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第二章 魔王様、小学校六年生をお過ごしになる
64 魔王様は小学6年の最後の夏休みを遊び倒したい⑧
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小学校最後の夏休みは、担任の大野先生による小学校を借りてでの大騒動となった。
「最後の夏休みくらい、六年生は学校の思い出作りが必要です!」と校長と揉めた挙句、もぎ取ってきた許可だったそうだ。
朝から自転車や親の運転する車に乗り学校に集まる六年生たち。
この面子とも中学に入れば、各自また別の友達や付き合いができ、離れて行くのだろうし、別の人生を各自が歩んでいくのだろう。
人間の数だけドラマがある。
それは、こちらの異世界に来なければ理解しようともしなかったことかも知れない。
集まった生徒と保護者達は担任から説明を軽く受け、各自小学校最後の思い出作りに走りだした。
「あーあ……。学校卒業したら陣取りゲームも出来なくなるんだろうなぁ」
「アレ丁度いいストレス発散だったんだけどな」
「俺達も大人になるってことだよ」
「そうだな!」
そんな会話が男子からは聞こえ、女子からは――。
「中学入っても目の保養は出来るけどさ~」
「今だけよね、魔王様と魔法使い様と参謀様のセットが間近で見れるの」
「それな」
「卒業したくなーい」
「でも大人にはなりたい」
「うんうん」
と、男子とはまた違った話題が飛び交っている。
走り去った女子や男子は、校内を自由に遊びまわっているようで、魔法使いも珍しく「僕もちょっと思い出作りしてくるよ」と言って向かった。
何事も無ければいいが、失恋したばかりの魔法使いがどう動くのか想像が出来ない。
自暴自棄になってしまったりはないだろうとは思うが、その時は諫めよう。
「私たちはどうしましょうか」
「小雪ちゃんは皐月ちゃんと葉月ちゃんを学校案内するって言って行っちゃったしな。俺たちも思い出の場所でも巡ろうか」
「そうですね、思えば色々な事がありましたね。私はアキラと同じクラスになってから、人生が色々変わったように思いますよ」
「祐一郎、昔から枯れてたもんなー」
「今も枯れてるみたいに言わないでください」
「それで枯れてないっていうんだったら、ドライフラワーっていうぞ俺は」
そんな事を言い合いながら、小学校一年生の時にアキラと一緒によくいた廊下等、一年生から六年生までの教室を見て回った。
人数は少ない小学校だったが故に、アキラとは六年間同じクラスで過ごせたことも、今となっては奇跡に近いような出来事だったのだろう。
「クラスの女子には苦労させられたよな」
「ああ、女子VS男子ですね。あの事件は色々女性の汚い部分を見せられましたね」
「女なんて怖い生き物だよ。裏表激しいしさ。けど小雪ちゃんは裏表が両方素直だから俺は大好きだ」
「そうでしょうね、貴方と同じ純情培養液育ちですから」
「なんだよそれ」
そう言って笑い合いながら歩く校舎は、小さい頃は広く感じたのに、六年生になった今歩くと意外と小さく感じられる。
けれど、思い出だけは沢山詰まった校舎だった。
「トイレの花子さん事件覚えてます?」
「女子が三番目のトイレに閉じ込められてギャン泣きした奴?」
「ええ、この世界にモンスターとはいるものだなと思いました」
「モンスターって……怪異だろ」
「でも、結局鍵が壊れていただけでしたね」
「だったな。やっぱりトイレの花子さんなんていないんだよ。けど、トイレの花子さんは女子トイレだろ? 男子トイレの花子さんは男じゃないのか?」
「トイレの花男さんですか」
「なんかヤダなそれ。個室に入ってるときにやられたら、マジで泣く」
「ある意味有名になれますからね」
学校のトイレだって色々あった。
手洗い場の石鹸は何故あんなにも消えるのか不思議だった。
理科室は夢の詰まったエリアで、実験は毎回スリリングで楽しかった。
音楽室も学校の七不思議の場所として有名らしく、何度か見つけようとしたが怪異は見つけることが出来なかった。
「学校の七不思議、結局見つかりませんでしたね」
