上 下
51 / 66
第三章 結婚して新たな人生のスタートには波乱がつきもので!?

第52話 日本でのハネムーンに胸躍らせる!(上)

しおりを挟む
 日本での新婚旅行初日。
 カズマはマリリンの体重に耐えきれるように車を新しくしていた為、問題なく出発することが出来た。
 向かうは【子宝温泉】だ。
 そろそろ僕たちだって子宝が欲しい。
 つまり、あやかろうと言う事で向かっているのだ。


「今から行く温泉はね、子宝温泉とも言われていて、子宝に恵まれやすくなるというご利益のある温泉なんだ」
「ココココココ!!」
「ん? 鶏かな?」
「子宝温泉!!」
「僕たちもそろそろ一人目をと思うんだけど、マリリンはどう思う?」


 そう運転しながら問いかけると、マリリンは顔を真っ赤にしながら「そ、そうだな! そろそろ一人くらいは!」と言ってくれたので嬉しかった。


「それに道中は【バケツラーメン】が食べられる場所があるんだ。楽しみだね」
「バケメン!! それは滾るなぁ!!」
「お代わりしていいからね!」
「うむ!!」


 こうして楽しい会話もしながら進んでいくが、やはり世界第二位に落ちたギルドと言うのは気になるようで、僕も異世界での事を考えながら車を運転する。
 マリリンの情報では、新たな世界第一位のギルド『ドゲン・モナカ』は連携さえ取れれば本当に強みになるギルドでもあるらしいのだ。


「貴族内の依頼を『ドッスコイ』がして、外の仕事を『メンガンテン』がすれば外と中との強みになる。恐らくそこを話し合いで決めたのかも知れないな」
「ふむ……こちらもそれに対抗するべく何かした方が良さそうだね」
「レディー・マッスルは両方に強いギルドではあるんだ。だがそれだけでは『ドゲン・モナカ』には勝てないかもしれない。もっとカズマ風に言うならばグローバルに展開していかねばならないのかも知れないな」
「既にグローバルじゃないか。世界各国の依頼を受けているだろう?」
「それはそうだが」
「冒険者のランクか」


 そう、マリリンがリーダーを務めるギルドには、最高がAランク冒険者で、Sランクはマリリンとジャック、マイケルさんしかいない。
 そもそもSランク冒険者と言うのが少なすぎると言うのもあるが、『ドゲン・モナカ』でもSランク冒険者は一組しか在籍していないそうだ。


「なるほど、それで『ミセス・マッチョス』の面々が来るわけだね」
「合併ではなく、提携という形を取ると思うがな」
「そうだね、僕も『ミセス・マッチョス』って響き好きだから、なくなるのは寂しい」


 それに、僕たちを推しだと言って本まで作ってくれるのが、『ミセス・マッチョス』の面々だし、その名も本の影響で売れている。
 合併するのは得策ではない。


「もし提携してくれる話が通ったら、マリリンと僕とお茶会をする機会くらいは作ってあげないとね」
「そうだな、あらゆる質問にもお答えしよう」
「ははは! きっと喜ぶよ! でも、夜の事情については二人だけの秘密にして欲しいな」
「よよよよよ! 夜の事情なんて話せる筈無かろう!!」
「良かった!」


 照れるマリリンがバイブレーションのように揺れるので僕の車の運転レベルが相当上がりそうだ。
 後ろを走っている車はきっと恐怖しているだろうけれど、それは許して欲しいと心で謝罪した。

 その後、お昼過ぎにバケツラーメンが名物のラーメン屋に入り、マリリンは迷わずバケメンを頼み、5分で食べ切った。
 そう、マリリンにとって煮え滾る熱さ等気にする事では無いのだ。
 普通に火傷するレベルでも、マリリンに掛かればなんのその。
 結果――バケメンを3杯食べてから帰る事になり、バケメン3杯食べた記念に写真を撮って貰い、更に店に飾ってくれることになった。


「いい休憩にもなったなぁ……美味しかったかい?」
「最高だな!!」
「よし、この調子でコテージまで車で走っていこう!」


 こうして車に乗り込み、僕たちは更に車を走らせてナビを見ながらコテージへと向かう。途中「あそこが明日行くところだよ」等と新婚旅行で行くにはちょっと味気ないかも知れないけれど、【世界のオルゴール】が飾ってある場所や売っている場所、そして【世界のビール】が飲める一角もある場所を教えつつ車は走る。


「おる、ごーるとは?」
「明日、欲しいのがあればプレゼントするけど、音楽を奏でる小さな箱っていうのかな?」
「ほう」
「一応陛下たちにも買わないといけないけど、マリリンが選んだものをプレゼントするからね。値段にもよるけど」
「ははは。それは楽しみだ」
「現金持ち歩いて良かったなぁ……」


 鞄にドンっと入った封筒に入れた札束。
 これを使う日が来ようとは……でも、マリリンのお金で買うのでプレゼントと言えるかどうかは不明だ。だが喜んでくれるなら別にいいだろう。


「世界のビールと言えば、こちらの異世界の酒は美味だな!!」
「そうだね、僕もあちらよりはこっちの世界のビールの方が美味しく感じるよ」
「うむ、やはり違うのだ。美味いのだ。こちらにいる時の楽しみだな!」
「ははは、飲みすぎないようにね?」
「うむ! 酒は嗜む程度が丁度いい」


 というが、マリリンはザルである。
 酒で酔っ払ったところを見たことが無い。
 反対に酔いつぶれた僕を抱きかかえて帰る事はあっても、本当に酔わないのだ。
 そんな事を思いつつたどり着いた温泉宿にてチェックインを済ませ、車を少し走らせてコテージへと到着すると、カギを開けて中に入る。
 広々とした二階建てだけど、僕たちが使うのは一階だけだ。
 二階をつかうのはマリリンの体重的にコワイ。


「良い部屋だな」
「うん、早速温泉で汗を流してのんびりしようか」
「子宝……それもそうだな!」


 こうして僕たちは荷物を置いてから室内にある風呂場へと向かうと、趣のある温泉のような感じになっていて、服を脱ぐと二人体を洗いっこしてから温泉へと入り、運転の疲れを取りつつ、夜のバーベキューを楽しみにしたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...