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第三章 魔王様、中学時代をお過ごしになる
93 魔王様、キャンプを初体験しつつ、キャンプ料理を作り始める。
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GW初日、早朝学校に集まり半日キャンプをするべく前世ではサキュバスのルルリアが点呼を取り、いざハーマスキャンプ場へ全員で自転車を漕ぎだした。
ここから自転車で一時間半程で到着するハーマスキャンプ場は、初心者に優しいキャンプ場だ。
人気も高い為、ルルリアが前もって半日の予約を学校の名で取っていた為、何とか滑り込むことが出来たらしい。
近年、キャンプはとても人気が高い。
キャンプアニメや漫画もそうだが、所謂ソロでキャンプをすると言うのもブームとなっており、大型連休だけではなく、平日でもキャンプは人出が多い人気になりつつある。
また、キャンプ道具は物によっては防災の際に役立つものも多い為、あって損はないと言う考えも根強くなっているようだ。
リュックひとつでキャンプが出来ると思うと、それだけで我も子供の様にワクワクする。
新しい魔法薬が出来た時とは違う、子供らしいワクワク感だ。
兄上と過ごした時期のような……懐かしい気分にもなるのだ。
そんな事を考えながら走る事一時間半で到着したハーマスキャンプ場の駐輪場に自転車を止めると、各自リュックや必要な物が入った鞄を持ってテントを張る実施を行う。
キャンプは地面が平らであることが理想とされており、傾斜がある場合は寝る時の頭の位置を考えなくてはならない。
また、日差しも厄介なもので、方角を見定めてテントを張るのは大事なことだそうだ。
「また、ランプの明かりが勿体ないと思うなら、電灯のある場所をテントにすると言うのも一つの手だ。ただし寝る時は明かりが眩しくて中々寝付けない等と言うデメリットはどうしてもあるけれどね」
そう部長が語ると、大きく開けた場所を借りれているし地面も均されたキャンプ場ではあるので、各自好きな場所にテントを組み立てていく。
無論アキラと魔法使いは我の隣を陣取っていたが、魔法使いの所は一年と三年が更に群がり、途中移動をせざるを得なかった。
「恵は顔だけは美少女だからなぁ」
「そうですね、顔だけは美少女の様な顔つきですから男性に人気が高いですね」
「酷いなぁ。この美貌は生まれ持った才能だよ?」
「「はいはい」」
「少しはアキラも祐一郎も僕を敬って欲しいものだよ?」
「敬ってますよ。何時もお寺の手伝いありがとう御座います」
「その内男から愛の告白を受ける日がくるんだろうな!」
「小雪を絶対奪うからね」
「止めろよ!」
「そういう事は、小雪の兄の前で言わないで頂きたい」
勇者がモテるのは光属性故なのか否か……困った妹なのだがな。
最近生理が始まったそうで、最初はトイレで悲鳴を上げたので慌てていったら、アワアワと事情を説明した為、前もって用意して買っておいたナプキンを手渡し、パンツを受け取って血を洗い流しながら初めての生理パンツに戸惑いつつ……と言う事があった。
我の人生において、女性のパンツを洗うと言うのは勇者のパンツくらいしか経験が無い事だが……あんなに幼かった勇者がもう生理かと思うと感慨深いものがあったな。
お祝いに奮発してステーキを焼いたのも懐かしい。
そんな事を思いつつ再度テントを張り、中を確認し、寝袋も敷いてみて寝心地をチェックしていると、確かに狭い空間に一人で寝れるドーム型のテントを買って良かったと思う。
一般的なものだとデッドスペースが出来て余り宜しくないと言う情報を手に入れておいて良かった。
外で寝る……と言うのは案外開放的でもあり、夜はどうなるのだろうか。
大人数で過ごすとなれば寂しさも無いだろうが、夜一人でソロキャンプをした際には、満点の夜空の中で一人瞑想をするのは気分がいいかも知れんな。
いや、それでは家の寺の縁側でするのと余り変わりはないか。
だが、場所が違えば色々と勝っても違うだろう。
焚火の燃える音や木が少しだけ爆ぜる音、自然と言うオーケストラの中での瞑想はきっと心地が良い……と思いたい。焚火が無いだけで寺と余り変わりがないと思うと、少しアレだが。
「祐一郎~…って、もう寝袋に入ってチェック入れてるの?」
「ええ、意外と寝心地は良いですよ」
「へぇ……ドーム型買えばよかったな~。僕の所デッドスペースだらけでさー」
