妻は異世界人で異世界一位のギルドマスターで世紀末覇王!~けど、ドキドキするのは何故だろう~

うどん五段

文字の大きさ
上 下
66 / 73
第四章 これからも世紀末覇者で心乙女な君と一緒に!

第67話 これから先の未来には、世紀末覇者的な覇王の妻と共に!

しおりを挟む
 ――それから数年後。
 ジャックは貴族籍に戻り、マギラーニ宰相の跡を継いで宰相としての勉強も進んでとても頼り甲斐もあるし、シャナリアと結婚して今は男女の子供がいる。
 シッカリ教育はされているようで、アスランの様にはならないようで安心したが、マリシアの事を「お姉さま」と二人揃って懐いてくれているし、僕にもその後合計で7人の子供に恵まれた。

 マリリンが言うには、僕の故郷の温泉で7回温泉のお湯を飲んだらしい。
 その回数分子供が出来たと嬉しそうに笑っていた。
 最後の末の子だけが僕にソックリで、他の6人はマリリンに似た素敵な体をしている。
 だが、末の『カズラル』は僕の仕事にとても興味があり、アツシ叔父さんに勉強を教えて貰ったりしながら知識を蓄え、僕も異世界とあちらの言葉を教えている為、教科書はたんまり両親が買ってきてくれる為、とても頭がいい。


「将来はお父様のように相談役になりたいのです」


 そう語るカズラルに、僕の次の代は安心だなとホッと安堵したのは言う迄もなく、他6人の子供たちは、レディー・マッスル所属の冒険者になっている。
 皆それぞれ厳しい教育の賜物もあり、礼儀作法やダンスもしっかりこなせて勉強も出来る為、「そこはカズマ様とマリリンの良いところを引き継いだ」とさえ言われている。

 反抗期は大変だったが、マリリンの一撃で皆の心は折れた。
 母は強しである。いや、英雄の称号持っているから最強なんだが。

『ミセス・マッチョス』達は僕とマリリンの子育て本や子供たちの成長を書いた本も出版し、それはもう話題を読んだ。
 育児本として今では愛読者がとんでもない数だ。

 それらを一手に引き受けるダメージョ伯爵の令嬢、ダメリシア様は、印刷会社のカネーヤさんと結婚し、飛ぶ鳥を落とすだけの勢いのある会社へと発展した。

 皆がいい方向へと向かう中、僕たちの家族も良い方向へと向かったが――ムギーラ王は先日他界した。
 そしてダリュシアーン様が王位につき、その宰相にジャックさんが頑張っている。
 以外にもジャックさんとダリュシアーン様は相性が良く、僕も仕事をしていて気持ちがいい。

 マイケルさんは今も『レディー・マッスル』の為に働いてくれていて、子供も3人ファナさんとの間に出来た。
 とても幸せそうな家族だと聞いている。
 マリリンはというと――。


「うむ、子供たちも大きくなったし、我は冒険者に戻ってSランク冒険者としてマイケルと頑張るとするか!!」
「あまり無理はしないでくれよ?」
「無論だとも! この柔肌を傷つける訳には行かないからな!!」


 7人も子供を産んだのに、腹筋はそのままだったマリリン。
 子育て中でも肉体改造……じゃない、訓練は怠らなかった為、強さは維持できているそうだ。
 流石である。
 そして、今も僕たちはラブラブの新婚のように甘い夫婦だ。


「君がいない夜は君の枕を抱いて寝るよ……」
「おおカズマよ……我もカズマのいない夜は寂しくて雄叫びを上げてしまうかもしれない」
「いいよ……それで寂しさが紛れるのなら……」
「カズマ……」
「マリリン……」


 ――こんな夫婦を見て育ったものだから、子供たちは純愛と言うものに憧れ、婚約はしなかった。
 弊害ともいえるが、それで良かったのかも知れない。
 下手に婚約者を作れば冒険者は難しいというのもある。


「いつか、お父様のような夫をゲットしてみせるわ」
「私もよ」
「俺は嫁さんは飯が上手い人がいい」
「ファナさんみたいな人とかな」


 そう語り合う子供たち。
 カズラルは「母のような女性は魅力的なので、心の清らかな女性となら結婚したいですね」と笑顔で答えており、マリリンは喜んでいた。

 何処にでもありそうで、どこにも無さそうな家族。
 それが我が一家だ。

 無論、ジュノリス大国にも、シュノベザール王国にも、ダイヤの国にも冒険に出る子供たちの中には恋人がいる子もいる。
 何時か紹介してくれるのが楽しみだ。



 ムギーラ王国は、その後どうなったかというと――シュノベザール王国との交易でサトウキビの砂糖が手に入るようになり、乾燥したドライフルーツや野菜なども人気で、今ではなくてはならない食材と食べ物になった。
 冒険者達もドライフルーツや野菜は冒険のつきものとして買っているし、国交も平和そのものだ。

 そして、ダイヤの国とも盛んで、特に『ガーネット店』の商品は無くてはならない存在になった。
 万年筆にメガネといったものも多く出回り、お守りや付与付きの彫金アイテムも多数売れているらしい。
 僕も幾つか使っているが快適だ。
 また、冒険者からの依頼も多く飛び込んでくるらしく、『ガーネット店』は更に大きくなった。


 アツシ叔父さんのいる神々の島には子供たちも多く行き来しており、中には獣人の恋人がいる子もいる。
 ケモミミの孫が抱ける日が楽しみなのだが、それはまたいずれ――。


「さて、城に行く時間ですね。カズラル行きますよ」
「はい、お供します」


 カズラルは僕の跡を継ぐべく、相談役として恥ずかしくないように今は教育中だ。
 ハッとする着眼点も持っている為、今後が楽しみでもある。
 ――僕の生活は大きく子供がいる事で変わったようで、変わらない所もある。
 今も両親の住む実家には定期的に帰っているし、特に変わり映えはない。
 ただ、やはり両親のいる世界では得る事の出来なかった幸せは沢山あるのだと思う。

 あの日、マリリンと出会ったから。
 あの日、マリリンと目が合ったから。
 そこから、全てが始まった。

 そんな異世界が近くにあって、異世界で生活して、仕事をして、たまに実家に帰って。

 僕の人生は今後もそう変わらないだろう。
 それでいい。
 それだからいい。
 マリリンと結婚したからこそ、僕の人生は大きくスタートしたのだから。
 妻が異世界人なんて最高だし、世紀末覇者なのは変わらないけど、そこもまた素敵なんだから最高だ!


「どうしましたお父様」
「ああ、マリリンと結婚できて良かったなと思ってね」
「ええ、俺も母から産まれて幸せです!」


 そう胸を張って言える子供がいてくれて――何よりの宝だ!
 さぁ、今後も生きていこう、この世界で。
 世紀末覇者で、心は乙女で、愛しい妻と家族と一緒に!



 ――完――
しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 1

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~

八重
恋愛
【全32話+番外編】 「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」  伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。  ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。  しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。  そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。  マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。 ※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...