妻は異世界人で異世界一位のギルドマスターで世紀末覇王!~けど、ドキドキするのは何故だろう~

うどん五段

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小話集

第69話 =小話=ミセス・マッチョス分裂の危機!?②

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 結果から言えば『マリカズ』の本は余り売れなかった。
 売れなったが、一部の女性達からは絶大なる支持を貰った。
 そう、女性だって男性を自分の好きに愛したいという欲求があったのだ。
 実に素晴らしい!
 我々の二足の草鞋で書いた小説は、ある種の日の目を見たと言って過言ではない!


「男性に手管を教える……と言うのは、ある種の女性の欲求の1つだったようだな」
「ああ、好いた男性を思う存分自分で自分好みに……と言うのも1つの欲求だったのだろうな」
「尊い」
「女性がリードして夜の生活を行うというのもまた、ロマンの一つなのだろう」
「恥じらう男性、それをリードする女性。なされるが儘の男性と言うのもまた……」
「尊い……」
「「尊いばかり言うんじゃない」」
「何を言うんだ。私はマリカズをかなり推しているんだぞ?」


 と、ペンを持ちつつ会話をする私たち、ミセス・マッチョスの私達。
 ちなみにこの「マリカズ」に至っては、一部の男性にも突き刺さった。
 いうなれば、うちにいる三人の男性には思いきりブッ刺さったのだ。
 彼らは受け属性があるのだろう、実にいい事だ。


「愛の形は一つではないというのが証明されただけでも十分だな」
「愛の形とは多様性であるべきだ。枠にはめていては進化しないのだろう」
「そこにスパイスと刺激があればウマイな」
「だが、安定的な愛の形を求めている読者も多いのは事実」
「変化に富んだ『マリカズ』を欲しがる読者も一定数いるのもまた事実」
「フッ。我々はもしかしたら、とんでもない小説を生み出したのかも知れないな」
「ああ、天啓を受けなければ考えもつかなかった内容だ」


 そう語りつつウンウンと頷き、我々の才能の多彩さに酔いしれた。
『カズマリ』『マリカズ』に関しては湯水のように案が湧き出て大変だ。
 ネタ帳の羊皮紙がいい感じに増えて行ってしまっているな!
 此処から新たなる『カズマリ』『マリカズ』が生まれてくるのだと思うと感慨深い。

 ちなみに、これらの本はカズマ殿とマリリンにも送り付けている。
 そろそろ王都についている頃だろう。
 どんな反応が返ってくるのか楽しみだ。


「カズマ殿とマリリンにも送り付けた今回の本」
「どんな初心な反応が返ってくるか楽しみだな」
「ンフフ」


 マリリンの事だ、余程照れるだろう。
 いや、実践するかもしれないなぁ?
 カズマ殿相手に……燃え上がる夫婦、嗚呼、尊い。
 我々は壁になってその様子を見守りたい!
 一部始終を見守ってまた本にしたい!
 嗚呼、滾るなぁ!


「全く、滾りすぎて体中から迸るオーラが収まらないよ」
「全くだ」
「シュインシュインと、強敵と対峙した時の様に音が鳴りやまないな!」
「「「はははははははははは!」」」


 そう声を上げて笑い、ペンを握る。
 滾りに滾った我々の筆は止まる事はない。
 思いの丈を筆に乗せてカズマリ、マリカズへの愛を紡ぐ!
 今の我々は無敵だ、無敵状態! 愛故に! 燃え故に! 萌え故に! 無敵!

 その無敵状態は――それから一か月程続いたある日、カズマ殿から一通の手紙が届いた。
 それは推しからの手紙。
 推しからの感想文。
 此れをワクワクしながら読んだところ、マリリンが余りにも照れて屋敷が壊れた事が記されていた。
 夫婦生活については掛かれていなかったが、ベッドを新調する羽目になった事も書かれてあり、きっとベッドが壊れる程の燃え上がり、萌え上がりだったに違いないと鼻息荒くした。


「初心なマリリンがきっとカズマ殿を!」
「襲ったからこそベッドが壊れたのだな!」
「ははは! 良く生きていたなカズマ殿!」
「我々は耳年増! あらゆるそっち系の知識は耳から記憶しているからな!」
「その為に想像力は計り知れない!」
「それを初心なマリリンが読んで……ムフフフフ!」
「「「昨夜はお楽しみでしたなぁ!」」」


 思わず全員でシュインシュインと盛り上がってしまったが、実に素晴らしい事だ!
 きっとあのマリリンが頑張ってカズマ殿を……むぐふふふふ!
 ああ、何故我々は壁になれないのか。
 肉壁にはなれるが、家の壁にはなれない。
 嗚呼無情。
 嗚呼、精神だけでも壁になりに行きたい。
 きっと天にも昇る素晴らしい世界が見れた事だろう!


「嗚呼、我々も何時かは……」
「壁になり、枕になり、ベッドになりたい」
「いや、ベッドはマリリンに壊される可能性がある」
「危険だな」
「壁がデフォだ」
「そうだな」


 ウンウンと頷き合い、我々は届いた手紙を額縁に飾る。
 実に素晴らしい感想だった。
 何時でも読んで滾ろう。シュインシュインと。
 その燃え萌えが次の執筆の原動力になるのだ。


「お姉さま方、紅茶の準備が整いました」
「一息入れたは如何でしょうか?」
「うむ、頂こうか」
「一旦この萌えと燃えを爆発させて執筆する為にも」
「内に留めて爆発させねばな!」


 こうして専用の椅子にドカッと座り、三人が入れてくれた紅茶と御菓子を食べつつ過ごす僅かな休憩時間。
 ――嗚呼マリリンよ。
 一体どんなことを考えてベッドを壊したのか詳しく五時間ほど聞きたい。
 例え肉弾戦になっても色々根掘り葉掘り聞きたい。


「はぁ――……滾りに滾り、それらを執筆にあてたい」
「何故我々は本拠地が本来ならばムギーラ王国なのにコッチらに帰ってきているのか」
「2拠点生活はきついな」
「やはりキンムギーラからマリリンのいる拠点を本拠地にして動くべきだ」
「ああ、手紙ではなく声で、ボイスで感想を聞きたいからな」
「いっそ離れているのなら、脳内に直接声を送ってきてくれマリリン……」
「それな」
「マリリンなら出来そうだ」
「ああ、脳が破壊される爆音かも知れんが」


 そんな事を会話で盛り上がりながら話、我々は紅茶をおかわりし、続きの執筆に向けて筆をとったのであった――。
 そして、萌えと燃えを爆発させて1人80枚の執筆を進めたのは……何時もの事だな!

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