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商品No.108:安眠効果が高いベッド
01:快適な商品をご用意しました
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その番組は、一見さんお断りの招待制。
特別な魔力が込められたカードをテレビやスマホに触れさせることで、視聴が出来るようになるらしい。運が良いことに、俺は先輩からその話を持ちかけられた。招待されてはい終わり、というわけでなく、秘密保持のためか様々な審査を受けた。そのせいか何なのか、この話をしてくれたはずの先輩のことをよく思い出せずにいる。
まあとにかく、そうした紆余曲折を経た俺の手元には、目に眩しいショッキングピンクのカードがあった。
時刻は午前二時。暗くした部屋の中でぼんやり光るテレビに向かって、俺はそのカードを触れさせた。魔力ゼロな一般人の俺からしたら、本当にこれだけで映るものなのかと疑ってしまう。
けれどもそんな疑念は、程なくして流れ出した軽快なBGMでどこかに消えてしまった。
パッと画面が切り替わると、クリーム色の背景とシックな長テーブルといったシンプルなセットが現れた。セットだけを見ると、まるで通販番組のようだ。そして、その予想はどうやら当たりだったらしい。
「素敵な夜をお過ごしの皆様、こんばんは。どすけべテレビショッピングのお時間です。本日も快適な商品をご用意しましたので、是非最後までご覧ください」
画面の中央、黒髪碧眼の美青年がにっこりと笑って告げてくる。その顔が妙に赤いように感じるのは気のせいだろうか。
そんな黒髪美青年の両側には、随分と背が高い青年が立っていた。こっちもこっちで顔が良い。赤い髪を細い三つ編みにして垂らしている執事みたいな優男と、なんだかチャラついているような見た目の銀髪泣きぼくろ男だ。
下の方にテロップが出てきて、赤髪がエドガー、銀髪がリーヴァン、真ん中の黒髪がフェリアスという名前だということが分かった。全員スーツ姿でしゅっとしている。
「それでは早速、商品の説明に移りましょう。本日の一品はこちらです」
黒髪……フェリアスがテーブルの下から取り出したのは、長方形の大きな瓶。青い水のような物が詰め込まれている。錬金用の珍しい素材か何かだろうか。
「見た目はただの水ですが、こうして取り出すと……スライムのような固形状になります」
「ぷるぷるしてるけど、いくら押しても分裂したり弾けたりしないんだよね~」
アシスタントらしきリーヴァンが、そのぷるぷるした物体を容赦なく殴る。いやそれ『押しても』ってレベルじゃないだろ。
けれど、その言葉通り、スライムはいくら殴られても引っ張られても千切れることなく元の形に戻っていった。スクイーズみたいで気持ちよさそうだ。
「このように、とても頑丈かつ柔軟性のある素材で出来ているんだ。もちろん、ベッドだからこれが完成形ではないからね。ここに、付属の杖を振ると……」
今度はエドガーの方が、いつの間にか手に持っていた小さな杖を軽く振った。キラキラとした粒子が降り注ぐと、スライムが跳ねるように飛び上がる。そのまま空中で大きく広がって、形が変わっていく。そして、テーブル前のスペースにボヨンと落ちてきた。
その形状は、どこからどう見てもベッドだった。青い半透明のぷるぷるベッドだ。
「改めまして、本日の一品は『アクアテンタクルベッド』。名称が長いので、端的にベッドと呼ばせていただきます」
「実際にフェリちゃんに寝てもらって、説明はオレ達がするよ~」
「やっぱり、効果については直接見てもらった方が分かりやすいからね。準備はいい、フェリアス?」
「ええ、いつでも」
にこりと微笑んだフェリアスが、ベッドに横になる。弾力があって気持ちよさそうだ。ベッドというからには、きっと安眠効果があるんだろう。
特別な魔力が込められたカードをテレビやスマホに触れさせることで、視聴が出来るようになるらしい。運が良いことに、俺は先輩からその話を持ちかけられた。招待されてはい終わり、というわけでなく、秘密保持のためか様々な審査を受けた。そのせいか何なのか、この話をしてくれたはずの先輩のことをよく思い出せずにいる。
まあとにかく、そうした紆余曲折を経た俺の手元には、目に眩しいショッキングピンクのカードがあった。
時刻は午前二時。暗くした部屋の中でぼんやり光るテレビに向かって、俺はそのカードを触れさせた。魔力ゼロな一般人の俺からしたら、本当にこれだけで映るものなのかと疑ってしまう。
けれどもそんな疑念は、程なくして流れ出した軽快なBGMでどこかに消えてしまった。
パッと画面が切り替わると、クリーム色の背景とシックな長テーブルといったシンプルなセットが現れた。セットだけを見ると、まるで通販番組のようだ。そして、その予想はどうやら当たりだったらしい。
「素敵な夜をお過ごしの皆様、こんばんは。どすけべテレビショッピングのお時間です。本日も快適な商品をご用意しましたので、是非最後までご覧ください」
画面の中央、黒髪碧眼の美青年がにっこりと笑って告げてくる。その顔が妙に赤いように感じるのは気のせいだろうか。
そんな黒髪美青年の両側には、随分と背が高い青年が立っていた。こっちもこっちで顔が良い。赤い髪を細い三つ編みにして垂らしている執事みたいな優男と、なんだかチャラついているような見た目の銀髪泣きぼくろ男だ。
下の方にテロップが出てきて、赤髪がエドガー、銀髪がリーヴァン、真ん中の黒髪がフェリアスという名前だということが分かった。全員スーツ姿でしゅっとしている。
「それでは早速、商品の説明に移りましょう。本日の一品はこちらです」
黒髪……フェリアスがテーブルの下から取り出したのは、長方形の大きな瓶。青い水のような物が詰め込まれている。錬金用の珍しい素材か何かだろうか。
「見た目はただの水ですが、こうして取り出すと……スライムのような固形状になります」
「ぷるぷるしてるけど、いくら押しても分裂したり弾けたりしないんだよね~」
アシスタントらしきリーヴァンが、そのぷるぷるした物体を容赦なく殴る。いやそれ『押しても』ってレベルじゃないだろ。
けれど、その言葉通り、スライムはいくら殴られても引っ張られても千切れることなく元の形に戻っていった。スクイーズみたいで気持ちよさそうだ。
「このように、とても頑丈かつ柔軟性のある素材で出来ているんだ。もちろん、ベッドだからこれが完成形ではないからね。ここに、付属の杖を振ると……」
今度はエドガーの方が、いつの間にか手に持っていた小さな杖を軽く振った。キラキラとした粒子が降り注ぐと、スライムが跳ねるように飛び上がる。そのまま空中で大きく広がって、形が変わっていく。そして、テーブル前のスペースにボヨンと落ちてきた。
その形状は、どこからどう見てもベッドだった。青い半透明のぷるぷるベッドだ。
「改めまして、本日の一品は『アクアテンタクルベッド』。名称が長いので、端的にベッドと呼ばせていただきます」
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「やっぱり、効果については直接見てもらった方が分かりやすいからね。準備はいい、フェリアス?」
「ええ、いつでも」
にこりと微笑んだフェリアスが、ベッドに横になる。弾力があって気持ちよさそうだ。ベッドというからには、きっと安眠効果があるんだろう。
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