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第三章 魔王様、中学時代をお過ごしになる
【閑話】微笑みのルルリア
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――ルルリアside――
毎年、体育教師がやってくれるお陰で職員室の電話は鳴りっぱなし。
只管謝罪に追われる教師たちの顔色は悪く、ほぼ一日中鳴りっぱなしの苦情の電話に加え、その件の体育教師は顔面蒼白で謝罪しまくっている。
し・か・も♡
夜は酒を飲んで晩酌していたともなれば親もブチ切れる訳よ。
馬鹿でも解るわ。
それがこの人間には分からないらしく、あの後も夜は酒だ飲み会だと騒いで「最近の生徒は弱い」と叫ぶ始末。
その結果がコレ。
「はい、泉先生ですね? 現在別の電話に対応しておりまして……え! 教育委員会会長の福田様ですか!?」
私がワザと大きな声を出すと、流石に泉は青から白に変わった。
ザマァないわね?
電話の内容はPTA総会を開くとともに、教育委員会会長もその場に立ち会い、事実確認をすると言うもの♡
今までは逃げられたけど、もう逃げられないわね。
更に生徒への暴力。
しかも女子に対して拳で殴りつけるという事案。
庇護する奴なんていないわ。
「分かりました。直ぐに校長先生に回します」
そう伝えると校長先生に電話を繋ぎ、事情を説明すると校長も慌てていて直ぐに電話を切る。
途端別の電話が掛かってくるという一日。
「も、もう終わりだ……教育委員会にPTA総会……俺は、俺は――」
「まぁ先生? したことはもう戻りませんし?」
「そうそう。自分のストレス発散に子供達を使ってコレですからね? 責任は重いですししっかり取って下さいよ?」
「俺達まで仕事が進まねぇ。いい迷惑だよ」
「ッチ」
「クソ野郎」
そう教師にまで言われメンタルはズタズタ♡
後どれくらい学校にいられるかしらね?
それにしても魔王様が心配だわ。
あの美しい御面相に痣でも出来たらコイツ殺してやろうかしら?
社会的に♡
そんな事を思いつつ電話を一日取っては謝罪しての繰り返しで、もうグッタリよ。
しかも来年うちの学校に入る子供の家からも次々電話が掛かってきてパンク状態。
学校に通っている子供たちの周辺の親からも怒りの電話。
それは三日たっても止まらなったわ。
明らかに可笑しいと思って廊下を歩いていると、そこには愛しの魔王様が私を殺した魔法使いともう一人のこちらの異世界の青年と会話している。
「東君たち、もう身体は平気?」
「あ、中野先生」
「ええ、もう平気ですよ」
「も――凄い電話だったのよ。周辺住民からの電話が酷かったのは二日目と三日目ね。ここ最近やっと落ち着いてきたけど、どうしてかしら?」
「さぁ? 私は事実しか、口にしていませんけどねぇ……?」
「まぁ、誰に話したのか教えてくれる?」
その一言に流し目で「秘密です」と微笑んだ魔王様――素敵すぎる!!!
推せる、一生推せるわ魔王様!!
中学生にしてこの色気……私がもう少し若ければ……若ければぁ!!!!
「まぁ怖い。でもあの馬鹿……コホン。泉先生にはいい薬になったんじゃないかしら? 学期末にはご退職するそうよ」
「そうなんですね」
「ええ、教員免許も剥奪。40代にして無職、この先どうやって行くのか楽しみだわ」
「新しい人生のスタートですね!」
「どんな泥臭い人生になるか楽しみじゃん」
「まぁ、明らにやり過ぎ感は否めないよな。女子生徒を男性教諭が拳で殴るとか大問題だし」
「それはそうね、そう言えば竹内君兄妹は来てるのかしら?」
「マリアは顎にヒビ。他二人は打撲だそうです」
「まぁ……」
「それで、暫く学校に来てませんね。そもそも塾があるので学校に来る必要もないと言えばないんですが」
「あら、学校って不要かしら?」
「無くてもいい機関だとは思いますよ。俺は、ですが。上の大人がどう思うかは知りません」
「手厳しいわね」
そこがまた魅力的なんだけど。
は~~魔王様本当に痺れるわ。これから毎日意地でも部活動出ようかしら。
たったの三年間しかいないだものね……ああ、アナタ様のご成長を隣で見れないなんて、ルルリアには地獄です!
