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ラブハメパークに初来店♡
そのご
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「うう、申し訳ないことしちゃったなぁ……」
次の日、僕は洗濯したチャイナ服と菓子折りを手にしてラブハメパークを訪れていた。
やっぱりこんな良い生地と縫製の服をもらえないし、結局昨日擬似デートのお金を払えずじまいだったから、お詫びの気持ちをこめて。
朝のパークはそこまで多くなくて、人影もまばらだ。……あ。あの人、昨日案内をしていた人だ。ん、あれ?こっちに向かって来てる……?
「私、主に案内業務をしておりますツキヤと申します。お客様。失礼ですが、昨日スタッフのキツネと一緒にいらっしゃった方ですよね?」
「え、あ、は、はい。そうですけど」
確かに一瞬目が合った気はしたけど、あんな短時間で無個性な僕のことを覚えていてくれただなんてすごい。すらりとした美人さんで首元にたくさんのキスマークや歯形がついているから、彼氏さんから愛されてるんだろうな。あ、いや、そんなプライベートを漁るようなことしてないで、きーくんのことを考えなきゃ。
「あの、昨日はきーくん……、キツネさんに疑似デートをしていただいたんです。それで、その……、服を汚してしまったしお金も払っていなかったのでお詫びをと思いまして。あっ、ホームページには擬似デートについての詳細が載っていなくて……、おいくらなのか分かりますか?」
そう尋ねると、ツキヤさんは何故か渋い顔になってしまった。や、やっぱり後で払うとはいっても無銭はまずかったかな。
「お客様。当パークに疑似デートという制度はございません」
「えっ?」
「それと似たようなもので、二人きりのパーク巡りというものがありますが、こちらのキャストにもキツネは入っていません」
「へ……。えっ、あの、それってどういう……」
「申し訳ありません、お客様。昨日の時点でお声をかけるべきでしたが……、キツネにはきつく教育を施しておきます。お詫びの品はキツネには勿体ない物ですので、お渡しする必要はありません」
「あ、あのっ、待ってください!僕、別に悪いことは何もされていませんし。寧ろ、その、とてもよくしてもらって……、すごく楽しかったんです。それに、疑似デートのことを呟かれたのはキツネさんですが、それを望んだのは僕なんです。なので、スタッフさんをサボらせることになってしまった僕にも非があるんです……っ」
「お客様」
ツキヤさんはどこか虚を突かれたような表情になった後、柔らかく双眸を緩めた。
「では、そちらはお客様の手からキツネに渡してあげてください」
「は、はいっ」
「ですが、監視のために一緒に参ります」
にこりと微笑んだツキヤさんと一緒に、昨日のお店に向かう。姿は見えないけど、きーくんの聞き心地のいい声が聞こえてきた。どうやら朝早くから接客をしているみたいだ。
次の日、僕は洗濯したチャイナ服と菓子折りを手にしてラブハメパークを訪れていた。
やっぱりこんな良い生地と縫製の服をもらえないし、結局昨日擬似デートのお金を払えずじまいだったから、お詫びの気持ちをこめて。
朝のパークはそこまで多くなくて、人影もまばらだ。……あ。あの人、昨日案内をしていた人だ。ん、あれ?こっちに向かって来てる……?
「私、主に案内業務をしておりますツキヤと申します。お客様。失礼ですが、昨日スタッフのキツネと一緒にいらっしゃった方ですよね?」
「え、あ、は、はい。そうですけど」
確かに一瞬目が合った気はしたけど、あんな短時間で無個性な僕のことを覚えていてくれただなんてすごい。すらりとした美人さんで首元にたくさんのキスマークや歯形がついているから、彼氏さんから愛されてるんだろうな。あ、いや、そんなプライベートを漁るようなことしてないで、きーくんのことを考えなきゃ。
「あの、昨日はきーくん……、キツネさんに疑似デートをしていただいたんです。それで、その……、服を汚してしまったしお金も払っていなかったのでお詫びをと思いまして。あっ、ホームページには擬似デートについての詳細が載っていなくて……、おいくらなのか分かりますか?」
そう尋ねると、ツキヤさんは何故か渋い顔になってしまった。や、やっぱり後で払うとはいっても無銭はまずかったかな。
「お客様。当パークに疑似デートという制度はございません」
「えっ?」
「それと似たようなもので、二人きりのパーク巡りというものがありますが、こちらのキャストにもキツネは入っていません」
「へ……。えっ、あの、それってどういう……」
「申し訳ありません、お客様。昨日の時点でお声をかけるべきでしたが……、キツネにはきつく教育を施しておきます。お詫びの品はキツネには勿体ない物ですので、お渡しする必要はありません」
「あ、あのっ、待ってください!僕、別に悪いことは何もされていませんし。寧ろ、その、とてもよくしてもらって……、すごく楽しかったんです。それに、疑似デートのことを呟かれたのはキツネさんですが、それを望んだのは僕なんです。なので、スタッフさんをサボらせることになってしまった僕にも非があるんです……っ」
「お客様」
ツキヤさんはどこか虚を突かれたような表情になった後、柔らかく双眸を緩めた。
「では、そちらはお客様の手からキツネに渡してあげてください」
「は、はいっ」
「ですが、監視のために一緒に参ります」
にこりと微笑んだツキヤさんと一緒に、昨日のお店に向かう。姿は見えないけど、きーくんの聞き心地のいい声が聞こえてきた。どうやら朝早くから接客をしているみたいだ。
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