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小話集
第68話 =小話=ミセス・マッチョス分裂の危機!?①
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それは、ある日突然訪れた神からの神託――。
【カズマリを愛せ、だが、マリカズも愛せ】
私はその言葉を聞いて、目をカッとかっぴらいた!
+++++++
その日の朝【ミセス・マッチョス】が借りている家にて、必死に小説を執筆する私たちの姿はあった。
元々【ミセス・マッチョス】とはSランカー冒険者の集まりで、何より【カズマリ】……つまり、カズマ様とマリリンを愛する集団でもあった。
前衛のナナルシカ、中衛のミナリー、後衛で回復役のモナリザス。
何時も3人で行動を共にしてきた私たちだが、ある朝私はその神からの神託を、仲間であり友人であり戦友のミナリーとモナリザスに語った。
「私は朝、神からの神託を預かった」
「ほう?」
「詳しく聞こうか」
そう切り出したのは私、モナリザス。
通称:モナと呼ばれていた。
友人であり戦友であるナナ、ミナは興味津々で私の話に耳を傾けている。
「神は仰った。【カズマリを愛せ、だが、マリカズも愛せ】と……」
「マリカズだと……?」
「それは……リバーシブル!」
「ならん、それは邪道だ!」
「イエスマム!」
そう怒りを露わにしたのはナナだった。
私はそれでも神のお告げだと、両手を組んでナナと対峙する。
「しかし、カズマリも良いがマリカズもありだと思うぞ!」
「確かにリバーもありかもしれん。だが私はカズマリを愛したい! 初心なマリリンがカズマによって色づく……それは濃厚なるエロスなのだ!」
「確かに」
「だが、その反対にこなれてきたマリリンがカズマ様をリードする……それもまた萌える&燃える展開ではないか!?」
「確かに」
「私はリバを推す!」
「しかし! カズマリこそが人気筆頭!」
「確かに!」
「新たなジャンルを産むのだ! 私たちは作者! 産み落とす事は可能だろう!」
「確かに!?」
「「確かにばかり煩いぞミナ!」」
そう叫ぶと、ミナは「すまない。私はどちらでも美味しく頂くタイプの様だ」と、『カズマリもマリカズもウマイウマイ! タイプだ』と教えてくれた。
更にミナは言葉を続けたのである。
「カズマリ、マリカズ、どちらにせよ2人が愛し合っているのならそれに越したことはなく、それでいて夜はなんとも言えない両者共に迸るエロスがある。どちらか片方しか愛せないというのは、正に二人に対して失礼であろう!」
「「むう、確かに」」
「男と女の立場が夜の場においてリバするのは悪くない! 寧ろ私はたまに立場逆転、美味しいと思います!」
「取り敢えずミナ、噴き出している鼻血をお止め……」
「おっとすまない。迸る燃え萌えに鼻血が出てしまった」
そう言って慣れた手つきでティッシュを両鼻に突っ込むミナに、私たちは小さく溜息を吐いた。
そう、カズマリもマリカズも確かにどちらにも美味しいエロスも感じるし、どちらにしてもウマイに越したことはないのだ。
ただ、問題は――。
「女性が男性を、この場合マリリンがカズマ様を手取足取り愛すというのは……女性に受けるんだろうか」
「そうだな、女性が男性をろうらくさせるというのは、受けるのか否か」
「ああ、しかも相手はマリリンだ。純情路線で走っていたマリリンだ」
「そのマリリンがカズマ様をろうらくさせる……」
「「「……ありかもしれないな」」」
我々の考えは一致した。
我々は冒険者である。
小説もまた、冒険すべきなのである!
こうして我々の新作は【マリカズ】で決定したのだった――。
無論売れるかなんてのは分からない。
だが、我らの愛するマリリンが成長し、カズマ様を翻弄する姿を想像しながら書くのは楽しかった
無論、我ら【ミセス・マッチョス】の面々は男との経験等全くないが!
無いが故に想像が膨らむ!
妄想が膨らむ!
未経験故の冒険が出来る!
実に素晴らしい!
それと同時に!
