勇者に遊ばれた剣士が元仲間から幸せおまんこしてもらうお話

番外編

魔術師くんと勇者くん①

本編完結後のニグルとクラヴェルの話

「あれ、魔術師くんじゃん。こんなとこで会うなんてめっずらしー」
「ロージェさん、こんにちは。僕だって食料品の買い物ぐらいしますよ」
「え～。旅の間とか怪しいサプリっぽいのばっか食べてたじゃん」
「怪しくないですって。ちゃんと栄養があるんですから。そういえば、リザリードさんと一緒じゃないんですね。ロージェさんのことですから、どこへ行くにも連れ立ってそうですのに」
「あはは、流石に無理させすぎたリザのこと連れ回す程クズじゃないって。今日はオレが滋養たっぷりな料理振る舞ってあげんの。寝てていいのに、ちょっと掠れた声でいってらっしゃいって言ってくれたリザが可愛かったの何のって」

　リザリードさんの方が体力がありそうなのに、そんなに激しい営みをしたんだな、と。特に知らなくていいことを知ってしまった。これ、リザリードさん本人には言わない方がいいかな。夜の情事のことが伝わっていると知ったら、死ぬほど恥ずかしがりそうだ。あまり表情は変わらないけど、赤みが増すから分かりやすいんだよな。

「惚気るのはいいですけど、リザリードさんが嫌がることはやめてくださいよ」
「だいじょーぶ。魔術師くんぐらいにしか話さないし。魔術師くんも言いふらすような人間じゃないっしょ？」
「それはまあ、そうですけど」
「だったらいーじゃん。これからもリザの可愛さを惚気させてよ」
「はぁ。砂糖を吐かない程度でお願いしますよ」

　ポイポイと食料を籠の中に入れながらそう答えると、何故かロージェさんが得体のしれないものを見るような目を向けてきていた。そんなに僕が食料を買うのが珍しいんだろうか。

「何か言いたそうですね」
「いや～、魔術師くん無意識なのかなって」
「はい？」
「さっきから籠に入れてんの、全部勇者くんの好物だからさ」
「……」
「ま、あんなクズのことなんてオレには関係ないけど。そんじゃ、リザのこと待たせてるから」

　言いたいことだけ告げてきて、ロージェさんはひらひら手を振りながらレジの方へと歩いて行った。

　改めて籠の中を見れば、確かにこのラインナップは彼の好物ばかりだ。けれど、僕が優しいからこうなったわけじゃない。これはただの飴だ。

　丈夫で言うことを聞く、魔法薬の治験体、クラちゃんにあげるご褒美でしかないモノだ。