「でも、中野先生は好きですよ。立派に教員の仕事を為さっていますし」
「そ、そう?」
「大人の女性と言う感じがしていいと思います」
「そりゃ私は大人だもの。大人の先生じゃないと駄目でしょう?」
「でも、可愛い所もあるのが良いんだよな!」
「浮気」
「違うし!」
「ふふふ、じゃあまたね? 先生書類持って行かないと」
「ええ、ではまた」
そう言って悲しそうにしながら魔王様の横を通り過ぎていく。
嗚呼、後ろ髪を引かれる思いだわ。
私の魔王様、何故寺に生まれてしまったの?
でも、寺に生まれたからこその、一種の弾圧のようなものがあの体育教師には来たのよね。
その魅力で沢山の方々を魅了しているのね。
魔王でも魅了して。
人間になっても魅了して。
嗚呼……私、引っ越そう。
魔王様のいるお寺の近くに家を買って引っ越そう。
そして檀家になるの。
だって、そしたらもっと魔王様の傍に居られるでしょう?
魔王様が結婚したらショックで倒れるかも知れないけど……その頃には私もいい出会いがあるかも知れないし。
「はぁ……愛しの魔王様は何故中学生なの?」
そして、何故私は大人なの?
同級生ならどれだけでも長い時間一緒にいられるのに。
人生って茨の道ね。
まぁ、最も茨の人生を歩んだのは40歳にして無職の泉元先生だけど。
ふふ……どう料理してやろうかしら?
もう少し苦しめるのも、私の趣味なのよね♡
どうお料理するか……楽しみだわ!
毎年、体育教師がやってくれるお陰で職員室の電話は鳴りっぱなし。
只管謝罪に追われる教師たちの顔色は悪く、ほぼ一日中鳴りっぱなしの苦情の電話に加え、その件の体育教師は顔面蒼白で謝罪しまくっている。
し・か・も♡
夜は酒を飲んで晩酌していたともなれば親もブチ切れる訳よ。
馬鹿でも解るわ。
それがこの人間には分からないらしく、あの後も夜は酒だ飲み会だと騒いで「最近の生徒は弱い」と叫ぶ始末。
その結果がコレ。
「はい、泉先生ですね? 現在別の電話に対応しておりまして……え! 教育委員会会長の福田様ですか!?」
私がワザと大きな声を出すと、流石に泉は青から白に変わった。
ザマァないわね?
電話の内容はPTA総会を開くとともに、教育委員会会長もその場に立ち会い、事実確認をすると言うもの♡
今までは逃げられたけど、もう逃げられないわね。
更に生徒への暴力。
しかも女子に対して拳で殴りつけるという事案。
庇護する奴なんていないわ。
「分かりました。直ぐに校長先生に回します」
そう伝えると校長先生に電話を繋ぎ、事情を説明すると校長も慌てていて直ぐに電話を切る。
途端別の電話が掛かってくるという一日。
「も、もう終わりだ……教育委員会にPTA総会……俺は、俺は――」
「まぁ先生? したことはもう戻りませんし?」
「そうそう。自分のストレス発散に子供達を使ってコレですからね? 責任は重いですししっかり取って下さいよ?」
「俺達まで仕事が進まねぇ。いい迷惑だよ」
「ッチ」
「クソ野郎」
そう教師にまで言われメンタルはズタズタ♡
後どれくらい学校にいられるかしらね?
それにしても魔王様が心配だわ。
あの美しい御面相に痣でも出来たらコイツ殺してやろうかしら?
