性欲を我慢している恋人にもっと求めてもらうべく一計を案じてみた結果

そのろく

「──おい！サギリ！！」
「っわああぁ！？えっ、あれ！？ク、クラブ？」
「はーーーー、ったく……、焦らせやがって。身体に異常はねぇか？」
「へっ？あ、うん、特に何も……？というかここって、クラブの部屋……？」

　飛び起きた俺は寝起きに近い頭のまま辺りを見渡して……、ベッドサイドのチェストに置かれた『それ』に目が留まった。

　割れた手鏡。それは、俺が用意していた魔道具で……。

「本心をぶつけてもらう、手鏡……」
「の、パチモンだ。鏡の中に取り込まれて、ずっと本能に捉われて戻れないところだったんだぞ。満足する度に勝手にヒビが入る仕様だったからよかったものの……。どこで仕入れたのか知らねぇが、僕の知らないところで危ないもんに手ぇだすな馬鹿」
「ご、ごめん」

　そうだ、思い出してきた。
　俺はこの鏡をクラブに見せた後、いきなり意識が遠くなったんだ。

　そして、現実じゃ有り得そうにないえっちなことを、クラブと……。

「～～～～～～～ッッ♡」

　ぜ、全部思い出したっ♡

　え、クラブさっき、本能に捉われるって言ってたよな……？俺、あんな変態じみたことや生ちんぽ中出しをヤってほしいと思ってたってことか？

　いや、違う、絶対違う。
　俺はただ、クラブの性欲を全部受け止めたいだけでっ……♡

「それで、サギリ。本当に異常はねぇんだな？」
「う、ん。だい、じょうぶ……」
「だったら問題ねぇな」
「え？」

　起こしていた上体が、優しく後ろに押し倒される。至近距離で見つめてくるクラブの瞳はいつも以上にギラギラしていて、まるで美味しいモノを前にした捕食者のように見えてしまう。

「えっと、クラブ？」
「僕は、お前に優しくしたい。ぜってぇ酷いことも痛いこともさせたくない」
「う、ん♡」
「けど、お前が望んでいることで、気持ちいいことなら、ヤッてもいいよな。僕に我慢するななんて言ってたけどよ、本当はお前が物足りなかったんだろ、サギリ」
「望んで……？」
「あの鏡の中でお前が想像上の……偽物の『僕』とヤってたこと、全部見てたぜ。随分嬉しそうに生ちんぽしゃぶって、腹が膨れるくらい中出しされてたな」
「っ！！」

　服の上から下腹を撫でられただけで、全身がきゅうっと疼く。あ、あんなはしたない痴態を、クラブに全部見られてた……？

「他の奴にお前が可愛く乱れる姿を見せる気ねぇから、いくつかは無理だが……。お前が望んでるすけべなこと、シてやるよ。まずは生ちんぽからな。偽物以上に気持ちよくしてやっから、覚悟しろよ？」
「ク、クラブ、なんか顔が怖っ、んうううっ♡♡♡」

　分かりやすい嫉妬をぶつけられるのも案外悪くないかも、とキスをされながら思ってしまう。これはこれで、結果オーライってやつなのでは？

　なんて、そんな余裕を持っていられたのは最初だけ。

　それはもう激しく、甘く、優しく、ねちっこく、何度も何度も愛された俺は、今度は完全にダウンして……、ダウンしつつも満たされた心地でベッドの住人になってしまった。


【性欲を我慢している恋人にもっと求めてもらうべく一計を案じた結果】

（絶倫な恋人からたくさんの愛を注ぎ込まれました）