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離島でドッキリ!(前編)
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「今日は離島ロケに来てるわけだけど、本当はここ無人島でもう誰も住んでいないんだよね。ケイトには内緒にしてるけど。そんな島でエキストラから嘘っぱちの風習を教えられても、ケイトがそれを信じるのか検証していきまーす」
構えられたカメラに向かって小声で説明した後、クラマは上機嫌でケイトの背後から抱きつく。鬱陶しい、と言葉では嫌がるケイトだが、その表情はあからさまな程に喜色に満ちていた。
「ケーイト。オレと二人でロケ出来んの嬉しいんだろ。可愛い奴」
「……っ!お、お前の方が嬉しく思ってるだろ!ふん、俺の引き立て役として頑張ることだな」
そんな俺様ムーブも、ただの強がりだと分かっているためノーダメージだ。傍から見ると恋人同士でいちゃいちゃしているようにしか見えない彼等の元へ、早速仕掛け人の青年が近づいてきた。
「歯目杉島へようこそおいでくださいました。実は、入島するために儀式が必要なのです。既にケイトさん以外の方は済ませていますので、こちらで儀式を行っていただいても大丈夫でしょうか」
「儀式……?クラマ、お前いつの間にそんなのやったんだ」
「ああ、ケイトが忘れ物探しに船に戻った時にな」
「ふーん……。で、何をすればいいんだよ」
そのためにわざとスマホを隠しておいたわけだが、ケイトは少しも疑っていなかった。儀式そのもののことも普通に受け入れている。
「不浄を清める儀式です。こちらの神蜜酒をお飲みください。酒という名ではありますが、アルコールは入っておりませんので」
「……なんか、凄い量だな」
大きなビールジョッキで渡されたのは、白く濁った飲み物だった。甘いような、青臭いような、あまり飲みたいとは思えない香りが漂ってくる。
「神蜜酒は我が島に伝わる特産品でもありまして、その昔神様から賜れたという逸話が残っております。どうぞ全て飲み干してくださいませ」
「は……、仕方ねぇな」
そう告げて頭を下げる青年を、無碍に出来るわけがなかった。それに、カメラも回っている。一口だけ飲んで後は編集で切り取ってもらうことも考えたが、ケイトのプロ意識が許せなかった。
「ん……っ、く、……う、独特な、味だな」
えい、と勢いのままに酒を呷る。とろみのある口当たりは嫌いではないが、味は全く美味しくない。顔が引き攣らないようにしながら、無心でごくごくと喉を鳴らしていく。
「ん、……っん、んぐ、……っふぅ」
半分程飲み終わると、次第に抵抗感が薄れていることに気が付いた。不味かったはずなのに、何故か癖になって、舌の上で味わうまでになってしまった。そんなケイトの様子に気づいたのか、クラマが小さく声をかけてきた。
「……ケイト、美味しい?」
「っふ……、ああ、美味いな。最初は独特な感じだったのに、もっと飲みたくなる……」
「そっか」
瞳をゆるりと細めたクラマは、嬉しそうに微笑んだ。
ケイトが飲んでいるものの中には、自分が出した精液がたっぷり入っている。味を誤魔化すために色々混ぜてはいるものの、普通は臭いで分かるだろうし、まず飲めるような代物ではないのだ。
それなのに、ケイトは夢中になって精液入りの酒を飲み下している。先程イったばかりだというのに、クラマの股間は再び張り詰めてしまいそうだった。
「んくっ、……ふー……、飲み終わったぞ」
そうして、暫くした後。
ジョッキの縁に残った白濁もペロペロと舐め取って、ケイトの儀式は終了した。
「……お、お疲れ様でした」
「なあ、特産品って言ってたよな。土産で売ってんなら買うわ」
「えっ」
まさかおかわりを要求されるとは思わず、仕掛け人が戸惑ってしまう。咄嗟にフォローに回ったのはクラマだ。
「何、そんなに気に入ったん?でもさ、ほら、特産品って言っても早々作れる物じゃないんじゃない?」
「っ、そ、そうなんです。申し訳ございません。今の時期は材料が手に入りにくくなっておりまして……」
「ふーん。なら仕方ねぇか。ある分だけ買い占めようと思ったんだけどな」
「……今度、オレが用意しておくよ」
ケイトの味覚は少しおかしいのかもしれない。
そう思いつつも、いつか直飲みさせてやろうと決意したクラマだった。
──その後、離島ロケは順調に進んでいった。元々人が住んでいたこともあり、無人島ではあるものの家が残っているため、ケイトが疑うことは一度もなかった。
