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第二章 魔王様、小学校六年生をお過ごしになる
40 魔王様、修学旅行に行かれる④
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その後のお風呂は正に地獄絵図だった。
他の客をも巻き込み、魔法使いはクラスの男子に抱きついたりと、まぁ……一部男子の股間が大きくなる事件が多発した。
更に一部の男子の夢をぶち壊した。
「やはり男だった」「我々に神はいない」「初恋が男とか死ねる」そんな声が上がっているのを魔法使いは高笑いしながら聞いていた。
「この美貌も罪だよねぇ」
「美貌と言うより貴方の性格が罪です」
「大罪だな」
アキラは周りの男子から泣きつかれ、魔法使いの言葉に呆れながら返事を返す。
「そもそも、見た目が美少女って言うだけでボクは正真正銘男だよ?夢をもたれても困るじゃん。だからこの機会に現実を見せてあげたボクは正に仏のように優しいと思うよ?」
「仏か?」
「仏じゃねーだろ!!」
「鬼だ鬼」
「クソッ 立派なもんぶらさげやがってっ」
クラスの男子が文句を言う中、我も呆れた様子で真っ裸の魔法使いを見つめ、魔法使いはスッキリとした表情で湯船に浸かった。
その後、お風呂も終わり夕食を楽しんだ後は各自部屋に戻り雑談タイム。
寝る前のゆったり時間を楽しんでいると、アキラの後頭部に枕が飛んできた。
ほう、コレが所謂、枕投げと言う遊戯か。
「枕重いんだから止めろよ! 首痛めるだろ!」
「確かに重いですね」
「祐一郎が使ってる、そば枕よりはマシじゃない?」
「通気性が良くてお気に入りなんですよね」
「虫も寄ってこないしね」
「お前達二人もオレの心配してくれよ!」
我と魔法使いが枕について語り合おうとしたら、アキラからヘルプが飛んできた。
最早一部の男子はドッチボール並に枕を投げ合っており、我と魔法使いのもとにも飛んでくるが、スッと避けながらの会話だ。
「枕が当たった奴は、好きな奴の名前言おうぜ!」
「公開処刑公開処刑―!」
盛り上がる男子、しかし我には既に聖女と言う彼女がおり、魔法使いに至っては全校生徒が知るほど、勇者が好きだと言う事が知れ渡っている。
「それってボクと祐一郎必要?」
「あー……お前と祐一郎はいいや」
「うん、カノジョ、いるもんな」
「アキラは誰が好きか知らないんだろ?」
「アキラ狙おうぜアキラ!」
その言葉に魔法使いはスクッと立ち上がると自分の枕を手にする。
「良いね! この際シッカリと誰が好きなのかアキラの口から聞いてみたい」
「ちょ! 恵なんだよ! オレ好きな奴いないの知ってるだろ!?」
「自覚してないだけだよ、この裏切り者」
「はぁ!?」
その言葉を発した瞬間、至近距離で魔法使いはアキラの顔面に枕を力の限りで投げつけた。
後ろに吹き飛ぶアキラ……それは正にスローモーションのように見えた。
そのまま大きな音をたて倒れたアキラは目を回しており、そのまま動かなくなってしまい、話を聞く事は不可能。
「気を失っておられますね」
「力入れすぎたかな、寝かせておこう」
先程よりも更にスッキリとした表情の魔法使いはその後、クラスの男子と混ざって枕投げを楽しみ、アキラの介抱をする我をそっちのけで楽しんだようだが――。
「何時まで寝ないんだサッサと寝ろ!」
担任の先生の怒号により枕投げは終了。
次の日のグラバー園を楽しみに、我は静かに眠りに着いた。
が。
クラスの男子が沢山いる中で寝ると言うのは大変だった。
寝相の悪い男子の隣で眠る羽目になった我は、飛んでくる腕や脚に眠ることが出来ず、結果、案外寝相の良いアキラの布団に潜り込んで寝る破目になったのだ。
身を守るための苦汁の決断であったのは、言うまでも無い……。
