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最推しアイドルのファンイベントに行ったらラブハメされて恋人が出来ました
前編
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推しアイドルのファンイベントに当選した平凡くんのおはなし。
サブでリバップルが出てきます。
☆☆☆☆☆
今日は僕がずっと推してきた地下アイドル、ツインパレットのファンイベントだ。
ツインパレット、略してツイパレは、クールでかっこいいマナトくんと、ちょっとツンデレじみたキイチくんの男性二人ユニット。ファンは女性が多くて、男で来ているのは僕を含めて数人程度だと思う。それでも、僕は彼等のパフォーマンスが大好きだから、足繁く通っているんだ。
だからこそ、特別なファンイベントに当選したことが嬉しくて仕方ない。こういったイベントをするのも初めてなんじゃないかな?
どういった内容なのかはさっぱり分からないけど、ライブ以外の二人の姿を見られるだなんて……、とっても嬉しい!
「えーと、地図だとここ……かな?」
事前に送られてきた地図を頼りに辿り着いたのは、いつものハコじゃなくて、素朴なマンションだった。こんなところで、ファンイベント?もしかして、道間違えちゃったかな。
おろおろ不安になっていると、不意に後ろから肩を叩かれた。びっくりしながら振り向くと、見知った顔が視界に入ってほっとする。
「ゼンさん!」
「こんにちは、トウゴ君」
「こんにちは。ゼンさんもファンイベントに参加するんですか?」
「そうだよ。トウゴ君も一緒ならもっと楽しめそうだ」
「そんな、ゼンさんみたいなカッコいい人に言われたら、お世辞でも照れちゃいます」
僕より頭一つ分高いゼンさんは、僕と同じくツイパレのファンだ。ライブ後によく二人でご飯を食べたり、ライブで滾ったパッションを語ったりもしている。
彼は、僕がどれだけ気持ち悪く早口で語っても、にこにこ聞いてくれる優しい人だ。酔って記憶がなくなる僕のことを、介抱してくれることも多い。性格が良ければ見た目も美形。黒マスクをしている時もカッコいいけど、マスクがなくてもカッコいいってどういうことなんだろう。それこそ、アイドルやモデルでもおかしくないと思う。
「へへ、ゼンさんが一緒で心強いです」
「俺もだよ。今日は楽しもうね」
「はいっ」
にこりと目を細めるゼンさんと一緒に、マンションの中に入っていく。不安な気持ちはどこかにすっ飛んで、今はただイベントが待ち遠しくて仕方がない。
「あ、ゼンさん、僕の格好変じゃないですか?お風呂に入って綺麗にしてきたつもりなんですけど」
「いつも通り可愛いし、良い匂いもするから大丈夫だよ」
「もう、からかわないでください」
「本当のことなんだけどな」
僕みたいなただのドルオタを褒めても、何もいいことなんてないのに。でも、ゼンさんにそう言われるのはなんだか嬉しいな。
そんなとりとめのない会話をしながら、エレベーターで10階に上った。部屋数がそんなにないみたいだから、もしかすると一つの部屋が大きいのかな。
その中の一つが、お目当てのイベント会場だ。
「わ、緊張してきた……。あの、手を握ってもらってもいいですか?」
「もちろん。好きなだけ握ってくれていいよ」
「僕が発狂しておかしな言動をしようとしたら、絶対止めてください」
「はは、了解」
「え、あ……っ」
普通に握るはずだったのに、指を絡められてしまった。これ、恋人繋ぎってやつじゃ……。……うん、でも、別に嫌じゃないから、いいかな。
僕より大きな体温にドキドキしながら、部屋のチャイムを押す。
返事はない。
暫く待ってみたけど、扉が開くこともなくて首を傾げる。
「い、いないのかな……?」
「試しに開けてみようか」
僕が返事をする前に、ゼンさんがドアノブを捻ってしまった。てっきり鍵がかかっていると思ったけど、扉はすんなりと開いた。
「大丈夫みたいだね。行こうか、トウゴ君」
「えっ、そんな、勝手に。こっ、ここ心の準備が……!」
繋がった手に引かれるがまま、部屋の中に入ってしまう。うわ、なんだかすごく良い香りがする。へ、部屋ひっろ!え、勝手に奥まで行っていいの、というか僕土足なんだけど!
軽くパニックになりながら、明るい部屋を進んでいった僕は、その先で天国を見た。
広々としたリビングに、どどんと置かれた簡易ステージ。その横には、レイアウトを間違えたかのようなベッドが置かれていた。
ああ……、柵も何もなく手を伸ばせば触れ合える距離に、ツイパレの二人が立っている……!何度瞬きしても消えない。げ、幻覚じゃない……っっ!!
「うっ、ううううう、だめ、だめです、これ以上進んだら目が潰れますっ!うそ、なんで居るんですかぁっ!ツイパレの視界に入っていい僕じゃないのに!」
「落ち着いて、トウゴ君。イベントなんだから彼等が居るのは当たり前だし、トウゴ君はとっても可愛いから。ね」
「か、可愛いなんて言ってくるの、ゼンさんだけですっ!あ、え、というか、他っ、他の人は!?」
「いねぇよ。今日のイベントの客は、お前等二人だけだ」
「キ、キキキイチくんが喋っ、あ……、あう、目が合って、ひ、いいっ、ち、近っ、だめです、こんな距離っ、め、めがとけちゃう……っ」
「大丈夫。深呼吸しようね、トウゴ君」
あまりの尊さで気持ち悪いオタクになった僕を、ゼンさんが抱きしめてあやしてくれる。この歳になって恥ずかしいけど、優しいゼンさんに甘えてしまう。ふわ、と漂う香水はいつもの爽やかな香りだ。思わず胸元に擦り寄ってしまって、すぐ、自分が恥ずかしいことをしていると気が付いた。
「ごっ、ごめんなさいゼンさん!もう、だいじょぶ、です」
「本当に?直視出来る?」
「う……。み、身に余るくらいのご褒美だと思えば、どうにか……!」
「じゃあ、仕切り直しだね。安心して、傍に居るから」
「は、はい」
ゼンさんに片手で抱かれたまま、恐る恐る二人の方へと視線を向けた。
サブでリバップルが出てきます。
☆☆☆☆☆
今日は僕がずっと推してきた地下アイドル、ツインパレットのファンイベントだ。
ツインパレット、略してツイパレは、クールでかっこいいマナトくんと、ちょっとツンデレじみたキイチくんの男性二人ユニット。ファンは女性が多くて、男で来ているのは僕を含めて数人程度だと思う。それでも、僕は彼等のパフォーマンスが大好きだから、足繁く通っているんだ。
だからこそ、特別なファンイベントに当選したことが嬉しくて仕方ない。こういったイベントをするのも初めてなんじゃないかな?
どういった内容なのかはさっぱり分からないけど、ライブ以外の二人の姿を見られるだなんて……、とっても嬉しい!
「えーと、地図だとここ……かな?」
事前に送られてきた地図を頼りに辿り着いたのは、いつものハコじゃなくて、素朴なマンションだった。こんなところで、ファンイベント?もしかして、道間違えちゃったかな。
おろおろ不安になっていると、不意に後ろから肩を叩かれた。びっくりしながら振り向くと、見知った顔が視界に入ってほっとする。
「ゼンさん!」
「こんにちは、トウゴ君」
「こんにちは。ゼンさんもファンイベントに参加するんですか?」
「そうだよ。トウゴ君も一緒ならもっと楽しめそうだ」
「そんな、ゼンさんみたいなカッコいい人に言われたら、お世辞でも照れちゃいます」
僕より頭一つ分高いゼンさんは、僕と同じくツイパレのファンだ。ライブ後によく二人でご飯を食べたり、ライブで滾ったパッションを語ったりもしている。
彼は、僕がどれだけ気持ち悪く早口で語っても、にこにこ聞いてくれる優しい人だ。酔って記憶がなくなる僕のことを、介抱してくれることも多い。性格が良ければ見た目も美形。黒マスクをしている時もカッコいいけど、マスクがなくてもカッコいいってどういうことなんだろう。それこそ、アイドルやモデルでもおかしくないと思う。
「へへ、ゼンさんが一緒で心強いです」
「俺もだよ。今日は楽しもうね」
「はいっ」
にこりと目を細めるゼンさんと一緒に、マンションの中に入っていく。不安な気持ちはどこかにすっ飛んで、今はただイベントが待ち遠しくて仕方がない。
「あ、ゼンさん、僕の格好変じゃないですか?お風呂に入って綺麗にしてきたつもりなんですけど」
「いつも通り可愛いし、良い匂いもするから大丈夫だよ」
「もう、からかわないでください」
「本当のことなんだけどな」
僕みたいなただのドルオタを褒めても、何もいいことなんてないのに。でも、ゼンさんにそう言われるのはなんだか嬉しいな。
そんなとりとめのない会話をしながら、エレベーターで10階に上った。部屋数がそんなにないみたいだから、もしかすると一つの部屋が大きいのかな。
その中の一つが、お目当てのイベント会場だ。
「わ、緊張してきた……。あの、手を握ってもらってもいいですか?」
「もちろん。好きなだけ握ってくれていいよ」
「僕が発狂しておかしな言動をしようとしたら、絶対止めてください」
「はは、了解」
「え、あ……っ」
普通に握るはずだったのに、指を絡められてしまった。これ、恋人繋ぎってやつじゃ……。……うん、でも、別に嫌じゃないから、いいかな。
僕より大きな体温にドキドキしながら、部屋のチャイムを押す。
返事はない。
暫く待ってみたけど、扉が開くこともなくて首を傾げる。
「い、いないのかな……?」
「試しに開けてみようか」
僕が返事をする前に、ゼンさんがドアノブを捻ってしまった。てっきり鍵がかかっていると思ったけど、扉はすんなりと開いた。
「大丈夫みたいだね。行こうか、トウゴ君」
「えっ、そんな、勝手に。こっ、ここ心の準備が……!」
繋がった手に引かれるがまま、部屋の中に入ってしまう。うわ、なんだかすごく良い香りがする。へ、部屋ひっろ!え、勝手に奥まで行っていいの、というか僕土足なんだけど!
軽くパニックになりながら、明るい部屋を進んでいった僕は、その先で天国を見た。
広々としたリビングに、どどんと置かれた簡易ステージ。その横には、レイアウトを間違えたかのようなベッドが置かれていた。
ああ……、柵も何もなく手を伸ばせば触れ合える距離に、ツイパレの二人が立っている……!何度瞬きしても消えない。げ、幻覚じゃない……っっ!!
「うっ、ううううう、だめ、だめです、これ以上進んだら目が潰れますっ!うそ、なんで居るんですかぁっ!ツイパレの視界に入っていい僕じゃないのに!」
「落ち着いて、トウゴ君。イベントなんだから彼等が居るのは当たり前だし、トウゴ君はとっても可愛いから。ね」
「か、可愛いなんて言ってくるの、ゼンさんだけですっ!あ、え、というか、他っ、他の人は!?」
「いねぇよ。今日のイベントの客は、お前等二人だけだ」
「キ、キキキイチくんが喋っ、あ……、あう、目が合って、ひ、いいっ、ち、近っ、だめです、こんな距離っ、め、めがとけちゃう……っ」
「大丈夫。深呼吸しようね、トウゴ君」
あまりの尊さで気持ち悪いオタクになった僕を、ゼンさんが抱きしめてあやしてくれる。この歳になって恥ずかしいけど、優しいゼンさんに甘えてしまう。ふわ、と漂う香水はいつもの爽やかな香りだ。思わず胸元に擦り寄ってしまって、すぐ、自分が恥ずかしいことをしていると気が付いた。
「ごっ、ごめんなさいゼンさん!もう、だいじょぶ、です」
「本当に?直視出来る?」
「う……。み、身に余るくらいのご褒美だと思えば、どうにか……!」
「じゃあ、仕切り直しだね。安心して、傍に居るから」
「は、はい」
ゼンさんに片手で抱かれたまま、恐る恐る二人の方へと視線を向けた。
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