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第二章 魔王様、小学校六年生をお過ごしになる
68 魔王様達は、小学校最後の夏祭りに挑まれる①
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小学校最後のイベントの次の日、夏祭りに着る浴衣が届いた。
ほぼ毎年と言っていい程、勇者は祖父たちから浴衣を作って貰っている。
今回は何時もとは違い、鮮やかな紺に大輪のヒマワリが咲いた浴衣を作って貰ったようだ。
我はいつも通りの着流しで、色も別段代り映えはない。
「意外にも似合いますね」
「そうだろう、そうだろう! 私も少しはお姉さんになったと言う事だ!」
「ワシらも浴衣を持ってくればよかったのう……」
「そうですわね、艶やかな赤と言うのも捨てがたいですわ」
「リンゴ飴をウッカリ落としても分かりづらそうな色合いですね」
サラリと口にすると僧侶が笑顔で肘鉄をくらわしてきたが、寸でのところで手のひらで押し返す。
我の将来の妻が聖女であることが分かってからと言うもの、双子の攻撃が凄まじい。
それでも、刺激がない日々に刺激が少しだけ追加されたと思えば楽しいものだが。
だが、初デートと洒落込むには丁度いい浴衣だろう。
派手でもなく地味でもなく、それでも勇者の可愛さを前面に打ち出している。
(アキラが我慢できなくなって手を出さなければ良いですが)
理性と本能の戦いが起きそうな予感がする。
オスの本能と理性の戦いは、我にも経験がある。それはもう豊富にある。
時折寺にやってくる聖女が愛らしくて仕方ないからだ。
匂いもさることながら、いつの間にか追い抜いた我の背から、上から見る胸の破壊力と言うのは素晴らしいの一言に尽きる。
顔をうずめていたあの頃が懐かしい。寧ろ今それをしたい。
だが――今やるのはアウトだ。
それが理性と言う雁字搦めの鎖で何とか堪えている状態である。
勇者も一般的に見れば可愛い分類だろう。
そのまま大きく育ち、それなりに無い胸が膨らめばアキラも興奮するのだろうな。
同じオスとして、オス仲間として迎え入れよう。
おっぱいは正義であると。
そんな邪な考えをしていたからか、はしゃぐ勇者以外の双子の厳しい視線に気が付いた。
「何です。言いたいことがあるのなら言いなさい」
「何やら不穏な気配を察知しましたわ」
「ああ、とてもイヤラシイことじゃな」
「あなた方が知らなくて良い事です。安心なさい、勇者に対してではありませんしあなた方に対してでもありません」
「「くっ」」
「早くあなた方にもお婿さんと言う者が現れれば宜しいですねぇ……デートの一つや二つくらいは、ね? せめてして見せてくださいね」
「失礼ですわ!」
「ワシらに掛かれば男なんぞ!」
「私と魔法使いに振られたのに?」
「「……ちくしょう」」
完全論破。
自分たちの追い求める男性像、いいえ、理想が高い故に、早々現われはしないでしょう。
大変ご愁傷様です。
身の丈に合った男性と大恋愛して頂きたいものですね。
「これで明日の夏祭りは完璧だ!」
「小雪、遅くならないようにしてね?」
「門限は21時じゃぞ」
「わかっている! 腕時計も持って行くし、スマホの時計に帰りの時間をセットするから大丈夫だ! それにアキラと一緒に行くしな!」
「アキラ君と一緒なら安全ね」
「彼はシッカリしているからな」
「楽しんでくるんだぞ」
「もちろんだとも!」
ここで「デートなんですよね」なんて言ってしまえば大変な事になるのは目に見えているのでグッと呑み込むと、我は部屋に戻り買って貰った着流しを脱ぎ作務衣に着替えた。
今日は昨日の疲れが残っているだろうからと、休みを貰っているのだ。
久々に瞑想をするのも悪くない。
ここ最近は双子の到来で瞑想をする暇がなく、若干ストレス気味だった。
今日は思う存分瞑想の時間を作り、ストレス発散しよう。
そう思い、フッと息を吐いて瞑想を初めて数分後――。
「何ですって!?」
大きな声で叫ぶ母の声が聞こえ、何事かと目を開けてしまった。
どうやら電話中らしく、その声は真剣そのものである。
耳を澄ませて電話口の母の言葉を拾ってみると――。
「ええ……えぇ……そうなんですね……。分かりました。でも確実な情報では無いのでしょう? でも気をつけておかないといけませんね。ええ、小雪にはシッカリと……ええ、そうします」
勇者に対してのナニカあったのか?
母の慌て具合から、余りいい話ではないようだが……。
そう思い階段を降りると、勇者もどうやら呼ばれていた様で、今で我と勇者に魔法使い、そして双子が揃い顔面蒼白の母が語りだした。
「恵ちゃんと葉月ちゃんと皐月ちゃんは知らないと思うけど、実は長谷川くんをこの近くで見たって言う情報がさっき来たの」
「長谷川が? 遠い他県に引っ越したのでは無かったのですか?」
「それが完全に長谷川くんだとは言い切れない情報で……。周囲の人たちも気を付けてみてはくれているんだけれど」
「長谷川って、例のアレ?」
「ですね」
「見間違えなら良いんだけれど、注意してくださいって連絡があったのよ」
母も父も祖父も心配するのは仕方のない事だ。
あの事件以降、長谷川と言う名前は我が家では禁句だったのだから。
此処から遠い他県に引っ越し、二度とこの地域には入らないと徹底して約束を交わして引っ越していったのに、まさかアイツだけが戻ってきているのか?
――家出。とも取れますね。
かと言って、今更勇者とアキラのデートを台無しにすることも出来ない。
ならば、我がすべきことは、涙を呑んですべきことは唯一つ。
「仕方ありませんね。私も久しぶりに心寿とのデートの予定でしたが、今回は事情が事情なだけに、私と恵さん、そこの双子と千寿とで夏祭りに行きましょう」
「祐一郎、本当にデートはいいのか?」
「後で事情をお話しします。双子も宜しいですね」
「「はい!」」
こうして夏祭りに我と一緒に行動する面子を集めると、双子は「聖女様とご対面できるうえに一緒に行動が出来る!」と喜んでいたが、魔法使いは複雑そうだ。
「何も魔王が僕たちまで面倒見なくてもいいのに」
「いえ、僧侶も武闘家もこっちに来ているのに、聖女に会えぬままというのも可哀そうでしょう。それに、狙いが二つに分かれていれば、特に女性が多い方が、仮に長谷川が居たとして、狙いやすいのは女性が多い面子です」
「そうなのか?」
「考えてもみなさい。あれから時が経っているのです。この双子に去年一昨年の勇者の浴衣を着せて化粧を片方、勇者に似せて動けば問題はありません。全員で移動していると思うでしょう」
「で、本当に長谷川が現れたら」
「潰しましょうね、全力で」
笑顔でそう告げると魔法使いは「オーケーオーケー!」と乗り気になり、餌となる双子には聖女と過ごせると言うだけでマイナスどころかプラスだろう。
更に言えば、この双子用の護衛を陰に付けておけば問題はない。
裏社会の人間の護衛とか最高じゃないですか。
「そう言う訳で、聖女には私の方から謝罪し、事の内容を話して皆さんで行動します。勝手な振る舞いは許しませんよ。いいですね?」
「「「はーい」」」
「以上、解散!」
――こうして夏祭り当日、夕方から始まる祭りにあわせて我々は動き出す。
本当なら長谷川が居ないほうが安心できるのだが、不確かな情報で何の対処もせず動くのは危険だ。
あの事件を知っているからこそ、そう思えるようになった。
各自浴衣を着て、僧侶の方に勇者に似せた化粧を施し、武闘家の方には双子でも別のイメージに繋がる化粧を施して完了だ。
後は全員で会場まで向かえばいい。
「さて、皆さん行きますよ」
「僕はエンジ色の着流しとか初めて着るよ」
「魔法使いさん、お似合いですわ」
「色気があるのう……危険な色気じゃ」
「危険な色気……」
不穏な言葉を吐かれ遠い目をする魔法使いに心で合掌し、勇者はアキラが迎えに来るまで家で待つと言う事で先に聖女を迎えに行き夏祭りに向かう。
――どうか、勘違いの情報であるように祈りながら……。
ほぼ毎年と言っていい程、勇者は祖父たちから浴衣を作って貰っている。
今回は何時もとは違い、鮮やかな紺に大輪のヒマワリが咲いた浴衣を作って貰ったようだ。
我はいつも通りの着流しで、色も別段代り映えはない。
