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番外編
いちゃらぶ幸運祭り
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ロージェ×リザリード
「祭り?」
「そうそう!隣街の幸運祭り!一緒に行こーよ、リザ」
「なんというか、直球な名前の祭りだな」
「幸運を齎す青い龍から取ってるらしーよ。で、どう?お祭り行かない?」
断る理由なんてものもない。
すぐに了承すると、ロージェは抱き着きながら喜んでくれた。大袈裟なほどに感情を表してくれるロージェが愛おしくて、俺も思わず抱きしめ返してしまう。
「は~~……。リザのむちむち雄っぱいさいっこぉ……♡」
「んっ、ロージェ、どこ触って……っ」
「あは、すっごいドキドキしてる。かーわい~」
服越しに胸を揉まれるだけで、むずむずぞわぞわと下半身が疼いてしまった。こんな身体になったのはロージェのせいだ。
そのままなし崩しにベッドへとダイブすることになった俺は、幸運祭りの詳細を尋ねることもなく、当日を迎えることになった。
*****
「こ、こんなの、聞いてないぞ……っ」
「なーんて言いながら付き合ってくれるリザのことがだーいすき♡」
「は、恥ずかしい、ロージェ……」
「大丈夫だって。みんな恋人のことしか見てないし。幸運祭りは恋人同士が堂々といちゃいちゃする祭りなんだから、オレ達もいっぱいいちゃついちゃお♡」
「う……」
「それにほら、こうしてオシャレして変装してるわけだし。誰もオレ達が元勇者パーティーのメンバーだったって気付かないよ」
「そうかも、しれないが……」
まず、この格好が恥ずかしすぎる。
ロージェがわざわざ用意してくれたから袖を通したものの、筋肉のある男にフリルがついた黒いスカートは似合わなさすぎだ。スカートの丈が長くて、鍔が広い兎耳付きの帽子で顔も隠れるとはいえ、こんな大男が着ている時点で笑い者だろう。
それなのに、ロージェが何度も可愛い可愛いと連呼して、たくさんキスをしてくれるものだから……、つい、流されてしまった。
ロージェの格好も俺とお揃いで、色違いの白色だ。俺と違って綺麗に着こなしすぎていて、眩しいしかっこいい。正直にそう伝えれば、酸欠になりそうなくらい深くて長いキスをされた。
出かける前にキスで甘イキをしまくってパンツを変える羽目になったのも、羞恥に拍車をかけてくる。しかも渡されたパンツは女性用の物で、小さすぎて既にちんこがハミ出してしまっている状況だ。こんな格好で外を歩くなんて、普通だったら拒否していただろう。
「この祭りはさ、言ってしまえば幸運の龍からのおこぼれをもらおうって趣旨なんだって。龍は人間が愛し合うエネルギーが大好きで、祭り中に一番愛が深かった二人に幸せを贈る、なんて話もあるらしーよ。ま、オレはこうしてリザと気兼ねなくいちゃいちゃ出来んのが幸せだから、関係ないかも」
「それなら……、俺だって幸せだ」
「リザ……♡んん、オレの恋人かっこよくて可愛すぎ♡出店もいっぱいあるし、リザの好きな甘いもの見てこ」
当たり前のように手を繋がれて、賑やかな街の中を歩いていく。あれだけ恥ずかしかったのに、ロージェが傍に居てくれるだけで楽しさが羞恥を上書きした。
人は多いが、確かに皆二人の世界だ。変装……というより仮装ありきの祭りだからか、女装をした男二人のことを気に留める様子もない。
「はい、リザ。あーん」
「ん……、美味しいな」
喧噪から少し離れたところにあるベンチに腰掛けて、ロージェが向けてくれたスイーツに噛り付く。薄く焼かれた生地と、たっぷり入ったクリームや果物が合わさって、とても美味しい。
「オレにも食べさせてよ」
「ん、うっ」
自分が手に持っている分を差し出そうとしたところで、それよりも早く唇を覆われた。舌にノックされて薄く開くと、ぬるりと侵入してきた熱が咥内にあるクリームをぐちゅぐちゅとかき混ぜていく。ただでさえ甘かったのに、もっともっと甘くなって、気が付けば自分からも貪るように舌を絡めていた。