社会的に♡
そんな事を思いつつ電話を一日取っては謝罪しての繰り返しで、もうグッタリよ。
しかも来年うちの学校に入る子供の家からも次々電話が掛かってきてパンク状態。
学校に通っている子供たちの周辺の親からも怒りの電話。
それは三日たっても止まらなったわ。
明らかに可笑しいと思って廊下を歩いていると、そこには愛しの魔王様が私を殺した魔法使いともう一人のこちらの異世界の青年と会話している。
「東君たち、もう身体は平気?」
「あ、中野先生」
「ええ、もう平気ですよ」
「も――凄い電話だったのよ。周辺住民からの電話が酷かったのは二日目と三日目ね。ここ最近やっと落ち着いてきたけど、どうしてかしら?」
「さぁ? 私は事実しか、口にしていませんけどねぇ……?」
「まぁ、誰に話したのか教えてくれる?」
その一言に流し目で「秘密です」と微笑んだ魔王様――素敵すぎる!!!
推せる、一生推せるわ魔王様!!
中学生にしてこの色気……私がもう少し若ければ……若ければぁ!!!!
「まぁ怖い。でもあの馬鹿……コホン。泉先生にはいい薬になったんじゃないかしら? 学期末にはご退職するそうよ」
「そうなんですね」
「ええ、教員免許も剥奪。40代にして無職、この先どうやって行くのか楽しみだわ」
「新しい人生のスタートですね!」
「どんな泥臭い人生になるか楽しみじゃん」
「まぁ、明らにやり過ぎ感は否めないよな。女子生徒を男性教諭が拳で殴るとか大問題だし」
「それはそうね、そう言えば竹内君兄妹は来てるのかしら?」
「マリアは顎にヒビ。他二人は打撲だそうです」
「まぁ……」
「それで、暫く学校に来てませんね。そもそも塾があるので学校に来る必要もないと言えばないんですが」
「あら、学校って不要かしら?」
「無くてもいい機関だとは思いますよ。俺は、ですが。上の大人がどう思うかは知りません」
「手厳しいわね」
そこがまた魅力的なんだけど。
は~~魔王様本当に痺れるわ。これから毎日意地でも部活動出ようかしら。
たったの三年間しかいないだものね……ああ、アナタ様のご成長を隣で見れないなんて、ルルリアには地獄です!
「でも、中野先生は好きですよ。立派に教員の仕事を為さっていますし」
「そ、そう?」
「大人の女性と言う感じがしていいと思います」
「そりゃ私は大人だもの。大人の先生じゃないと駄目でしょう?」
「でも、可愛い所もあるのが良いんだよな!」
「浮気」
「違うし!」
「ふふふ、じゃあまたね? 先生書類持って行かないと」
「ええ、ではまた」
そう言って悲しそうにしながら魔王様の横を通り過ぎていく。
嗚呼、後ろ髪を引かれる思いだわ。
私の魔王様、何故寺に生まれてしまったの?
でも、寺に生まれたからこその、一種の弾圧のようなものがあの体育教師には来たのよね。
その魅力で沢山の方々を魅了しているのね。
魔王でも魅了して。
人間になっても魅了して。
嗚呼……私、引っ越そう。
魔王様のいるお寺の近くに家を買って引っ越そう。
そして檀家になるの。
だって、そしたらもっと魔王様の傍に居られるでしょう?
魔王様が結婚したらショックで倒れるかも知れないけど……その頃には私もいい出会いがあるかも知れないし。
「はぁ……愛しの魔王様は何故中学生なの?」
そして、何故私は大人なの?
同級生ならどれだけでも長い時間一緒にいられるのに。
人生って茨の道ね。
まぁ、最も茨の人生を歩んだのは40歳にして無職の泉元先生だけど。
ふふ……どう料理してやろうかしら?
もう少し苦しめるのも、私の趣味なのよね♡
どうお料理するか……楽しみだわ!
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