そして翌朝、誰よりも早く目を覚まし、我がアキラと一緒に寝たと言う事実を知るものはクラスに誰もいなかった。
――朝の早い寺生活によって、我は守られた。
思わず手を合わせて平穏を感謝したのは言うまでも無い。
他の客をも巻き込み、魔法使いはクラスの男子に抱きついたりと、まぁ……一部男子の股間が大きくなる事件が多発した。
更に一部の男子の夢をぶち壊した。
「やはり男だった」「我々に神はいない」「初恋が男とか死ねる」そんな声が上がっているのを魔法使いは高笑いしながら聞いていた。
「この美貌も罪だよねぇ」
「美貌と言うより貴方の性格が罪です」
「大罪だな」
アキラは周りの男子から泣きつかれ、魔法使いの言葉に呆れながら返事を返す。
「そもそも、見た目が美少女って言うだけでボクは正真正銘男だよ?夢をもたれても困るじゃん。だからこの機会に現実を見せてあげたボクは正に仏のように優しいと思うよ?」
「仏か?」
「仏じゃねーだろ!!」
「鬼だ鬼」
「クソッ 立派なもんぶらさげやがってっ」
クラスの男子が文句を言う中、我も呆れた様子で真っ裸の魔法使いを見つめ、魔法使いはスッキリとした表情で湯船に浸かった。
その後、お風呂も終わり夕食を楽しんだ後は各自部屋に戻り雑談タイム。
寝る前のゆったり時間を楽しんでいると、アキラの後頭部に枕が飛んできた。
ほう、コレが所謂、枕投げと言う遊戯か。
「枕重いんだから止めろよ! 首痛めるだろ!」
「確かに重いですね」
「祐一郎が使ってる、そば枕よりはマシじゃない?」
「通気性が良くてお気に入りなんですよね」
「虫も寄ってこないしね」
「お前達二人もオレの心配してくれよ!」
我と魔法使いが枕について語り合おうとしたら、アキラからヘルプが飛んできた。
最早一部の男子はドッチボール並に枕を投げ合っており、我と魔法使いのもとにも飛んでくるが、スッと避けながらの会話だ。
「枕が当たった奴は、好きな奴の名前言おうぜ!」
「公開処刑公開処刑―!」
盛り上がる男子、しかし我には既に聖女と言う彼女がおり、魔法使いに至っては全校生徒が知るほど、勇者が好きだと言う事が知れ渡っている。
「それってボクと祐一郎必要?」
「あー……お前と祐一郎はいいや」
「うん、カノジョ、いるもんな」
「アキラは誰が好きか知らないんだろ?」
「アキラ狙おうぜアキラ!」
その言葉に魔法使いはスクッと立ち上がると自分の枕を手にする。
「良いね! この際シッカリと誰が好きなのかアキラの口から聞いてみたい」
「ちょ! 恵なんだよ! オレ好きな奴いないの知ってるだろ!?」
「自覚してないだけだよ、この裏切り者」
「はぁ!?」
その言葉を発した瞬間、至近距離で魔法使いはアキラの顔面に枕を力の限りで投げつけた。
後ろに吹き飛ぶアキラ……それは正にスローモーションのように見えた。
そのまま大きな音をたて倒れたアキラは目を回しており、そのまま動かなくなってしまい、話を聞く事は不可能。
「気を失っておられますね」
「力入れすぎたかな、寝かせておこう」
先程よりも更にスッキリとした表情の魔法使いはその後、クラスの男子と混ざって枕投げを楽しみ、アキラの介抱をする我をそっちのけで楽しんだようだが――。
「何時まで寝ないんだサッサと寝ろ!」
担任の先生の怒号により枕投げは終了。
次の日のグラバー園を楽しみに、我は静かに眠りに着いた。
が。
クラスの男子が沢山いる中で寝ると言うのは大変だった。
寝相の悪い男子の隣で眠る羽目になった我は、飛んでくる腕や脚に眠ることが出来ず、結果、案外寝相の良いアキラの布団に潜り込んで寝る破目になったのだ。
身を守るための苦汁の決断であったのは、言うまでも無い……。
そして翌朝、誰よりも早く目を覚まし、我がアキラと一緒に寝たと言う事実を知るものはクラスに誰もいなかった。
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