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74 【彫刻師】のアイテムロストの多さに皆も少し頭を抱えるが……。
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午後はそんな感じで時間を過ごし、ドマは彫刻スキル4へ、スギは彫刻スキル3へ早くも上がる頃、一日の作業が終わった。
後は掃除をタキちゃん達にして貰いながら私はドマに付き添って貰い各倉庫への必要な物を生成していくと、やっと一日が終わる感じがしつつ二号店の二階に戻り、連絡事項を受ける。すると――。
「製薬ギルドのサヤ様から、今週末には納品してくれとの連絡がユリ様に。また、商業ギルドから明日の昼に女性が来る為、商業ギルドに来て欲しいとの事。あとはシンジュ様達にホスティー様とノルディス様が、試作品が出来たので三日後持ってきたいとのお知らせです」
「「「「分かりました」」」」
「あともう一点。これはホムラ様よりご連絡で、中規模ダンジョン二つを撃破との連絡です」
「「「「「おおおおおお」」」」」
少しずつお爺ちゃん達も頑張っている様子で、怪我人も少ないそうだ。
タキちゃんがいるのだから回復魔法や結界魔法はあるだろうけれど、それにしても良かった。
「ただし、ホムラ様より残念なお知らせが一つ。鉄の国サカマル帝国の冒険者及び魔物討伐隊が半壊したそうです」
「「「!!」」」
「救助には当たっているようですが、部隊の三分の二近くが亡くなったそうで……」
「それはまた……」
「金鉱山に行く近くの大型ダンジョンのモンスターにやられたらしく、その殆どのモンスターがドラゴン系だったのも運が無かったとの事でした」
ドラゴン系のモンスターは兎に角強い。
大体がAランクやSランクに相当していて、集中攻撃をされればひとたまりもない。
「現在助かった鉄の国サカマル帝国の者達は国に搬送されて治療を受けているようですが、次に活動できるのは不明との事」
「後先考えずに突っ走るから」
「暫しの間鉄の国サカマル帝国の動向に注意せよ。との事です」
こうして全ての連絡が終わり、明日には彫刻師の女性が来る事も判明した為、明日もまた忙しくなりそうだ。
――翌朝、いつも通り馬車で二号店へと向かい、朝のミューティングが終わると私達は開発部屋に入り、スギと一緒に木を幾つか用意して速乾付与で更に細かくし、アイテムボックスに入れて戻ると、ドマとスギ用の段ボールに木材を大量投下し、スキルを上げて貰う。
次にポーション瓶を大量に作るとラフィは初級ポーションを、私は【破損部位修復ポーション】と中級ポーションと上級ポーションを挟みながら作り、会話も楽しみながら作って行く。
タキちゃんはラフィに結界を張っていつ失敗してもいいように待機しており、二回目の【破損部位修復ポーション】を50個作った所でドマの彫刻スキルが5に上がった。
そこで、天然石を使ってのスキル上げが始まり、意外と苦戦しているようで失敗してパリーンと石が砕けることが続いている。
「うーん、勿体ない」
「ただの石を作る事も出来るけど、どうする?」
「ではそちらを小さい石で良いのでお願いしたいです」
「了解よ」
そう言うと既にアイテム用のケースが満杯だった為、段ボール活用で「アイテム生成・大理石」と口にして5cm四方の大理石を生成しては段ボール一杯にする。
それをドマが手にして彫刻しながらスキルを上げて行く。
彫刻は風の様な力で、彫金は火のような力、製薬は水のような力を使い、付与師は光。
それぞれ見ていて結構楽しいのだ。
「この石は初めて削りますが、天然石よりは上手く力が乗ってくれますね」
「大理石っていうの」
「大理石」
「ぼくも早く上げて大理石であげたーい」
「スギも頑張って」
「このエリア一帯に集中力が上がるお守りが欲しいですよね」
「分かるわー。宝石になら集中力アップ作れるんだけど、台座よね」
「それは彫刻で作りたいですね。こう、丸い球体の宝石に集中力アップの付与なんて魅力的です」
「いつかは作ってみたいわね。チートアイテムって言われたら封印だけど」
「あ――……それはありますか」
「でも集中力アップだけなら問題ないんじゃないの?」
「そうね、他が入れば問題かもしれないけど」
「私はついでに幸運アップが欲しいわ……パリーンを防ぐ為に」
「それは理解します。俺も大理石結構割ってますからね」
「コワレタ アイテム ボクガ モグモグダヨ」
「後で掃除お願いね」
「ハーイ」
そんな会話をしながら午前中は過ごし、倒れない程度にアイテムを作ってアイテムボックスに入れると、ラフィもかなりスキルが上がったそうで、今製薬レベル4らしい。
5からは中級ポーションに挑めるため、午後も頑張るそうだ。
そうこうしているとスギも彫刻スキル5になり、午後からは大理石を使ったスキル上げになるそうで、追加で大理石を段ボールに生成して入れ込んだ。
皆が戻ってくる前にとタキちゃんは分裂して部屋を掃除し、一息入れた所で皆さんが集まった。
「今から昼にするか」
「ご飯は簡単なサンドイッチで良いです?」
「俺と姉上で作りますか」
「そうね、今日は久々に私も午前中入れたし」
「ん? 見た事ない石があるな」
「それは彫刻用の石で大理石っていうのよ」
「へぇ……」
「彫刻で台座が作れるようになったら、この場所で使える【集中力アップ】のお守りでも置いてみようかって話してたの」
「あと幸運アップ! 失敗を少しでも防ぎたいわ」
「チートアイテムにならなければ……良いのではないでしょうか」
「作ってみないと分らないわねぇ……」
「せめて集中力アップまでにした方が良いと思います」
「まずはソレだけにしてみるわ」
こうして話は纏まり、ラフィは「幸運アップも欲しかったのにー」とセンジュ君に怒っているけれど、「チートアイテムでスキル上げしても空しいでしょう?」と尤もな意見を言っていて「せめて貴方が製薬スキル8とかになったら考えていいのでは?」と譲歩すると、むくれていたラフィも「それならまぁ」と納得したようだ。
その後皆でサンドイッチを食べながら昼休みを取っていたのだけれど――。
「アイテムロストの確率なら彫刻師の方が圧倒的に高いですよ。5まで上がりやすい分5から上が兎に角失敗の連続ですからね」
「普通にしてたらお金がこわいね……ユリお姉ちゃんありがとう」
「彫刻師って大変なんですね……使う素材もですけど、用意も大変で」
「彫刻師の少なさが理解できたと思われますが、スキル5になれば殆どの付与が出来てしまうので上げる人が少ないんですよ。それに不遇スキルと言われているお陰で人に言いづらい」
「木工ギルドでも馬鹿にされましたものね」
「何よソレ酷すぎない?」
そう怒るラフィだけど、彫刻師は本当に不遇だと言われる理由も何となくわかる。
彫金のように宝石をはめ込むと言う事が出来るようになるのに、スキル8は確実にいるのだ。
その上そこまで上がるのに苦労するし、スキル8で宝石を埋め込んだりできても失敗すればアイテムが全てロスト。
これは他の彫金師でも同じだけど、アイテムロストが一番痛いのだと思う。
また、息を止めての集中力もかなりいる為、呼吸の練度も関係してくる。
ドマとスギを見て観察したけれど、戦闘などで呼吸の練度がもともと高いドマとは違い、スギは呼吸を止めると言う集中が中々続かず失敗が多かった。
それでも諦めない精神の強さには驚かされるけど、元々職人気質なのかも知れない。
「個人的に思うんだけど、集中力アップのお守りは作るとして、彫刻師の二人の為に「幸運アップ」のお守りも良いと思うのよね……かなり失敗率が高いのよ」
「職に寄って差は大きく開くとは聞いたことありますが……彫刻師は一番険しいのかも知れないですね」
「そうね。暇が出来たら作ってみるわ」
こうして昼休憩も終わり、午後は商業ギルドに行って女性を預かってまた戻ってくることになるんだけれど、その女性と会って、更に彼女に驚き、またも彫刻師の難しさを知る事になるとは、まだ誰も想像すらしていなかった――。
後は掃除をタキちゃん達にして貰いながら私はドマに付き添って貰い各倉庫への必要な物を生成していくと、やっと一日が終わる感じがしつつ二号店の二階に戻り、連絡事項を受ける。すると――。
「製薬ギルドのサヤ様から、今週末には納品してくれとの連絡がユリ様に。また、商業ギルドから明日の昼に女性が来る為、商業ギルドに来て欲しいとの事。あとはシンジュ様達にホスティー様とノルディス様が、試作品が出来たので三日後持ってきたいとのお知らせです」
「「「「分かりました」」」」
「あともう一点。これはホムラ様よりご連絡で、中規模ダンジョン二つを撃破との連絡です」
「「「「「おおおおおお」」」」」
少しずつお爺ちゃん達も頑張っている様子で、怪我人も少ないそうだ。
タキちゃんがいるのだから回復魔法や結界魔法はあるだろうけれど、それにしても良かった。
「ただし、ホムラ様より残念なお知らせが一つ。鉄の国サカマル帝国の冒険者及び魔物討伐隊が半壊したそうです」
「「「!!」」」
「救助には当たっているようですが、部隊の三分の二近くが亡くなったそうで……」
「それはまた……」
「金鉱山に行く近くの大型ダンジョンのモンスターにやられたらしく、その殆どのモンスターがドラゴン系だったのも運が無かったとの事でした」
ドラゴン系のモンスターは兎に角強い。
大体がAランクやSランクに相当していて、集中攻撃をされればひとたまりもない。
「現在助かった鉄の国サカマル帝国の者達は国に搬送されて治療を受けているようですが、次に活動できるのは不明との事」
「後先考えずに突っ走るから」
「暫しの間鉄の国サカマル帝国の動向に注意せよ。との事です」
こうして全ての連絡が終わり、明日には彫刻師の女性が来る事も判明した為、明日もまた忙しくなりそうだ。
――翌朝、いつも通り馬車で二号店へと向かい、朝のミューティングが終わると私達は開発部屋に入り、スギと一緒に木を幾つか用意して速乾付与で更に細かくし、アイテムボックスに入れて戻ると、ドマとスギ用の段ボールに木材を大量投下し、スキルを上げて貰う。
次にポーション瓶を大量に作るとラフィは初級ポーションを、私は【破損部位修復ポーション】と中級ポーションと上級ポーションを挟みながら作り、会話も楽しみながら作って行く。
タキちゃんはラフィに結界を張っていつ失敗してもいいように待機しており、二回目の【破損部位修復ポーション】を50個作った所でドマの彫刻スキルが5に上がった。
そこで、天然石を使ってのスキル上げが始まり、意外と苦戦しているようで失敗してパリーンと石が砕けることが続いている。
「うーん、勿体ない」
「ただの石を作る事も出来るけど、どうする?」
「ではそちらを小さい石で良いのでお願いしたいです」
「了解よ」
そう言うと既にアイテム用のケースが満杯だった為、段ボール活用で「アイテム生成・大理石」と口にして5cm四方の大理石を生成しては段ボール一杯にする。
それをドマが手にして彫刻しながらスキルを上げて行く。
彫刻は風の様な力で、彫金は火のような力、製薬は水のような力を使い、付与師は光。
それぞれ見ていて結構楽しいのだ。
「この石は初めて削りますが、天然石よりは上手く力が乗ってくれますね」
「大理石っていうの」
「大理石」
「ぼくも早く上げて大理石であげたーい」
「スギも頑張って」
「このエリア一帯に集中力が上がるお守りが欲しいですよね」
「分かるわー。宝石になら集中力アップ作れるんだけど、台座よね」
「それは彫刻で作りたいですね。こう、丸い球体の宝石に集中力アップの付与なんて魅力的です」
「いつかは作ってみたいわね。チートアイテムって言われたら封印だけど」
「あ――……それはありますか」
「でも集中力アップだけなら問題ないんじゃないの?」
「そうね、他が入れば問題かもしれないけど」
「私はついでに幸運アップが欲しいわ……パリーンを防ぐ為に」
「それは理解します。俺も大理石結構割ってますからね」
「コワレタ アイテム ボクガ モグモグダヨ」
「後で掃除お願いね」
「ハーイ」
そんな会話をしながら午前中は過ごし、倒れない程度にアイテムを作ってアイテムボックスに入れると、ラフィもかなりスキルが上がったそうで、今製薬レベル4らしい。
5からは中級ポーションに挑めるため、午後も頑張るそうだ。
そうこうしているとスギも彫刻スキル5になり、午後からは大理石を使ったスキル上げになるそうで、追加で大理石を段ボールに生成して入れ込んだ。
皆が戻ってくる前にとタキちゃんは分裂して部屋を掃除し、一息入れた所で皆さんが集まった。
「今から昼にするか」
「ご飯は簡単なサンドイッチで良いです?」
「俺と姉上で作りますか」
「そうね、今日は久々に私も午前中入れたし」
「ん? 見た事ない石があるな」
「それは彫刻用の石で大理石っていうのよ」
「へぇ……」
「彫刻で台座が作れるようになったら、この場所で使える【集中力アップ】のお守りでも置いてみようかって話してたの」
「あと幸運アップ! 失敗を少しでも防ぎたいわ」
「チートアイテムにならなければ……良いのではないでしょうか」
「作ってみないと分らないわねぇ……」
「せめて集中力アップまでにした方が良いと思います」
「まずはソレだけにしてみるわ」
こうして話は纏まり、ラフィは「幸運アップも欲しかったのにー」とセンジュ君に怒っているけれど、「チートアイテムでスキル上げしても空しいでしょう?」と尤もな意見を言っていて「せめて貴方が製薬スキル8とかになったら考えていいのでは?」と譲歩すると、むくれていたラフィも「それならまぁ」と納得したようだ。
その後皆でサンドイッチを食べながら昼休みを取っていたのだけれど――。
「アイテムロストの確率なら彫刻師の方が圧倒的に高いですよ。5まで上がりやすい分5から上が兎に角失敗の連続ですからね」
「普通にしてたらお金がこわいね……ユリお姉ちゃんありがとう」
「彫刻師って大変なんですね……使う素材もですけど、用意も大変で」
「彫刻師の少なさが理解できたと思われますが、スキル5になれば殆どの付与が出来てしまうので上げる人が少ないんですよ。それに不遇スキルと言われているお陰で人に言いづらい」
「木工ギルドでも馬鹿にされましたものね」
「何よソレ酷すぎない?」
そう怒るラフィだけど、彫刻師は本当に不遇だと言われる理由も何となくわかる。
彫金のように宝石をはめ込むと言う事が出来るようになるのに、スキル8は確実にいるのだ。
その上そこまで上がるのに苦労するし、スキル8で宝石を埋め込んだりできても失敗すればアイテムが全てロスト。
これは他の彫金師でも同じだけど、アイテムロストが一番痛いのだと思う。
また、息を止めての集中力もかなりいる為、呼吸の練度も関係してくる。
ドマとスギを見て観察したけれど、戦闘などで呼吸の練度がもともと高いドマとは違い、スギは呼吸を止めると言う集中が中々続かず失敗が多かった。
それでも諦めない精神の強さには驚かされるけど、元々職人気質なのかも知れない。
「個人的に思うんだけど、集中力アップのお守りは作るとして、彫刻師の二人の為に「幸運アップ」のお守りも良いと思うのよね……かなり失敗率が高いのよ」
「職に寄って差は大きく開くとは聞いたことありますが……彫刻師は一番険しいのかも知れないですね」
「そうね。暇が出来たら作ってみるわ」
こうして昼休憩も終わり、午後は商業ギルドに行って女性を預かってまた戻ってくることになるんだけれど、その女性と会って、更に彼女に驚き、またも彫刻師の難しさを知る事になるとは、まだ誰も想像すらしていなかった――。
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