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経験値は程よく溜まった。後は勇者狙いうちしつつ金稼ぎだねぇ!!

第29話 異世界の甘味は魔族をも虜にする

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 ゆっくりとシュークリームを手にしたルルとハデリスは、お互い顔を見合わせてから思い切りバクリとシュークリームに噛り付いた。
 途端、目を見開き「「ん――!!!」」と声を上げ、シュークリームとカナデを何度も交互に見ている。
 するとカナデは【ネットスーパー】からカフェオレを取り出すと、ストローを指してやって二人に手渡し、二人はそれもゴクゴクッと飲むと最早言葉すらないようだ。


「「…………」」
「どうです? 異世界の甘味は。美味しいでしょう?」


 そうカナデが言うと、全てを食べ切った二人は平伏している。
 ……平伏するほど美味かったらしい。


「異世界の食べ物を理解しておりませんでした事、深くお詫びいたします」
「失礼ですが……それは魔族や魔人たちも買える代物なのでしょうか?」
「ははは! いいねぇ、その反応! 安心しな、働く者たち用にお値段据え置きのコンビニを作るからそこでいくらでも買えるよ」
「「ありがとうございます!!」」
「そんなに美味なのですか?」


 そうモーダンが問いかけると、二人は言葉も出せず必死に頷いている。
 それならプリンを人数分出して、喉を潤す少し苦めの珈琲を出して食べさせてやると、全員平伏した。
 余程美味かったらしい。


「こういったものを第一層、第二層、第三層、魔王城拠点近くには作る予定だよ。第五層の住民が住むエリアには【スーパーマーケット】と言う拠点を作る予定だ。アタシ達魔王側しか食べる事の出来ない最高にうまい食事が作れたり食べられたりするようにね」
「おお……素晴らしい」
「こんなのがお値段据え置きで、ですか?」
「ああ、その通りさ」


 その言葉に肩を揺らし始める四天王とモーダン。
 次第に声をあげて笑い出し、「これは食の革命が起きますぞ!!」と興奮し、アタシとカナデはニマリと笑った。


「だがそういう拠点を作るにしても、金が要るんだよ、金が」
「なるほど、それで冒険者から金を毟り取るといっていたのですな?」
「その通り。一通り作れるだけの金は稼いできたが、継続していくには金が要る。その為には働きアリのように金を持ってせっせとやってくる冒険者に金を落として貰うって訳さ」
「なるほど。理解致しました。これだけ旨いものなら是非冒険者に金を落として貰って美味しい料理を魔族が堪能する……と言うのは大事ですね」
「その上狙えるならスタンピードも……魔王様最高です!!」


 そう言って今までツンツンしていた四天王すら手のひら変えて大賛成状態。美味いものを知ったら中々戻れないよねぇ?
 それは人間だってそう。
 だからこそ、あのギルの町で【期間限定の不可思議な店・キヌマート】を開いたんだ。
 無論、目立つダンジョンが出来れば否応なしに冒険者ギルドに連絡が行き、人間の国だけにとどまらず、獣人の国、エルフの国、ドワーフの国にも連絡が行くだろう。
 そうなれば――さらに支店を増やしても別に構わない。

 拠点で作れる【スーパーマーケット】の良さは、アイテムを補充しなくとも減った商品が補充されるという優れものだ。
 しかも補充した分だけ金が減る。
 無論入ってくる金もデカイが、減る金もそれなりにあるという事だね。

 本来は【コンビニ】もそうなのだが、美味い異世界の料理の味を覚えさせるためにワザと前回のように面倒な方法を取った。
 ダンジョンに作る【コンビニ】に関しては面倒な方法を取らず、無くなった分だけドンドン補充していく仕組みにしようと思う。
 そして月に一回の給料日に合わせてこちらが貰う金、給金で支払う金で分ければいい。ブラック企業にはしたくないが、24時間コンビニは開けておきたい為、働く者たちは厳選させて貰うよ。


「しかし、ダンジョンボスを倒そうとする者も出てくるでしょう」
「どうだろうねぇ……理想郷を捨てたい冒険者がいるとは思えないが、邪悪であるとか言ってやってくる輩はいるかも知れないね。だからこそタリスに分裂して貰ってレジェンドスライムと戦って貰う予定にしてるんだけど」
「えげつないですな」
「普通では勝てませんよ」
「我、レベル1000成り」
「うん、普通は勝てないね」


 そう、普通は勝てないのだ。
 エルフの中にはレベル高くとも500の者がいるというが、それでもレベル1000相手にするのは中々難しい。
 例えパーティを組んでいても苦戦はするだろう。
 だが、勝てる方法がないとも言い難い。それはテイムしているかどうかにかかっている。


「もしタリスの分裂が出来たら、アタシと契約をして貰いたいねぇ? 魔王城があるこのエリアを守って貰うだから」
「我、それに賛成成り」
「ありがとよ。一番の危険度は去ったかねぇ」


 アタシと契約をしておけば、横から掠め取っていく……なんて真似は出来ない。
 従魔契約とはとても強力なのだ。
 ましてや甘いもの等をタリスやトリスに与えておけば、餌につられてどこかに行くという事もない。
 体は別々でも味は感じるらしく、それで満足している所もあるからねぇ。


「そんな訳だから、一般的な住民への説明も頼みたいんだがお願いできるかい?」
「畏まりました」
「場所はこの魔王城を拠点に入れる為にここにするよ。住民の人数は知らないが、ど派手にダンジョンを作り上げるから、住みたい奴、働きたい奴はどんどん連れてきな!」
「了解しました!」
「後は計算が得意な奴を数名連れてきておくれ。目が眩むほどの金を目にしても揺るがない心の持ち主がいいねぇ?」


 こうして出来る事は伝え、アタシ達は自室へと向かい、新しく来たカナデやミツリ、トッシュの部屋も用意して貰った。
 家具に関してはアタシの好みで変えて貰ってはいるが、まぁ、今暫くはこれでいいだろう。
 無駄に部屋が広いから家具を買い始めると勿体ないからねぇ。


「さて、今頃勇者はどうしているかねぇ?」


 少々勇者の事が気になり、珈琲を飲んでからカナデの部屋に向かうと、部屋にはピアとミツリがいて驚いた。
 女性二人が一体何の用だろうかと思い首を傾げていると、二人は顔を真っ赤にしてから去っていった。


「おやおや? ハーレムかい?」
「まさか。勇者の様子が見たいと言ってきたんですよ」
「おや、ならアタシと一緒だね。まぁ出て行っちまったもんはしょうがない。二人で見ようか」
「ええ」


 こうしてあの鏡を取り出し勇者たちの様子を見てみると――。

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