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後編
ろく
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地球に居た時の記憶は、ほとんどなくしている。
覚えているのは、自分の名前が陸だということ。大学に通っていて、一つ下の後輩から懐かれていたこと。植物や動物といったモノ、一般常識的なモノも分かるが、自分についてのことは靄がかかっているような感じでほぼ思い出せない。
だからまあ、ホームシックのようなものは感じない。趣味の悪いペットショップみたいな所で値下げされ続けた時は、いつか処分されるんじゃとビクビクしたけど。
こんな筋肉質で可愛くないおれを買った、変わり者の主人が現れた。
言葉はさっぱり分からないし、身体は巨人みたいに大きい。自分が犬サイズになった気分だ。それでも、くるんとした黒いくせっ毛と桃色の瞳の彼が、悪い奴じゃないことは分かった。ご飯も美味いし、寝床はふわふわ。エロい服だけは恥ずかしすぎてどうしようかと思ったが……、全裸なのも恥ずかしいから我慢した。
主人となった彼には、どうやら好きな相手がいるようだった。言葉は分からずとも態度で分かる。窓の外に見える主人は、赤髪の鬼みたいな男にベタベタとくっつき回っていた。鬼はうんざりとした様子で剥がしてばかりだったけど、本当に嫌なら強く抵抗すればいい話だ。あれだけ体格が違うんだから、簡単なことだと思う。それをしない時点で、あの鬼も主人のことが好きだということだろう。多分だけど。
「──おいっ、やめろ馬鹿!こんなエロいの無理……っ、ぎゃあ!ちんこ触んな……!!っお゛♡し、尻っ、なに、いれて……っ!」
ある日、おれには全く似合わないエロ衣装を着せられた。今までよりとにかく布面積が少ない。ちんこはリボンで結ばれて、尻にもナニかを挿れられる始末。ふわふわの白猫コスプレで仕上げをさせられたおれの顔は、死んでいたと思う。
そのまま上機嫌な主人に連れられていって……、あまりにも恥ずかしいお披露目をされた。
更に羞恥を煽ることに、そこに居た金髪の人間の姿に、おれは見覚えがあった。おれを慕って、懐いてくれていた、後輩のアモリだ。ハーフでイケメンなアモリは女子からよく追われていて……、それを助けたのが仲良くなったきっかけだったはずだ。
そんな彼に、こんな破廉恥な姿を見られている。それだけで、おれはぶら下げられた状態で甘イキした。見た目は分かりづらくても、余韻がとにかくやばかった。
覚えているのは、自分の名前が陸だということ。大学に通っていて、一つ下の後輩から懐かれていたこと。植物や動物といったモノ、一般常識的なモノも分かるが、自分についてのことは靄がかかっているような感じでほぼ思い出せない。
だからまあ、ホームシックのようなものは感じない。趣味の悪いペットショップみたいな所で値下げされ続けた時は、いつか処分されるんじゃとビクビクしたけど。
こんな筋肉質で可愛くないおれを買った、変わり者の主人が現れた。
言葉はさっぱり分からないし、身体は巨人みたいに大きい。自分が犬サイズになった気分だ。それでも、くるんとした黒いくせっ毛と桃色の瞳の彼が、悪い奴じゃないことは分かった。ご飯も美味いし、寝床はふわふわ。エロい服だけは恥ずかしすぎてどうしようかと思ったが……、全裸なのも恥ずかしいから我慢した。
主人となった彼には、どうやら好きな相手がいるようだった。言葉は分からずとも態度で分かる。窓の外に見える主人は、赤髪の鬼みたいな男にベタベタとくっつき回っていた。鬼はうんざりとした様子で剥がしてばかりだったけど、本当に嫌なら強く抵抗すればいい話だ。あれだけ体格が違うんだから、簡単なことだと思う。それをしない時点で、あの鬼も主人のことが好きだということだろう。多分だけど。
「──おいっ、やめろ馬鹿!こんなエロいの無理……っ、ぎゃあ!ちんこ触んな……!!っお゛♡し、尻っ、なに、いれて……っ!」
ある日、おれには全く似合わないエロ衣装を着せられた。今までよりとにかく布面積が少ない。ちんこはリボンで結ばれて、尻にもナニかを挿れられる始末。ふわふわの白猫コスプレで仕上げをさせられたおれの顔は、死んでいたと思う。
そのまま上機嫌な主人に連れられていって……、あまりにも恥ずかしいお披露目をされた。
更に羞恥を煽ることに、そこに居た金髪の人間の姿に、おれは見覚えがあった。おれを慕って、懐いてくれていた、後輩のアモリだ。ハーフでイケメンなアモリは女子からよく追われていて……、それを助けたのが仲良くなったきっかけだったはずだ。
そんな彼に、こんな破廉恥な姿を見られている。それだけで、おれはぶら下げられた状態で甘イキした。見た目は分かりづらくても、余韻がとにかくやばかった。
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