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経験値は程よく溜まった。後は勇者狙いうちしつつ金稼ぎだねぇ!!
第35話 ドワーフの視察団と、エルフの視察団との契約
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彼らの言い分はかなり深刻だった。
ドワーフ王国では、武器や防具を沢山作るが、人間がそこまでして欲するものがいないらしい。
質は良いものが多いそうだが人間の国とドワーフの国が遠い為、仕入れに来る者も少ないのだとか。
そこで、魔王城で店を出したいという事を言われ、アタシは「ふむ」と口にすると悩んだ。
「売り場を作るのは簡単だよ、だが、それの見返りにアンタ達は何をくれるんだい?」
「それは国に持ち帰って決めることになりますが……」
「それ次第では売ってやらない事も無いよ」
「ありがとうございます。必ず魔王様のご期待に副えるものをご用意します」
ドワーフの方はこれで良し。
問題はエルフだった。
「エルフの第二の里をここに作らせて頂きたい」
「ダンジョンにかい?」
「現在エルフの里ではあらゆる種族のエルフが住んで居るのですが、子の出来やすいエルフはやはりいます。彼らが増えたことで食糧事情などもひっ迫していて」
「そりゃ大変だねぇ」
「ダンジョンで働かせて貰いつつ、住む場所を出して頂けたらと我が長も言っておりまして」
それは何となく予想していたから解る。だが――?
「その見返りは?」
「里を半分出して貰うのです。半分来たエルフたちの長にと……」
「ふむ……働き手は欲しかったところだしねぇ。小さな町くらいの人数なら受け入れるよ。今第五層が魔族になっているが、魔族を第六層にして、エルフを第五層に入れるくらいは可能だ」
「ありがとうございます」
「それに第二層のテコ入れもしたかったからねぇ。ただ寝るだけの場所じゃなく、武器防具の購入に洗濯屋、散髪屋も欲しいかったからね」
その辺りの痒いところに手が届かないというのは何とか解消できそうだ。
問題はドワーフの王国からの品だが――こればかりは持ち帰って貰って決めて貰うしかない。
すると――。
「魔王様は宝石がお好きでしょうか?」
「宝石? 好きだね」
「でしょうな、その大粒のダイヤを見るに、なんとも質のいいことか」
「そうだねぇ……。アタシに似合う輝かんばかりの宝石の付いた杖を持ってきたら、案を飲むよ」
「お伝えしておきましょう」
こうして話はまとまり、視察団は「もう一度コンビニに」「酒屋に」と言って消えていき、後は好きに帰って貰う事になった。
やはり美味いものこそ正義なんだねぇ……。
視察団が帰った後は第五層を第六層にし、第五層をエルフの里らしく木々の多いエリアにして家もある程度よういしてから、住民が入ってからスーパーは置く事となった。
誰もいないのに置く事なんて出来ないからね。
家は人数分足りなければまた作ればいい。
さて、面倒ごとが片付いたらダンジョンの様子を見に行くかね。
「カナデ、いつも通り鏡でダンジョンの様子を見せていおくれ」
「ええ」
アイテムボックス鏡を取り出すと、アタシ達はそのままダンジョン内を見ることにした。
ドワーフ軍団は酒屋に入り浸っているし、アイテムボックスに買えるだけの酒をぶち込んでいる。お買い上げ有難うだね。
エルフは――コンビニで爆買いしてるね。
こちらもお買い上げありがとうとしか言えない。
今日の売り上げも相当なものになりそうだね、ヒヒヒ。
「さて、冒険者たちはどうだい?」
「カジノに皆さん籠ってますね。追いだされたくないんでしょう」
「いい傾向じゃないか。日数感覚が分かんらくなるまで入れるようになればこっちのもんだがねぇ」
そうはいっても、一日に数組はカプセルホテル行きだ。
否応なしでも外に追い出されるというのを嫌程見て来た奴らからすれば、ここである程度金を稼ぐしか方法がないことを悟るだろうよ。
日に日に冒険者は膨れていった為あれからカジノエリアは更に拡張された。
ゲーセンで少し遊んでからの方が、出がいい事に気づいた者たちは、ゲーセンで遊んでからカジノに行くという事を覚えたようだ。
確実にマイナスになる事もあるが、ゲーセンで落とした金の分救いはあるからねぇ。
「このダンジョンに入って長いものは既に5日か。意外と持ってるじゃないかい?」
「でも、そろそろカプセルホテル行きがどんどん増えそうです」
「簡単には上には上がれないからねぇ。だが【魔王城ポイント】は上がっていく」
「ある程度溜まったものは第三層に……ですが、まだ当分無理そうです」
「そりゃ魔王城だよ? 簡単にクリア出来たら楽しくないじゃないか」
ドンドン金を落として貰って、ドンドン稼いだ分だけまた落として貰って、その繰り返しだ。
人間の国に本来はいる筈の金が魔王領で落とされている。
そんな事をしれば国王や他の国の王はどう思うだろうねぇ?