「「「経験者のマリリンが羨ましい」」」
そこはどうしても出る。
だが、未経験故の妄想の暴走と言うのも大事である。
どっちを取るか等、一目瞭然だった。
我々は、後者を取ったのである。
ガリガリと筆を進める中、時折冷めた紅茶を飲みつつ執筆していると――……。
「お姉さま方……そろそろ紅茶で休憩等如何でしょうか?」
「美味しいクッキーも【レディー・マッスル】から頂いておりますよ」
「羊皮紙も補充しており来ますね」
「おお、ついつい執筆に集中してしまったな」
「カリス、モルスァ、カメオ。いつもスマンな」
「「「いえいえ、そんな……」」」
この3人、カリス、モルスァ、カメオは男性ながら私たちのファンで、無償と言う訳ではないが身の回りの世話をしてくれる男性陣だ。
筋肉もないヒョロヒョロだが、役に立つ。
「お洗濯はありませんか?」
「心遣い感謝する」
「お部屋の掃除しておきました」
「すまんな」
「今日の夕飯はオーク肉のステーキですよ」
「今日も派手に飲み食いできそうだな!」
執筆活動の傍ら、何だかんだと忙しいのが我ら【ミセス・マッチョス】だ。
依頼が出ればどんな場所でも敵を屠る! 執筆が忙しいのは否めないが、冒険依頼とて待ってはくれないのだ!
「それと、キンムギーラ王国よりドラゴン討伐の依頼が来ております」
「ふむ、ドラゴン討伐か」
「腕がなるのう……丁度煮詰まっていた所だ。良いストレス発散になって貰おうか」
「筋肉もなまっていた所だ。しっかりと可愛がってやらねばなぁ!」
「「「はわわ……お姉さまたち素敵ですっ!」」」
こうして今日もキリの良いところまで書いて私たちは武器を手に冒険に出る。
武器を持てば冒険者。
筆を持てば執筆者。
2足の草鞋は大変だが、それこそが我ら【ミセス・マッチョス】の生き甲斐だ。
「さくっとドラゴン3匹程殺るか?」
「1人一匹なら軽いだろう」
「カリス、モルスァ、カメオの土産に4匹と言うのもいいな」
「ははは! オークステーキがドラゴンステーキになる訳だな!」
「【マリカズ】の祝いだ! ど派手にいこうじゃないか!」
そう言うとザッと走り出す私たち。
走ればマッハだ。
指定されたドラゴンのいる場所まで、なぁに、直ぐだ直ぐ。
途中人を跳ねたり馬車を壊したりしないようにすれば問題はない。
――こうして、私たちの2足の草鞋は今日も今日とて進んでいく。
燃えたぎる萌えと共に。
【カズマリを愛せ、だが、マリカズも愛せ】
私はその言葉を聞いて、目をカッとかっぴらいた!
+++++++
その日の朝【ミセス・マッチョス】が借りている家にて、必死に小説を執筆する私たちの姿はあった。
元々【ミセス・マッチョス】とはSランカー冒険者の集まりで、何より【カズマリ】……つまり、カズマ様とマリリンを愛する集団でもあった。
前衛のナナルシカ、中衛のミナリー、後衛で回復役のモナリザス。
何時も3人で行動を共にしてきた私たちだが、ある朝私はその神からの神託を、仲間であり友人であり戦友のミナリーとモナリザスに語った。
「私は朝、神からの神託を預かった」
「ほう?」
「詳しく聞こうか」
そう切り出したのは私、モナリザス。
通称:モナと呼ばれていた。
友人であり戦友であるナナ、ミナは興味津々で私の話に耳を傾けている。
「神は仰った。【カズマリを愛せ、だが、マリカズも愛せ】と……」
「マリカズだと……?」
「それは……リバーシブル!」
「ならん、それは邪道だ!」
「イエスマム!」
そう怒りを露わにしたのはナナだった。
私はそれでも神のお告げだと、両手を組んでナナと対峙する。
「しかし、カズマリも良いがマリカズもありだと思うぞ!」
「確かにリバーもありかもしれん。だが私はカズマリを愛したい! 初心なマリリンがカズマによって色づく……それは濃厚なるエロスなのだ!」
「確かに」
「だが、その反対にこなれてきたマリリンがカズマ様をリードする……それもまた萌える&燃える展開ではないか!?」
「確かに」
「私はリバを推す!」
「しかし! カズマリこそが人気筆頭!」
「確かに!」
「新たなジャンルを産むのだ! 私たちは作者! 産み落とす事は可能だろう!」
「確かに!?」
「「確かにばかり煩いぞミナ!」」
そう叫ぶと、ミナは「すまない。私はどちらでも美味しく頂くタイプの様だ」と、『カズマリもマリカズもウマイウマイ! タイプだ』と教えてくれた。
更にミナは言葉を続けたのである。
「カズマリ、マリカズ、どちらにせよ2人が愛し合っているのならそれに越したことはなく、それでいて夜はなんとも言えない両者共に迸るエロスがある。どちらか片方しか愛せないというのは、正に二人に対して失礼であろう!」
「「むう、確かに」」
「男と女の立場が夜の場においてリバするのは悪くない! 寧ろ私はたまに立場逆転、美味しいと思います!」
「取り敢えずミナ、噴き出している鼻血をお止め……」
「おっとすまない。迸る燃え萌えに鼻血が出てしまった」
そう言って慣れた手つきでティッシュを両鼻に突っ込むミナに、私たちは小さく溜息を吐いた。
そう、カズマリもマリカズも確かにどちらにも美味しいエロスも感じるし、どちらにしてもウマイに越したことはないのだ。
ただ、問題は――。
「女性が男性を、この場合マリリンがカズマ様を手取足取り愛すというのは……女性に受けるんだろうか」
「そうだな、女性が男性をろうらくさせるというのは、受けるのか否か」
「ああ、しかも相手はマリリンだ。純情路線で走っていたマリリンだ」
「そのマリリンがカズマ様をろうらくさせる……」
「「「……ありかもしれないな」」」
我々の考えは一致した。
我々は冒険者である。
小説もまた、冒険すべきなのである!
こうして我々の新作は【マリカズ】で決定したのだった――。
無論売れるかなんてのは分からない。
だが、我らの愛するマリリンが成長し、カズマ様を翻弄する姿を想像しながら書くのは楽しかった
無論、我ら【ミセス・マッチョス】の面々は男との経験等全くないが!
無いが故に想像が膨らむ!
妄想が膨らむ!
未経験故の冒険が出来る!
実に素晴らしい!
それと同時に!
「「「経験者のマリリンが羨ましい」」」
そこはどうしても出る。
だが、未経験故の妄想の暴走と言うのも大事である。
どっちを取るか等、一目瞭然だった。
我々は、後者を取ったのである。
ガリガリと筆を進める中、時折冷めた紅茶を飲みつつ執筆していると――……。
「お姉さま方……そろそろ紅茶で休憩等如何でしょうか?」
「美味しいクッキーも【レディー・マッスル】から頂いておりますよ」
「羊皮紙も補充しており来ますね」
「おお、ついつい執筆に集中してしまったな」
「カリス、モルスァ、カメオ。いつもスマンな」
「「「いえいえ、そんな……」」」
この3人、カリス、モルスァ、カメオは男性ながら私たちのファンで、無償と言う訳ではないが身の回りの世話をしてくれる男性陣だ。
筋肉もないヒョロヒョロだが、役に立つ。
「お洗濯はありませんか?」
「心遣い感謝する」
「お部屋の掃除しておきました」
「すまんな」
「今日の夕飯はオーク肉のステーキですよ」
「今日も派手に飲み食いできそうだな!」
執筆活動の傍ら、何だかんだと忙しいのが我ら【ミセス・マッチョス】だ。
依頼が出ればどんな場所でも敵を屠る! 執筆が忙しいのは否めないが、冒険依頼とて待ってはくれないのだ!
「それと、キンムギーラ王国よりドラゴン討伐の依頼が来ております」
「ふむ、ドラゴン討伐か」
「腕がなるのう……丁度煮詰まっていた所だ。良いストレス発散になって貰おうか」
「筋肉もなまっていた所だ。しっかりと可愛がってやらねばなぁ!」
「「「はわわ……お姉さまたち素敵ですっ!」」」
こうして今日もキリの良いところまで書いて私たちは武器を手に冒険に出る。
武器を持てば冒険者。
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「さくっとドラゴン3匹程殺るか?」
「1人一匹なら軽いだろう」
「カリス、モルスァ、カメオの土産に4匹と言うのもいいな」
「ははは! オークステーキがドラゴンステーキになる訳だな!」
「【マリカズ】の祝いだ! ど派手にいこうじゃないか!」
そう言うとザッと走り出す私たち。
走ればマッハだ。
指定されたドラゴンのいる場所まで、なぁに、直ぐだ直ぐ。
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