俺よりも小さな口、俺よりも薄い舌なのに、弱いところを的確に責められていつもトロトロになってしまう。スイーツより、ロージェとのキスを美味しく感じるようになったのは、いつからだろう。
「ん、は……っ。ふふ、これ以上は、リザの息子君が暴発しちゃうかも」
「ふ、あ、っ、あ……、う、これは……っ」
言い逃れが出来ないくらいスカートを押し上げてしまったちんこを咄嗟に手で隠す。生地が黒くて良かった。先端がびっしょり濡れているところまではバレていないはずだ。
「がっついてごめんね、リザ」
「いや……、俺も、夢中になってしまったから」
「んん、嬉しいけど煽らないで。オレが暴発しちゃいそう」
見れば、ロージェの股間ももっこりと膨らんでいた。白いスカートがしっとりと湿っている。俺と同じように感じてくれていたと思うと、胸とアナルがきゅんとしてしまった。
「でも、さっきのすごくヨかったからさ」
はむりとクリームだけ掬い取ったロージェが、白く染まった舌を見せてくる。
「はへへ」
「っ、ロージェ」
吸い寄せられるように顔を近づけて、クリームごと舌を食んだ。咥内に広がる、幸せの味。そうやって口移しで食べさせ合っていく内に、俺達のスカートは完全に汚れてしまった。
*****
「着替え持ってきてて正解だったわ。楽しかった?リザ」
「ああ。他の食べ物も美味しかったし、魔法弾射的で全段命中させたロージェは凄かった。惚れ直してばかりだ」
「え~、もう、照れるなぁ。そうやって口にして伝えてくれるとこ、すごく好き。大好きだよ、リザ」
「……こっちも照れるから、程々にしてくれ」
宴もたけなわ。暗くなってきた通りに、ランタンの明かりが灯されていく。どうやら色々と催し物があったようだが、ロージェとの時間を過ごしている間に終わっていたようだ。
兎耳の帽子は被ったまま、至極普通の服にこそこそと着替えた俺達は、二人揃ってノーパン状態。この状態でキスをしたらまた汚してしまうと分かっているから、これ以上は帰ってからのお楽しみだ。
そう思いながら手の温もりを感じていると、つんざくような泣き声が聞こえてきた。
「なんだ……?」
「あ。あそこ、子供がいるっぽい?この祭りは大人限定のはずなんだけどなぁ」
暗くなった通りの隅で泣いている子供のことを、何故か誰も見向きもしない。心配で近寄っていけば、薄汚れている上に裸足だ。何か訳ありだろうか。
「どうした、迷子か?」
しゃがみながら話しかけた後にハッとした。俺みたいな無愛想男に声をかけられたらもっと泣かせてしまう。ロージェに任せればよかった。
そう、反射的に後悔した俺の予想とは裏腹に、青髪の子供はしゃくりあげながらも怯えることなく目を合わせてくれた。
「ひぐっ、うえぇ……、ぱぱと、はぐれたの……っ」
「そっか~。じゃあオレ達と一緒に迷子のパパを探しに行こっか」
ハンカチで涙を拭いながら、笑顔でそう告げたロージェに釣られるように、泣いていた子供も次第に落ち着いて行った。
目立つようにと俺が肩車をしても、怖がるどころか楽しそうにしてくれてホッとする。
そうして、店仕舞いが始まりだした通りを歩きつつ父親を探したものの、なかなか見つからない。
人がどんどん疎らになっていって、祭りも終わりを迎えている。
「うーん、一通り見て回ったんだけどな。パパ、いなかった?」
「うん……」
「青髪で背が高いっていうから目立つはずなんだけどなぁ。他に特徴とかあったりする?」
「えっとね、ぱぱはままのことがだいすきなの」
「それは……、いいことだな」
「……げかいで、ままとぱこぱこするっていってたから、ぼく、ないしょできちゃったんだ。だから、はぐれたっていったの、うそなの……。ごめんなさい……」
頭上から聞こえてくる涙声に、いくつかひっかかるところがあった。これは、問い質してもいいところだろうか……?
