火澄篤志の災難な夏祭り

桜羽根ねね

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④神輿

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 わたあめの出店では、身体中にわたあめを付けられ、客に好きなように舐めさせられた。
 割り箸で性器や乳首をつつかれる度に喘ぎ声が漏れ、危うく理性が切れた客に襲われそうになった。

 ヨーヨー釣りの出店は、乳首や陰茎からヨーヨーをぶら下げられ、客に口で取られるという形式だった。だが、ほとんどの客がヨーヨーを無視して火澄の性感帯を弄りぬいていた。

 お面の出店は、顔の代わりに尻を飾られた。多数の男達に混じって、四つん這いで尻を向けていると、客から品定めをするかのように揉まれ、舐められ、指を挿れられた。喘ぐのを必死に堪えていると、その表情に盛ったお面屋の店主からキスされそうになった。

 スーパーボール掬いの出店では、器の代わりをさせられた。アナルにスーパーボールを詰め込まれ、チョコバナナの時には回避出来た産卵を、多数の目がある中やらされた。

 かき氷の出店では、最初は何事もなく横に座っているだけでよかったのだが、客が特別な練乳と注文した時だけシロップの上に射精しなければならなかった。
 結局人前でオナニーをしてしまい、少しずつ火澄の思考が麻痺していく。

 フランクフルトの出店では、デモンストレーションをやらされた。
 太いフランクフルトを口に突っ込まれ満遍なくしゃぶらされた後、アナルに突っ込まれ自分で動かすよう言われた。その間、店の宣伝をしろという命令付きで。
 オナニーだけでなくアナニーまで大衆の前でヤってしまい、恥ずかしいはずなのに次第に快感を覚えていった。

 りんご飴の出店では、ちんぐり返しの状態でりんご飴を置いておく場所代わりにさせられた。アナルに小ぶりなりんご飴を挿れられ、客に引き抜かれては勃起したペニスから蜜を垂らしていた。
 顔にぱたぱたと落ちる先走りは、物好きな客がその都度舐めとっていった。

 その他にも色んな出店を回り、様々なことをやらされた。

 次第に裸でいることに抵抗感がなくなり、命令されることに素直に従うようになった火澄を見つめ、風磨は悠然と微笑む。

「……そろそろ、締めに入ろうか」
「……しめ?」
「そう。この祭りの目玉だよ。……ねえ、篤志。篤志さえよかったら俺と参加してほしいんだ」
「……今度は、何すんだよ」
「それはやってからのお楽しみ」
「ん……、変なことだったら、やだ……」
「でも、篤志。今日ずっとアナルを弄られてたけど、満足出来てないでしょ」
「っ……」
「奥が疼くからたくさん突いてほしい……って顔に書いてあるよ」
「そんっ……な、こと、ない……!」
「嘘ついても無駄だよ。……ね、篤志。俺と一緒に気持ちよくなろう?」

 ギラギラと獣の瞳で見つめてくる風磨の提案に、火澄は何故かノーと言うことが出来なかった。

 後ろが疼いているのは、認めたくないが確かに事実だからだ。それに、風磨のことをどこか嫌いになりきれない。客に襲われかけた時に助けてくれたのは風磨だし、無理矢理キスしてこようとしたお面屋店主を沈めてくれたのも風磨だ。

「…………今回だけ、だ」

 か細い声でそう答えると、風磨は嬉しそうに「ありがと」と囁いて火澄の首筋に口づけた。



 ──祭りの終わり。

 屈強な男達が密集して神輿を担ぎ、出店の間を練り歩く。
その上には絢爛豪華な装い……はなく、二人の男が一糸纏わぬ姿で交わっていた。

「あっ、ひぅん!そこ、ばっか、やぁ……っ♡」
「っく……、篤志……痛いのかい?」
「ちがっ、っふぅ……♡きもち、いっ♡きもち、よくて……っヘンになっちゃ……あっ、ああああああぁ……!!!」

 火澄を仰向けに寝かせ、がつがつと奥を突いていた風磨は、腰を緩めることなく更に強く擦るようにドチュッと刺激する。

 人々の目線の高さで繋がり合う彼等に触発され、周りの客や店主達も盛り出す。

「ふ……っ、この神輿の上で繋がった二人は、永遠に離れないって言い伝えがあるんだよ」
「っん♡神輿の上……とか、バチ当たり……、んぐっ♡あ、あひ……♡」
「そうだね。……さあ、もっと皆に見せつけてやろうか」
「え……?」

 一旦性器を抜いて火澄の上体を起こすと、お互い支え合うように立ち上がる。

「後ろ向いて……そう、そのまま俺のを咥えて……、うん、じょうず……」
「ふぐっ♡は、あ……っ、おっ、き……♡」

 場所を確認しながら、ゆっくりと膝を曲げて風磨のペニスを呑み込んでいく。
 ──と、不意に風磨が火澄の腰を掴み、勢いよく自身を打ちつけた。

「ふゃっ!?あっ、やあああああぁっっ♡♡♡」

 その衝撃で瞼の裏がちかちかと瞬き、全身がビリビリと痺れ、濡れそぼった先端からビュルルッと白濁が飛び出した。

「あ、あ……♡きも、ち……♡んぅ、や……、ば、かぁ…………ぁひっ!!?」

 トコロテンでイってしまった敏感ペニスを遠慮なく握り、亀頭を執拗に弄り出す風磨。
 あまりにも強すぎる刺激に、がくがくと脚が震え、アナルをきゅうっと締め付けてしまう。

