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第三章 結婚して新たな人生のスタートには波乱がつきもので!?
第39話 我々の【推し活動】は留まる所を知らない!(上)
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――ミセス・マッチョスside――
アタシ達『ミセス・マッチョス』は肉体美と強さこそが全て。
男なんて二の次三の次で若い頃から只管走ってきた。
途中挫折する者もいたが、それでも女3人……前衛のナナルシカ、中衛のミナリー、後衛で回復役のモナリザスが残った。
そんなアタシ達の後ろからやってきて、高速で飛び出していった者がいた。
『レディー・マッスル』のマリリン、ジャック、マイケルだ。
元はボンボンとそのお嬢様だと言うのに、全くそんなボンボンとかお嬢様とかいう次元を飛び越えた姿とパワーに圧巻された。
信じられなかった、何もかもが……。
マリリンは一生結婚しない。
いや、結婚なんて出来る筈もない。
そう三人共に安心しきっていたある日――その知らせは青天の霹靂。
マリリンは結婚していたのだ。
「まさか」「そんな」「嘘よ」とアタシ達は騒いだ。
しかし、その話は現実を帯びてきたのは、マリリン達『レディー・マッスル』があの腐った国を捨てムギーラ王に拠点を移して暫くしてからだった。
なんと、マリリンの夫がムギーラ王国の国王の相談役に抜擢されたという情報が流れてきたのだ。
元は冒険者だというマリリンの夫は、冒険者からすれば大出世と言える。
一国の王の相談役など、早々出来る事ではないのだから。
そしてマリリンは現在、その夫の護衛として城に赴いていることも知った。
夫と離れたくないだけだろう? と鼻で笑ったが、事実だったようだ。
マリリン夫妻の話を聞けば聞くほど羨ましい。
マリリンが怒りの形相で両手剣を片手に一本ずつ持って覇気でチームアジドの窓ガラスを全て割ったとしても、臆すことなくマリリンに抱き着き、愛を乞うたと言う夫。
マリリンの実家問題で怒りのマリリンが火柱を上げたのに、その火に飛び込んで愛する妻を諭し、キスをしたという夫……。
マリリンは結婚なんてしないと思っていた。
それは事実だ、三人全員がそう思っていた。
それなのに、その夫と言うのは……私たち三人の最も欲しい所を持っていて、その上どんなに美しい花々がいたとしても見向きもせずマリリンだけを一途に愛する男であるという話までは聞いている。
「おお……これが嫉妬、女の嫉妬と言うものか」
「まさにマリリン、万死に値する」
「何と羨ましい……むううん……」
だからと言って、誇り高き『ミセス・マッチョス』は羨ましいとは思っても、他人のものまでは欲しがらない。そう、欲しがってはならない!!
そう思っていたのに――マリリンの世紀の結婚式と言われた写真と呼ばれる者を使って新聞に載ったマリリンの美しく変わった姿に……寄り添う細めだがしっかりとした筋肉のある若い男に、アタシ達三人は耐えれず鼻血を噴き出した。
「「「イイ……ッ」」」
確かにマリリンと並べば小さく見えるだろう。
だが、一般男性として背は高く細マッチョの部類に入り、何よりベビーフェイス!
一途にマリリンを愛する夫――カズマを見た時、アタシ達三人には【好き!!】と言う気持ちとは別の【推したい!!】と言う気持ちが沸き上がった!!
そう、いうなれば……【カズマリ】だ。
二人を推したいという、二人が揃っているからこそ推したいという謎の気持ちになったのだ!!
第二婦人にして欲しいとか、そんなのはどうでもいい!!
いや、そんなものは何一ついらない!!
カズマとマリリンが二人幸せならば、それはアタシ達にとっては何よりもご褒美!!
「カズマリ尊い……っ!!」
「不味い、不味い、最近カズマリ不足気味」
「それな!!」
そんな事を言いつつ数日間に及ぶブラックドラゴン20匹の討伐を終えた私たちは、多少くたびれつつ何時もの拠点のあるムギーラ王国の隣の国、キンムーギラ王国にいた。
キンムーギラ王国はムギーラ王国の姉妹国のようなモノで、数年に一度キンムーギラ王国から花嫁がいったり、婿が行ったり、その逆もまた然りでとても縁深い国だ。
何時もの拠点に戻って身ぎれいにし、腹をすかせたアタシ達が酒場にやってくると――。
「おお、『ミセス・マッチョス』のお帰りか」
「マスターただいま」
「カズマリで何か話ない?」
「そうそう、アタシ達カズマリ不足でー」
そう溜息をついて何時ものエールを頼むと、マスターは「今日は宴会になるかも知れんぞ?」と告げたのでチップを金貨で各自一枚ずつ、3枚渡した。
所謂情報料金と言う奴だ。
「なんでもマリリンとカズマ様は、ムギーラ王国にある【レディー・マッスル】が保有する鉱山近くに湧いた温泉の施設にハネムーンを兼ねていくらしい」
「「「ほう?」」」
「温泉施設は既にホテルが建っているという情報だ。カズマリもそこに泊まるという情報を入手している。今急ぎ便で『ミセス・マッチョス』がその温泉に入りに行くと言えば、温泉施設で本物の【カズマリ】が見れるんじゃないか?」
「「「おおおおおおおおおおっ!!」」」
つまり、推しを目の前で堪能できるかの知れないという事だ!!
これは祭りだ!! 宴だ!! 宴会だ!!
その前に――直ぐに【レディー・マッスル】宛に手紙を書き、『ミセス・マッチョス』面子が温泉施設向かう事を書いた内容を遠隔魔導具で早々に出し、一仕事を終える。
「この目に」
「この網膜に」
「リアルカズマリを焼き付ける」
推し活だ。
温泉で推し活だ!!
その後アタシ達は雄叫びを上げながらエールを大量に流し込んで、貸し切り状態になる程叫びながら【カズマリ】の良さを叫びながら萌え続けた!!
謎めいたミステリアスなカズマと、英雄の称号を持つ最強乙女マリリン!!
マリリンの殺気をものともせず深い愛情をもってマリリンを愛するカズマ!!
嗚呼、本が欲しい。
本を書こう!!
そう、アリのままの本はきっと出ているに違いない。
なので「これはフィクションです」と書いた上で、マリリンとカズマの二次創作を書くのだ!!
「アタシ等カズマリ信者にとって!!」
「新鮮なネタも欲しいが!!」
「妄想しながら滾る内容も欲しい!!」
ドンドンドン!!
とエールを飲み干したコップを置き、ニヤリと笑い合う。
「まずは各自一冊ずつ書いて」
「それをマリリンとカズマに読んで貰う」
「そして、公式ファンクラブとして認めて貰う!」
「そうと決まればガンガン飲んで食うぞ!!」
「ネタ出しだ!! 羊皮紙とペンを出せ!!」
「大人な話の部分はどうする?」
「うまくぼかせ!! マリリンに消されるぞ!!」
「それもそうだな!!」
こうしてアタシ達『ミセス・マッチョス』の夜は更けていき、ブラックドラゴンを倒すよりも早く各自1冊の本を準備した。
無論二冊ずつだ。一冊はマリリンにプレゼントするために。
アタシ達による結婚祝いだな!!
「良い旅立ちの日だ」
「今から行けば温泉宿でカズマリに会える」
「目の下の隈は温泉についてからのんびりと消そうじゃないか!」
「「推しの為ならば数日の徹夜と腱鞘炎くらいなんともないわ!!」」
こうしてアタシ達はムギーラ王国の【レディー・マッスル】が所持する温泉へと旅立ったのだ。
――尊い推しに会う為に。
アタシ達『ミセス・マッチョス』は肉体美と強さこそが全て。
男なんて二の次三の次で若い頃から只管走ってきた。
途中挫折する者もいたが、それでも女3人……前衛のナナルシカ、中衛のミナリー、後衛で回復役のモナリザスが残った。
そんなアタシ達の後ろからやってきて、高速で飛び出していった者がいた。
『レディー・マッスル』のマリリン、ジャック、マイケルだ。
元はボンボンとそのお嬢様だと言うのに、全くそんなボンボンとかお嬢様とかいう次元を飛び越えた姿とパワーに圧巻された。
信じられなかった、何もかもが……。
マリリンは一生結婚しない。
いや、結婚なんて出来る筈もない。
そう三人共に安心しきっていたある日――その知らせは青天の霹靂。
マリリンは結婚していたのだ。
「まさか」「そんな」「嘘よ」とアタシ達は騒いだ。
しかし、その話は現実を帯びてきたのは、マリリン達『レディー・マッスル』があの腐った国を捨てムギーラ王に拠点を移して暫くしてからだった。
なんと、マリリンの夫がムギーラ王国の国王の相談役に抜擢されたという情報が流れてきたのだ。
元は冒険者だというマリリンの夫は、冒険者からすれば大出世と言える。
一国の王の相談役など、早々出来る事ではないのだから。
そしてマリリンは現在、その夫の護衛として城に赴いていることも知った。
夫と離れたくないだけだろう? と鼻で笑ったが、事実だったようだ。
マリリン夫妻の話を聞けば聞くほど羨ましい。
マリリンが怒りの形相で両手剣を片手に一本ずつ持って覇気でチームアジドの窓ガラスを全て割ったとしても、臆すことなくマリリンに抱き着き、愛を乞うたと言う夫。
マリリンの実家問題で怒りのマリリンが火柱を上げたのに、その火に飛び込んで愛する妻を諭し、キスをしたという夫……。
マリリンは結婚なんてしないと思っていた。
それは事実だ、三人全員がそう思っていた。
それなのに、その夫と言うのは……私たち三人の最も欲しい所を持っていて、その上どんなに美しい花々がいたとしても見向きもせずマリリンだけを一途に愛する男であるという話までは聞いている。
「おお……これが嫉妬、女の嫉妬と言うものか」
「まさにマリリン、万死に値する」
「何と羨ましい……むううん……」
だからと言って、誇り高き『ミセス・マッチョス』は羨ましいとは思っても、他人のものまでは欲しがらない。そう、欲しがってはならない!!
そう思っていたのに――マリリンの世紀の結婚式と言われた写真と呼ばれる者を使って新聞に載ったマリリンの美しく変わった姿に……寄り添う細めだがしっかりとした筋肉のある若い男に、アタシ達三人は耐えれず鼻血を噴き出した。
「「「イイ……ッ」」」
確かにマリリンと並べば小さく見えるだろう。
だが、一般男性として背は高く細マッチョの部類に入り、何よりベビーフェイス!
一途にマリリンを愛する夫――カズマを見た時、アタシ達三人には【好き!!】と言う気持ちとは別の【推したい!!】と言う気持ちが沸き上がった!!
そう、いうなれば……【カズマリ】だ。
二人を推したいという、二人が揃っているからこそ推したいという謎の気持ちになったのだ!!
第二婦人にして欲しいとか、そんなのはどうでもいい!!
いや、そんなものは何一ついらない!!
カズマとマリリンが二人幸せならば、それはアタシ達にとっては何よりもご褒美!!
「カズマリ尊い……っ!!」
「不味い、不味い、最近カズマリ不足気味」
「それな!!」
そんな事を言いつつ数日間に及ぶブラックドラゴン20匹の討伐を終えた私たちは、多少くたびれつつ何時もの拠点のあるムギーラ王国の隣の国、キンムーギラ王国にいた。
キンムーギラ王国はムギーラ王国の姉妹国のようなモノで、数年に一度キンムーギラ王国から花嫁がいったり、婿が行ったり、その逆もまた然りでとても縁深い国だ。
何時もの拠点に戻って身ぎれいにし、腹をすかせたアタシ達が酒場にやってくると――。
「おお、『ミセス・マッチョス』のお帰りか」
「マスターただいま」
「カズマリで何か話ない?」
「そうそう、アタシ達カズマリ不足でー」
そう溜息をついて何時ものエールを頼むと、マスターは「今日は宴会になるかも知れんぞ?」と告げたのでチップを金貨で各自一枚ずつ、3枚渡した。
所謂情報料金と言う奴だ。
「なんでもマリリンとカズマ様は、ムギーラ王国にある【レディー・マッスル】が保有する鉱山近くに湧いた温泉の施設にハネムーンを兼ねていくらしい」
「「「ほう?」」」
「温泉施設は既にホテルが建っているという情報だ。カズマリもそこに泊まるという情報を入手している。今急ぎ便で『ミセス・マッチョス』がその温泉に入りに行くと言えば、温泉施設で本物の【カズマリ】が見れるんじゃないか?」
「「「おおおおおおおおおおっ!!」」」
つまり、推しを目の前で堪能できるかの知れないという事だ!!
これは祭りだ!! 宴だ!! 宴会だ!!
その前に――直ぐに【レディー・マッスル】宛に手紙を書き、『ミセス・マッチョス』面子が温泉施設向かう事を書いた内容を遠隔魔導具で早々に出し、一仕事を終える。
「この目に」
「この網膜に」
「リアルカズマリを焼き付ける」
推し活だ。
温泉で推し活だ!!
その後アタシ達は雄叫びを上げながらエールを大量に流し込んで、貸し切り状態になる程叫びながら【カズマリ】の良さを叫びながら萌え続けた!!
謎めいたミステリアスなカズマと、英雄の称号を持つ最強乙女マリリン!!
マリリンの殺気をものともせず深い愛情をもってマリリンを愛するカズマ!!
嗚呼、本が欲しい。
本を書こう!!
そう、アリのままの本はきっと出ているに違いない。
なので「これはフィクションです」と書いた上で、マリリンとカズマの二次創作を書くのだ!!
「アタシ等カズマリ信者にとって!!」
「新鮮なネタも欲しいが!!」
「妄想しながら滾る内容も欲しい!!」
ドンドンドン!!
とエールを飲み干したコップを置き、ニヤリと笑い合う。
「まずは各自一冊ずつ書いて」
「それをマリリンとカズマに読んで貰う」
「そして、公式ファンクラブとして認めて貰う!」
「そうと決まればガンガン飲んで食うぞ!!」
「ネタ出しだ!! 羊皮紙とペンを出せ!!」
「大人な話の部分はどうする?」
「うまくぼかせ!! マリリンに消されるぞ!!」
「それもそうだな!!」
こうしてアタシ達『ミセス・マッチョス』の夜は更けていき、ブラックドラゴンを倒すよりも早く各自1冊の本を準備した。
無論二冊ずつだ。一冊はマリリンにプレゼントするために。
アタシ達による結婚祝いだな!!
「良い旅立ちの日だ」
「今から行けば温泉宿でカズマリに会える」
「目の下の隈は温泉についてからのんびりと消そうじゃないか!」
「「推しの為ならば数日の徹夜と腱鞘炎くらいなんともないわ!!」」
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