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第二章 魔王様、小学校六年生をお過ごしになる
60 魔王様は小学6年の最後の夏休みを遊び倒したい④
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朝のお勤めは大事な事だ。
そして合間を縫って、小さな自分だけの畑は宝物庫だ。
夏野菜が実り、食べ頃の野菜たちを見ると「どう料理してくれようか……」と笑みが零れる。
洋食か、和食か、はたまた中華か……。
実りし夏野菜に胸が躍る我だが、家庭菜園の戦いは日差しと虫との激戦であった。
大事な苗や野菜を食い荒らす虫を駆除するのは大変だ。
美味くて新鮮な野菜程狙われやすい。
更に言えば、無農薬に拘っている為、虫との戦は日に日に激しさを増している。
それでも艶やかな野菜を見れば心が躍る為、農家の大変さを噛みしめながら、日々口にする野菜に感謝しながら育てている。
裏庭にある地下水からの冷水に、今日のオヤツの主役である野菜とスイカを冷やしてから汗を拭うと、勇者が麦茶を持ってきてくれたようだ。
「魔王よ、頼まれていた網とコンクリートとトングは用意したぞ」
「助かります。これでオヤツの焼きとうもろこしの準備は万全ですね」
「今すぐトウモロコシを収穫しないのか?」
「どんな野菜でも採れたてと言うのが美味しいのですよ」
そういって褒美であるトマトを勇者に渡すと、現在人気の某アニメのように「うまい!」と叫びながらトマトを食べる勇者。
採れたては農家だからこそ味わえる最高の味だ。
「今日の墓掃除はあなた方女性陣でしたが、他の二人はどうしました?」
「今シャワー浴びてる」
「なるほど、身綺麗にするのは良い事です」
そう言うと着替えを用意していた我は、近くの水道にホースを差し、パンツ以外の服を脱ぎ捨てると水浴びをして汗を流した。
夏場だからこその最高のひと時である。
勇者にとっては見慣れた光景な為、最早とやかく言ってくることは無いが――。
「はぁ……魔王の水浴び姿なんぞみても面白くもない」
「奇遇ですね。私も勇者の水浴び姿なんぞみても面白くありませんし、実の妹に対し欲情するほど困ってもいません」
「クソ! 少しは狼狽えろ! これでも少しは成長したんだ!」
「アキラなら狼狽えるでしょうねぇ……純粋培養液で育ったような男ですし」
「アキラはまぁ……」
「それに、今年の夏休み最後の夏祭りは、二人でデートなんでしょう?」
そう告げると勇者は顔を真っ赤に染めて「なっ なっ!! 何を言っている!!」と慌てた。
アキラから既に聞き及んでいる内容な為、今更恥ずかしがることも無いだろうに。
「良いじゃないですか。あの事件後、あなた方は一緒に夏祭りを楽しむ余裕が無かったように思います。この機会に少しは進展なさい」
「うっ……」
「あの時、勇者も傷ついたでしょうが、アキラもまた酷く傷ついていたのですよ」
――長谷川事件。
そう呼ばれるあの最悪の夏祭りの日は、我にとっても深く傷ついた事件であった。
幼かった勇者は殺されかけ、それを守ろうとしたアキラは酷い怪我を負った。
あの時、何故我がアキラの向かった方向に行けなかったのか、当時の自分を思い出しても悔やまれる事件だ。
「デートで少しでも女性に見て貰えると良いですね」
「うるさい!」
「おやおや、顔が真っ赤ですよ? そろそろアキラが来るのに大丈夫ですか?」
「魔王最悪だ!!」
「魔王ですから」
そう言うと我にトマトのヘタを投げつけ勇者は逃走。
水浴びも終わり麦茶をグッと飲み干すと、煩い双子が来る前にその場で着替えた。
しかし――。
「魔王様の裸、ゲットですわよ!」
「ああ、実に素晴らしいものじゃったわい!」
「いずれわたくし達のモノに……フフフ!」
「………」
時すでに遅し。
いや、気配の消し方が我でも気づかぬほどとは恐れ入る。
「そこの僧侶と言う名の痴女と、そこの武道家と言う名の痴女、出てきなさい」
「カメラは死守ですわ――!!」
「逃げるぞ――!!」
「待ちなさい! ナニを撮ったのです!! 消しなさい!!」
こうして、アキラが来るまでの間、寺中を逃げ回る僧侶と武道家、そしてそれを追いかける我が居たのは言うまでもなく、アキラの登場に助けを求めた我に反応し、無事隠し撮りは削除することが出来た。
「あなた方のカメラは没収です! 使っていい時にお渡しします」
「幾つもの隠し撮りが消されましたわぁあ!!」