「本当に……っ、本当に可愛いよ。俺の篤志……♡」
「だめっ、だめ……だっ、あ、アッ、やだ、なんかくる……っ、ひ、ああぁ……!!」

 射精とはまた違った感覚が、火澄を襲う。
 手の動きも腰の動きも緩めないまま、風磨は欲をたっぷり含んだ声音で息を吹くように囁いた。

「……篤志、俺の名前、呼んで?一緒にイこう」
「んあっ♡う、あ、ふ、うま……っ♡でるっ、ちんこ、も……だめ、ひ、~~~~っっ♡♡♡」

 その瞬間、プシャアアァッという音と共に、火澄の性器から精液とは違う液体が噴出した。
 潮という概念を知らない火澄は、お漏らしをしてしまったのかと羞恥で赤くなり、風磨に見られたくない一心で身をよじり──、

 ──ガタンッ

「え」
「篤志っ!?」

 カーブで神輿が傾いた瞬間というのも相まって火澄のバランスが崩れ、宙に放り出されてしまった。ズプンッ、と陰茎が抜けていく刺激すら気持ちいい。
 風磨が手を伸ばすも、掠ることすら出来ず。

 火澄は次に襲いくるであろう衝撃を覚悟して、ぎゅっと目を瞑った。










──どすんっ









「──────ったぁ……!腕めっちゃ打った……、って、……あれ、ここは…………」

 強かに打った腕をさすりつつ、むくりと起き上がる。

 カーテンの隙間から日差しが入り込む、至って普通の自分の部屋。大学寮の一室だ。

 状況をなんとか飲み込めた火澄の脳内で、今までの出来事がフラッシュバックする。

 途端、顔どころか全身が発火したように熱くなった。

 つまり、今までのあれは、全部自分の夢だということで。

「う、うわああああ……!!嘘だろ!?ふ、風磨さんの顔まともに見れねぇ……!え、嘘、俺こんな欲求不満だったのか……!?」

 夢に出てきた登場人物は、モブ以外は大学の先輩同輩後輩だ。それも一つ上の風磨に関しては、火澄の想い人でもある。夢の中では全く認識出来なかったが、分かってしまうと羞恥が溢れて止まらない。

 火照った頬を押さえながらと自己嫌悪していると、不意に扉がノックされ、返事をする間もなく開け放たれる。

「篤志君!すごい音がしたけど大丈夫……か、い……」
「ふっ、ふふふ風磨、さん!ち、ちょっとベッドから落ちちゃっただけでっ。大丈夫だし!」

 夢の中で激しくまぐわっていた風磨の顔をまともに見ることが出来ず、どもりながらも自らの無事を伝える。
 隣部屋ということもあり、落下音が聞こえてしまっていたのだろう。心配して駆けつけてきてくれたことに、心臓が甘く鼓動する。

「篤志君……」
「な、なんだよ?俺ならもう大丈夫だって……」
「いや、そうじゃなくて。…………それ」
「え?」

 若干顔を赤らめながら風磨が指差した先は、火澄……の下半身だ。そうっと視線を下にずらすと。
 寝間着代わりに穿いているグレーのハーフパンツの股間部分が、ぐっしょりと濡れて色を濃く変えているのが目に入った。ねちょり、と嫌な感覚が伝わってくる。

「あ…………、え……、……ぁ……?」

 思考が追いつかず、言葉にならない母音が口から溢れる。
 夢精なんてほぼほぼした経験がない上に、こんなに大量射精してしまったのも初めてで、、それを好いている相手に見られるなどもってのほかで。

 ……一拍遅れで、どかんと羞恥心が襲ってきた。

 湿ってグチュリとした感覚がするのもお構いなしに、ベッドに上がると転がるように布団に潜り込む。

「う……うううぅー…………、さ、さいあく……」
「篤志君、その……お節介かもだけど、早めに洗濯した方がいいと思うよ」
「わ、分かってるっつの……!風磨さんがどっか行ったらやるからっ」
「……了解。……ああでも、一つだけ聞いていい?」
「………………なに」

 篤志のベッドまで歩を進めてきた風磨が、ゆっくりと布団を捲る。
 顔を見られたくないのか鼻のところで布団を死守してそっぽを向く火澄を、ぐいっと覗き込む。

 こんな時でもきゅんとときめく心臓を叱咤しながらじろりと睨むと、風磨は端正な顔を意地悪そうに歪め、



「俺のことをまともに見れない、欲求不満だった……って、どういうことか詳しく教えてくれるよな。篤志」



 布団の上から、火澄の夢の跡を緩やかに撫であげた。





【火澄篤志の災難な夏祭り】

(祭りのあとの大一番)
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