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後編
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「……アモ、ル……?」
「っ!!!?」
自分の名を呼ぶ呆然とした声音に、アモルは薄い涙の膜が張った目を限界まで見開く。
視界に入ってきたのは、困惑と混乱と…情欲を抱いた表情のリーバ。ここまで急いで走ってきたのであろう、制服から露出している首や腕には汗が光っていた。
ぱくぱくと鯉のように口を開閉させ、見てはいけないと思いながらも、ふしだらな格好になっているアモルから目を離せないようだ。
「……あーあ、もう来ちゃったか。ほら、アモルさん。教えた台詞言わなきゃ」
「え……、あ……」
「わ、リーバさんに見られてるだけでカウパーがとろとろ溢れてきてますよー。ほんとえっちですね。……早く言わないと、俺の挿れちゃおうかなぁ」
冗談半分、本気半分。
熱を帯びた吐息と共に意地悪く告げられた言葉は、アモルの全身を更に火照らせる。
「っ!!……りぃ、ば……っ、へ、んな、びやく、で、か、からだが、あつくて……っ、たまらないん……だ、きも……ち、よく、してっ……、たす、けて……っ!」
教えられた台詞以上のことを切れ切れに訴えたアモルに、理性の色は残っておらず。
ガシャン、と勢い良く閉められた扉が、リーバの答えを示唆していた。
「──怪しい呼び出しにノコノコついて行くな、って何度も言ったよな?」
「っ、ひうっ、あ、…んっ」
「オレが来なかったらどうするつもりだったんだよ。呼び出した当人がどこに行ったのかは知らねぇが……、他の野郎に見つかってたらヤられてたぞ、テメェ」
「んん…、っあ…、ひゃっ、ぁ……!」
「……最後までは、しねぇ。少し我慢しろ、アモル」
ゆっくりとマットの上に乗り上げてきたリーバが、至近距離でアモルと見つめ合う。
その間もシャーリの手は休むことなくアモルの性感帯を苛めぬいているため、彼の唇から紡がれるのは言葉にならない喘ぎ声ばかりだ。
思い込みの産物である『媚薬』と、シャーリの所為でこんな痴態を晒しているという事実を、リーバは知る由もない。リーバの目に映るのは、『タチの悪い薬を嗅がされ、不可抗力にも発情してしまっているアモル』である。
棚ぼた展開だと思わなくもないが、ここはアモルを楽にさせるのが先決だ。じわじわと主張し始める下半身を無視して、リーバはアモルの赤く火照った頬に手の平を当てがった。
「……テメェが嫌じゃ、なかったら……だけどよ。キスから始めても、いいか?」
「…………ん、……っ」
頷く代わりにそっと目を閉じたアモルは、程なくして訪れた唇を覆う感触にこぷりと蜜を吐き出した。
リーバとのキスは、シャーリによって無理矢理されたものと夢の中での行為を含めると、これで3回目だ。性急に絡んでくる舌に答えようと、アモルも熱に浮かされた思考のままじゅるりと舌の先端を吸い取った。はむりはむりと優しく食んで、敏感な歯裏を丁寧になぞっていく。すぐにリーバに主導権を奪われ、食べられてしまう程深い侵入を許してしまったが。
とろけるようなキスに酔いしれている間も、胸とアナルはシャーリの手の内だ。天使の便利な力で、きつく閉じていたはずの蕾は既に三本もの指を咥えている。疼く陰茎からはとめどなく蜜が溢れ、マットの一部が色を変えていた。
「……んっ、あ、……っふ、んんっ♡」
「っは……、キスしただけでこんなんなってんのかよ」
「リー、バ……、ちゅー、もっと……♡」
自ら唇を突き出してちゅっちゅと触れ合わせてくるアモルに、リーバの雄は一層元気になった。
落ち着け、と内心で叱咤しつつ、宥めるようなキスをアモルに贈る。このまま時間が許すまで唇を重ねていたいが、主旨が変わっては意味がない。
