賢者と踊り子とラッキースケベ

桜羽根ねね

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③踊り子は賢者の夢を見る

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「あつくて、あつくて、たまらないんです……。おなかのおくが、 熱くてじんじんして、んぅ……っ。ディンブラさんの子種で、冷ましてください……」
「っ、おい……!?」

 のそ、と乗り上げてきたセイロンが互いの肉棒が触れ合うように密着してくる。どちらのものともつかない体液がぬちゅりと絡み合い、昂ぶっていく。しおらしいなどという表現は撤回しないといけない程、セイロンのそれはまだまだ物足りぬとばかりに熱を持っていた。

 ぐいぐいと腰を押し付けられ、熱が伝染するかのようにディンブラの性器も天を向いていく。陰茎同士の触れ合いは、手や口とは違った刺激を齎し、じわじわと快楽の坩堝に嵌まっていった。

「はぁ、ああっ、おちんち、一緒にこすれるの、っん、きもちいい……っ」
「っ、く、どれだけ、底なしなんだ……」
「んうっ、ふぁ……、こっちも、ぉ」

 とろとろに緩んだ相貌でするりと手を伸ばした先は、きゅうと閉じている自らの後孔。先走りや白濁が垂れ、呪い効果か媚薬効果か愛液が溢れたかのようにくちゅりと塗れているそこに、セイロンは迷うことなく指をつぷりと埋め込んだ。

「んああっ! あ、ふ、……っう!」

 ディンブラの位置からは手を後ろに回しているだけのようにしか見えないが、ナニをしているのかはセイロンの嬌声ですぐに分かった。自らの肉棒を擦り付けながら、我慢できずに後ろをも弄りだした踊り子。

 その、淫らで健気で愛らしい姿に。最後までは、と心の奥底で決意していた牙城は、脆くも崩れ去った。

「っ、セイ、ロン」
「ひあっ!? あ……、ディンブラさん……?」

 がばりと上体を起こし、対面座位のような体勢になったことにより、距離は更に縮まった。反動でぬぷりと指が抜けてしまったが、今のセイロンはそれこそ目の前のことでいっぱいになってしまった。吐息が触れ合いそうなくらいの至近距離で、ディンブラは熱を帯びた声音で囁く。

「お前ばかりに、負担はかけられん」

 ちゅう、と唾液で濡らした指を、セイロンの後ろへと伸ばす。ふにりとした柔らかさを堪能するように入口を辿ると、早く迎え入れたいかのようにくぷくぷ吸い付いてくる。無論このような行為をするのは初めてだろうが、誘い込まれるまま侵入させると難なく指一本収まってしまった。あたたかな媚肉がきゅうきゅう締め付けてくる。

「んうっ……!」

 襲い来る刺激から逃れるように、肩口に顔を埋めるセイロン。やはり攻められると途端に弱々しくなるな、と、どこか冷静な部分で考察しながら、ぬぷりと二本目を挿入した。

「ふにゃ、んうぅ……っ!」

 ぐちぐちとナカをかき混ぜるように動かすと、余程感じるのか背中を掴む手にぐっと力がこもった。

「肩……、噛んでも、構わんぞ」

 甘く諭すように吹き込まれた言葉に、セイロンはふるふると首を横に振った。

「ディンブラさんを、傷つけるなんて、できませ……、んあっ! あ、ひうっ、そんな、奥、ぅ……っ」

 淫乱な性格に塗り替えられても無体は強いないセイロンの反応に、愛しいものが混み上がってくる。それに呼応させるかのごとく、更に増やした指で刺激を与えながら快感を高めていく。ナカは火照ったように熱く、ぬめっている。ある一点を擦るとセイロンの背がびくんとしなった。ぱくぱくと開閉する口からは言葉にならない喘ぎが零れ落ちる。

「ひああぁっ!? そこ、へん になる、からぁ! んんん、あぁ、ディンブラ、さん……!」
「……痛みは、ないようだな」
「っふ、うぅ……、きもちよすぎて、あつくて、おかしくなっひゃ、う」

 触れあったままの昂ぶりをごりっと押し付けながらねだるセイロンは、欲情と羞恥の間で揺れているようだった。それでも僅かに媚薬が勝ったのか、蜂蜜のような甘ったるいトーンで耳朶を食む。

「こっちでも、たべさせてもらえませんか……?」
「……っ」

 薬と呪いの相乗効果であることは充分分かっているが、それでも、単純な心臓は鼓動を速める。出来るだけ丁寧に解したそこから指を抜き、屹立した切っ先をぴとりと宛てがう。治療行為という概念は残っていたため、ゴムの代わりに薄い防御膜を張った。すべて終わった後、セイロンを苦しめるわけにはいかない。

「……本当にいいんだな?」

 情欲を湛えた翡翠を真正面から見据え、セイロンは蕩けた顔で綺麗に微笑んだ。

「もちろん、です」

 そうして、しっとりと潤んだ唇で、それ以上言葉はいらないとばかりにディンブラの声を封じ込めた。

 まるで心が通い合ったかのような錯覚に陥りながら、肉棒をずぷりと挿入していく。なるべくゆっくり挿れようとしたディンブラだったが、身体の力を抜いたセイロンによってそれは呆気なく破られた。

「な、……っう、セイロン……っ!?」
「あ! あぁ……っ! ふか、ぁい……」

 刺激が強過ぎたのか、セイロンの肩がビクビクと跳ねる。そのまま、恍惚とした表情でディンブラの唇を貪り出す。

 ピチャピチャと甘い味に酔いながら、ふと、ディンブラは腹に感じるねばりとした感触に気づく。挿れられただけでセイロンが達してしまったということを理解したのは、それからすぐのことだった。

 根元までずっぽり咥え込んだ菊門は、くぷくぷと美味しそうに鳴く。ナカの淫靡な感触がねっとりと伝わり、誤魔化すようにディンブラは口付けを深くした。

「は、ぁ……う、ディン、ブラ……さん?」

 動くことなくたっぷりと唇を触れ合わせ、数十秒。呼吸のために隙間を作ると、とろりとした蜜が唇を繋ぎ、ぷつりと途切れた。

 まるで、それが合図だったかのように。

「…………え?」

 性欲に満ちていた瞳に、理性の色が宿った。
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