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小話集
第73話 =小話= ミセス・マッチョスの苦悩?①
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Sランク冒険者であり、人気沸騰中の売れっ子小説作家とは言え、我らミセス・マッチョスにも悩みはある。
それが【ファンレター】と言う悩みだ。
いや、普通のファンレターなら嬉しい限りだし、貰って嬉しいファンレターだ。
しかし、世界各国で売りに出されている我らの小説は、一部の界隈では【ブロマンス小説】として名を馳せてもいて、そっちもまだ良いだろう。
問題は【アンチファン】であった。
「ははは、またミスリルの刃が使用されたファンレターが届いたな!」
「全く、アンチは直ぐに解るな。奴らは直ぐにミスリルの刃を使いたがる!」
「しかも毒を仕込んでくるからな! 侮れん!」
「「「ははははははははは!」」」
我らミセス面子ならともかく、うちの細い奴らがウッカリ指を斬ろうものなら致死量の毒が仕込まれている! 全くもて不愉快極まりないが、此れも有名税と言う奴だろうか。全く以て困ったものだな!
カズマリアンチと呼ばれる奴らは、貴族にもそれなりにいるらしく、他のファンの手紙には「カズマリ派とマリカズ派、ブロマンス派は仲良くしているが、アンチ派は少数ではあるが脅威である」と書かれていた事があったな。
それもそうだろう。
毒を仕込んだ手紙を送ってくるのだから、一般市民からすれば脅威意外の何ものでもない。
それでも【カズマリ派】【マリカズ派】【ブロマンス派】はアンチに対抗するべく日々頑張っているらしく、なんとも涙ぐましい努力が手紙に書いてあると、我々は涙を零す。
『家令が手紙を開けて毒にやられ死にましたが、マリリン印の蘇生アイテムで息を吹き返しました』なんて書いてあろうものなら「流石マリリン印!」と酒の入った木のコップを鳴らしあい酒を呑む。
「流石レディー・マッスルの作る錬金アイテムは質がいいと評判だな!」
「蘇生アイテムと言えばマリリン印だろう!」
「後は禿げに効く薬もそうだな!」
「国王陛下も禿げからフサフサだからな!」
「「「あははははははははは!」」」
大声で笑いながらマリリン印のアイテムを褒め称える。
やはりマリリンのギルドは素晴らしい!
人数もさることながら、錬金術から鍛冶師、防具、全てが揃っている!
それだけの人数を賄えるだけの財力も保持しているという事だが、マリリンのギルド1つで、軽めに見積もって国三つ分の財力はあるだろうな!
「嗚呼、このカズマリを理解しないとは……嘆かわしい」
「ああ、実に嘆かわしい」
「マリカズも素晴らしいのだがな……」
「「「派生したブロマンスは放っておこう」」」
そう、派生で生まれてたというブロマンスに関しては、我々は意図したモノではないので放置だ。
しかし、月に一度のこのファンレターを開ける日は、中々にスリルがある。
ミスリルを感知する錬金術アイテムを依頼してマリリンの所で作って貰ったのだが、箱に入ったファンレターに黒い玉を近づけると、まるで磁石の様に釣れるのだ。
それらのファンレターは所謂アンチの手紙と言う事で、開ける事も無く処分する。
ウッカリうちの細い者達が触らないように、しっかりと処分するのが毎回大変だったのだが、マリリンから「使い道があるかも知れないから送って欲しい」と言われ、アンチレターはマリリンに送っている。
ちなみに、このアンチレターを発見する為のアイテムも、このファンレターについているミスリルを錬金して作っているというのだから、イッツ・イリュージョンだ。
実に素晴らしい! パーフェクト!
「しかし、根本的な解決方法で無いのが残念だな」
「とは言え、アンチとは中々消えないらしいじゃないか」
「確かにそう聞くな」
「厄介だな……拳で屠れるのなら屠ってやりたいのだが」
「大体そう言う輩は我々のデコピンで脳が噴き飛ぶだろう?」
「こらこら、ダメだぞ? デコピンすれば命に係わるくらい一般人とは弱いのだ」
「手加減と言うのが難しい……」
「うっかり殺してしまう我らの筋肉。誇らしいじゃないか!」
「我らよりも強い筋肉を保持するマリリンが、カズマ殿を殺さずにいるのが奇跡だな」
カズマ殿が聞けばゾッとするような話を、我らは頷き合いながら話をする。
そう、我らの掌はそっと優しく……ミスリル剣くらいなら握り壊す事が可能。
あの程度で我らを傷つけられると思って貰っては困るのだ。
マリリン程ではないが、我らとてSランク冒険者!