今の目的は、アモルを楽にさせることなのだから。
ごくりと生唾を飲み込んで、ぽってりぷっくりと尖っている突起へと手を伸ばす。ぴんぴんっ♡と弾いたり、つぷりと押してみたり、感触を楽しむように転がしてみたり。
「あ……っ♡は、ああぁっ♡♡」
「アモルさん、リーバさんにおっぱい触られて気持ちいい?」
「あ……、ん、きもち、ぃ……♡」
「……くそ、あんま煽んじゃねぇよ」
「ひうっ!!」
きゅっ、と先端を痛いくらいに摘まれ、肩がびくりと跳ねる。リーバが触れる所全てが、熱くて気持ちよくて堪らない。
背後から触れてくるシャーリの愛撫もなくなったわけではないため、アモルは二人から与えられる快楽に痺れるしかなかった。現実と夢の境が曖昧になり、自分が何を口走っているのかも分からなくなる。
「ひゃ、んっ♡……りーば、ぁ……っ、すきっ、す、き……っ♡」
──だから、無意識の内にリーバに対して愛の言葉を吐いていたことに、気付くこともなかった。
リーバがかちん、と固まってしまったのは一瞬だった。すぐに煩く鳴り始めた心臓が、これは現実だということを突きつけてくる。
媚薬のせいでおかしくなっているだけだ、深い意味はない、と、浮き立つ思考をおさめようとするも、歓喜の感情は消えてくれない。
そんなリーバの内心を余所に、アモルはひたすら唇を震わせていく。
「すき、……だいす、き、だからぁ……っ♡っん、あぁ、もっと……、さわって、ぇ♡♡」
「……アモル。テメェ、それ、マジ……なのか?夢……じゃねぇよな。……本気で、俺のこと……?」
「ふぁ、ん、すきぃ、リーバ、ほんきで、…す、き……っ♡ずっと前から……、ひぅっ♡……だ、から、触って……♡」
「駄目ですよ、アモルさん。さっきも言ったでしょ、どこを触ってほしいのか詳しく伝えないと」
「んぅ……♡」
「っ!?お、おい、アモル!?」
拘束の力をなくしていたボトムと下着が、足首からするりと抜ける。シャーリの指に先導されるように、自由になった足を左右に割り開けば、勃起したペニスとたぷたぷの玉、指で解されてとろけたアナルが露わになった。リーバの視線が突き刺さるのを感じ、それだけでますます感じてしまう。
こんな破廉恥なこと、普段なら絶対しないのに。『媚薬』のせいでこんなことになっていて、だから仕方ないことなんだ、と。こびり付いた暗示を、更に自ら上乗せしていくアモル。
恥も外聞も今の彼の脳内には存在せず、あるのはただ快感を求める雄の本能だ。
「りー、ば……、ここ、僕……の、えっちな、疼いてる、とこ……っ♡グポグポ、して、イかせて……ぇ♡」
我慢なんて、出来るわけがなかった。
リーバは性急にベルトを外すと、既にそそり立っている肉棒をぶるりと取り出した。痴態を見ているだけで、このままアナルに突き立てて、ナカをぐちゃぐちゃに暴いてしまいたい衝動に駆られてしまう。
だが、最後の理性が挿入だけはするなと訴えてくる。いくら両想いだということが分かったとはいえ、薬で乱れているアモルを犯すほど堕ちてはいない。
「リ……、リーバの、おちん、ちん……いれるの、か……?」
「挿れねぇよ、馬鹿」
「ひゃうっ!?」
「……触る、だけだ」
アモルの身をゆっくり押し倒し、両足を割って間に入り込んだリーバは、滾った肉棒をアモルの恥部へと擦り付け始めた。
後孔の縁をひっかけるようにしながら、会陰や玉、竿に至るまで、ぬちゅぬちゅと。
互いの先走りが混じり合い、擦られる度に快感と水音が走る。
「あっ、あぁっ♡や、んっ!!りぃば、あつ……いっ♡きもちい、ひあぁっ♡♡」
「くっ……!やべ、すぐ……イっちまいそ……」
「っふ、りー、ば……の、ちん、ち……と、ちゅーして、るぅ……っ♡」
「っ、だから煽んなっつの!」