挨拶はお尻を振ること、おちんぽという名前の野菜があること、歓迎の気持ちと言われ執拗に乳首を狙われて水鉄砲を打たれたこと……、等々、それはおかしいだろということもあったというのに、俺様なケイトはどこまでも純粋だった。
構えられたカメラに向かって小声で説明した後、クラマは上機嫌でケイトの背後から抱きつく。鬱陶しい、と言葉では嫌がるケイトだが、その表情はあからさまな程に喜色に満ちていた。
「ケーイト。オレと二人でロケ出来んの嬉しいんだろ。可愛い奴」
「……っ!お、お前の方が嬉しく思ってるだろ!ふん、俺の引き立て役として頑張ることだな」
そんな俺様ムーブも、ただの強がりだと分かっているためノーダメージだ。傍から見ると恋人同士でいちゃいちゃしているようにしか見えない彼等の元へ、早速仕掛け人の青年が近づいてきた。
「歯目杉島へようこそおいでくださいました。実は、入島するために儀式が必要なのです。既にケイトさん以外の方は済ませていますので、こちらで儀式を行っていただいても大丈夫でしょうか」
「儀式……?クラマ、お前いつの間にそんなのやったんだ」
「ああ、ケイトが忘れ物探しに船に戻った時にな」
「ふーん……。で、何をすればいいんだよ」
そのためにわざとスマホを隠しておいたわけだが、ケイトは少しも疑っていなかった。儀式そのもののことも普通に受け入れている。
「不浄を清める儀式です。こちらの神蜜酒をお飲みください。酒という名ではありますが、アルコールは入っておりませんので」
「……なんか、凄い量だな」
大きなビールジョッキで渡されたのは、白く濁った飲み物だった。甘いような、青臭いような、あまり飲みたいとは思えない香りが漂ってくる。
「神蜜酒は我が島に伝わる特産品でもありまして、その昔神様から賜れたという逸話が残っております。どうぞ全て飲み干してくださいませ」
「は……、仕方ねぇな」
そう告げて頭を下げる青年を、無碍に出来るわけがなかった。それに、カメラも回っている。一口だけ飲んで後は編集で切り取ってもらうことも考えたが、ケイトのプロ意識が許せなかった。
「ん……っ、く、……う、独特な、味だな」
えい、と勢いのままに酒を呷る。とろみのある口当たりは嫌いではないが、味は全く美味しくない。顔が引き攣らないようにしながら、無心でごくごくと喉を鳴らしていく。
「ん、……っん、んぐ、……っふぅ」
半分程飲み終わると、次第に抵抗感が薄れていることに気が付いた。不味かったはずなのに、何故か癖になって、舌の上で味わうまでになってしまった。そんなケイトの様子に気づいたのか、クラマが小さく声をかけてきた。
「……ケイト、美味しい?」
「っふ……、ああ、美味いな。最初は独特な感じだったのに、もっと飲みたくなる……」
「そっか」
瞳をゆるりと細めたクラマは、嬉しそうに微笑んだ。
ケイトが飲んでいるものの中には、自分が出した精液がたっぷり入っている。味を誤魔化すために色々混ぜてはいるものの、普通は臭いで分かるだろうし、まず飲めるような代物ではないのだ。
それなのに、ケイトは夢中になって精液入りの酒を飲み下している。先程イったばかりだというのに、クラマの股間は再び張り詰めてしまいそうだった。
「んくっ、……ふー……、飲み終わったぞ」
そうして、暫くした後。
ジョッキの縁に残った白濁もペロペロと舐め取って、ケイトの儀式は終了した。
「……お、お疲れ様でした」
「なあ、特産品って言ってたよな。土産で売ってんなら買うわ」
「えっ」
まさかおかわりを要求されるとは思わず、仕掛け人が戸惑ってしまう。咄嗟にフォローに回ったのはクラマだ。
「何、そんなに気に入ったん?でもさ、ほら、特産品って言っても早々作れる物じゃないんじゃない?」
「っ、そ、そうなんです。申し訳ございません。今の時期は材料が手に入りにくくなっておりまして……」
「ふーん。なら仕方ねぇか。ある分だけ買い占めようと思ったんだけどな」
「……今度、オレが用意しておくよ」
ケイトの味覚は少しおかしいのかもしれない。
そう思いつつも、いつか直飲みさせてやろうと決意したクラマだった。
──その後、離島ロケは順調に進んでいった。元々人が住んでいたこともあり、無人島ではあるものの家が残っているため、ケイトが疑うことは一度もなかった。
挨拶はお尻を振ること、おちんぽという名前の野菜があること、歓迎の気持ちと言われ執拗に乳首を狙われて水鉄砲を打たれたこと……、等々、それはおかしいだろということもあったというのに、俺様なケイトはどこまでも純粋だった。
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