誇れ筋肉! 唸れ大胸筋! そこにそっと寄り添う我らがパイ!
「それは兎も角として、アンチを消す事は不可能としてだ」
「「うむ」」
「姿を見せないアンチと言うのは、中々にそそられるモノがあると思わないか?」
「「と言うと?」」
「必死に我らの命を狙おうと暗躍する者達……。姿を見せずその存在は謎とされている……。これだけでアンチ用の小説が作れると思わないか!」
「それは!」
「滾るなぁ!」
「我らからのアンチへのラブコールと行こうじゃないか!」
カーン! と木製コップを鳴らし一気に酒を流し込む。
アンチに怯える事なかれ!
アンチを放っておくことなかれ!
アンチを題材に我らは小説を書く!
それが我らの戦い方と知るがいい!
「我々の戦いは」
「「まだ始まったばかりだったのだな!」」
――こうして、アンチと言う存在をネタにする事を選んだ我々は、三冊の本を出すことになる。
アンチを題材としたそれらは【カズマリ派】【マリカズ派】【ブロマンス派】にも大いにうけたのだが、アンチ派は黙っていなかった!
「印刷会社とミセス・マッチョスの本を手掛けている我が家に大量の嫌がらせが発生しましたわ! このダメリシアからの依頼です……アンチ派が集まるというお屋敷を見つけましたの! 駆除して下さらないかしら!」
「それはいかんなぁ? おいたが過ぎるなぁ?」
「我々を攻撃するのは得策ではないと知ったか……寂しくもあるな」
「ふむふむ、なるほど? それでそちらに攻撃が向かったのだな? 屋敷は……ほう? キンムギーラ王国の郊外にあるドンパッパー伯爵家か」
では、いざ参ろう! アンチ派の面を見る為に!
「「「ムネのトキメキと同時に……腕が鳴るなぁ~!」」」
それが【ファンレター】と言う悩みだ。
いや、普通のファンレターなら嬉しい限りだし、貰って嬉しいファンレターだ。
しかし、世界各国で売りに出されている我らの小説は、一部の界隈では【ブロマンス小説】として名を馳せてもいて、そっちもまだ良いだろう。
問題は【アンチファン】であった。
「ははは、またミスリルの刃が使用されたファンレターが届いたな!」
「全く、アンチは直ぐに解るな。奴らは直ぐにミスリルの刃を使いたがる!」
「しかも毒を仕込んでくるからな! 侮れん!」
「「「ははははははははは!」」」
我らミセス面子ならともかく、うちの細い奴らがウッカリ指を斬ろうものなら致死量の毒が仕込まれている! 全くもて不愉快極まりないが、此れも有名税と言う奴だろうか。全く以て困ったものだな!
カズマリアンチと呼ばれる奴らは、貴族にもそれなりにいるらしく、他のファンの手紙には「カズマリ派とマリカズ派、ブロマンス派は仲良くしているが、アンチ派は少数ではあるが脅威である」と書かれていた事があったな。
それもそうだろう。
毒を仕込んだ手紙を送ってくるのだから、一般市民からすれば脅威意外の何ものでもない。
それでも【カズマリ派】【マリカズ派】【ブロマンス派】はアンチに対抗するべく日々頑張っているらしく、なんとも涙ぐましい努力が手紙に書いてあると、我々は涙を零す。
『家令が手紙を開けて毒にやられ死にましたが、マリリン印の蘇生アイテムで息を吹き返しました』なんて書いてあろうものなら「流石マリリン印!」と酒の入った木のコップを鳴らしあい酒を呑む。
「流石レディー・マッスルの作る錬金アイテムは質がいいと評判だな!」
「蘇生アイテムと言えばマリリン印だろう!」
「後は禿げに効く薬もそうだな!」
「国王陛下も禿げからフサフサだからな!」
「「「あははははははははは!」」」
大声で笑いながらマリリン印のアイテムを褒め称える。
やはりマリリンのギルドは素晴らしい!
