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36 魔物討伐隊の記録②

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 ――魔物討伐隊隊長ヴァンドナの記録side――


「しかしのうエンジュや。お前さんの大事なガーネットの商品を、あんなふうに奪われは怒りも沸こうに」
「陛下を守る騎士団ならと俺も怒りを抑えた。だが、アレは無いな……財務部に納品したいので、出来れば返して貰いたい」
「カエセカエセー」
「必ずや持ってこられたアイテムを回収致します!! 直ぐにアイテムを回収してこい! 今すぐだ!!」


 こうして慌ただしくなった中、暫くすると縄に繋がれた王室騎士団長が騒ぎながら謁見の前に連れてこられた。床に平伏している陛下の姿に驚いて硬直する。それから数十分後、全てのアイテムを回収して戻ってきた兵士は、何故かボロボロになっていた。
 一体何が起きたのだろうか!?


「一体何があった!」
「もう既に勝手にアイテムが配られていて、陛下の命により回収する旨を伝えたのですが……『陛下が魔道具師相手にそこまで心を砕くと思うか、馬鹿めが!』と反対に暴力を振るわれまして……」
「なんだと!?」
「ですが何とか、何とか全部回収出来ました!! ホムラ様、お喜びください! 全部無事です!」


 騒めく謁見の間にて王室騎士団長だけが滝のように汗を掻き、ホムラから殺気と威圧を掛けられてガクガクと震えて立つ事も出来ず床に崩れ落ちた。
 そして――。


「うむ、兵士にしてはそなた、中々骨があるのう……。褒めてやろう」
「あ、ありがとう御座います!」
「エンジュ、受け取ってやれ」
「色々と申し訳ありません……そんな怪我までして」
「タキちゃん、お兄ちゃん回復して上げて?」
「イイヨ? イタイノ イタイノ トンデイケー」


 そう言うとタキ様はただの兵士に回復魔法を掛けられ、傷が全て消えると兵士は頭を下げてお礼を言っていた。
 上級魔法だった。
 しかも上級回復魔法と治癒魔法の合わせ技……一度しか見た事が無いが直ぐに分かった!


「タキ様、今のは回復魔法と治癒魔法の合わせ技ですね?」
「オオー? ヨクワカッタネ。 コノ オニイチャン イガトテモ ワルカッタノ。ストレスダネ。イマハモウ イタクナイデショ?」
「は、はい!!」
「チリョウ、ツイデニシタヨ。デモ、アマリムリシチャ ダメ!」
「はい!」
「ケド アイテム トリカエシテクレテ アリガト!」
「うむ、この青年のような真面目な者が上に行けるシステムは欲しい所じゃのう? 腐った貴族が上に立つ等、虫唾が走るわ……」


 そう王室騎士団長を見て怒りを露わにするホムラ様に、陛下は深々と頭を下げられた。
 王室騎士団長は、陛下直属の部下だ。
 それがこの失態はかなり大きい。


「王室騎士団長、財務部に渡す筈のアイテムを彼等から奪い取り、金を投げ渡して去ったというのは本当か? しかも足りていなかったと言うではないか」
「……」
「応えよ」
「も、申し訳御座いませんっ」
「これより貴殿は貴族の位を剥奪する。平民からやり直すがいい。無論貴殿の家族一族全て平民に落とす」
「なっ!?」
「そなたは分からんだろうがな。あの魔物二匹は、レジェンドモンスターなのだ。お前は彼らを怒らせた。その罰を受けるがいい」


 まさかレジェンドモンスターとは思っていなかったようで、王室騎士団長は床に這いずりながらエンジュとユリ様に近寄って行ったが、ユリ様の頭の上にいたタキ様がそれを許さなかった。

 パアアアアアン!!

 と小さな鞭のような手が飛び、王室騎士団長を遠くに吹き飛ばしたのだ。
 数回跳ねて転がって漸く止まる。激しく咳き込む王室騎士団長に、誰も声を掛けることが出来ない。


「ホントウニ サイテーノ キゾクダネ。ボク、キゾクダイキライ」
「あら、貴族が皆腐ってる訳ではないと思うわ? まともな人もいる筈よ?」
「ユリー」
「ユリがそう言うのなら……むう」
「ちゃんと礼儀を弁えた貴族だっているわよ。確かに平民を見下す貴族が多いのが実状だけれど。仕方ないわよ、だって貴族ってそういう生き物でしょう?」
「「「その様な事は!!」」」
「あれ? 違いましたっけ? 可笑しいな、私の経験でいうとそんなイメージだけど、エンジュさんはどう思う?」
「概ねユリの言葉であってる」
「わよね」


 その二人の言葉に、貴族の闇を垣間見た気がした。
 確かに貴族たちは腐っているかもしれない……これでは庇護どころの話ではない。
 破滅へ真っ逆さまだ。
 陛下は頭を抱えて溜息を吐き、王妃も同じ状態だ。
 この状態で庇護して欲しい等、どの口が言えようか……。


「と、いう訳じゃ。貴族がクソ過ぎる。ワシ等は庇護などせんぞ」
「シナイシナーイ」
「そこまで我が国の貴族は……」
「一部の貴族は素晴らしいと思いますよ? 私は一時期魔物討伐隊に所属しておりましたが、魔物討伐隊長のヴァンドナ様や、副隊長殿は貴族であってもとてもお優しく、時に厳しく、魔物討伐隊として生きる術を教えて下さいました」
「陛下、私の【暁の腕輪】はガーネットの彼らが作ってくれたのです」
「そうであったか……貴重な良き貴族が危うく命の危険に晒されるところだった。心より礼を言う」


 そう陛下が頭を下げると、エンジュは頭を下げユリ様は笑顔で一礼した。
 しかしこれでは庇護が貰えないと理解した陛下は溜息を吐き、一先ずは貴族の意識改革をする為に、庇護はせずとも、なんとかこの国に留まって頂きたいとお願いしたのだが――。


「この国に留まるも止まらぬも、ワシ等のいるべき場所はユリの傍じゃて。ユリがエンジュと婚約している以上はこの国におるじゃろうし、店を大きくしたばかりじゃからユリもエンジュも暫く動くことが出来んからのう」
「タダ ヤッパリ キゾクモンダイハ ドウニカシタホウガ イイトオモウヨ?」
「必ずや」
「ワシ等は商売にはアレコレとケチをつける気は無いわ。ただ、貴族連中が気に入らんだけじゃわい。無理難題いってくるようなら、陛下に言うぞと脅すかのう?」
「あら、脅すよりも放置しておいて、後でリストを作って陛下に提出した方が早いんじゃない? 肉を切らせて骨を断つって奴よ。国の膿を吐き出すには丁度いいんじゃないかしら?」


 ギョッと俺達がユリ様の発言にすると、ホムラ様は高らかに笑い「流石はワシ等の主じゃのう!!!」と興奮気味だ。
 ユリ様に何があったかは分からないが、余程貴族を嫌っているらしいという事だけは分かった。
 私は助けていただけて、とても運が良かったのだと理解する事も出来た。
 そしてその結果を持ってきたのはエンジュであると。


「まぁ、そう言う事ですので商売はいつも通りさせて頂きますし、王妃様の御呼出しには応じます。ですが、私はエンジュさんとしか結婚したくないので他の男性を紹介されても困るということだけはお伝えしておきますね?」
「う、うむ。良く分かった。私は宝石を見せて貰いたいだけだ。他の貴族をあてがおうなどと金輪際せぬから安心して欲しい」
「ありがとう御座います!」


 嘘だ。
 王妃様が秘かにユリ様を貴族男性と結婚させようと目論んでいたのを城の皆は知っている。
 所がそのユリ様がレジェンドモンスター二匹を使役している上に、貴族嫌いだと分かった以上、とてもじゃないがそんな真似は出来ないだろう。
 そんなことをすれば国が亡ぶだけだ。


「庇護はしてやらんが、暫くはこの国に居てやろう。それで牽制くらいにはなるじゃろうてな?」
「ホムラ様にタキ様、御心遣いありがとう御座います」
「うむ。では財務部に行くかのう? ワシ等ガーネットも暇ではないのでな」
「直ぐにご案内させます」
「俺が案内します。胃痛を治して頂いたお礼をさせて下さい」
「うむ、よろしく頼むぞ青年」
「はい! 俺はノロンと申します!」
「ノロン イコウー」
「では御前を失礼致します」
「失礼致します」


 こうして我々はノロンに連れられたエンジュとユリ様、そしてユリ様を守るように飛ぶホムラ様とユリ様の頭に乗ったままのタキ様を見送った。
 謁見の間の扉が閉じた途端、皆が長く息を吐き出し、全員が緊張していたのが良く分かる……。
 あの二人は気付いていなかったが、周囲への軽い威圧が結構きつかったのだ。
 ノロンには威圧を掛けていなかったようだが……きっとホムラ様がお気に入りになったのだろう。


「ノロンはホムラ様に気に入られたようです」
「おお、ノロン……先の兵士だな。これからはホムラ様とタキ様がお越しになる時は、ノロンに案内させよう」
「それが宜しいかと」
「しかし王室騎士団がここまで腐っているとは。一から鍛え直しだな。今いる貴族の王室騎士団の者達は全員、騎士見習いに落とす。まずはそこからスタートだ」
「畏まりました」
「それと、新たな騎士団の選抜を早めに頼む。身分は問わん。貴族でなくとも全く問題ない」
「陛下の御心のままに」


 そう答えながら宰相が陛下に礼をすると、王妃様が「後でまたお出でになるのよね……お出迎えの準備をしなくては!」と叫んで立ち上がられた。「着替えを済ませて、部屋を徹底的に掃除させて……」とぶつぶつ言いながら足早に謁見の間から出て行かれた。
 嗚呼、まだまだ苦労しそうだが……胃炎になりそうだが、この国が亡ばない事だけをただ祈るしかなかった。

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