火澄篤志の災難な夏祭り

桜羽根ねね

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②千本くじ

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 濡れたタオルで顔や身体を拭き取られた後、風磨から言葉通りとある箇所を洗浄され、火澄の精神は疲弊しきっていた。

「篤志、次はあそこの出店だよ」

 いつの間にか呼び捨てで話しかけてくる風磨の声を無視したいと思うものの、未だに拘束しているひょっとこ男達の手によって無理矢理顔を向けさせられる。

「…………くじ引き……」
「そう、くじ引き。篤志にはまた景品になってもらうけど、さっきみたいに汚れることはないから大丈夫だよ」
「全然大丈夫じゃねぇよ……!」

 その出店では、紐を引いてその先に結ばれている商品を貰える、千本くじというくじ引きが行われていた。
 だが、紐の先にあるのはお菓子や子供のおもちゃといった可愛らしい物ではない。そこには、色とりどり、形も様々、サイズも色々な大人の玩具がぷらぷらとぶら下がっていた。

 その内の一つを、火澄と同じくアルバイトであろう裸に剥かれた青年が、普通は排泄するべき穴に咥えこんでいる。そんな倒錯的な光景に火澄は眩暈を覚えた。

「あれ、もう交代の時間だっけ。片付けっからちょっと待っててなー」

 くじ引きの屋台を担当しているらしい男は、先程の強面な刺青男とは違いどこか軽い印象を受けた。慣れた手付きで、青年の後孔から何連にも連なったアナルパールを取り出す。

「うぁっ……、やだぁ、抜かないで……♡おしり、あついよぉ……っ♡」
「あれ、そこまで強いやつ使ってねーんだけどな……。風磨さん、この人休憩入らせていいっすか?」
「そうだね。見せ物小屋でゆっくり休んでもらおうか」

 風磨が目で促すと、ひょっとこ男の一人がぐずぐずになっている青年を抱え上げ、その場から立ち去っていった。
 見せ物小屋というものがどんなものかは分からないが、語感からして良いものではないだろうということは分かる。

 ……そして、これから自分の身に起こることも。
 決して良いなどと言えることがない、と、十二分に理解させられた。

「それじゃあ草重くさしげ君、後はよろしく頼んだよ」
「了解っ」

 草重と呼ばれた男に引き渡され、ふと、逃げるなら今なんじゃという考えがよぎる。

 だが、火澄が行動に移るよりも早く、

「……逃げようなんて考えない方がいーぜ?一度書面で交わされた契約は絶対だ。ここの奴等みんな血気盛んだからさ、前に逃走者が出た時は鬼ごっこと称して客に捕まえさせて輪姦してたからな~。最後は全裸にされて壁に嵌らされて、便所代わりになったりしてたっけ。そうなりたくなかったら、今日一日素直に従っておくこと。理解できた?」
「…………は、……なん、だよ、それ……っ」
「ははっ、上手い話には裏があるっていうだろ。大金貰えるんだからそれ相応の仕事をしてもらわないと、な?」

 草重に小声で忠告され、逆方向に伸ばしかけた足をそっと戻した。

 促されるまま、先程まで青年がいた場所に座らされる火澄。草重はぶら下がっている玩具の中から比較的小さいローターを選んで紐から外した。

「ハジメテみたいだし、アナルパールやバイブはきついだろーから、これにしておこっか。挿れっから四つん這いになって」
「う…………」
「だいじょーぶ、痛くなんないようにローションもたっぷり塗るからさ」
「そういう問題じゃねぇよ……!」
「ほら、早くしないと待ってる客がキレて襲ってきちゃうかもしんねーよ?」
「……!」

 さっきの輪姦の話もあり、火澄は羞恥や怒りに震えながらも草重の命令に従って恐る恐る四つん這いになった。
 位置を調整され、客の方に尻を向けるような体勢になり、かぁっと顔が熱くなる。

 ずりっ、とパンツを下ろされ思わず悲鳴をあげそうになったのをぐっと堪える。
 先程散々洗浄された蕾はしっとりと解れ、草重がつうっと指でなぞると切なげにきゅんと窄まった。

「……っは、う…………」
「ここ、風磨さんに洗われた?」
「う……るさい……っ」
「そんなにきつくねーから、あんま時間かける必要もなさそーだな」
「ひっ……!?」

 冷たくとろりとした物がアナルに落とされたかと思うと、ずぷりと草重の指が侵入してきて火澄のナカをいいように弄り始めた。
 じゅぷじゅぷと蠢く異物感が気持ち悪く、必死に唇を噛みしめて声を殺す。ローションのおかげか痛みはあまり感じないが、とにかく気持ち悪い。