人数もさることながら、錬金術から鍛冶師、防具、全てが揃っている!
それだけの人数を賄えるだけの財力も保持しているという事だが、マリリンのギルド1つで、軽めに見積もって国三つ分の財力はあるだろうな!
「嗚呼、このカズマリを理解しないとは……嘆かわしい」
「ああ、実に嘆かわしい」
「マリカズも素晴らしいのだがな……」
「「「派生したブロマンスは放っておこう」」」
そう、派生で生まれてたというブロマンスに関しては、我々は意図したモノではないので放置だ。
しかし、月に一度のこのファンレターを開ける日は、中々にスリルがある。
ミスリルを感知する錬金術アイテムを依頼してマリリンの所で作って貰ったのだが、箱に入ったファンレターに黒い玉を近づけると、まるで磁石の様に釣れるのだ。
それらのファンレターは所謂アンチの手紙と言う事で、開ける事も無く処分する。
ウッカリうちの細い者達が触らないように、しっかりと処分するのが毎回大変だったのだが、マリリンから「使い道があるかも知れないから送って欲しい」と言われ、アンチレターはマリリンに送っている。
ちなみに、このアンチレターを発見する為のアイテムも、このファンレターについているミスリルを錬金して作っているというのだから、イッツ・イリュージョンだ。
実に素晴らしい! パーフェクト!
「しかし、根本的な解決方法で無いのが残念だな」
「とは言え、アンチとは中々消えないらしいじゃないか」
「確かにそう聞くな」
「厄介だな……拳で屠れるのなら屠ってやりたいのだが」
「大体そう言う輩は我々のデコピンで脳が噴き飛ぶだろう?」
「こらこら、ダメだぞ? デコピンすれば命に係わるくらい一般人とは弱いのだ」
「手加減と言うのが難しい……」
「うっかり殺してしまう我らの筋肉。誇らしいじゃないか!」
「我らよりも強い筋肉を保持するマリリンが、カズマ殿を殺さずにいるのが奇跡だな」
カズマ殿が聞けばゾッとするような話を、我らは頷き合いながら話をする。
そう、我らの掌はそっと優しく……ミスリル剣くらいなら握り壊す事が可能。
あの程度で我らを傷つけられると思って貰っては困るのだ。
マリリン程ではないが、我らとてSランク冒険者!
誇れ筋肉! 唸れ大胸筋! そこにそっと寄り添う我らがパイ!
「それは兎も角として、アンチを消す事は不可能としてだ」
「「うむ」」
「姿を見せないアンチと言うのは、中々にそそられるモノがあると思わないか?」
「「と言うと?」」
「必死に我らの命を狙おうと暗躍する者達……。姿を見せずその存在は謎とされている……。これだけでアンチ用の小説が作れると思わないか!」
「それは!」
「滾るなぁ!」
「我らからのアンチへのラブコールと行こうじゃないか!」
カーン! と木製コップを鳴らし一気に酒を流し込む。
アンチに怯える事なかれ!
アンチを放っておくことなかれ!
アンチを題材に我らは小説を書く!
それが我らの戦い方と知るがいい!
「我々の戦いは」
「「まだ始まったばかりだったのだな!」」
――こうして、アンチと言う存在をネタにする事を選んだ我々は、三冊の本を出すことになる。
アンチを題材としたそれらは【カズマリ派】【マリカズ派】【ブロマンス派】にも大いにうけたのだが、アンチ派は黙っていなかった!
「印刷会社とミセス・マッチョスの本を手掛けている我が家に大量の嫌がらせが発生しましたわ! このダメリシアからの依頼です……アンチ派が集まるというお屋敷を見つけましたの! 駆除して下さらないかしら!」
「それはいかんなぁ? おいたが過ぎるなぁ?」
「我々を攻撃するのは得策ではないと知ったか……寂しくもあるな」
「ふむふむ、なるほど? それでそちらに攻撃が向かったのだな? 屋敷は……ほう? キンムギーラ王国の郊外にあるドンパッパー伯爵家か」
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