「意外にも似合いますね」
「そうだろう、そうだろう! 私も少しはお姉さんになったと言う事だ!」
「ワシらも浴衣を持ってくればよかったのう……」
「そうですわね、艶やかな赤と言うのも捨てがたいですわ」
「リンゴ飴をウッカリ落としても分かりづらそうな色合いですね」
サラリと口にすると僧侶が笑顔で肘鉄をくらわしてきたが、寸でのところで手のひらで押し返す。
我の将来の妻が聖女であることが分かってからと言うもの、双子の攻撃が凄まじい。
それでも、刺激がない日々に刺激が少しだけ追加されたと思えば楽しいものだが。
だが、初デートと洒落込むには丁度いい浴衣だろう。
派手でもなく地味でもなく、それでも勇者の可愛さを前面に打ち出している。
(アキラが我慢できなくなって手を出さなければ良いですが)
理性と本能の戦いが起きそうな予感がする。
オスの本能と理性の戦いは、我にも経験がある。それはもう豊富にある。
時折寺にやってくる聖女が愛らしくて仕方ないからだ。
匂いもさることながら、いつの間にか追い抜いた我の背から、上から見る胸の破壊力と言うのは素晴らしいの一言に尽きる。
顔をうずめていたあの頃が懐かしい。寧ろ今それをしたい。
だが――今やるのはアウトだ。
それが理性と言う雁字搦めの鎖で何とか堪えている状態である。
勇者も一般的に見れば可愛い分類だろう。
そのまま大きく育ち、それなりに無い胸が膨らめばアキラも興奮するのだろうな。
同じオスとして、オス仲間として迎え入れよう。
おっぱいは正義であると。
そんな邪な考えをしていたからか、はしゃぐ勇者以外の双子の厳しい視線に気が付いた。
「何です。言いたいことがあるのなら言いなさい」
「何やら不穏な気配を察知しましたわ」
「ああ、とてもイヤラシイことじゃな」
「あなた方が知らなくて良い事です。安心なさい、勇者に対してではありませんしあなた方に対してでもありません」
「「くっ」」
「早くあなた方にもお婿さんと言う者が現れれば宜しいですねぇ……デートの一つや二つくらいは、ね? せめてして見せてくださいね」
「失礼ですわ!」
「ワシらに掛かれば男なんぞ!」
「私と魔法使いに振られたのに?」
「「……ちくしょう」」
完全論破。
自分たちの追い求める男性像、いいえ、理想が高い故に、早々現われはしないでしょう。
大変ご愁傷様です。
身の丈に合った男性と大恋愛して頂きたいものですね。
「これで明日の夏祭りは完璧だ!」
「小雪、遅くならないようにしてね?」
「門限は21時じゃぞ」
「わかっている! 腕時計も持って行くし、スマホの時計に帰りの時間をセットするから大丈夫だ! それにアキラと一緒に行くしな!」
「アキラ君と一緒なら安全ね」
「彼はシッカリしているからな」
「楽しんでくるんだぞ」
「もちろんだとも!」
ここで「デートなんですよね」なんて言ってしまえば大変な事になるのは目に見えているのでグッと呑み込むと、我は部屋に戻り買って貰った着流しを脱ぎ作務衣に着替えた。
今日は昨日の疲れが残っているだろうからと、休みを貰っているのだ。
久々に瞑想をするのも悪くない。
ここ最近は双子の到来で瞑想をする暇がなく、若干ストレス気味だった。
今日は思う存分瞑想の時間を作り、ストレス発散しよう。
そう思い、フッと息を吐いて瞑想を初めて数分後――。
「何ですって!?」
大きな声で叫ぶ母の声が聞こえ、何事かと目を開けてしまった。
どうやら電話中らしく、その声は真剣そのものである。
耳を澄ませて電話口の母の言葉を拾ってみると――。
「ええ……えぇ……そうなんですね……。分かりました。でも確実な情報では無いのでしょう? でも気をつけておかないといけませんね。ええ、小雪にはシッカリと……ええ、そうします」
勇者に対してのナニカあったのか?
