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魔術師ニグル
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「リザリードさんも惚れ薬の件聞いたんですね。ほんっと信じられないです!ただでさえ魔法薬は繊細な魔法式の元で成り立っているのに、そこに酒なんて異物を入れて内密に売るなんて……!違法ですよ違法!!テメェの内蔵引きずり出して細切れにしてやろうか、あ゛あ!?……っと、すみません。口が悪くなってしまいましたね。それで、惚れ薬の解毒薬でしたっけ」
「あ、ああ。被害者はゼロだと聞いていたが、念のために聞いておきたくて」
小動物のような二グルから発せられた気迫に、思わず一歩引いてしまった。
魔術師である二グルの家はそのまま仕事場のようなものになっていて、中央にある大釜を始め、様々な魔法器具や薬草が部屋中に陳列されている。髪色が紫だからかは分からないが、内装は全体的に紫色で統一されていた。
お試しデートが続く合間を縫って、例の惚れ薬について聞くために訪ねたわけだが、色んな匂いが混ざった空間はあまり長居出来そうにない。
「もちろん、惚れ薬の解毒薬はありますよ。ただ、酒入り惚れ薬となると既存の解毒薬では効果が出ません。成分を分析して、魔法式を組み直さないと作ることも出来ないでしょうね」
「それは……、作るのに時間がかかるのか?」
「僕を誰だと思ってます?大変ではありますけど、二週間もあれば完成しますよ」
「っ……、それなら、俺から解毒薬の依頼をしたい。内密に頼みたいんだが……」
「依頼人の守秘義務は護りますけど……、その口ぶりだともしかして被害者がいるんですか?」
「……ああ。そうだ。名前は言えないが、相手を惚れさせてしまって困っているらしい。お金ならいくらでも出すとも言っていた」
「勇者様の魔法で王都一帯は調べてもらったんですけどね……?王都の外にでも出ていて探知魔法にかからなかったとか?……まあ、いいでしょう。依頼は受けますよ。二週間後に受け取りに来てください」
「分かった。ありがとう、ニグル」
「いえいえ。……ところで、ロージェさんは近頃どんな感じですか」
ロージェの名前にドキリとしつつも、平常心を保つ。二グルは純粋に尋ねてきているだけだ。魔法薬作りに没頭することが多くて、滅多に外に出ないから。元仲間のことが気になってるだけだ。
「普通に元気だが。今日は散髪に行くと言っていたな」
「ああ、すみません。少し言葉足らずでしたね。ロージェさんと一緒に出かけたりしていますか?」
「まあ、時々は……」
「うーん、及第点ですかね。ロージェさんに、もっと押せ寧ろ押し倒せって伝えておいてください」
「……?」
謎の伝言を預かってしまった俺は、不思議に思いながらも二グルの家を後にした。
*****
「あ、ああ。被害者はゼロだと聞いていたが、念のために聞いておきたくて」
小動物のような二グルから発せられた気迫に、思わず一歩引いてしまった。
魔術師である二グルの家はそのまま仕事場のようなものになっていて、中央にある大釜を始め、様々な魔法器具や薬草が部屋中に陳列されている。髪色が紫だからかは分からないが、内装は全体的に紫色で統一されていた。
お試しデートが続く合間を縫って、例の惚れ薬について聞くために訪ねたわけだが、色んな匂いが混ざった空間はあまり長居出来そうにない。
「もちろん、惚れ薬の解毒薬はありますよ。ただ、酒入り惚れ薬となると既存の解毒薬では効果が出ません。成分を分析して、魔法式を組み直さないと作ることも出来ないでしょうね」
「それは……、作るのに時間がかかるのか?」
「僕を誰だと思ってます?大変ではありますけど、二週間もあれば完成しますよ」
「っ……、それなら、俺から解毒薬の依頼をしたい。内密に頼みたいんだが……」
「依頼人の守秘義務は護りますけど……、その口ぶりだともしかして被害者がいるんですか?」
「……ああ。そうだ。名前は言えないが、相手を惚れさせてしまって困っているらしい。お金ならいくらでも出すとも言っていた」
「勇者様の魔法で王都一帯は調べてもらったんですけどね……?王都の外にでも出ていて探知魔法にかからなかったとか?……まあ、いいでしょう。依頼は受けますよ。二週間後に受け取りに来てください」
「分かった。ありがとう、ニグル」
「いえいえ。……ところで、ロージェさんは近頃どんな感じですか」
ロージェの名前にドキリとしつつも、平常心を保つ。二グルは純粋に尋ねてきているだけだ。魔法薬作りに没頭することが多くて、滅多に外に出ないから。元仲間のことが気になってるだけだ。
「普通に元気だが。今日は散髪に行くと言っていたな」
「ああ、すみません。少し言葉足らずでしたね。ロージェさんと一緒に出かけたりしていますか?」
「まあ、時々は……」
「うーん、及第点ですかね。ロージェさんに、もっと押せ寧ろ押し倒せって伝えておいてください」
「……?」
謎の伝言を預かってしまった俺は、不思議に思いながらも二グルの家を後にした。
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