15 / 15
双子の霹靂
④天雷【終】
しおりを挟む
「ア、アサヒ。何で、佐田くんと一緒にいたの……?しかも、キ……っ、キスまで、して」
ハルヒから睨まれるのはいつも辛い。でも、こうでもしないとハルヒを守れないからさ。
「何でって、付き合ってるからに決まってんじゃん。そこまで見ておいて分かんなかった?」
「っ、どうして……!どうせ、僕が佐田くんと付き合いだしたって知ってたんだよね?この前も、その前だって、何で僕の恋人を奪っていくんだよ……っ!」
泣きそうになっているハルヒは、きっとこれまでの恋人全員のことが好きだったんだろう。どうしようもないクズでダメな男ばかりだったけど。
「ああ、その調子だともう別れ話された感じ?何でも何も、ハルヒより俺の方がよかったからでしょ。あの後の話、聞く?すっごく激しく抱かれてさぁ~」
背中には鞭の痕が残っている。たいした知識もないくせに叩いてくるもんだから、気持ちよさの欠片もなかったっけ。
「っ、聞きたくない……!」
身を翻して出て行ってしまったハルヒは、きっと凛の所に行ったんだと思う。
いつもの流れだ。俺が寝取った後は傷心のハルヒを凛が慰める、そんなルーティーン。
アサヒは凛のことを友達以上に見ていないし、凛だって男同士を気持ち悪いって言ってたからハルヒのことを好きになることもない。
凛のためにと慣らした身体はすっかり汚れきってボロボロだけど、ここまでハルヒを守ってきたんだからちょっとは褒めてもらいたい。あわよくば抱いてほしいけど……、流石にそれは無理か。自分がオナってたのを見られたのが始まりとはいえ、せめて言葉だけでいいから、よくやったって言ってほしいな。
そんな勝手な妄想に浸りながら、揺られていた電車から降りる。だって、珍しく凛の方から連絡が来たんだ。
『オレ達についての話があるから来てくれ』『直接会いたい』って。
こんなこと、初めてだ。いつもは素っ気ない文章ばかりだったから、余計に頬が緩んでしまう。
ハルヒは行き違いで帰ったのかな?凛の慰めはハルヒに効果覿面だから、きっと立ち直ってくれているはずだ。
「(はぁ……、緊張するけど、わざわざ家に呼ぶってことは……、ちょっとは期待してもいいのかな)」
どんどん軽くなっていく足取りで、初めて凛の家を訪れる。雨も風も酷くなってきたけど、俺の心は晴れ晴れとしていた。
確か、鍵は開いているから勝手に入っていいんだっけ。……ああ、ドキドキする。
拗らせ続けてきた初恋を胸に、俺はその扉を開いた。
つんざくような、雷鳴と一緒に。
ハルヒから睨まれるのはいつも辛い。でも、こうでもしないとハルヒを守れないからさ。
「何でって、付き合ってるからに決まってんじゃん。そこまで見ておいて分かんなかった?」
「っ、どうして……!どうせ、僕が佐田くんと付き合いだしたって知ってたんだよね?この前も、その前だって、何で僕の恋人を奪っていくんだよ……っ!」
泣きそうになっているハルヒは、きっとこれまでの恋人全員のことが好きだったんだろう。どうしようもないクズでダメな男ばかりだったけど。
「ああ、その調子だともう別れ話された感じ?何でも何も、ハルヒより俺の方がよかったからでしょ。あの後の話、聞く?すっごく激しく抱かれてさぁ~」
背中には鞭の痕が残っている。たいした知識もないくせに叩いてくるもんだから、気持ちよさの欠片もなかったっけ。
「っ、聞きたくない……!」
身を翻して出て行ってしまったハルヒは、きっと凛の所に行ったんだと思う。
いつもの流れだ。俺が寝取った後は傷心のハルヒを凛が慰める、そんなルーティーン。
アサヒは凛のことを友達以上に見ていないし、凛だって男同士を気持ち悪いって言ってたからハルヒのことを好きになることもない。
凛のためにと慣らした身体はすっかり汚れきってボロボロだけど、ここまでハルヒを守ってきたんだからちょっとは褒めてもらいたい。あわよくば抱いてほしいけど……、流石にそれは無理か。自分がオナってたのを見られたのが始まりとはいえ、せめて言葉だけでいいから、よくやったって言ってほしいな。
そんな勝手な妄想に浸りながら、揺られていた電車から降りる。だって、珍しく凛の方から連絡が来たんだ。
『オレ達についての話があるから来てくれ』『直接会いたい』って。
こんなこと、初めてだ。いつもは素っ気ない文章ばかりだったから、余計に頬が緩んでしまう。
ハルヒは行き違いで帰ったのかな?凛の慰めはハルヒに効果覿面だから、きっと立ち直ってくれているはずだ。
「(はぁ……、緊張するけど、わざわざ家に呼ぶってことは……、ちょっとは期待してもいいのかな)」
どんどん軽くなっていく足取りで、初めて凛の家を訪れる。雨も風も酷くなってきたけど、俺の心は晴れ晴れとしていた。
確か、鍵は開いているから勝手に入っていいんだっけ。……ああ、ドキドキする。
拗らせ続けてきた初恋を胸に、俺はその扉を開いた。
つんざくような、雷鳴と一緒に。
18
お気に入りに追加
49
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる