23 / 29
23 最高位太陽神、子作りしようとしたら知らない嫁候補に乱入される。
しおりを挟む
そもそも、結婚生活とは――恋愛をして愛を深めた同士がするものであって、誘拐して「さぁ俺のものに!」なんて言うほうが可笑しい。
どこぞの貴族令嬢でもあるまいし、私たちは神だ。
神とは互いに恋をし、愛を育み結婚する。
エルグランド様はそこをすっ飛ばして私を攫い、妻にしたのだから。
「恋とはお互いの事を思ってドキドキしたり、触れ合ってドキドキしたりするモノなんだ。離れていても心配したり、ちょっとしたことで落ち込んだり……その、俺はフィフィにそう言う気持ちは幼少期――君に育てられていた頃からある」
「愛が重い」
「だから、フィフィも同じくらい好きになって欲しいというのが俺の気持ちだ。だから毎日囁いている愛の言葉も真実だし、辞めない」
「はぁ」
「その……それにプラスして触れ合いを深めていきたいとも思っている! フィフィは上位女神になっているから早々燃えないと……思う」
つまり自信が無いわけだな?
うっかり燃やしてしまう可能性もあると。
太陽神に燃やされると痛いんだけどな……。
そんな事が顔に出ていたのか、エルグランド様は私の手を握り、初心かって言いたくなるくらい顔を赤くしている。
表情は余り変わらないが。
「幸せになりたいんだ、一緒に」
「そうですねぇ」
「俺ももう子供ではない。オムツをしていた頃を思い出してもいい、だがそれは――将来フィフィが産む子供の姿になるかもしれない」
「子供……」
「フィフィはもう、俺以外の子供を産むことはない。フィフィから産まれる子は全て俺の子供だ。フィフィが望む子供をフィフィが産むんだ。それともフィフィは子供を産むのは嫌なのか?」
そう言われると、自分が子供を産む――と言う大役がこなせるのか不安になる。
無論いつかは……とは思うが、女神に結婚適齢期と言うモノも無ければ、出産適齢期と言うのもない。
故に気楽に考えていたのかもしれない。
子供を何人も産んで欲しいというエルグランド様の必死な気持ちも分かる。
分るけれど――。
「嫌では……ないです」
「フィフィ……」
「何分経験も何もあったもんじゃないので」
「そこは俺も同じだ。全てフィフィに捧げる為に守ってきた」
童貞か?
最高位の太陽神エルグランドが童貞……。
「エルググランド様は、童貞だから最高位まで行けたんですか?」
「男神は子供の園から出た後は修業の傍ら恋多き恋愛をする。その間に童貞なんてサッサと捨てるものだ。修行中に子供がいるというのも珍しい事ではない」
「お盛んな訳ですね」
「そう言う時に出来た子供は、子供の園に連れていかれる。俺の両親もそうだった」
「そうだったんですね」
「フィフィが俺の子供を産んだ場合、この神殿で育てることになる。乳母も沢山雇う事になるだろう」
「あくまで私がエルグランド様の子供を産んだ場合でしょう? 別の方が来る可能性もあるじゃないですか。奥方様に」
「俺はフィフィ以外を妻とは認めん」
「そうですか」
頑固だな――……。
もう一途を通り越して頑固と言うか病んでるというか、なんていうだろう、執着?
太陽神は一度執着したら大変だとは聞いてたけど、正にそうだな……・
「潔く諦めてくれた方が良い……このままだと俺は無理やり君を抱く羽目になる」
「切羽詰まってるんですね?」
「平たく言うとそうだ。下っ端女神の時はこうして触れているだけでも燃えていた手が燃えずにいる。肌を合わせても燃えないだろうというのも分かっている。これ以上もう我慢が出来ない……フィフィ」
「ちょっと待ってください、今から!?」
ベッドに押し倒され、服を脱がされ開けた姿になったその時――!!
ドアがバン! と開き、甘ったるい声が聞こえてきた。
「エルグランド様ぁ~! 貴女のフォルニャンが参りましたわぁ~!」
「「……誰?」」
「きゃ―――!!!」
「こっちは取り込みの最中だ! 誰か知らんがさっさと出て行け!」
「彼女、失神してますよ」
「は―――!?」
「お取込み中失礼します。こちらにフォルニャン様……いましたわね。連れて行きます」
「頼むぞエルナ、今から丁度子作りを、」
「しません! 誰ですかその方?」
「エルグランド様のご両親が寄こした、エルグランド様の奥方予定の人です」
「両親が!?」
「はい、何時まで経っても夫婦らしいことをしてなさそうだという事でしたが、これから正にその様子だとする予定だったのでしょう? 全く間の悪い馬鹿がきたものです」
辛辣な言葉、エルナさん怒ってます?
そんな事を言う前にタイリスもやってきて呆れた様子でフォルニャンと言う女性を抱えて出て行った。
どうやら、エルグランド様の両親が送ってきた奥方候補なのかな?
「流石にご両親が送ってきた人を送り返すのは問題では?」
「両親の心配は無用だというのに……さぁ、続きをしよう」
「気分が萎えましたよ」
「むう」
「あのフォルニャンって人をどうにかしてからだったら考えます」
「そうか! 早めにどうにかしよう!!」
そう言うとエルグランド様は意気揚々と着替えを済ませ、私を脱がせた服も着せてくれて、少し胸を揉んでから一緒に外に行ったんですが――。
「酷いですわ! あんまりですわ! わたくしと言う者がありながら!!」
そう言って駆け寄ってくる太陽神の女神らしきフォルニャンさんがエルグランド様に抱き着く前に、彼女の目の前に火柱があがり、彼女は「ヒイイイイ」と叫びながら腰を抜かした。
これから波乱が待っていそうな予感……。
どうなるのかしら。
どこぞの貴族令嬢でもあるまいし、私たちは神だ。
神とは互いに恋をし、愛を育み結婚する。
エルグランド様はそこをすっ飛ばして私を攫い、妻にしたのだから。
「恋とはお互いの事を思ってドキドキしたり、触れ合ってドキドキしたりするモノなんだ。離れていても心配したり、ちょっとしたことで落ち込んだり……その、俺はフィフィにそう言う気持ちは幼少期――君に育てられていた頃からある」
「愛が重い」
「だから、フィフィも同じくらい好きになって欲しいというのが俺の気持ちだ。だから毎日囁いている愛の言葉も真実だし、辞めない」
「はぁ」
「その……それにプラスして触れ合いを深めていきたいとも思っている! フィフィは上位女神になっているから早々燃えないと……思う」
つまり自信が無いわけだな?
うっかり燃やしてしまう可能性もあると。
太陽神に燃やされると痛いんだけどな……。
そんな事が顔に出ていたのか、エルグランド様は私の手を握り、初心かって言いたくなるくらい顔を赤くしている。
表情は余り変わらないが。
「幸せになりたいんだ、一緒に」
「そうですねぇ」
「俺ももう子供ではない。オムツをしていた頃を思い出してもいい、だがそれは――将来フィフィが産む子供の姿になるかもしれない」
「子供……」
「フィフィはもう、俺以外の子供を産むことはない。フィフィから産まれる子は全て俺の子供だ。フィフィが望む子供をフィフィが産むんだ。それともフィフィは子供を産むのは嫌なのか?」
そう言われると、自分が子供を産む――と言う大役がこなせるのか不安になる。
無論いつかは……とは思うが、女神に結婚適齢期と言うモノも無ければ、出産適齢期と言うのもない。
故に気楽に考えていたのかもしれない。
子供を何人も産んで欲しいというエルグランド様の必死な気持ちも分かる。
分るけれど――。
「嫌では……ないです」
「フィフィ……」
「何分経験も何もあったもんじゃないので」
「そこは俺も同じだ。全てフィフィに捧げる為に守ってきた」
童貞か?
最高位の太陽神エルグランドが童貞……。
「エルググランド様は、童貞だから最高位まで行けたんですか?」
「男神は子供の園から出た後は修業の傍ら恋多き恋愛をする。その間に童貞なんてサッサと捨てるものだ。修行中に子供がいるというのも珍しい事ではない」
「お盛んな訳ですね」
「そう言う時に出来た子供は、子供の園に連れていかれる。俺の両親もそうだった」
「そうだったんですね」
「フィフィが俺の子供を産んだ場合、この神殿で育てることになる。乳母も沢山雇う事になるだろう」
「あくまで私がエルグランド様の子供を産んだ場合でしょう? 別の方が来る可能性もあるじゃないですか。奥方様に」
「俺はフィフィ以外を妻とは認めん」
「そうですか」
頑固だな――……。
もう一途を通り越して頑固と言うか病んでるというか、なんていうだろう、執着?
太陽神は一度執着したら大変だとは聞いてたけど、正にそうだな……・
「潔く諦めてくれた方が良い……このままだと俺は無理やり君を抱く羽目になる」
「切羽詰まってるんですね?」
「平たく言うとそうだ。下っ端女神の時はこうして触れているだけでも燃えていた手が燃えずにいる。肌を合わせても燃えないだろうというのも分かっている。これ以上もう我慢が出来ない……フィフィ」
「ちょっと待ってください、今から!?」
ベッドに押し倒され、服を脱がされ開けた姿になったその時――!!
ドアがバン! と開き、甘ったるい声が聞こえてきた。
「エルグランド様ぁ~! 貴女のフォルニャンが参りましたわぁ~!」
「「……誰?」」
「きゃ―――!!!」
「こっちは取り込みの最中だ! 誰か知らんがさっさと出て行け!」
「彼女、失神してますよ」
「は―――!?」
「お取込み中失礼します。こちらにフォルニャン様……いましたわね。連れて行きます」
「頼むぞエルナ、今から丁度子作りを、」
「しません! 誰ですかその方?」
「エルグランド様のご両親が寄こした、エルグランド様の奥方予定の人です」
「両親が!?」
「はい、何時まで経っても夫婦らしいことをしてなさそうだという事でしたが、これから正にその様子だとする予定だったのでしょう? 全く間の悪い馬鹿がきたものです」
辛辣な言葉、エルナさん怒ってます?
そんな事を言う前にタイリスもやってきて呆れた様子でフォルニャンと言う女性を抱えて出て行った。
どうやら、エルグランド様の両親が送ってきた奥方候補なのかな?
「流石にご両親が送ってきた人を送り返すのは問題では?」
「両親の心配は無用だというのに……さぁ、続きをしよう」
「気分が萎えましたよ」
「むう」
「あのフォルニャンって人をどうにかしてからだったら考えます」
「そうか! 早めにどうにかしよう!!」
そう言うとエルグランド様は意気揚々と着替えを済ませ、私を脱がせた服も着せてくれて、少し胸を揉んでから一緒に外に行ったんですが――。
「酷いですわ! あんまりですわ! わたくしと言う者がありながら!!」
そう言って駆け寄ってくる太陽神の女神らしきフォルニャンさんがエルグランド様に抱き着く前に、彼女の目の前に火柱があがり、彼女は「ヒイイイイ」と叫びながら腰を抜かした。
これから波乱が待っていそうな予感……。
どうなるのかしら。
2
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
捕まり癒やされし異世界
波間柏
恋愛
飲んでものまれるな。
飲まれて異世界に飛んでしまい手遅れだが、そう固く決意した大学生 野々村 未来の異世界生活。
異世界から来た者は何か能力をもつはずが、彼女は何もなかった。ただ、とある声を聞き閃いた。
「これ、売れる」と。
自分の中では砂糖多めなお話です。
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる