上 下
31 / 74
経験値は程よく溜まった。後は勇者狙いうちしつつ金稼ぎだねぇ!!

第31話 最果ての村の村長と話し合い、協力体制を作り上げ……

しおりを挟む
 最果ての村の村長は、アタシが魔王と知って腰を抜かしていた。
 まさか魔王が住み着いているとは思わなかったからだろうねぇ。


「で、この最果ての村から魔王領のダンジョンまでの往復の馬車を出したいんだよ。無論協力してくれるだろう?」
「そ、それはその」
「村の活性化にも繋がる。これからドンドン冒険者がやってくるよ? 大金を持った冒険者の為に宿屋を作って御もてなしするのも、一つの村の活性化になると思うんだけどねぇ?」
「そ、それはそうですな!!」
「んふふ……お互い利益をだそうじゃないか。共存ってのは、大事だろう?」


 そう伝えると村長は顔を青くしながら「その通りで! その通りで!」と壊れた人形のように口にしていて、アタシは溜息を吐くとトントンと机を指で叩いた。


「こっちはもう準備は出来てるんだよ。後は村長次第。解るね?」
「お、お好きにして下さい!!」
「話が早くて助かるよ~! ダンジョンまでの乗合馬車は金貨1枚、キッチリ冒険者に伝えておくれ!」
「はいいいいい!!」


 こうして最果ての村の村長から乗合馬車の許可を貰い、既に出来上がったダンジョンに冒険者を運ぶ手筈は整った。
 既に大きな乗合馬車が数台待機しており、後は金貨1枚でダンジョンまで連れて行くようにデュラハンに伝えると、大きく会釈して金貨の入る袋を腰に添えている。無論聖魔法に弱いデュラハンの為に、聖魔法を弾き返すアクセサリーもつけているので守備は上場かね。


「さて、後はダンジョンの方だが――」


 そう言ってフォルの待つ家に入り、軽く挨拶をしてから家経由で魔王城に戻れば、各扉から好きな階に行けるようにしている為、動きやすさが良くなった。
 曾孫のカナデが手掛けたダンジョンには、一階に受付があり、奥へ入ろうとすれば透明な強化ガラスの自動ドアがあり、そこで受付して【魔王城カード】を得た者しか中に入れない仕組みになっている。
 無論拠点の中だ。壊す事なんてできやしない。
 強化ガラスから見えるコンビニは、知っている奴にしてみれば耐え難いほど魅力的に見えるだろうよ。ヒヒヒ。

 牛丼屋やカレー店、パスタ専門店にちょっとお高い焼き肉店。焼き肉店での酒は無論アタシ達のいた世界の酒が用意されている。
 酒が大好きな冒険者の為に、酒屋も用意してある。
 無論売っているのは一本に絞ろうという事でビールのみ売っているがね。
 もちろん法外な値段設定だ。
 酒好きなら嫌でも買うだろうし、日本の酒は美味いからねぇ……ヒヒヒヒヒ!


「守備はどうだい?」
「曾婆様。ええ、守備は上々。いつでも冒険者を受け入れられますよ」
「簡単なカジノ風にって言ったら、まさかこうなるとはねぇ」


 魔族に直ぐカードなどを覚えさせるのは無理だと判断したカナデは、スロットマシーンを主軸に、ジャラジャラと煩いあの店を再現した。
 ドツボにハマれば抜け出せないのは間違いないだろう。
 カジノはこれ一つで十分なのかと聞いたら、「これだけでも奴らにとっては刺激になるでしょうね」と笑っていたので、任せることにした。

 そして何よりゲーセンだ。
 女性向けや若い層の為に作られたゲーセンは兎に角広い。
 クレーンゲームに可愛いグッズ。
 コイン落としにダンスゲーム。
 こちらも煩いったらないが、ドンドン金を落とせるようにしてある。
 可愛く映れる写真の機械なんてかなり置いてあり、女性たちは挙って写真を撮っては盛り上がるだろう。

 そうなると――このダンジョン内では厳つい装備で歩くのは似つかわしくなくなる。
 その為、女性服、男性服と、アタシ達のいた世界の服が売られていて、それもまた高い値段設定だが、頭からつま先までオールセット販売にしているので、購入してオシャレを楽しみながら過ごせるという訳だ。


「一階は上々だね。二階の冒険者専用の温泉宿や高級ホテル、普通のホテルにカプセルホテルも見てきたが、あそこも中々だった」
「ありがとうございます」
「コンビニもあるから十分だね」
「ええ、大きめのコンビニを3軒用意しました」
「よしよし……金をドンドン落として貰わないとねぇ」


 クスクスと曾孫と笑い合い、第三層は雰囲気も夜の街を想定して作られていて、サキュバスやインキュバス達の犇めく娼館エリアになっている。
 その為のエロい下着売り場も作っていて、サキュバスやインキュバス達にはとても好評だった。
 無論魔物専用のコンビニは各所にある。
 後はお気に入りの娼婦や男娼に貢ぐための店も多く存在し、お気に入りになれば外に連れ出せる事も可能だ。

 また、警備に関しては武器ではなく銃を使わせるようにしている。
 所謂拳銃だね。
 武器を持って襲ってきた輩は速攻足を狙われて【魔王城カード】を没収される。
 そうなれば、金貨500枚を支払わねば二度と入ることは許されない。
 銃をリザートマン達に教えるのは、ピアとトッシュに任せた。
 警備を行うリザートマン達の為に、腕が鈍らないように射的場だって作り上げた。
 ドンドン上達しているだろう。


 また、モーダンに頼んでいた計算に強い魔族や魔人も用意され、彼らが日々入ってくる金の管理を行う。
 金の持ち逃げ禁止だが、毎日馬鹿になりそうなほどの金を目の前にしても大丈夫な者を選んだそうで――魔人となったドラゴン達だった。
 金管理はドラゴン達に頼んで、後は冒険者を待つのみとなったが、意外と早くこの魔王領に出来たダンジョンは目についたようで、デュラハンの運転する乗合馬車に乗って冒険者たちが次々訪れるようになるのに、そう時間は掛らなかった。
 アタシとカナデは冒険者の振りをしながら様子を見る事が出来たし、受付を済ませて【魔王城カード】を手にした冒険者たちが次々ダンジョンに入ってくると、真っ先にコンビニへと走っていく。

 カナデは各所の売り上げが見れるタブレットを手に「いい傾向ですね」とホクホク笑顔で口にし、冒険者たちが金を落としているのが面白いらしい。
 さて、冒険者にとってこのダンジョン――どう見えるかねぇ?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜

白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。 光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。 目を開いてみればそこは異世界だった! 魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。 あれ?武器作りって楽しいんじゃない? 武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。 なろうでも掲載中です。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...