冒険者を引き上げる?
そう簡単にいくかね? 冒険者とは自由な生き物だ。
定期的に落とされる冒険者が戻っては魔王領の事を実しやかに囁いて広がるだろう。
――理想郷は魔王領にあると。
そうなればこっちにもの……。
まぁ、レベルの低い冒険者たちは頑張って経験値と金を稼いで来て欲しいものだがね。
ギルの町で稼げるくらいのレベルになれば、多少金を作るのも楽になるだろうし、散財するなら魔王領がいいと思わせないといけない。
既に食事や菓子類で胃袋を掴んでいるから早々変わりはしないだろう。
さて、スタンピードが起こるにはまだまだ時間が掛かるが……どうなるかね? ヒヒヒ。
まずはどんどん金を落として貰って魔王領が富めばいい。
質素倹約もここまで。
アタシが魔王になったからには、稼いだ金は同胞にも還元しないとねぇ?
そうだろう? ヒッヒッヒ。
ドワーフ王国では、武器や防具を沢山作るが、人間がそこまでして欲するものがいないらしい。
質は良いものが多いそうだが人間の国とドワーフの国が遠い為、仕入れに来る者も少ないのだとか。
そこで、魔王城で店を出したいという事を言われ、アタシは「ふむ」と口にすると悩んだ。
「売り場を作るのは簡単だよ、だが、それの見返りにアンタ達は何をくれるんだい?」
「それは国に持ち帰って決めることになりますが……」
「それ次第では売ってやらない事も無いよ」
「ありがとうございます。必ず魔王様のご期待に副えるものをご用意します」
ドワーフの方はこれで良し。
問題はエルフだった。
「エルフの第二の里をここに作らせて頂きたい」
「ダンジョンにかい?」
「現在エルフの里ではあらゆる種族のエルフが住んで居るのですが、子の出来やすいエルフはやはりいます。彼らが増えたことで食糧事情などもひっ迫していて」
「そりゃ大変だねぇ」
「ダンジョンで働かせて貰いつつ、住む場所を出して頂けたらと我が長も言っておりまして」
それは何となく予想していたから解る。だが――?