リーバが腰を動かす度に、気持ちいい、と嬉しそうに喘ぐアモル。
そっと身を離して宙に浮いていたシャーリは、満足そうに、それでいて寂しげな表情で二人を見下ろしていた。
自分の役目は、アモルの願いを叶えること。元々両片想いだったこともあり、物理的に後押ししただけで簡単に叶ってしまった。
天使として喜ぶべきことなのだろうが、手放しで祝福することなど出来そうになかった。
単純で、可愛くて、初な癖にスイッチが入ると乱れてしまうアモルのことを、シャーリは。
「……なーんて、想ったところでどうしようもないんですけど」
恋には遠い、燻る想い。ちりちりと胸を焦がすそれは、恋情と呼ぶにはあまりにも不確かなものだった。
「ふぁっ、りーばっ♡……んっ、ちゅー、して、すき、すきぃ……っ♡♡」
「……っは、俺も……、好きだ、アモル……っ」
「え…、んぅっ!」
好き好きと際限なく伝えてくるアモルの言葉ごと、自らの唇で食い尽くすように封じ込める。アモルが驚いたのは一瞬で、リーバの熱を招き入れるべく唇を薄く開いた。
足を背中に絡め、溶け合うかのように密着しながら舌を絡め合う二人。
互いのことしか視界に入っていないであろう彼等に薄い笑みを落とし、最後のお手伝いとばかりに、リーバの先端がアモルの蕾を捉えたところで背中を押してやった。
刹那、双方から響く快楽の声をBGMに、仕事を終えた天使は音もなくその場から姿を消した。
言葉にできない想いに、後ろ髪を引かれながら。
*****
アモルとリーバが想いを伝えあい、恋人同士になったであろうあの日から1ヶ月が過ぎた。
あの倉庫での睦み合いの後、彼等がどのような道を歩んでいるのかまでは分からない。夢ではなく、ちゃんとした現実世界で告白して、あんな情事を行ったのだから、これで恋人になってなければまずおかしい。
「……勝手に挿入させちゃったから、アモルさん怒っただろーなぁ……」
容易に想像がついてしまうアモルの姿が浮かび、シャーリは軽く自嘲する。願いを叶えた人間のことなんて、これまですぐ忘れてきていたというのに。
アモルのことだけは、どうしても頭から離れてくれない。これはそう、きっと、折角見つけた面白いオモチャを奪われてしまったような感覚だ。
だが、アモル一人のことをいつまでも想っているわけにはいかない。シャーリへと舞い込んでくる仕事が途切れるわけではないのだ。
今日もまた、人間界からの喚び出しを受けたシャーリは、出現した際の文句を考えながら羽をはばたかせる。さっさと終わらせて、有意義なことに時間を使おう。
そんな天使らしからぬ考えを持ったまま、シャーリはふわりと下界に顕現した。
「あなたの望みは何ですか?どんな願いでもずばっと叶えちゃいますよー」
へら、と人好きのする微笑みと共にそう告げたシャーリだったが、次の瞬間には表情を造ることを忘れて呆けてしまった。
目の前にいる人間の手から滑り落ちる、おまじないの本。それはアモルが持っていた物と同じものであった。
だが、それ以上にシャーリの意識を奪ったのは、その人間自身。
赤髪に、鋭い眼光の金色の瞳。大口を開けて驚いているのは、アモルの恋人であるリーバだった。
そんな彼の願いを読心したシャーリは、心中でうっそりと笑みを深める。
「……なるほど。触れさせてくれなくなったアモルさんといちゃいちゃえっちしたいんですね、リーバさん」
「っ……!?はぁ!?べ、つにンなこと考えてねぇ……っつーか、どうして俺とあいつの名前……!くそ、テメェ、何なんだ……!?」
あからさまな言葉で図星をさされて慌てるリーバを楽しげに眺め、シャーリは至極楽しそうな声音で言い放った。
「あなたの願いを叶えるためにやって来た、天使ですよ」
恥ずかしがり屋なアモルさんを、たっぷり愛でてあげましょう?