「ドーム型が欲しかったので、安く手に入って良かったですよ」
「俺色で選んだのは失敗したな」
「そういう失敗もまた成功のうちです。それよりどうしました?」
「綺麗にテントが張れてるから、そろそろ料理に挑戦しようって話になってて」
「分かりました。行きましょう」
そう言うと、大事なものを入れた鞄と家にあった小さなクーラーボックスを手に皆が集まっている場所に行くと、既に料理で悪戦苦闘している姿が見える。
「中野先生料理教えてくださいよ~~!」
「ダーメ♪ 先生料理出来ない人なの知ってるでしょ?」
「あああああ、焦がしちゃいますよおお!!」
「それは部長の分ね」
「酷い有様ですね。阿鼻叫喚じゃないですか」
「やほー! 東君は料理出来るかなー?」
「料理は祐一郎美味いんですよ! 小学校の頃からしてたし、幼稚園の妹のキャラ弁だって作ってましたから!」
「へ~~……それはそれは、そつなくこなす所は昔とあまり変わらないのねー?」
「先生って祐一郎の親戚か何かですか?」
「んふ。女性は秘密が多い生き物なのよ? ねぇ? 祐一郎くん?」
「そうですね。では、中野先生が、買ってきた食材を見せて頂いても?」
「どうぞどうぞ」
そう言うと我は買い物袋から諸々取り出し、暫く考え込むと料理を作るフライパン及び道具もチェックを入れた。
なるほど、一人で料理が作れるように金は掛けてでも教え込むスタイルか。
確かに実践できなければ意味がない。
故に――。
「あ――焦げたぁぁぁぁぁああ!!」
「程よい火加減ってなに!?」
「焚火での料理ってこんなに難しいっけ!? 焼き芋しかしたことねーよ!!」
と、まぁ、さもありなん。
男子で料理をすると言う事自体が珍しい事だろうし、魔法使いはと言うと――。
「僕食べる専門なんだよねぇ……」
と険しい顔をし、アキラの方はと言うと――既に食材を選んで料理している。
切り方は大雑把だが、アキラな何でもそつなくこなすタイプなのだ。
故にアキラは料理が出来る。
「良いでしょう。私も料理を作り始めますか」
「お、何を作るのかな?」
「さんまのかば焼き缶詰を使って、ピザを作ります」
「へぇ……」
「残ってる材料頂きますよ」
こうして、一人分の材料で作ればいいだけならば簡単な、缶詰を使ったピザを作ることにしたのだった。
=================
お越しくださいりありがとう御座います!
キャンプって人気高いですよね。
予約取ろうとしたら3か月前から取らないと取れないとか……。
面白いなと思ったら応援よろしくお願いします!
ここから自転車で一時間半程で到着するハーマスキャンプ場は、初心者に優しいキャンプ場だ。
人気も高い為、ルルリアが前もって半日の予約を学校の名で取っていた為、何とか滑り込むことが出来たらしい。
近年、キャンプはとても人気が高い。
キャンプアニメや漫画もそうだが、所謂ソロでキャンプをすると言うのもブームとなっており、大型連休だけではなく、平日でもキャンプは人出が多い人気になりつつある。
また、キャンプ道具は物によっては防災の際に役立つものも多い為、あって損はないと言う考えも根強くなっているようだ。
リュックひとつでキャンプが出来ると思うと、それだけで我も子供の様にワクワクする。
新しい魔法薬が出来た時とは違う、子供らしいワクワク感だ。
兄上と過ごした時期のような……懐かしい気分にもなるのだ。
そんな事を考えながら走る事一時間半で到着したハーマスキャンプ場の駐輪場に自転車を止めると、各自リュックや必要な物が入った鞄を持ってテントを張る実施を行う。
キャンプは地面が平らであることが理想とされており、傾斜がある場合は寝る時の頭の位置を考えなくてはならない。
また、日差しも厄介なもので、方角を見定めてテントを張るのは大事なことだそうだ。
「また、ランプの明かりが勿体ないと思うなら、電灯のある場所をテントにすると言うのも一つの手だ。ただし寝る時は明かりが眩しくて中々寝付けない等と言うデメリットはどうしてもあるけれどね」
そう部長が語ると、大きく開けた場所を借りれているし地面も均されたキャンプ場ではあるので、各自好きな場所にテントを組み立てていく。
無論アキラと魔法使いは我の隣を陣取っていたが、魔法使いの所は一年と三年が更に群がり、途中移動をせざるを得なかった。
「恵は顔だけは美少女だからなぁ」
「そうですね、顔だけは美少女の様な顔つきですから男性に人気が高いですね」
