上 下
4 / 106

04 お仕事の合間に折角『テイマー』があるので、ペットが欲しい!!

しおりを挟む
 化粧落としでまず化粧を落とし、人の気配がない事を何となく理解して、タライの上で着物と下着を脱いで、水風呂だが頭からペットボトルの水を被って洗っていく。
 お気に入りのシャンプーにコンディショナーで髪を整え、頭にタオルを巻いたら次は身体だ。
 此方もお気に入りのボディーソープで垢スリを使って身体を洗い、ペットボトルの水で軽く流して今度は顔を洗顔フォームで洗う。
 アチラの世界の商品はよく汚れが落ちるのか、沢山汚れが落ちて凄かった。
 こんなに汚れていたのかと驚いたくらいだ。
 一旦タライの中の水を排水溝に流しもう一度タライの上に立ってペットボトルの水で全身を洗い流す。
 スッキリしたところでバスタオルを使い身体を拭き、下着を着けて寝る用の着物に着替え、タライを生活魔法で乾燥させ、その他のタオルやバスタオル、着物はお取り寄せで買った洗剤と柔軟剤を使って洗う。

 丸い水の中でじゃぶじゃぶと揺れる洗濯物。
 汚れが落ちたのがスキルのお陰で分かり、終わったら次は脱水させて風魔法で乾かしていく。
 温風や熱湯で洗う事も出来るが、着物なのでそれは出来ない。
 綺麗に洗い終わり、乾燥もしっかり出来ると机の上に畳んでおいて下駄も洗って乾燥させる。
 後は朝使ったら乾燥させてアイテムボックスに入れればOKだ。


「ふう……身体が綺麗になると気持ちがいい。明日も入って次の日は5日お風呂入れないから気を付けなきゃ」


 無論生活魔法で身体を洗う事は可能だが、やはり垢スリで身体を洗いたい。
 宿屋にはシャワーはついていたが、お風呂はついていなかった。
 お風呂には入りたいなぁ……稼ごう。
 稼いで何時かは一軒家!! それを目標にしよう!!
 そう心に決めてグッスリと眠った次の日、着替えと軽い化粧を済ませるとダンさんがやって来た。
 今日もプラチナ鉱石が欲しいらしいので頑張って生成しようと思う。


「明日にはいなくなっちまうんだよなぁ」
「そうですよ」
「他にどんなスキルがあるんだ?」
「色々ありますけど、調理スキル10に生活魔法スキル9に幸運6が無難なとこですかね」
「いやいや、スキル10ってカンストだぞ」
「そうなんですね」
「は――……やっぱ嫁に来ないか?」
「嫌です」
「むう……しかし23歳だろう? この世界では22から28までは女性も男性も婚期って言われていて、早く相手見つけておかねーと、直ぐプロポーズされるぞ?」
「う……そうなんですね」


 結婚適齢期って奴なのか。何て面倒な。
 ちなみに王太子とノヴァ様には婚約者がいないらしく、貴族の女性たちはこぞってアプローチを掛けているのだとか。
 王太子は理想が高い為、大体の貴族女性たちは去って行っているらしいが……。


「あの御面相で理想が高いんですか、最悪ですね」
「ははは!」


 そう言いつつ只管プラチナ鉱石を作っていると、ダンさんは戦争をしている国の事を教えてくれた。
 なんでも【鉱石の国ノシュマン王国】と、鉱石を巡っての戦争らしく、鉱山のある山を独占しているノシュマン王国に対し、その鉱山を渡せと喧嘩を吹っかけたのがこの国である【金の国シャース王国】らしい。
【鉄の国サカマル帝国】は戦争をやめるようにシャース王国に何度も言いに来ているらしいが、プライドの高いシャース王家はそれを拒否。勝つまで戦うと言っているらしく、現在は負け戦と言われる程やられているらしい。


「金じゃ勝てないってことだな」
「お金は大事なんですけどね」
「ははは! 確かにな!」
「私、ダイヤ王国の首都についたら、何時か一軒家を買うんです。お風呂にゆっくり入りたい!」
「普通の家ならどこにでも風呂はあるからな。ダイヤの国は水も豊富だし色々豊富だ。人柄もいい奴も多いが、たまにどす黒い奴もいる。まぁ人間ならどこでもそうだろうが」
「そうですね。そう言えばテイマースキルを持っているんですが、簡単に捕まえられて楽なのって何かいます?」
「そりゃスライムだろう」
「スライムかー……欲しいなぁ」
「魔法が使えるスライムは高いが、生活魔法くらいのスライムなら安いぞ。水を出すとかしかできねぇが」
「おおおお、ダンさん、何処で買えます?」
「魔物協会に行けば自分にあった魔物を選べるが」
「スライムで良いです」
「そ、そうか。なら今から行くか? スライムも愛情込めて育てれば喋るっていうし」
「おお、今から行きましょう! でも金貨100枚で買えるかな。手切れ金って言って渡されたんですけど」
「クソ王太子……100枚もあれば大丈夫だ。明日には作って貰った鉱石の金も入る。よし、今から行こう」


 こうしてキリが良いとこまで鉱石を入れてから一緒に行くことになり、案内された魔物協会は外にあった。何でも匂いが強いらしい。
 そこで魔物協会のお姉さんに、スライムが飼いたいと伝えると「一度どの魔物と相性がいいかだけチェックしましょうね?」と笑顔で言われ、渋々通路の中へ入り、魔物たちが並ぶ中を歩いて行く。
 反応するのはスライムや鳥系、なんとなく群れを成して生活する魔物が多い気がする。
 そんな事を考えつつ最後に何やら弱っている魔物と出会った。


「この子は?」
「もうお爺ちゃんドラゴンなんですが……フェアリードラゴンって知りません?」
「知らないです」
「強さは余り無いんですが、貴族の護衛として連れている方は多いです。この子はお爺ちゃんのフェアリードラゴンで、力はあるんですがこの通りで……」


 その言葉に簡単に鑑定を使うと【レジェンドフェアリードラゴン:性格は穏やか・人語を話せる・外に出たい(衰弱)・推定年齢400歳】と出て来てたので――。


「この子は産まれてからずっとここですか?」
「森で捕まってからもう100年? くらいかなぁ。フェアリードラゴンの入れ替えをしようって話になってて、でもこの子お爺ちゃんでしょう?」
「フェアリードラゴンの寿命って幾つです?」
「500年だと聞いています。でも大体そこまで生きませんね」


 後100年もあるじゃない!! それにそこまで生きられない理由って何!?
 と思っていると、やはり護衛として外に出る事はあっても、家の中にずっといると衰弱してしまうらしく、それで死ぬことが多いらしい。


「あの、このお爺ちゃん外に出たくて衰弱中なんです。入れ替えするなら飼っても良いですか?」
「まぁ……この子もう動きませんよ?」
「最後くらいは外でと思って……」
「お優しいテイマーさんですね。この子なら金貨1枚で良いです」
「ありがとう御座います。お爺ちゃん、一緒に外に出ようね?」


 そう伝えると虚ろな目の燃えるように赤いドラゴンは顔を上げ私を見た。
 すると脳に声が届く。


『お前さん、異世界人じゃな?』
『お? テレパシー?』
『いかにも。ふむ、ワシをレジェンドドラゴンだと教えんかったのは何故じゃ』
『お外に出たいんでしょう?』
『だからか?』
『そうだけど……それ以上に理由っている?』
『ふぉっふぉっふぉ……お前さん可愛いのう。良かろう、ついて行って護衛してやろう。契約じゃ』


 そう言うと目の前に魔法陣が現れ、お姉さんは驚いていたけれど「手をかざしてください」との事だったので手をかざし、魔法陣に触れると身体の何処かがビリッと震えた。


「はい、これにて契約完了です。このお爺ちゃんはユリさんの従魔です」
「ありがとう御座います」
「後はスライムが欲しいんでしたね。ベビースライムが昨日生まれたばかりで見てみます?」
「みたいです! 選んでいいですか!?」
「どうぞー」


 そう言うと籠を開き、衰弱しているお爺ちゃんを抱っこするとスリスリと顔を寄せて来て可愛くてギュッと抱きしめてから一緒にベビースライムのケースまで向かう。
 目の前には小さなスライムが沢山いて、思わず「わぁ!!」と声が出てしまった。
 すると、一匹のベビースライムが私に近寄ってくる。


『オネエチャン ボクト ケイヤクシヨ?』
『ほほう……こ奴もワシと同じレジェンドモンスターだぞ』
『え!』
『これで成体じゃ。鑑定は多分されまいが連れていけ。色々役に立つぞ』
『お爺ちゃん、了解です!』


「この近づいてきた子にします」
「その子ですね。ベビちゃんなので気を付けて育ててあげてくださいね」
「はい、契約はどうしましょうか」
「こっちから手をかざして【テイム】って言えば良いですよ。相手が応じたら仲間になります」
「分かりました。【テイム】」


 そう言うと魔法陣が現れてから消え、身体にビリッと何かが走ると掌サイズのベビースライムの姿をした成体のレジェンドスライムを手に入れた。


「此処で従魔として登録できるので、名前を決めてあげてください」
「はい、えーっと……どうしよう」
「ユリや、ワシはお爺ちゃんでええぞ?」
「「わ!」」


 行き成り喋り出したお爺ちゃんに驚いていると、「それは名前ではありません」とお姉さんに言われ、考えた末【ホムラ】と名付けた。
 真っ赤な色が燃える炎のようだったからだ。
 スライムの方は【タキ】と名付けた。
 滝の色というか、そんなイメージが浮かんだからだ。


「ホムラにタキですね。登録しました。全て合わせて金貨50枚となります」
「うう、高い……でも我慢!」


 こうして二匹の魔物を従魔にする事になり、ホムラは抱っこされたまま、タキは頭に乗ったまま外に出てダンさんの元へと向かう。
 二匹も連れて来たので驚かれたが、事情を説明すると「外に出たかったのか」と言われ、「ユリは優しいな」と微笑むと一緒にまた倉庫まで歩いて帰った。
 そして――。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

udonlevel2
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...