【後編:めぐりめぐる天使のおしごと】
「っ!!!?」
自分の名を呼ぶ呆然とした声音に、アモルは薄い涙の膜が張った目を限界まで見開く。
視界に入ってきたのは、困惑と混乱と…情欲を抱いた表情のリーバ。ここまで急いで走ってきたのであろう、制服から露出している首や腕には汗が光っていた。
ぱくぱくと鯉のように口を開閉させ、見てはいけないと思いながらも、ふしだらな格好になっているアモルから目を離せないようだ。
「……あーあ、もう来ちゃったか。ほら、アモルさん。教えた台詞言わなきゃ」
「え……、あ……」
「わ、リーバさんに見られてるだけでカウパーがとろとろ溢れてきてますよー。ほんとえっちですね。……早く言わないと、俺の挿れちゃおうかなぁ」
冗談半分、本気半分。
熱を帯びた吐息と共に意地悪く告げられた言葉は、アモルの全身を更に火照らせる。
「っ!!……りぃ、ば……っ、へ、んな、びやく、で、か、からだが、あつくて……っ、たまらないん……だ、きも……ち、よく、してっ……、たす、けて……っ!」
教えられた台詞以上のことを切れ切れに訴えたアモルに、理性の色は残っておらず。
ガシャン、と勢い良く閉められた扉が、リーバの答えを示唆していた。
「──怪しい呼び出しにノコノコついて行くな、って何度も言ったよな?」
「っ、ひうっ、あ、…んっ」
「オレが来なかったらどうするつもりだったんだよ。呼び出した当人がどこに行ったのかは知らねぇが……、他の野郎に見つかってたらヤられてたぞ、テメェ」
「んん…、っあ…、ひゃっ、ぁ……!」
「……最後までは、しねぇ。少し我慢しろ、アモル」
ゆっくりとマットの上に乗り上げてきたリーバが、至近距離でアモルと見つめ合う。
その間もシャーリの手は休むことなくアモルの性感帯を苛めぬいているため、彼の唇から紡がれるのは言葉にならない喘ぎ声ばかりだ。
思い込みの産物である『媚薬』と、シャーリの所為でこんな痴態を晒しているという事実を、リーバは知る由もない。リーバの目に映るのは、『タチの悪い薬を嗅がされ、不可抗力にも発情してしまっているアモル』である。
棚ぼた展開だと思わなくもないが、ここはアモルを楽にさせるのが先決だ。じわじわと主張し始める下半身を無視して、リーバはアモルの赤く火照った頬に手の平を当てがった。
「……テメェが嫌じゃ、なかったら……だけどよ。キスから始めても、いいか?」
「…………ん、……っ」
頷く代わりにそっと目を閉じたアモルは、程なくして訪れた唇を覆う感触にこぷりと蜜を吐き出した。
リーバとのキスは、シャーリによって無理矢理されたものと夢の中での行為を含めると、これで3回目だ。性急に絡んでくる舌に答えようと、アモルも熱に浮かされた思考のままじゅるりと舌の先端を吸い取った。はむりはむりと優しく食んで、敏感な歯裏を丁寧になぞっていく。すぐにリーバに主導権を奪われ、食べられてしまう程深い侵入を許してしまったが。
とろけるようなキスに酔いしれている間も、胸とアナルはシャーリの手の内だ。天使の便利な力で、きつく閉じていたはずの蕾は既に三本もの指を咥えている。疼く陰茎からはとめどなく蜜が溢れ、マットの一部が色を変えていた。
「……んっ、あ、……っふ、んんっ♡」
「っは……、キスしただけでこんなんなってんのかよ」
「リー、バ……、ちゅー、もっと……♡」
自ら唇を突き出してちゅっちゅと触れ合わせてくるアモルに、リーバの雄は一層元気になった。
落ち着け、と内心で叱咤しつつ、宥めるようなキスをアモルに贈る。このまま時間が許すまで唇を重ねていたいが、主旨が変わっては意味がない。
今の目的は、アモルを楽にさせることなのだから。
ごくりと生唾を飲み込んで、ぽってりぷっくりと尖っている突起へと手を伸ばす。ぴんぴんっ♡と弾いたり、つぷりと押してみたり、感触を楽しむように転がしてみたり。
「あ……っ♡は、ああぁっ♡♡」
「アモルさん、リーバさんにおっぱい触られて気持ちいい?」
「あ……、ん、きもち、ぃ……♡」
「……くそ、あんま煽んじゃねぇよ」
「ひうっ!!」
きゅっ、と先端を痛いくらいに摘まれ、肩がびくりと跳ねる。リーバが触れる所全てが、熱くて気持ちよくて堪らない。
背後から触れてくるシャーリの愛撫もなくなったわけではないため、アモルは二人から与えられる快楽に痺れるしかなかった。現実と夢の境が曖昧になり、自分が何を口走っているのかも分からなくなる。
「ひゃ、んっ♡……りーば、ぁ……っ、すきっ、す、き……っ♡」
──だから、無意識の内にリーバに対して愛の言葉を吐いていたことに、気付くこともなかった。
リーバがかちん、と固まってしまったのは一瞬だった。すぐに煩く鳴り始めた心臓が、これは現実だということを突きつけてくる。
媚薬のせいでおかしくなっているだけだ、深い意味はない、と、浮き立つ思考をおさめようとするも、歓喜の感情は消えてくれない。
そんなリーバの内心を余所に、アモルはひたすら唇を震わせていく。
「すき、……だいす、き、だからぁ……っ♡っん、あぁ、もっと……、さわって、ぇ♡♡」
「……アモル。テメェ、それ、マジ……なのか?夢……じゃねぇよな。……本気で、俺のこと……?」
「ふぁ、ん、すきぃ、リーバ、ほんきで、…す、き……っ♡ずっと前から……、ひぅっ♡……だ、から、触って……♡」
「駄目ですよ、アモルさん。さっきも言ったでしょ、どこを触ってほしいのか詳しく伝えないと」
「んぅ……♡」
「っ!?お、おい、アモル!?」
拘束の力をなくしていたボトムと下着が、足首からするりと抜ける。シャーリの指に先導されるように、自由になった足を左右に割り開けば、勃起したペニスとたぷたぷの玉、指で解されてとろけたアナルが露わになった。リーバの視線が突き刺さるのを感じ、それだけでますます感じてしまう。
こんな破廉恥なこと、普段なら絶対しないのに。『媚薬』のせいでこんなことになっていて、だから仕方ないことなんだ、と。こびり付いた暗示を、更に自ら上乗せしていくアモル。
恥も外聞も今の彼の脳内には存在せず、あるのはただ快感を求める雄の本能だ。
「りー、ば……、ここ、僕……の、えっちな、疼いてる、とこ……っ♡グポグポ、して、イかせて……ぇ♡」
我慢なんて、出来るわけがなかった。
リーバは性急にベルトを外すと、既にそそり立っている肉棒をぶるりと取り出した。痴態を見ているだけで、このままアナルに突き立てて、ナカをぐちゃぐちゃに暴いてしまいたい衝動に駆られてしまう。
だが、最後の理性が挿入だけはするなと訴えてくる。いくら両想いだということが分かったとはいえ、薬で乱れているアモルを犯すほど堕ちてはいない。
「リ……、リーバの、おちん、ちん……いれるの、か……?」
「挿れねぇよ、馬鹿」
「ひゃうっ!?」
「……触る、だけだ」
アモルの身をゆっくり押し倒し、両足を割って間に入り込んだリーバは、滾った肉棒をアモルの恥部へと擦り付け始めた。
後孔の縁をひっかけるようにしながら、会陰や玉、竿に至るまで、ぬちゅぬちゅと。
互いの先走りが混じり合い、擦られる度に快感と水音が走る。
「あっ、あぁっ♡や、んっ!!りぃば、あつ……いっ♡きもちい、ひあぁっ♡♡」
「くっ……!やべ、すぐ……イっちまいそ……」
「っふ、りー、ば……の、ちん、ち……と、ちゅーして、るぅ……っ♡」
「っ、だから煽んなっつの!」
リーバが腰を動かす度に、気持ちいい、と嬉しそうに喘ぐアモル。
そっと身を離して宙に浮いていたシャーリは、満足そうに、それでいて寂しげな表情で二人を見下ろしていた。
