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しょくしゅのしょくじ。

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「これは世にも珍しい、意思を持つ触手の苗だ。計算上では、一日一回の餌を欠かさず与えるだけで育つという結果が出ている。先日の適性検査で、お前が飼育係に適任だと診断された。大変だがやってくれるな、梅野」
「はい!研究に労力は惜しみません!それで所長、その餌というのは何ですか?」
「………………ぅ、……だ」
「所長?」
「……尿、だそうだ」
「………………………………は?」


*****


 未確認生命物体生成研究所。

 読んで名の通り、現実には存在しない物体を自分達で作ってしまおうという研究所である。

 梅野はかりは20歳という若さにして、そこで日夜研究に明け暮れている。

 年齢不詳な所長の桜御堂や同期である竹川や松藤と共に、新しい生命を生みだそうと奮起しているのである。実際にいくつか成功例はあり、それらの生命から珍しい抗体を抽出し特効薬を作ったり、栄養豊富な補助食品として密やかに世に出したりしている。

 今回、桜御堂から直接頼まれた一件も、未確認生命物体の一つであった。

 青々しく茂った細長い葉が一枚だけ伸びている小さな苗を、研究室に備えた大きな植木鉢に植え直す。見た限りでは普通の植物と何ら変わりないこれがどう成長していくのか、それについては素直に楽しみだと思うのだが。

「…………水じゃ、駄目なのかな……」

 簡易キッチンやベッド、シャワー室まで完備してあるこの研究室は梅野専用のもので、防音もロックもしっかりとした造りになっている。
 だが、自分の姿を見る者は誰もいないと分かってはいるものの、なかなか最後の一歩が踏み出せずにいた。

 それでも、所長直々に頼まれたからには、やり遂げねばならない。
 それがたとえ、どんなに羞恥心を煽るようなことであってもだ。

「(これはただの餌やりで、研究のために仕方なくやるだけ。…………よし)」

 すっと息を吐いて覚悟を決めた後、梅野はベルトを緩めて前のジッパーをジジッと下ろしていった。

 ぽろりと現れた陰茎を手で調節して、植木鉢へと狙いを定める。
 端から見ればとても異質な光景だが、本人は至って真剣だ。
 明るい部屋の中で性器を露出させている羞恥に苛まれながらも、梅野はじわりと湧き上がってくる尿意に身を任せた。

 プシャッ

 ふるっ、と小さく震えた性器の先端からちょろちょろと尿が溢れ出す。
 次第に放物線を描いて勢いよく排出されていくそれは、苗をしとどに濡らし、土にじわりと染み込んでいく。

「ん……っ」

 そうして全て出し終わり水滴を切った後、いそいそと陰茎をしまい込んだ。

 ふと苗の方を見ると、さっきより幾分か大きくなっているように感じた。尿に濡れて艶やかに潤っているのがなんとも居たたまれない。

 これを毎日続けなければいけないということに、溜息を吐きたくなってしまう。

「(研究のためだとは分かってるけど……。せめて早く成長してほしいな…………)」

 ……こうして、梅野と触手の同居(?)生活は幕を開けたのである。


*****


──慣れというのは、恐ろしい。

「おはようクシュ!今日も清々しい朝だよ」

 桜御堂から「名前をつけて話しかけることで成長が促進される」という情報を聞いてから、梅野は触手のことを『クシュ』と呼び始めた。しょくしゅだから、くしゅ。なんとも安直である。

 返事が返ってくることはないのだが、長く伸びた緑色の葉が風もないのにゆらゆらと揺れるため、どうやら言葉は通じているようだ。
 まだ触手らしくはないとはいえ、随分と葉も丸みを帯びてきた。

 完全に成長するのもあと少しかと思いながら前を寛げる。

 数週間も経てばいくらか羞恥心も薄らいで、梅野はほぼ平常心のままジョロジョロと放尿を始めた。ちなみに、大きくなるにつれて尿の量が足りなくなってきたと判断して、副作用がないよう改良した利尿剤を服用している。

 性器に手を添え位置を確認しながら土にしっかり染み込ませ、移動しつつ葉の部分に満遍なくかけていく。

 一度、ボトルに放尿してそれをかけたことがあったのだが、まるで拒否するかのように葉がざわついた。どうやら直接でなければお気に召さないらしい。

「……こんなものが餌になるなんて、お前も変わったやつだね、クシュ」

 しゃああぁ、と部屋に響く音を誤魔化すようにぺらぺらと喋りかけていた梅野は、ふと触手の異変に気がついた。

 長い葉がぷくりと膨らみ、その先端から透明な液が滴っている。
 さっきまでまだ葉だったというのに、今の餌で丸みのある触手へと成長したようだ。
 まだ時間がかかるとばかり思っていた梅野は驚いたが、尿の勢いが衰えていないためすぐに動くことが出来ない。そうこうしている内に、緑色の触手がぬらりと動き出す。

 梅野に向かって、真っ直ぐに。

「……!ちょっ、もう少し待ってクシュ!まだ出てるから……っんぁ!?」

 触手は、甘美な馳走を放つ梅野の陰茎に近付いたかと思うと、粘液でべたついている自分の先端をそれにぴたりと合わせた。

 途端、ぴりっとした刺激が亀頭を襲い、思わず変な声が出てしまう。ちゅうちゅうごくごくと卑猥な音が聞こえてきて、梅野はカッと顔が熱くなるのが分かった。

「やめ……っ、あ、あつ……ぃ!だめ、クシュ……!」

 直に尿を摂取し始めた触手は、梅野の制止の言葉など聞こえていないのか離れようとしない。

 やっと長い放尿が終わる頃には、触手はぱんぱんに膨れ上がっていた。

「ふ……っ、あ……!」

 粘液に媚薬の効力があるのか、触手が離れたと同時に、快感に耐えきれず膝から崩れ落ちた。触れられた亀頭が燃えるように熱く、むず痒い。
 震える手を伸ばして本能のままに扱くと、簡単に勃起してしまった。そのまま親指でぐりぐりと先端を弄りだす。

「ん、くぅ……♡はぁ♡」

 足りない、もっと欲しい。ナカを、ぐちゃぐちゃにかき回して欲しい。
 逆上せた思考で、そう願った時だった。

 ぱぁん、と。
 頭上で何かが弾けた音がした。

「っ!?な、何!?」
「……ふう、やっと成体になれたわ」
「……!!?おっ、おおお前……、まさか、クシュ……!?」
「当たり前だろ。ここまで育ててくれて感謝するぜ、はかり」

 一糸纏わぬ姿で梅野の前に現れたのは、白く長い手足と濃い緑色の長髪が印象的な、ぱっと見は人間にしか見えない美形の男だった。

 目を白黒させている梅野に目線を合わせるべくしゃがんだ彼は、育て親に向かって悪戯に口角をつり上げる。

「いいカッコしてるな。俺の体液摂取すんと結構気持ちよくなるらしいから、辛いだろ?普通にイくだけじゃ収まんないしな、それ。……どこが辛いのか説明出来たら楽にしてやるけど?」
「ク、クシュ……?何言って…………」
「早くしねぇと媚薬成分が身体中に回って全身性感帯になるけど、それでいいのか?」
「っ!?わ、分かった、説明すれば……いいんだよね?」

 理解出来ないことばかりだが、今はこの熱をどうにかすることが先決だ。ごくりと唾を飲み込み、恥を忍んで口を開く。

「せ、性器……の、先が、熱くて…………、その、中も……」
「はぁ?もっといやらしく言えるはずだろ。はかりのコレは性器じゃなくて包茎ちんちんだろ」
「な……っ!」

 軽いコンプレックスにずばっと切り込んでくる人型触手に、怒りと羞恥とで更に熱が溜まる。
 どうしてこんな言葉攻めをされないといけないんだ、と泣きたい気持ちをぐっと堪えてその台詞に従う。

「ほ、包茎……ちん、ちん……の、先が熱くて……」
「熱くて?」
「……お尻の中も、むず痒くて、……変な感じで」
「へぇ。それで?」
「だっ、だから……!助けろ、ばか……!」
「…………まあ、満足とは程遠いけど今日は助けてやるよ」

 緩くウェーブした髪が重力を無視してざわりと靡く。
 次の瞬間、それは幾数もの触手の形へと姿を変え、一斉に梅野へと襲いかかった。

「ひぁ!?やめっ、何するんだクシュ!」

 太い触手で梅野の両手を纏め、器用に下を脱がせた後、足を左右に開かせた状態で固定する。負担をかけないように巻きついた触手によってそのまま宙に浮かされ、梅野は彼の眼前に勃起した性器とひくつく後孔を堂々と晒すような体勢にさせられてしまった。

「やめっ、見るなぁ……!」
「はかりの可愛いちんちんなんて、毎日見てきたんだから今更だろ。おしっこする度に気持ちよさそうにしてたのも見てたしな」
「き、気持ちよくなんてなってない!」

 梅野の反論を無視して、彼は行動を開始する。針金のように細い触手を伸ばし、だらだらとカウパーを垂れ流す尿道口へとあてがってきたのだ。
 快感への恐怖と期待とで息を呑む梅野ににやりと笑いかけ、迷いなくつぷりと挿入する。

「んっ、あああああ!!」

 むず痒く感じていた所を擦ってくるそれに、梅野の身体はがくがくと悶える。容赦なく尿道を攻められるが痛みは全く感じず、ただただ気持ちがいい。

「ああ……、はかりのココ、最高に美味い……♡」

 触手に神経が通っているのか、うっとりと目を細めるクシュ。そんな彼を止める余裕などなく、梅野はひっきりなしに喘ぐことしか出来なかった。

「んああぁっ♡♡おかしく、なる……っ♡あ、あ……!ちんこの中、気持ちよす……ぎ、て、ふああぁっ!!そこっ、そこ、だめぇ!!」
「……そろそろか?一回イっとけよ」
「ひっ、んん……!ひゃう……っ!!いっひゃううぅ……♡♡♡」

 前立腺をグニュグニュと激しく刺激され、つま先がピンッと伸びる。頃合を見計らって、蹂躙していた触手がずるっと抜かれていった。

 ビュルッ、と勢いよく飛び出した白濁がぱたぱたと梅野の服を汚す。そしてその後を追うように、力なく尿の残滓が溢れてきた。

 尿道を通って排出されていく感覚が、たまらなく気持ちいい。

「っあ……、ふ、……おしっこ、出てるぅ…………♡♡」
「うわ、勿体ないことすんなよな」

 じゅるっとペニスに吸い付いて小水を飲み下す彼を、梅野は熱に浮かれた瞳でぼんやりと見つめていた。

 量が少ない放尿はすぐに終わり、これで解放されるのかと思ったが、未だに触手の拘束は解かれない。

「クシュ……、もう、いいだろう……?」
「……何言ってんだ?これからが本番だろ」

 ふに、と自分でも触ることのないアナルを指で押され、ひっと小さな悲鳴が零れる。
 にやにやと楽しげに皺をなぞってくる彼は、梅野に向かって愉悦を含んだ声で囁いた。

「お前には、俺の子供を生んでもらわなきゃいけねぇからな」
「………………え?」
「安心しろよ、腹かっ裂いて出てくるとかそんなグロいやつじゃねぇから。お前のこと死なせたいわけじゃないし」
「いや、待て、その前にオレは男で……っ」
「性別なんて関係ない。俺はお前を伴侶にするって決めてんだからな。初めては怖いだろうから、産卵の練習しておこうな♡」


 ……どうしてこうなった!!


 まだ太陽も明るい真っ昼間、梅野の悲痛な叫びが、防音仕様の部屋に空しく響いたのであった。


【しょくしゅのしょくじ。】

(……最近さ、はかり君の様子おかしくない?エロさが増したというか……)
(はァ?んなの知らねーよ。発情期なんじゃねぇの)
(…………はかり君が育ててるらしい触手にも、発情期ってあったりするのかな)
(真に受けんな……っつーか、それこそもっと知んねーよ!)
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