「リース!」
「あっ、ぱぱ!まま!」
そう思っていた矢先、更に頭上から声が降ってきた。子供を落とさないようにしながら見あげれば、煌めく青髪をたなびかせた麗人がふわりと下降してくるところだった。頭から生えているのは、何かの角だろうか。とにかく彼は人間ではないようだ。
そんな彼は一人の人間をおぶっていた。どこか見覚えのある姿に既視感を覚えていると、ロージェが「あっ!」と声をあげる。
「ハルク!?何でここに……ってか、どんな流れでそんなことに……!?」
「ん……、……っ!あっ、兄貴……!?」
そうだ、ロージェの弟のハルクだ。数年経って成長した彼は、愛らしさが格好よさに進化している。顔立ちは似ていないものの、二人とも綺麗であることに変わりはない。
「なんと、兄とな。これはまた数奇な巡り合わせなことよ。……それより、リース。我との約束を無視して勝手に下界に降りてはならぬと言っただろう」
「う、うわああぁん!ぱぱああぁっ!!」
バッ、と肩から飛び降りる子供……リースに肝が冷えたが、落ちることなくそのまま宙に浮いて青髪麗人の胸に飛び込んでいた。
「だって、だって……!ぱぱだけ、ままとぱこぱこずるいもん……っ!ぼくのことなかまはずれにしちゃいやなの……!」
「は……?……おい、リュセ。リースに何吹き込んでんだ……?」
「人の子らよ。我が息子が世話になったな。我の息吹を受け取るがよい」
「おい!話聞けクソ龍!!」
「ちょっと待ってハルク……、え、龍って……。それに、ママって……、もしかして、番ってんの?幸運の青い龍と?」
ぶわっ、とむせ返る程の花の香りが広がる。
突風に思わず目を瞑れば、さっきまでそこに居た三人の姿が綺麗さっぱり消えていた。
「マ、マジかぁ~~……」
「……確か、ハルクは武者修行の旅に出たと言っていたな」
「うん、そう。もう攫われたりしないよう強くなるって……。え、それがどうして龍の番に?しかも子供産んだわけ?ハルクが?」
「まあ……、元気そうで良かったんじゃないか。それに、無事に両親も見つかったわけだし」
「リザは飲み込みが早すぎだし受け入れるのも早すぎ!うわ、ちょっとすっごい混乱してる……!」
「…………続きは、やめておくか」
「はぁ?スるに決まってるじゃん!リザのこと抱きたくて抱きたくてちんこやばいんだからね!?」
『嬉しい……。そんなに想ってくれているのか。俺も早くまんこをかき混ぜてほしい。ロージェのおちんぽを気持ちよくしたい……』
『え、うわ、ちょ、そんな明け透けなこと言っちゃう?暴発するからやめてってば!あーもう、弟のことは後で考えるとして、リザのことハメ倒すから♡抜かないで何発も種付けするからな♡』
『種付け……♡いっぱいシてほしい。ロージェが満足するまで、俺のまんこを味わってくれ』
「だからもう……っ、……、ん……?いや、ちょい待ち、今、声に出してないよな……?」
「え……?」
妄想の中で会話までしてしまったと思っていたら、ロージェが戸惑ったように見つめてきた。
『可愛い、ロージェ』
『可愛いのはリザの方だけど?』
口は全く動かしていない。アイコンタクトで察せるレベルでもない。はっきりしっかり、ロージェの声が頭に響いてくる。
『これって……、心の声ダダ漏れってこと?』
『……そのようだな。大方、あの龍の息吹を浴びたからだろうが……』
『うわー、マジかー……。魔術師くんだったら何か分かるかな。今日はもう無理だろうけど』
『そうだな』
この効果がいつまで続くかは分からないが、今日はもう完全に日が暮れてしまった。ニグルに会いに行けるのは明日だろう。
考えていることが分かってしまうというのは恥ずかしいが……、この状態で性行為をしたら一体どうなってしまうんだろう。
喋らずとも、キスの間も好きだと伝えることが出来るのは嬉しいが……。
「……リザのえっち」
「っ……!」
そうだ、考えたらバレてしまうんだった。これはなかなかに恥ずかしい。