「っく……、ふぁ、……う、ぁ……んっ……」
「我慢しないで声出してもいーんだぜ?」
「ひぁっ!や、やめっ……いた……ぁ……!」

 二本、三本と指を増やされていくにつれ、痛みを感じると同時に言いようもない感覚が火澄を襲った。

「(うそ、だろ……っ!?痛いのに、気持ち悪いのに、尻が……疼く……っ)」

 もっと、奥を暴いてほしい。

 そんなことを思ってしまい、慌てて自分を叱咤する。
 きっとこれはローションに何か仕込まれているだけ、淫乱になったわけじゃない、流されるな、と何度も言い聞かせていると、唐突に草重の指が引き抜かれた。
 勢いよく腸内を擦られ、自分の声とは思えない甘い声が零れる。

「ひゃんっ♡」
「…………あっちゃんって、身体は大きいのに一々初な反応してくるからすっげー可愛い」
「……っはぁ、は……かわいく、ねぇよ……。つーか、」

 勝手にあだ名つけるな、と言いかけた火澄の口からは、

「ふ、やああぁ……っ♡♡」

言葉の代わりに嬌声が飛び出した。

「や、ん……っ、いきな……り、ふ、んぁっ……!」

 小ぶりとはいってもそれなりの質量を持つローターが火澄のアナルにつぷりと挿入された上に、前立腺を押し潰すようにしてレベルマックスで振動を始めたのだ。

 指とはまた違った刺激にがくがくと足が震える。上半身は崩れ、腰を高く上げるような姿勢になるも、今の火澄は襲い来る快感に耐えることがやっとで自分の状況を気にかける余裕などなかった。

 異物感が消えることはなく、快楽がじわじわと火澄を蝕んでいく。触られていない性器も鎌首を擡げ、ぽたぽたと先走りを零していた。

 草重はローターのコードに紐を結び直し、客の方へと向き直る。

「お待たせしましたー!只今より千本くじ再開でっす。お一人様一回限り500円!秘密の孔からローターを抜き取ったお客様には一発ハメる権利もプレゼント!さあさあ自分の運を信じてレッツトライ!」

 草重の口上に、火澄の背筋が凍る。

 一発ハメるというのは何なんだ。もし、今自分に挿れられているローターが引かれたら。自分は、見ず知らずの男に……。

「ぃ……やだ、んぅ、ぜってぇ、やだ……!ふ、んぁ……っ!」
「あっちゃん、嫌とか言いながらココすっげーひくひくしてるぜ?」
「んゃっ!!さ、わんなぁ……っ♡」
「あ、別にオナニー禁止じゃないから、我慢出来なくなったら遠慮なくヤっていいからなー」
「……っ、するわけねー、だろっ!」

 ただでさえ、動いて紐を揺らさないように気をつけているのに。オナニーなどしたら一発でどの紐かバレてしまうだろう。
 少し風が拭いているため、微細な動きならバレそうにないのが不幸中の幸いだ。

 その後、次々と紐が引かれ、玩具や、ハズレとしてぶら下がっているお菓子が客の手に渡っていく。
 びくびくしながらも、ヴイィンと体内で震えるローターに耐えていると。

 ──くいっ

 不意に、軽くローターが引っ張られ、火澄の思考が停止する。

「(嘘……でしょ……?)」

 誰かに、引かれた。

 咄嗟にアナルを引き締めて取らせないように力を込める。
 きっと客側からはそんな動きも丸見えだろう。だが、反射的にそうしてしまっていた。

 より強くローターの振動を感じてしまい抑えきれない声が漏れるも、そんなものは二の次で取られまいと必死に咥えこんだ。

「ぁ、あぁ、ん……っく、ふゃ……ああっ……♡」「……あっちゃん」
「ひ、っ♡とられ……なきゃ、んぁっ、いーん……だろ……ひぅっ!」
「いやさー……、ごめん。俺がうっかり引っ張っちゃった」
「…………は?」
「取られないように頑張ってローター咥えこむあっちゃん、可愛かったよ♡」
「…………………………しね」

 ──……射的と同じく30分間で火澄のくじ引きでの仕事は終了した。誰に引かれることもなくほっとしたのも束の間、膝の所まで下げられていたパンツを抜き取られた。

「な……っ!何してんだよ!返せ!」
「そのローター、あっちゃんにプレゼントするからさ。このパンツはローターの代わりに景品にさせてもらうな」
「はぁ?ふざけてんのか……!?早く返……んぁっ!!」
「篤志、お疲れ様。休む暇がなくて悪いけど、次の出店に行くよ。ローターはそのまま挿れててね」
「やっ……、むり……ぃ……♡」
「……仕方ないな。電源は切ってあげるよ」

 ようやく責め苦から解放された火澄だが、完全に勃起して涎をだらだらと垂らしている自身が目に入り、全身が熱くなった。

 着る物を全て奪われ、下駄しか履いていない状態で公衆の目がある野外を歩かされるのだと理解した瞬間、恐怖や羞恥によってどくりと性器が脈打ち、白濁をとろりと吐き出した。
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