「七つ知ってても見つからないもんだしな」
「ええ、一度こちらの世界のモンスターとお話ししてみたかったです」
「俺は遠慮しとくよ」
オル・ディールでも七不思議はあったんだろうか。
もし仮にあったとしたら、どんな七不思議だったのだろう。
魔王であった我にとっては、怪異は当たり前の事であり、それを使って人間を苦しめていた事もある為、こちらではどんな意味合いがあるのか聞いてみたい。
楽しむ為? ビックリさせる為? やはりこちらの世界にも魔王みたいなものがいるのだろうか。
そう言えば、この異世界の怪異のボスの名は、ぬらりひょんとか言いましたかね。
会ってみたいものです。
「色々な思い出が蘇りますね」
「卒業を考えると、もの悲しくなるな」
「アキラも恵さんも同じ中学でしょう?」
「でも、別のクラスになったら嫌じゃん」
「寂しがり屋ですね」
「寂しがり屋なんですー」
そう言って笑い合いながら校舎を歩き、校庭を見て回った。
しかし暑い……。
夏休みの一番暑い気温の時にイベントは、我でも少々暑さでやられる。
「そう言えば恵さんはどこにいったんでしょうね」
「そう言えば」
そう校庭で話していると―――。
「おーい! 何人かが服着たままプールで遊んでるって――!」
「マジか! 俺たちも入りに行こうぜ!」
「今日暑いし直ぐ乾くだろ! 行こうぜ行こうぜ!!」
聴こえてきた言葉に、どうやら無断でプールに服を着たまま入っている愚か者がいるらしい。
後日、校長と担任が激しいバトルしそうだなと思っていると――。
「キャ――! 魔法使い様もプールで泳いでるらしいわよ!」
「濡れて透けた上着の魔法使い様とか眼福じゃん!」
「カメラ持ってる?」
「スマホあるじゃん! 早く行こう!!」
……どうやら、魔法使いは服を着たままプールでエンジョイしているようだ。
生徒会に所属している者が何をしているのやら……。
「注意しに行きますか」
「だな、聞くかは分かんないけど一応な」
「一応ですね」
こうしてアキラと二人、学校のプールへと脚を運んだのだった。
しかし、そこで待っていたのは……。
「生徒会なんざ、知ったこっちゃないね!!! 二人とも道連れだ!!」
「うわ!!」
「ぬあ!!!」
魔法使いによる裏切りであった―――。
「最後の夏休みくらい、六年生は学校の思い出作りが必要です!」と校長と揉めた挙句、もぎ取ってきた許可だったそうだ。
朝から自転車や親の運転する車に乗り学校に集まる六年生たち。
この面子とも中学に入れば、各自また別の友達や付き合いができ、離れて行くのだろうし、別の人生を各自が歩んでいくのだろう。
人間の数だけドラマがある。
それは、こちらの異世界に来なければ理解しようともしなかったことかも知れない。
集まった生徒と保護者達は担任から説明を軽く受け、各自小学校最後の思い出作りに走りだした。
「あーあ……。学校卒業したら陣取りゲームも出来なくなるんだろうなぁ」
「アレ丁度いいストレス発散だったんだけどな」
「俺達も大人になるってことだよ」
「そうだな!」
そんな会話が男子からは聞こえ、女子からは――。
「中学入っても目の保養は出来るけどさ~」
「今だけよね、魔王様と魔法使い様と参謀様のセットが間近で見れるの」
「それな」
「卒業したくなーい」
「でも大人にはなりたい」
「うんうん」
と、男子とはまた違った話題が飛び交っている。
走り去った女子や男子は、校内を自由に遊びまわっているようで、魔法使いも珍しく「僕もちょっと思い出作りしてくるよ」と言って向かった。
何事も無ければいいが、失恋したばかりの魔法使いがどう動くのか想像が出来ない。
自暴自棄になってしまったりはないだろうとは思うが、その時は諫めよう。
「私たちはどうしましょうか」
「小雪ちゃんは皐月ちゃんと葉月ちゃんを学校案内するって言って行っちゃったしな。俺たちも思い出の場所でも巡ろうか」
「そうですね、思えば色々な事がありましたね。私はアキラと同じクラスになってから、人生が色々変わったように思いますよ」
「祐一郎、昔から枯れてたもんなー」
「今も枯れてるみたいに言わないでください」
「それで枯れてないっていうんだったら、ドライフラワーっていうぞ俺は」