自分の役目は、アモルの願いを叶えること。元々両片想いだったこともあり、物理的に後押ししただけで簡単に叶ってしまった。
天使として喜ぶべきことなのだろうが、手放しで祝福することなど出来そうになかった。
単純で、可愛くて、初な癖にスイッチが入ると乱れてしまうアモルのことを、シャーリは。
「……なーんて、想ったところでどうしようもないんですけど」
恋には遠い、燻る想い。ちりちりと胸を焦がすそれは、恋情と呼ぶにはあまりにも不確かなものだった。
「ふぁっ、りーばっ♡……んっ、ちゅー、して、すき、すきぃ……っ♡♡」
「……っは、俺も……、好きだ、アモル……っ」
「え…、んぅっ!」
好き好きと際限なく伝えてくるアモルの言葉ごと、自らの唇で食い尽くすように封じ込める。アモルが驚いたのは一瞬で、リーバの熱を招き入れるべく唇を薄く開いた。
足を背中に絡め、溶け合うかのように密着しながら舌を絡め合う二人。
互いのことしか視界に入っていないであろう彼等に薄い笑みを落とし、最後のお手伝いとばかりに、リーバの先端がアモルの蕾を捉えたところで背中を押してやった。
刹那、双方から響く快楽の声をBGMに、仕事を終えた天使は音もなくその場から姿を消した。
言葉にできない想いに、後ろ髪を引かれながら。
*****
アモルとリーバが想いを伝えあい、恋人同士になったであろうあの日から1ヶ月が過ぎた。
あの倉庫での睦み合いの後、彼等がどのような道を歩んでいるのかまでは分からない。夢ではなく、ちゃんとした現実世界で告白して、あんな情事を行ったのだから、これで恋人になってなければまずおかしい。
「……勝手に挿入させちゃったから、アモルさん怒っただろーなぁ……」
容易に想像がついてしまうアモルの姿が浮かび、シャーリは軽く自嘲する。願いを叶えた人間のことなんて、これまですぐ忘れてきていたというのに。
アモルのことだけは、どうしても頭から離れてくれない。これはそう、きっと、折角見つけた面白いオモチャを奪われてしまったような感覚だ。
だが、アモル一人のことをいつまでも想っているわけにはいかない。シャーリへと舞い込んでくる仕事が途切れるわけではないのだ。
今日もまた、人間界からの喚び出しを受けたシャーリは、出現した際の文句を考えながら羽をはばたかせる。さっさと終わらせて、有意義なことに時間を使おう。
そんな天使らしからぬ考えを持ったまま、シャーリはふわりと下界に顕現した。
「あなたの望みは何ですか?どんな願いでもずばっと叶えちゃいますよー」
へら、と人好きのする微笑みと共にそう告げたシャーリだったが、次の瞬間には表情を造ることを忘れて呆けてしまった。
目の前にいる人間の手から滑り落ちる、おまじないの本。それはアモルが持っていた物と同じものであった。
だが、それ以上にシャーリの意識を奪ったのは、その人間自身。
赤髪に、鋭い眼光の金色の瞳。大口を開けて驚いているのは、アモルの恋人であるリーバだった。
そんな彼の願いを読心したシャーリは、心中でうっそりと笑みを深める。
「……なるほど。触れさせてくれなくなったアモルさんといちゃいちゃえっちしたいんですね、リーバさん」
「っ……!?はぁ!?べ、つにンなこと考えてねぇ……っつーか、どうして俺とあいつの名前……!くそ、テメェ、何なんだ……!?」
あからさまな言葉で図星をさされて慌てるリーバを楽しげに眺め、シャーリは至極楽しそうな声音で言い放った。
「あなたの願いを叶えるためにやって来た、天使ですよ」
恥ずかしがり屋なアモルさんを、たっぷり愛でてあげましょう?
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