「ナイスショットが多かったのに残念無念っ!!」
どんな隠し撮りがあったのかは――黙秘させて頂きます。
そして合間を縫って、小さな自分だけの畑は宝物庫だ。
夏野菜が実り、食べ頃の野菜たちを見ると「どう料理してくれようか……」と笑みが零れる。
洋食か、和食か、はたまた中華か……。
実りし夏野菜に胸が躍る我だが、家庭菜園の戦いは日差しと虫との激戦であった。
大事な苗や野菜を食い荒らす虫を駆除するのは大変だ。
美味くて新鮮な野菜程狙われやすい。
更に言えば、無農薬に拘っている為、虫との戦は日に日に激しさを増している。
それでも艶やかな野菜を見れば心が躍る為、農家の大変さを噛みしめながら、日々口にする野菜に感謝しながら育てている。
裏庭にある地下水からの冷水に、今日のオヤツの主役である野菜とスイカを冷やしてから汗を拭うと、勇者が麦茶を持ってきてくれたようだ。
「魔王よ、頼まれていた網とコンクリートとトングは用意したぞ」
「助かります。これでオヤツの焼きとうもろこしの準備は万全ですね」
「今すぐトウモロコシを収穫しないのか?」
「どんな野菜でも採れたてと言うのが美味しいのですよ」
そういって褒美であるトマトを勇者に渡すと、現在人気の某アニメのように「うまい!」と叫びながらトマトを食べる勇者。
採れたては農家だからこそ味わえる最高の味だ。
「今日の墓掃除はあなた方女性陣でしたが、他の二人はどうしました?」
「今シャワー浴びてる」
「なるほど、身綺麗にするのは良い事です」
そう言うと着替えを用意していた我は、近くの水道にホースを差し、パンツ以外の服を脱ぎ捨てると水浴びをして汗を流した。
夏場だからこその最高のひと時である。
勇者にとっては見慣れた光景な為、最早とやかく言ってくることは無いが――。
「はぁ……魔王の水浴び姿なんぞみても面白くもない」
「奇遇ですね。私も勇者の水浴び姿なんぞみても面白くありませんし、実の妹に対し欲情するほど困ってもいません」
「クソ! 少しは狼狽えろ! これでも少しは成長したんだ!」
「アキラなら狼狽えるでしょうねぇ……純粋培養液で育ったような男ですし」
「アキラはまぁ……」
「それに、今年の夏休み最後の夏祭りは、二人でデートなんでしょう?」
そう告げると勇者は顔を真っ赤に染めて「なっ なっ!! 何を言っている!!」と慌てた。
アキラから既に聞き及んでいる内容な為、今更恥ずかしがることも無いだろうに。
「良いじゃないですか。あの事件後、あなた方は一緒に夏祭りを楽しむ余裕が無かったように思います。この機会に少しは進展なさい」
「うっ……」
「あの時、勇者も傷ついたでしょうが、アキラもまた酷く傷ついていたのですよ」
――長谷川事件。
そう呼ばれるあの最悪の夏祭りの日は、我にとっても深く傷ついた事件であった。
幼かった勇者は殺されかけ、それを守ろうとしたアキラは酷い怪我を負った。
あの時、何故我がアキラの向かった方向に行けなかったのか、当時の自分を思い出しても悔やまれる事件だ。
「デートで少しでも女性に見て貰えると良いですね」
「うるさい!」
「おやおや、顔が真っ赤ですよ? そろそろアキラが来るのに大丈夫ですか?」
「魔王最悪だ!!」
「魔王ですから」
そう言うと我にトマトのヘタを投げつけ勇者は逃走。
水浴びも終わり麦茶をグッと飲み干すと、煩い双子が来る前にその場で着替えた。
しかし――。
「魔王様の裸、ゲットですわよ!」
「ああ、実に素晴らしいものじゃったわい!」
「いずれわたくし達のモノに……フフフ!」
「………」
時すでに遅し。
いや、気配の消し方が我でも気づかぬほどとは恐れ入る。
「そこの僧侶と言う名の痴女と、そこの武道家と言う名の痴女、出てきなさい」
「カメラは死守ですわ――!!」
「逃げるぞ――!!」
「待ちなさい! ナニを撮ったのです!! 消しなさい!!」
こうして、アキラが来るまでの間、寺中を逃げ回る僧侶と武道家、そしてそれを追いかける我が居たのは言うまでもなく、アキラの登場に助けを求めた我に反応し、無事隠し撮りは削除することが出来た。
「あなた方のカメラは没収です! 使っていい時にお渡しします」
「幾つもの隠し撮りが消されましたわぁあ!!」
「ナイスショットが多かったのに残念無念っ!!」
どんな隠し撮りがあったのかは――黙秘させて頂きます。
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