「酷いなぁ。この美貌は生まれ持った才能だよ?」
「「はいはい」」
「少しはアキラも祐一郎も僕を敬って欲しいものだよ?」
「敬ってますよ。何時もお寺の手伝いありがとう御座います」
「その内男から愛の告白を受ける日がくるんだろうな!」
「小雪を絶対奪うからね」
「止めろよ!」
「そういう事は、小雪の兄の前で言わないで頂きたい」
勇者がモテるのは光属性故なのか否か……困った妹なのだがな。
最近生理が始まったそうで、最初はトイレで悲鳴を上げたので慌てていったら、アワアワと事情を説明した為、前もって用意して買っておいたナプキンを手渡し、パンツを受け取って血を洗い流しながら初めての生理パンツに戸惑いつつ……と言う事があった。
我の人生において、女性のパンツを洗うと言うのは勇者のパンツくらいしか経験が無い事だが……あんなに幼かった勇者がもう生理かと思うと感慨深いものがあったな。
お祝いに奮発してステーキを焼いたのも懐かしい。
そんな事を思いつつ再度テントを張り、中を確認し、寝袋も敷いてみて寝心地をチェックしていると、確かに狭い空間に一人で寝れるドーム型のテントを買って良かったと思う。
一般的なものだとデッドスペースが出来て余り宜しくないと言う情報を手に入れておいて良かった。
外で寝る……と言うのは案外開放的でもあり、夜はどうなるのだろうか。
大人数で過ごすとなれば寂しさも無いだろうが、夜一人でソロキャンプをした際には、満点の夜空の中で一人瞑想をするのは気分がいいかも知れんな。
いや、それでは家の寺の縁側でするのと余り変わりはないか。
だが、場所が違えば色々と勝っても違うだろう。
焚火の燃える音や木が少しだけ爆ぜる音、自然と言うオーケストラの中での瞑想はきっと心地が良い……と思いたい。焚火が無いだけで寺と余り変わりがないと思うと、少しアレだが。
「祐一郎~…って、もう寝袋に入ってチェック入れてるの?」
「ええ、意外と寝心地は良いですよ」
「へぇ……ドーム型買えばよかったな~。僕の所デッドスペースだらけでさー」
「ドーム型が欲しかったので、安く手に入って良かったですよ」
「俺色で選んだのは失敗したな」
「そういう失敗もまた成功のうちです。それよりどうしました?」
「綺麗にテントが張れてるから、そろそろ料理に挑戦しようって話になってて」
「分かりました。行きましょう」
そう言うと、大事なものを入れた鞄と家にあった小さなクーラーボックスを手に皆が集まっている場所に行くと、既に料理で悪戦苦闘している姿が見える。
「中野先生料理教えてくださいよ~~!」
「ダーメ♪ 先生料理出来ない人なの知ってるでしょ?」
「あああああ、焦がしちゃいますよおお!!」
「それは部長の分ね」
「酷い有様ですね。阿鼻叫喚じゃないですか」
「やほー! 東君は料理出来るかなー?」
「料理は祐一郎美味いんですよ! 小学校の頃からしてたし、幼稚園の妹のキャラ弁だって作ってましたから!」
「へ~~……それはそれは、そつなくこなす所は昔とあまり変わらないのねー?」
「先生って祐一郎の親戚か何かですか?」
「んふ。女性は秘密が多い生き物なのよ? ねぇ? 祐一郎くん?」
「そうですね。では、中野先生が、買ってきた食材を見せて頂いても?」
「どうぞどうぞ」
そう言うと我は買い物袋から諸々取り出し、暫く考え込むと料理を作るフライパン及び道具もチェックを入れた。
なるほど、一人で料理が作れるように金は掛けてでも教え込むスタイルか。
確かに実践できなければ意味がない。
故に――。
「あ――焦げたぁぁぁぁぁああ!!」
「程よい火加減ってなに!?」
「焚火での料理ってこんなに難しいっけ!? 焼き芋しかしたことねーよ!!」
と、まぁ、さもありなん。
男子で料理をすると言う事自体が珍しい事だろうし、魔法使いはと言うと――。
「僕食べる専門なんだよねぇ……」
と険しい顔をし、アキラの方はと言うと――既に食材を選んで料理している。
切り方は大雑把だが、アキラな何でもそつなくこなすタイプなのだ。
故にアキラは料理が出来る。
「良いでしょう。私も料理を作り始めますか」
「お、何を作るのかな?」
「さんまのかば焼き缶詰を使って、ピザを作ります」
「へぇ……」
「残ってる材料頂きますよ」
こうして、一人分の材料で作ればいいだけならば簡単な、缶詰を使ったピザを作ることにしたのだった。
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