『帰ったら即ハメするから』
『……っ♡……ああ♡』
布地に直接擦れるちんこを大きくしながら、俺達は龍からの置き土産を手に帰路についた。
その後のことは……、朝日が昇るまで互いを激しく求めあったということだけ、伝えておく。
「祭り?」
「そうそう!隣街の幸運祭り!一緒に行こーよ、リザ」
「なんというか、直球な名前の祭りだな」
「幸運を齎す青い龍から取ってるらしーよ。で、どう?お祭り行かない?」
断る理由なんてものもない。
すぐに了承すると、ロージェは抱き着きながら喜んでくれた。大袈裟なほどに感情を表してくれるロージェが愛おしくて、俺も思わず抱きしめ返してしまう。
「は~~……。リザのむちむち雄っぱいさいっこぉ……♡」
「んっ、ロージェ、どこ触って……っ」
「あは、すっごいドキドキしてる。かーわい~」
服越しに胸を揉まれるだけで、むずむずぞわぞわと下半身が疼いてしまった。こんな身体になったのはロージェのせいだ。
そのままなし崩しにベッドへとダイブすることになった俺は、幸運祭りの詳細を尋ねることもなく、当日を迎えることになった。
*****
「こ、こんなの、聞いてないぞ……っ」
「なーんて言いながら付き合ってくれるリザのことがだーいすき♡」
「は、恥ずかしい、ロージェ……」
「大丈夫だって。みんな恋人のことしか見てないし。幸運祭りは恋人同士が堂々といちゃいちゃする祭りなんだから、オレ達もいっぱいいちゃついちゃお♡」
「う……」
「それにほら、こうしてオシャレして変装してるわけだし。誰もオレ達が元勇者パーティーのメンバーだったって気付かないよ」
「そうかも、しれないが……」
まず、この格好が恥ずかしすぎる。
ロージェがわざわざ用意してくれたから袖を通したものの、筋肉のある男にフリルがついた黒いスカートは似合わなさすぎだ。スカートの丈が長くて、鍔が広い兎耳付きの帽子で顔も隠れるとはいえ、こんな大男が着ている時点で笑い者だろう。
それなのに、ロージェが何度も可愛い可愛いと連呼して、たくさんキスをしてくれるものだから……、つい、流されてしまった。
ロージェの格好も俺とお揃いで、色違いの白色だ。俺と違って綺麗に着こなしすぎていて、眩しいしかっこいい。正直にそう伝えれば、酸欠になりそうなくらい深くて長いキスをされた。
出かける前にキスで甘イキをしまくってパンツを変える羽目になったのも、羞恥に拍車をかけてくる。しかも渡されたパンツは女性用の物で、小さすぎて既にちんこがハミ出してしまっている状況だ。こんな格好で外を歩くなんて、普通だったら拒否していただろう。
「この祭りはさ、言ってしまえば幸運の龍からのおこぼれをもらおうって趣旨なんだって。龍は人間が愛し合うエネルギーが大好きで、祭り中に一番愛が深かった二人に幸せを贈る、なんて話もあるらしーよ。ま、オレはこうしてリザと気兼ねなくいちゃいちゃ出来んのが幸せだから、関係ないかも」
「それなら……、俺だって幸せだ」
「リザ……♡んん、オレの恋人かっこよくて可愛すぎ♡出店もいっぱいあるし、リザの好きな甘いもの見てこ」
当たり前のように手を繋がれて、賑やかな街の中を歩いていく。あれだけ恥ずかしかったのに、ロージェが傍に居てくれるだけで楽しさが羞恥を上書きした。
人は多いが、確かに皆二人の世界だ。変装……というより仮装ありきの祭りだからか、女装をした男二人のことを気に留める様子もない。
「はい、リザ。あーん」
「ん……、美味しいな」
喧噪から少し離れたところにあるベンチに腰掛けて、ロージェが向けてくれたスイーツに噛り付く。薄く焼かれた生地と、たっぷり入ったクリームや果物が合わさって、とても美味しい。
「オレにも食べさせてよ」
「ん、うっ」
自分が手に持っている分を差し出そうとしたところで、それよりも早く唇を覆われた。舌にノックされて薄く開くと、ぬるりと侵入してきた熱が咥内にあるクリームをぐちゅぐちゅとかき混ぜていく。ただでさえ甘かったのに、もっともっと甘くなって、気が付けば自分からも貪るように舌を絡めていた。
