2 / 15
キューピッド様の言う通り!
②秘中之秘の胸中
しおりを挟む*****
「会うのは久しぶりだよな、風斗。……大丈夫か?随分痩せたみたいだけど」
「大丈夫だよ。久しぶり、天音くん。天音くんは……、すごく大きくなったね」
「まあ、成長期だったからな」
口元を緩めて微笑む天音くんに、昔の面影が重なる。随分背が伸びて、色気が増して、かっこよくなった姿に心臓が煩くなっていく。まあるい耳朶には小さなピアス。ファッションもおしゃれで、モデルみたいだ。
「恋占いなんて必要ない気もするんだけど……」
「いや、……あー、正直に言うけどさ。…………男なんだよ、俺が好きな相手」
「え……」
「だから、占いにも頼っておきたいというか……。風斗の占い、当たるって評判だからさ。どう行動したらプラスになるのか分かったらなって」
天音くんが、男を好きに。
心臓がもっと煩くなっていく。
男同士だからと諦めていた気持ちが、図々しく外側に出ようとする。相手は僕じゃないんだから、自重しないといけないのに。……でも、もしかしたら。毎日取り留めもないメッセージを送ってくれるのは、僕のことが好き……だから?……ああ、駄目だ、期待なんてしたら。きっと天音くんは友達思いなだけで、僕が特別ってわけじゃない。
驕りそうになった心を抑えて、一呼吸。
僕がするべきことは、キューピッド様にお願いして占いをすること。そこに僕の不埒な気持ちを混ぜたら駄目だ。
「……分かった。占ってみるね」
意識を集中して、頭のてっぺん、天井、空の上、宇宙の彼方、どこか遠い空間にいらっしゃるキューピッド様に呼びかける。
ほわりとした感覚が身体に入ってきて……、僕のナカに入ったキューピッド様が、内側からそっと教えてくれた。
『ウラナウマデモナイ、スデニタガイノオモイガツナガッテイル』
それはつまり、両想いってことだ。
キューピッド様がふっと消えていくのを感じながら、僕は笑った。笑えているはずだ。
「天音くん。占いなんて必要ないよ。もう天音くんとその相手の彼は……、お互いに、想いあっているから」
「え……、本当か?」
「本当だよ。僕の占いは百発百中だから」
「そっか……。うん、ありがとう、風斗」
「……告白、頑張ってね」
嬉しそうにはにかむ天音くんは、きっとその相手と幸せになるんだろう。
……いいなぁ。
「まあ、流石にすぐに……ってのはムードも何もないし、準備をしてから告白するよ」
ああ。
凄く久しぶりに……口の中が、苦く感じる。
23
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる