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第二章 魔王様、小学校六年生をお過ごしになる
62 魔王様は小学6年の最後の夏休みを遊び倒したい⑥
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―――ザシュ!!
と、言う良い音と共に、無事スイカは割れた。
割れたと言うか、切れた。
包丁で一刀両断したように。
更に言えば、その奥にあったコンクリートも切れた。
流石我が作りし木刀……中々の威力である。
銅の剣くらいの攻撃力はあるのではなかろうか。
「うむ! 素晴らしい太刀筋だアキラ!!」
「本当!?」
「本当に凄いですわ!!」
「玄人冒険者の様じゃったのう!!」
「俺本当にスゲーじゃ……ん……」
タオルを取ったアキラは、手に持っていた木刀とタオルを落とした。
目の前には綺麗に一刀両断されたスイカとコンクリート。
フルフル震えながら床に落ちた我の木刀を見ると、更に小鹿のように震えながら我を見つめてきた。
「……これ、凶器?」
「狂気の気分で作った凶器だが、それがどうした?」
「これは、燃やした方がいいと思うだ……銃刀法違反に当たると……思う」
「ふむ、素晴らしい出来なのに。ただの木刀だぞ」
「普通、ただの木刀でコンクリートは切れないよ」
――確かに一理ある。
顔面蒼白のアキラの足元から木刀を持ち上げると、暫くビュンビュン振ってからバキっと足を使って折った。
次は銃刀法違反にならぬ程度の木刀を作るとしよう。
折れた木刀を見てアキラはホッと安堵し、残ったスイカは我が手で割って皆で食べた。
「糖度高いねコレ」
「甘いですわ」
「これにじゃな? 塩をかけるとじゃな? 美味いんじゃぁ~!」
「わかるわかる、甘さとしょっぱさで更に甘く感じるって奴ね」
「邪道ではハチミツと言う人も見たことありますよ」
「「「それは邪道だよ」」」
そう言いながら皆で食べたスイカは本当に美味しかった。
余ったスイカは祖父に持って行き、美味しく食べてもらうことが出来た。
「あ――! お腹も膨れたし、ちょっとヒヤッとする事もあったけど概ね最高の一日だった!」
「僕としては、アキラと小雪のアレヤコレで少しモヤモヤするけどね」
「ははははは!」
「ところで、アキラの本音はどうなのさ」
皆が居る前でワザと聞く魔法使い。中々えぐい事をやるなと思っていたが、そこは天然培養液育ちのアキラだ。
「そうだな……あの時の事を反省し、将来は警察官になろうと思う程には好きだよ」
「なっ!!」
これに反応したのは勇者。
あの時の事――とは、数年前の長谷川事件の事だろう。
つまりアキラはあの時から、勇者を守るべき存在として見てきたのだとハッキリと分かった。
「それに、身元のハッキリした警察官なら、挨拶行った時も安心だろうしな!」
「確かにそれは言えますね。身元のハッキリとした家柄や職業の人となると安心できます。時に恵さんは将来のご希望は」
「く……っ」
「その差ですよ」
勝敗はついた。
アキラの全力での勝ちである。
しかも、本当に命がけで守ったと言う実績もある以上、これを超えるのは難しい。
「良かったですね小雪。これで夏休み最後のお祭りを楽しめますね」
「うっ!」
顔どころか耳も首まで真っ赤に染まっている勇者に対し、アキラは少しだけ照れているような爽やかな笑顔を向けた。
「あ、此れは流石に墜ちるわ」
「堕ちますわね」
「墜落じゃな」
魔法使いも揃って双子と同時に話すくらいには、どうやら諦めがついたようだ。
どう足掻いても勝てない程のレベルの差と言うものはどうしてもありますからね。
すると――。
「小雪ちゃん」
「ひゃい!!」
「返事は、夏祭りの日でいいからね」
「あ………ひゃい! わかってまりゅ!」
勇者、カミカミである。
でも、最早決定してるのでは? 寧ろ決定しかないのでは?
そう思うのは我だけではないだろう。
勇者の初恋はどうやら両者の初恋で纏まりそうである。
兄である我としてもアキラと纏まってくれた方が色々楽で助かる為、それ以上は何も言わない様にしようとしたが――。
「アキラ」
「ん?」
「小雪を泣かせないでくださいね」
「努力はするよ」
互いに苦笑いしながら、兄公認と言う事になった。
それから夕方も近いと言う事で解散となったが、その日から数日、勇者は使い物にならなかった。
我の時はもっと意識もハッキリとしていたとは思いたいが……我も今年の夏祭りは聖女と二人でデート予定だ。
嬉しい報告も出来そうで良かったと安堵する。
すると――。
「夏祭り……祐一郎お兄様もわたくしたちと一緒にいきますわよね?」
「申し訳ありませんが先約があります」
「まぁ、どなたですの!!」
「ワシらを放置して何奴じゃ!!」
「「聖女様だよ」」
「「はぁ!?」」
別の波乱が、開幕したように思えた夕焼けが目に染みる日の事。
と、言う良い音と共に、無事スイカは割れた。
割れたと言うか、切れた。
包丁で一刀両断したように。
更に言えば、その奥にあったコンクリートも切れた。
流石我が作りし木刀……中々の威力である。
銅の剣くらいの攻撃力はあるのではなかろうか。
「うむ! 素晴らしい太刀筋だアキラ!!」
「本当!?」
「本当に凄いですわ!!」
「玄人冒険者の様じゃったのう!!」
「俺本当にスゲーじゃ……ん……」
タオルを取ったアキラは、手に持っていた木刀とタオルを落とした。
目の前には綺麗に一刀両断されたスイカとコンクリート。
フルフル震えながら床に落ちた我の木刀を見ると、更に小鹿のように震えながら我を見つめてきた。
「……これ、凶器?」
「狂気の気分で作った凶器だが、それがどうした?」
「これは、燃やした方がいいと思うだ……銃刀法違反に当たると……思う」
「ふむ、素晴らしい出来なのに。ただの木刀だぞ」
「普通、ただの木刀でコンクリートは切れないよ」
――確かに一理ある。
顔面蒼白のアキラの足元から木刀を持ち上げると、暫くビュンビュン振ってからバキっと足を使って折った。
次は銃刀法違反にならぬ程度の木刀を作るとしよう。
折れた木刀を見てアキラはホッと安堵し、残ったスイカは我が手で割って皆で食べた。
「糖度高いねコレ」
「甘いですわ」
「これにじゃな? 塩をかけるとじゃな? 美味いんじゃぁ~!」
「わかるわかる、甘さとしょっぱさで更に甘く感じるって奴ね」
「邪道ではハチミツと言う人も見たことありますよ」
「「「それは邪道だよ」」」
そう言いながら皆で食べたスイカは本当に美味しかった。
余ったスイカは祖父に持って行き、美味しく食べてもらうことが出来た。
「あ――! お腹も膨れたし、ちょっとヒヤッとする事もあったけど概ね最高の一日だった!」
「僕としては、アキラと小雪のアレヤコレで少しモヤモヤするけどね」
「ははははは!」
「ところで、アキラの本音はどうなのさ」
皆が居る前でワザと聞く魔法使い。中々えぐい事をやるなと思っていたが、そこは天然培養液育ちのアキラだ。
「そうだな……あの時の事を反省し、将来は警察官になろうと思う程には好きだよ」
「なっ!!」
これに反応したのは勇者。
あの時の事――とは、数年前の長谷川事件の事だろう。
つまりアキラはあの時から、勇者を守るべき存在として見てきたのだとハッキリと分かった。
「それに、身元のハッキリした警察官なら、挨拶行った時も安心だろうしな!」
「確かにそれは言えますね。身元のハッキリとした家柄や職業の人となると安心できます。時に恵さんは将来のご希望は」
「く……っ」
「その差ですよ」
勝敗はついた。
アキラの全力での勝ちである。
しかも、本当に命がけで守ったと言う実績もある以上、これを超えるのは難しい。
「良かったですね小雪。これで夏休み最後のお祭りを楽しめますね」
「うっ!」
顔どころか耳も首まで真っ赤に染まっている勇者に対し、アキラは少しだけ照れているような爽やかな笑顔を向けた。
「あ、此れは流石に墜ちるわ」
「堕ちますわね」
「墜落じゃな」
魔法使いも揃って双子と同時に話すくらいには、どうやら諦めがついたようだ。
どう足掻いても勝てない程のレベルの差と言うものはどうしてもありますからね。
すると――。
「小雪ちゃん」
「ひゃい!!」
「返事は、夏祭りの日でいいからね」
「あ………ひゃい! わかってまりゅ!」
勇者、カミカミである。
でも、最早決定してるのでは? 寧ろ決定しかないのでは?
そう思うのは我だけではないだろう。
勇者の初恋はどうやら両者の初恋で纏まりそうである。
兄である我としてもアキラと纏まってくれた方が色々楽で助かる為、それ以上は何も言わない様にしようとしたが――。
「アキラ」
「ん?」
「小雪を泣かせないでくださいね」
「努力はするよ」
互いに苦笑いしながら、兄公認と言う事になった。
それから夕方も近いと言う事で解散となったが、その日から数日、勇者は使い物にならなかった。
我の時はもっと意識もハッキリとしていたとは思いたいが……我も今年の夏祭りは聖女と二人でデート予定だ。
嬉しい報告も出来そうで良かったと安堵する。
すると――。
「夏祭り……祐一郎お兄様もわたくしたちと一緒にいきますわよね?」
「申し訳ありませんが先約があります」
「まぁ、どなたですの!!」
「ワシらを放置して何奴じゃ!!」
「「聖女様だよ」」
「「はぁ!?」」
別の波乱が、開幕したように思えた夕焼けが目に染みる日の事。
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