俺よりも小さな口、俺よりも薄い舌なのに、弱いところを的確に責められていつもトロトロになってしまう。スイーツより、ロージェとのキスを美味しく感じるようになったのは、いつからだろう。
「ん、は……っ。ふふ、これ以上は、リザの息子君が暴発しちゃうかも」
「ふ、あ、っ、あ……、う、これは……っ」
言い逃れが出来ないくらいスカートを押し上げてしまったちんこを咄嗟に手で隠す。生地が黒くて良かった。先端がびっしょり濡れているところまではバレていないはずだ。
「がっついてごめんね、リザ」
「いや……、俺も、夢中になってしまったから」
「んん、嬉しいけど煽らないで。オレが暴発しちゃいそう」
見れば、ロージェの股間ももっこりと膨らんでいた。白いスカートがしっとりと湿っている。俺と同じように感じてくれていたと思うと、胸とアナルがきゅんとしてしまった。
「でも、さっきのすごくヨかったからさ」
はむりとクリームだけ掬い取ったロージェが、白く染まった舌を見せてくる。
「はへへ」
「っ、ロージェ」
吸い寄せられるように顔を近づけて、クリームごと舌を食んだ。咥内に広がる、幸せの味。そうやって口移しで食べさせ合っていく内に、俺達のスカートは完全に汚れてしまった。
*****
「着替え持ってきてて正解だったわ。楽しかった?リザ」
「ああ。他の食べ物も美味しかったし、魔法弾射的で全段命中させたロージェは凄かった。惚れ直してばかりだ」
「え~、もう、照れるなぁ。そうやって口にして伝えてくれるとこ、すごく好き。大好きだよ、リザ」
「……こっちも照れるから、程々にしてくれ」
宴もたけなわ。暗くなってきた通りに、ランタンの明かりが灯されていく。どうやら色々と催し物があったようだが、ロージェとの時間を過ごしている間に終わっていたようだ。
兎耳の帽子は被ったまま、至極普通の服にこそこそと着替えた俺達は、二人揃ってノーパン状態。この状態でキスをしたらまた汚してしまうと分かっているから、これ以上は帰ってからのお楽しみだ。
そう思いながら手の温もりを感じていると、つんざくような泣き声が聞こえてきた。
「なんだ……?」
「あ。あそこ、子供がいるっぽい?この祭りは大人限定のはずなんだけどなぁ」
暗くなった通りの隅で泣いている子供のことを、何故か誰も見向きもしない。心配で近寄っていけば、薄汚れている上に裸足だ。何か訳ありだろうか。
「どうした、迷子か?」
しゃがみながら話しかけた後にハッとした。俺みたいな無愛想男に声をかけられたらもっと泣かせてしまう。ロージェに任せればよかった。
そう、反射的に後悔した俺の予想とは裏腹に、青髪の子供はしゃくりあげながらも怯えることなく目を合わせてくれた。
「ひぐっ、うえぇ……、ぱぱと、はぐれたの……っ」
「そっか~。じゃあオレ達と一緒に迷子のパパを探しに行こっか」
ハンカチで涙を拭いながら、笑顔でそう告げたロージェに釣られるように、泣いていた子供も次第に落ち着いて行った。
目立つようにと俺が肩車をしても、怖がるどころか楽しそうにしてくれてホッとする。
そうして、店仕舞いが始まりだした通りを歩きつつ父親を探したものの、なかなか見つからない。
人がどんどん疎らになっていって、祭りも終わりを迎えている。
「うーん、一通り見て回ったんだけどな。パパ、いなかった?」
「うん……」
「青髪で背が高いっていうから目立つはずなんだけどなぁ。他に特徴とかあったりする?」
「えっとね、ぱぱはままのことがだいすきなの」
「それは……、いいことだな」
「……げかいで、ままとぱこぱこするっていってたから、ぼく、ないしょできちゃったんだ。だから、はぐれたっていったの、うそなの……。ごめんなさい……」
頭上から聞こえてくる涙声に、いくつかひっかかるところがあった。これは、問い質してもいいところだろうか……?
「リース!」
「あっ、ぱぱ!まま!」
そう思っていた矢先、更に頭上から声が降ってきた。子供を落とさないようにしながら見あげれば、煌めく青髪をたなびかせた麗人がふわりと下降してくるところだった。頭から生えているのは、何かの角だろうか。とにかく彼は人間ではないようだ。
そんな彼は一人の人間をおぶっていた。どこか見覚えのある姿に既視感を覚えていると、ロージェが「あっ!」と声をあげる。
「ハルク!?何でここに……ってか、どんな流れでそんなことに……!?」
「ん……、……っ!あっ、兄貴……!?」
そうだ、ロージェの弟のハルクだ。数年経って成長した彼は、愛らしさが格好よさに進化している。顔立ちは似ていないものの、二人とも綺麗であることに変わりはない。
「なんと、兄とな。これはまた数奇な巡り合わせなことよ。……それより、リース。我との約束を無視して勝手に下界に降りてはならぬと言っただろう」
「う、うわああぁん!ぱぱああぁっ!!」
バッ、と肩から飛び降りる子供……リースに肝が冷えたが、落ちることなくそのまま宙に浮いて青髪麗人の胸に飛び込んでいた。
「だって、だって……!ぱぱだけ、ままとぱこぱこずるいもん……っ!ぼくのことなかまはずれにしちゃいやなの……!」
「は……?……おい、リュセ。リースに何吹き込んでんだ……?」
「人の子らよ。我が息子が世話になったな。我の息吹を受け取るがよい」
「おい!話聞けクソ龍!!」
「ちょっと待ってハルク……、え、龍って……。それに、ママって……、もしかして、番ってんの?幸運の青い龍と?」
ぶわっ、とむせ返る程の花の香りが広がる。
突風に思わず目を瞑れば、さっきまでそこに居た三人の姿が綺麗さっぱり消えていた。
「マ、マジかぁ~~……」
「……確か、ハルクは武者修行の旅に出たと言っていたな」
「うん、そう。もう攫われたりしないよう強くなるって……。え、それがどうして龍の番に?しかも子供産んだわけ?ハルクが?」
「まあ……、元気そうで良かったんじゃないか。それに、無事に両親も見つかったわけだし」
「リザは飲み込みが早すぎだし受け入れるのも早すぎ!うわ、ちょっとすっごい混乱してる……!」
「…………続きは、やめておくか」
「はぁ?スるに決まってるじゃん!リザのこと抱きたくて抱きたくてちんこやばいんだからね!?」
『嬉しい……。そんなに想ってくれているのか。俺も早くまんこをかき混ぜてほしい。ロージェのおちんぽを気持ちよくしたい……』
『え、うわ、ちょ、そんな明け透けなこと言っちゃう?暴発するからやめてってば!あーもう、弟のことは後で考えるとして、リザのことハメ倒すから♡抜かないで何発も種付けするからな♡』
『種付け……♡いっぱいシてほしい。ロージェが満足するまで、俺のまんこを味わってくれ』
「だからもう……っ、……、ん……?いや、ちょい待ち、今、声に出してないよな……?」
「え……?」
妄想の中で会話までしてしまったと思っていたら、ロージェが戸惑ったように見つめてきた。
『可愛い、ロージェ』
『可愛いのはリザの方だけど?』
口は全く動かしていない。アイコンタクトで察せるレベルでもない。はっきりしっかり、ロージェの声が頭に響いてくる。
『これって……、心の声ダダ漏れってこと?』
『……そのようだな。大方、あの龍の息吹を浴びたからだろうが……』
『うわー、マジかー……。魔術師くんだったら何か分かるかな。今日はもう無理だろうけど』
『そうだな』
この効果がいつまで続くかは分からないが、今日はもう完全に日が暮れてしまった。ニグルに会いに行けるのは明日だろう。
考えていることが分かってしまうというのは恥ずかしいが……、この状態で性行為をしたら一体どうなってしまうんだろう。
喋らずとも、キスの間も好きだと伝えることが出来るのは嬉しいが……。
「……リザのえっち」
「っ……!」
そうだ、考えたらバレてしまうんだった。これはなかなかに恥ずかしい。
『帰ったら即ハメするから』
『……っ♡……ああ♡』
布地に直接擦れるちんこを大きくしながら、俺達は龍からの置き土産を手に帰路についた。
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