母の慌て具合から、余りいい話ではないようだが……。
そう思い階段を降りると、勇者もどうやら呼ばれていた様で、今で我と勇者に魔法使い、そして双子が揃い顔面蒼白の母が語りだした。
「恵ちゃんと葉月ちゃんと皐月ちゃんは知らないと思うけど、実は長谷川くんをこの近くで見たって言う情報がさっき来たの」
「長谷川が? 遠い他県に引っ越したのでは無かったのですか?」
「それが完全に長谷川くんだとは言い切れない情報で……。周囲の人たちも気を付けてみてはくれているんだけれど」
「長谷川って、例のアレ?」
「ですね」
「見間違えなら良いんだけれど、注意してくださいって連絡があったのよ」
母も父も祖父も心配するのは仕方のない事だ。
あの事件以降、長谷川と言う名前は我が家では禁句だったのだから。
此処から遠い他県に引っ越し、二度とこの地域には入らないと徹底して約束を交わして引っ越していったのに、まさかアイツだけが戻ってきているのか?
――家出。とも取れますね。
かと言って、今更勇者とアキラのデートを台無しにすることも出来ない。
ならば、我がすべきことは、涙を呑んですべきことは唯一つ。
「仕方ありませんね。私も久しぶりに心寿とのデートの予定でしたが、今回は事情が事情なだけに、私と恵さん、そこの双子と千寿とで夏祭りに行きましょう」
「祐一郎、本当にデートはいいのか?」
「後で事情をお話しします。双子も宜しいですね」
「「はい!」」
こうして夏祭りに我と一緒に行動する面子を集めると、双子は「聖女様とご対面できるうえに一緒に行動が出来る!」と喜んでいたが、魔法使いは複雑そうだ。
「何も魔王が僕たちまで面倒見なくてもいいのに」
「いえ、僧侶も武闘家もこっちに来ているのに、聖女に会えぬままというのも可哀そうでしょう。それに、狙いが二つに分かれていれば、特に女性が多い方が、仮に長谷川が居たとして、狙いやすいのは女性が多い面子です」
「そうなのか?」
「考えてもみなさい。あれから時が経っているのです。この双子に去年一昨年の勇者の浴衣を着せて化粧を片方、勇者に似せて動けば問題はありません。全員で移動していると思うでしょう」
「で、本当に長谷川が現れたら」
「潰しましょうね、全力で」
笑顔でそう告げると魔法使いは「オーケーオーケー!」と乗り気になり、餌となる双子には聖女と過ごせると言うだけでマイナスどころかプラスだろう。
更に言えば、この双子用の護衛を陰に付けておけば問題はない。
裏社会の人間の護衛とか最高じゃないですか。
「そう言う訳で、聖女には私の方から謝罪し、事の内容を話して皆さんで行動します。勝手な振る舞いは許しませんよ。いいですね?」
「「「はーい」」」
「以上、解散!」
――こうして夏祭り当日、夕方から始まる祭りにあわせて我々は動き出す。
本当なら長谷川が居ないほうが安心できるのだが、不確かな情報で何の対処もせず動くのは危険だ。
あの事件を知っているからこそ、そう思えるようになった。
各自浴衣を着て、僧侶の方に勇者に似せた化粧を施し、武闘家の方には双子でも別のイメージに繋がる化粧を施して完了だ。
後は全員で会場まで向かえばいい。
「さて、皆さん行きますよ」
「僕はエンジ色の着流しとか初めて着るよ」
「魔法使いさん、お似合いですわ」
「色気があるのう……危険な色気じゃ」
「危険な色気……」
不穏な言葉を吐かれ遠い目をする魔法使いに心で合掌し、勇者はアキラが迎えに来るまで家で待つと言う事で先に聖女を迎えに行き夏祭りに向かう。
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