「その見返りは?」
「里を半分出して貰うのです。半分来たエルフたちの長にと……」
「ふむ……働き手は欲しかったところだしねぇ。小さな町くらいの人数なら受け入れるよ。今第五層が魔族になっているが、魔族を第六層にして、エルフを第五層に入れるくらいは可能だ」
「ありがとうございます」
「それに第二層のテコ入れもしたかったからねぇ。ただ寝るだけの場所じゃなく、武器防具の購入に洗濯屋、散髪屋も欲しいかったからね」
その辺りの痒いところに手が届かないというのは何とか解消できそうだ。
問題はドワーフの王国からの品だが――こればかりは持ち帰って貰って決めて貰うしかない。
すると――。
「魔王様は宝石がお好きでしょうか?」
「宝石? 好きだね」
「でしょうな、その大粒のダイヤを見るに、なんとも質のいいことか」
「そうだねぇ……。アタシに似合う輝かんばかりの宝石の付いた杖を持ってきたら、案を飲むよ」
「お伝えしておきましょう」
こうして話はまとまり、視察団は「もう一度コンビニに」「酒屋に」と言って消えていき、後は好きに帰って貰う事になった。
やはり美味いものこそ正義なんだねぇ……。
視察団が帰った後は第五層を第六層にし、第五層をエルフの里らしく木々の多いエリアにして家もある程度よういしてから、住民が入ってからスーパーは置く事となった。
誰もいないのに置く事なんて出来ないからね。
家は人数分足りなければまた作ればいい。
さて、面倒ごとが片付いたらダンジョンの様子を見に行くかね。
「カナデ、いつも通り鏡でダンジョンの様子を見せていおくれ」
「ええ」
アイテムボックス鏡を取り出すと、アタシ達はそのままダンジョン内を見ることにした。
ドワーフ軍団は酒屋に入り浸っているし、アイテムボックスに買えるだけの酒をぶち込んでいる。お買い上げ有難うだね。
エルフは――コンビニで爆買いしてるね。
こちらもお買い上げありがとうとしか言えない。
今日の売り上げも相当なものになりそうだね、ヒヒヒ。
「さて、冒険者たちはどうだい?」
「カジノに皆さん籠ってますね。追いだされたくないんでしょう」
「いい傾向じゃないか。日数感覚が分かんらくなるまで入れるようになればこっちのもんだがねぇ」
そうはいっても、一日に数組はカプセルホテル行きだ。
否応なしでも外に追い出されるというのを嫌程見て来た奴らからすれば、ここである程度金を稼ぐしか方法がないことを悟るだろうよ。
日に日に冒険者は膨れていった為あれからカジノエリアは更に拡張された。
ゲーセンで少し遊んでからの方が、出がいい事に気づいた者たちは、ゲーセンで遊んでからカジノに行くという事を覚えたようだ。
確実にマイナスになる事もあるが、ゲーセンで落とした金の分救いはあるからねぇ。
「このダンジョンに入って長いものは既に5日か。意外と持ってるじゃないかい?」
「でも、そろそろカプセルホテル行きがどんどん増えそうです」
「簡単には上には上がれないからねぇ。だが【魔王城ポイント】は上がっていく」
「ある程度溜まったものは第三層に……ですが、まだ当分無理そうです」
「そりゃ魔王城だよ? 簡単にクリア出来たら楽しくないじゃないか」
ドンドン金を落として貰って、ドンドン稼いだ分だけまた落として貰って、その繰り返しだ。
人間の国に本来はいる筈の金が魔王領で落とされている。
そんな事をしれば国王や他の国の王はどう思うだろうねぇ?
冒険者を引き上げる?
そう簡単にいくかね? 冒険者とは自由な生き物だ。
定期的に落とされる冒険者が戻っては魔王領の事を実しやかに囁いて広がるだろう。
――理想郷は魔王領にあると。
そうなればこっちにもの……。
まぁ、レベルの低い冒険者たちは頑張って経験値と金を稼いで来て欲しいものだがね。
ギルの町で稼げるくらいのレベルになれば、多少金を作るのも楽になるだろうし、散財するなら魔王領がいいと思わせないといけない。
既に食事や菓子類で胃袋を掴んでいるから早々変わりはしないだろう。
さて、スタンピードが起こるにはまだまだ時間が掛かるが……どうなるかね? ヒヒヒ。
まずはどんどん金を落として貰って魔王領が富めばいい。
質素倹約もここまで。
アタシが魔王になったからには、稼いだ金は同胞にも還元しないとねぇ?
そうだろう? ヒッヒッヒ。
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