そんな事を言い合いながら、小学校一年生の時にアキラと一緒によくいた廊下等、一年生から六年生までの教室を見て回った。
人数は少ない小学校だったが故に、アキラとは六年間同じクラスで過ごせたことも、今となっては奇跡に近いような出来事だったのだろう。
「クラスの女子には苦労させられたよな」
「ああ、女子VS男子ですね。あの事件は色々女性の汚い部分を見せられましたね」
「女なんて怖い生き物だよ。裏表激しいしさ。けど小雪ちゃんは裏表が両方素直だから俺は大好きだ」
「そうでしょうね、貴方と同じ純情培養液育ちですから」
「なんだよそれ」
そう言って笑い合いながら歩く校舎は、小さい頃は広く感じたのに、六年生になった今歩くと意外と小さく感じられる。
けれど、思い出だけは沢山詰まった校舎だった。
「トイレの花子さん事件覚えてます?」
「女子が三番目のトイレに閉じ込められてギャン泣きした奴?」
「ええ、この世界にモンスターとはいるものだなと思いました」
「モンスターって……怪異だろ」
「でも、結局鍵が壊れていただけでしたね」
「だったな。やっぱりトイレの花子さんなんていないんだよ。けど、トイレの花子さんは女子トイレだろ? 男子トイレの花子さんは男じゃないのか?」
「トイレの花男さんですか」
「なんかヤダなそれ。個室に入ってるときにやられたら、マジで泣く」
「ある意味有名になれますからね」
学校のトイレだって色々あった。
手洗い場の石鹸は何故あんなにも消えるのか不思議だった。
理科室は夢の詰まったエリアで、実験は毎回スリリングで楽しかった。
音楽室も学校の七不思議の場所として有名らしく、何度か見つけようとしたが怪異は見つけることが出来なかった。
「学校の七不思議、結局見つかりませんでしたね」
「七つ知ってても見つからないもんだしな」
「ええ、一度こちらの世界のモンスターとお話ししてみたかったです」
「俺は遠慮しとくよ」
オル・ディールでも七不思議はあったんだろうか。
もし仮にあったとしたら、どんな七不思議だったのだろう。
魔王であった我にとっては、怪異は当たり前の事であり、それを使って人間を苦しめていた事もある為、こちらではどんな意味合いがあるのか聞いてみたい。
楽しむ為? ビックリさせる為? やはりこちらの世界にも魔王みたいなものがいるのだろうか。
そう言えば、この異世界の怪異のボスの名は、ぬらりひょんとか言いましたかね。
会ってみたいものです。
「色々な思い出が蘇りますね」
「卒業を考えると、もの悲しくなるな」
「アキラも恵さんも同じ中学でしょう?」
「でも、別のクラスになったら嫌じゃん」
「寂しがり屋ですね」
「寂しがり屋なんですー」
そう言って笑い合いながら校舎を歩き、校庭を見て回った。
しかし暑い……。
夏休みの一番暑い気温の時にイベントは、我でも少々暑さでやられる。
「そう言えば恵さんはどこにいったんでしょうね」
「そう言えば」
そう校庭で話していると―――。
「おーい! 何人かが服着たままプールで遊んでるって――!」
「マジか! 俺たちも入りに行こうぜ!」
「今日暑いし直ぐ乾くだろ! 行こうぜ行こうぜ!!」
聴こえてきた言葉に、どうやら無断でプールに服を着たまま入っている愚か者がいるらしい。
後日、校長と担任が激しいバトルしそうだなと思っていると――。
「キャ――! 魔法使い様もプールで泳いでるらしいわよ!」
「濡れて透けた上着の魔法使い様とか眼福じゃん!」
「カメラ持ってる?」
「スマホあるじゃん! 早く行こう!!」
……どうやら、魔法使いは服を着たままプールでエンジョイしているようだ。
生徒会に所属している者が何をしているのやら……。
「注意しに行きますか」
「だな、聞くかは分かんないけど一応な」
「一応ですね」
こうしてアキラと二人、学校のプールへと脚を運んだのだった。
しかし、そこで待っていたのは……。
「生徒会なんざ、知ったこっちゃないね!!! 二人とも道連れだ!!」
「うわ!!」
「ぬあ!!!」
魔法使いによる裏切りであった―――。
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