する時ってさぁ、聖水使うんだろ?返してほしかったら見せてみろよ」
「は……?」
どこか不貞腐れたような表情になったのは一瞬で、にやにやと口角を上げるホルミットはロザリオを楽しそうに弄び始めた。
「風の噂でさ、聞いたことあんだよ。神官は特別な聖水で魔物を浄化してるって。別に見せるくらいなんてことないだろ?」
「……っ、それ、は……」
クラニウスが言い淀んだ刹那、低い唸り声が聞こえてきた。じゃり、と音を立てて現れたのは、筋肉が異様に膨らんだ狼のような魔物だった。
ホルミット目掛けて飛びかかるが、彼は踊るように身を躱す。そして、視線を寄越すのだ。神官なら、浄化をしてみせろと。
魔物は普通の攻撃では撃退することしか出来ず、倒すには上級魔法である即死魔法しか効かない。若しくは、神官による浄化で元の無害な生物に戻すかだ。
「く……っ」
神官としての血が、身体が、浄化のために反射的に動いていた。
懐に忍ばせていた麻痺玉をぶつければ、俊敏だった魔物がふらりとよろめいた。そこまで効果が強くないため、完全に停止せずにフラフラしている。
精力を高めるロザリオを身につけていれば、こっそりペニスを取り出して放尿するだけで済むのだが、今のクラニウスは精力不足。そのため、全身を晒け出して大気中の精霊の力を借りなければならないのだ。
ホルミットから痛いくらいの視線を感じながら、すぐ脱げるように設計されたカソックを脱ぎ捨てた。下着はそもそも穿いておらず、一糸纏わぬ姿が晒される。そうして魔物に狙いを定めたクラニウスは、聖水を勢いよく放ち始めたのだった。
ここを拠点にして生態を調べているとのたまった彼は、クラニウスの怪我を心配し、それどころか治療まで行ない、食料を用意し、甲斐甲斐しく面倒を見てくれた。その優しさに触れたクラニウスは、彼にころっと絆されてしまった。
実際、彼との会話は楽しかったのだ。浄化の方法が人前で見せられないものである以上、仲間を持つことが出来ず、孤独に旅をしてきたのだから。
ホルミットが語る話は面白く、久しぶりに声を出して笑い、胸を高鳴らせた。寒いだろうからと擦り寄って眠る時、感じる人肌にドキドキした。
神官失格かもしれないが、まだ怪我が治らないでほしい、と思ってしまった。
きっとそれが駄目だったのだろうと、クラニウスは自嘲する。
ある日目覚めると、いつも身につけていたロザリオのペンダントがなくなっていた。あのロザリオの力がないと、浄化の行為が更に面倒なことになってしまう。
慌てて飛び起きたクラニウスは、拠点から少し離れた所でホルミットの姿を見つけた。その手に握られたロザリオを見て、かっと頭の中が熱くなる。彼はシーフだ。優しく接し、油断したところで盗みを働いているのだ。そう結論付けたクラニウスは、声を荒げてホルミットに詰め寄った。
「ホルミット!それは私のものだ、盗んだ物を今すぐ返せば許してやる」
「は?盗んだ……?」
「その手に持っているロザリオだ!」
「別に、盗んでねーんだけど?ちょっと借りただけだし」
「それなら一言断るのが筋というものだろう?いいから返せ」
「……ふーん、決めつけんだ。……なぁ、クラ。神官が浄化する時ってさぁ、聖水使うんだろ?返してほしかったら見せてみろよ」
「は……?」
どこか不貞腐れたような表情になったのは一瞬で、にやにやと口角を上げるホルミットはロザリオを楽しそうに弄び始めた。
「風の噂でさ、聞いたことあんだよ。神官は特別な聖水で魔物を浄化してるって。別に見せるくらいなんてことないだろ?」
「……っ、それ、は……」
クラニウスが言い淀んだ刹那、低い唸り声が聞こえてきた。じゃり、と音を立てて現れたのは、筋肉が異様に膨らんだ狼のような魔物だった。
ホルミット目掛けて飛びかかるが、彼は踊るように身を躱す。そして、視線を寄越すのだ。神官なら、浄化をしてみせろと。
魔物は普通の攻撃では撃退することしか出来ず、倒すには上級魔法である即死魔法しか効かない。若しくは、神官による浄化で元の無害な生物に戻すかだ。
「く……っ」
神官としての血が、身体が、浄化のために反射的に動いていた。
懐に忍ばせていた麻痺玉をぶつければ、俊敏だった魔物がふらりとよろめいた。そこまで効果が強くないため、完全に停止せずにフラフラしている。
精力を高めるロザリオを身につけていれば、こっそりペニスを取り出して放尿するだけで済むのだが、今のクラニウスは精力不足。そのため、全身を晒け出して大気中の精霊の力を借りなければならないのだ。
ホルミットから痛いくらいの視線を感じながら、すぐ脱げるように設計されたカソックを脱ぎ捨てた。下着はそもそも穿いておらず、一糸纏わぬ姿が晒される。そうして魔物に狙いを定めたクラニウスは、聖水を勢いよく放ち始めたのだった。
46
お気に入りに追加
761
あなたにおすすめの小説
【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集
夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。
現在公開中の作品(随時更新)
『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』
異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
R-18♡BL短編集♡
ぽんちょ♂
BL
頭をカラにして読む短編BL集(R18)です。
pixivもやってるので見てくださいませ✨
♡喘ぎや特殊性癖などなどバンバン出てきます。苦手な方はお気をつけくださいね。感想待ってます😊
リクエストも待ってます!
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
メスイキ遊園地にドハマり
掌
BL
スケベなジムで受けトレーナーとして働く「翼」が貰ったチケットでドスケベテーマパークへ赴き、様々な形のメスイキアクメを楽しむ話。攻めのスタッフ・係員の方々に名前はありません。フィクションとして朗らかにメスイキ遊園地をお楽しみください。メスメス!
・web拍手
http://bit.ly/38kXFb0
・X垢
https://twitter.com/show1write
犬用オ●ホ工場~兄アナル凌辱雌穴化計画~
雷音
BL
全12話 本編完結済み
雄っパイ●リ/モブ姦/獣姦/フィスト●ァック/スパンキング/ギ●チン/玩具責め/イ●マ/飲●ー/スカ/搾乳/雄母乳/複数/乳合わせ/リバ/NTR/♡喘ぎ/汚喘ぎ
一文無しとなったオジ兄(陸郎)が金銭目的で実家の工場に忍び込むと、レーン上で後転開脚状態の男が泣き喚きながら●姦されている姿を目撃する。工場の残酷な裏業務を知った陸郎に忍び寄る魔の手。義父や弟から容赦なく責められるR18。甚振られ続ける陸郎は、やがて快楽に溺れていき――。
※闇堕ち、♂♂寄りとなります※
単話ごとのプレイ内容を12本全てに記載致しました。
(登場人物は全員成人済みです)
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる