【★完結★】下っ端女神の結婚事情 ~最高位太陽神に溺愛される~

うどん五段

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23 最高位太陽神、子作りしようとしたら知らない嫁候補に乱入される。

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そもそも、結婚生活とは――恋愛をして愛を深めた同士がするものであって、誘拐して「さぁ俺のものに!」なんて言うほうが可笑しい。
どこぞの貴族令嬢でもあるまいし、私たちは神だ。
神とは互いに恋をし、愛を育み結婚する。
エルグランド様はそこをすっ飛ばして私を攫い、妻にしたのだから。


「恋とはお互いの事を思ってドキドキしたり、触れ合ってドキドキしたりするモノなんだ。離れていても心配したり、ちょっとしたことで落ち込んだり……その、俺はフィフィにそう言う気持ちは幼少期――君に育てられていた頃からある」
「愛が重い」
「だから、フィフィも同じくらい好きになって欲しいというのが俺の気持ちだ。だから毎日囁いている愛の言葉も真実だし、辞めない」
「はぁ」
「その……それにプラスして触れ合いを深めていきたいとも思っている! フィフィは上位女神になっているから早々燃えないと……思う」


つまり自信が無いわけだな?
うっかり燃やしてしまう可能性もあると。
太陽神に燃やされると痛いんだけどな……。
そんな事が顔に出ていたのか、エルグランド様は私の手を握り、初心かって言いたくなるくらい顔を赤くしている。
表情は余り変わらないが。


「幸せになりたいんだ、一緒に」
「そうですねぇ」
「俺ももう子供ではない。オムツをしていた頃を思い出してもいい、だがそれは――将来フィフィが産む子供の姿になるかもしれない」
「子供……」
「フィフィはもう、俺以外の子供を産むことはない。フィフィから産まれる子は全て俺の子供だ。フィフィが望む子供をフィフィが産むんだ。それともフィフィは子供を産むのは嫌なのか?」


そう言われると、自分が子供を産む――と言う大役がこなせるのか不安になる。
無論いつかは……とは思うが、女神に結婚適齢期と言うモノも無ければ、出産適齢期と言うのもない。
故に気楽に考えていたのかもしれない。
子供を何人も産んで欲しいというエルグランド様の必死な気持ちも分かる。
分るけれど――。


「嫌では……ないです」
「フィフィ……」
「何分経験も何もあったもんじゃないので」
「そこは俺も同じだ。全てフィフィに捧げる為に守ってきた」


童貞か?
最高位の太陽神エルグランドが童貞……。


「エルググランド様は、童貞だから最高位まで行けたんですか?」
「男神は子供の園から出た後は修業の傍ら恋多き恋愛をする。その間に童貞なんてサッサと捨てるものだ。修行中に子供がいるというのも珍しい事ではない」
「お盛んな訳ですね」
「そう言う時に出来た子供は、子供の園に連れていかれる。俺の両親もそうだった」
「そうだったんですね」
「フィフィが俺の子供を産んだ場合、この神殿で育てることになる。乳母も沢山雇う事になるだろう」
「あくまで私がエルグランド様の子供を産んだ場合でしょう? 別の方が来る可能性もあるじゃないですか。奥方様に」
「俺はフィフィ以外を妻とは認めん」
「そうですか」


頑固だな――……。
もう一途を通り越して頑固と言うか病んでるというか、なんていうだろう、執着?
太陽神は一度執着したら大変だとは聞いてたけど、正にそうだな……・


「潔く諦めてくれた方が良い……このままだと俺は無理やり君を抱く羽目になる」
「切羽詰まってるんですね?」
「平たく言うとそうだ。下っ端女神の時はこうして触れているだけでも燃えていた手が燃えずにいる。肌を合わせても燃えないだろうというのも分かっている。これ以上もう我慢が出来ない……フィフィ」
「ちょっと待ってください、今から!?」


ベッドに押し倒され、服を脱がされ開けた姿になったその時――!!
ドアがバン! と開き、甘ったるい声が聞こえてきた。


「エルグランド様ぁ~! 貴女のフォルニャンが参りましたわぁ~!」
「「……誰?」」
「きゃ―――!!!」
「こっちは取り込みの最中だ! 誰か知らんがさっさと出て行け!」
「彼女、失神してますよ」
「は―――!?」
「お取込み中失礼します。こちらにフォルニャン様……いましたわね。連れて行きます」
「頼むぞエルナ、今から丁度子作りを、」
「しません! 誰ですかその方?」
「エルグランド様のご両親が寄こした、エルグランド様の奥方予定の人です」
「両親が!?」
「はい、何時まで経っても夫婦らしいことをしてなさそうだという事でしたが、これから正にその様子だとする予定だったのでしょう? 全く間の悪い馬鹿がきたものです」


辛辣な言葉、エルナさん怒ってます?
そんな事を言う前にタイリスもやってきて呆れた様子でフォルニャンと言う女性を抱えて出て行った。
どうやら、エルグランド様の両親が送ってきた奥方候補なのかな?


「流石にご両親が送ってきた人を送り返すのは問題では?」
「両親の心配は無用だというのに……さぁ、続きをしよう」
「気分が萎えましたよ」
「むう」
「あのフォルニャンって人をどうにかしてからだったら考えます」
「そうか! 早めにどうにかしよう!!」


そう言うとエルグランド様は意気揚々と着替えを済ませ、私を脱がせた服も着せてくれて、少し胸を揉んでから一緒に外に行ったんですが――。


「酷いですわ! あんまりですわ! わたくしと言う者がありながら!!」


そう言って駆け寄ってくる太陽神の女神らしきフォルニャンさんがエルグランド様に抱き着く前に、彼女の目の前に火柱があがり、彼女は「ヒイイイイ」と叫びながら腰を抜かした。
これから波乱が待っていそうな予感……。
どうなるのかしら。


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