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第二章 新天地、ムギーラ王国にて!!
第25話 ムギーラ王国に蔓延る『魅了』アイテム
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社交界には、余程のことが無ければレディー・マッスルが参加することは無い。
と言うのも、レディー・マッスルと懇意にしたい貴族が多すぎると言う事もあるが、僕目当ての貴族の多さが問題だろう。
若くしてムギーラ国王の相談役になり、財産は豊富で見目麗しい。
隙あらば自分の娘を――と思う貴族は山ほどいる。
個人的なお話をと言うやり方は嫌でも見るし嫌程来る。
中には、僕とレディー・マッスル両方を欲しがる貴族さえいるのだから油断ならない。
結果として、王族及び、ムギーラ王が主催する夜会には参加するが、他の夜会には参加しないと言う暗黙のルールが作られる事となった。
そして、僕を守る為にジャックとマイケルは付きっ切りで、それこそトイレにも護衛するという徹底ぶりである。
今回参加するムギーラ王主催の夜会には、マリリン達が元拠点を置いていた国の女王もやってくるらしい。
あの国は現在傾いており、国が亡くなるのは時間の問題ではないだろうかと噂されている。
一応まだ他国からの侵略はなさそうではあるが、緊迫した状況になるのは間違いないだろう。
王配との関係も危ぶまれていると言う噂だが、夜会に来るより自国をまとめあげろと言うのが本音だ。
不穏分子は幾つもあるが、まずは自衛に勤めた方が良さそうだ。
と、言うのも――最近ムギーラ王国内の上位貴族の間で『魅了薬』なる錬金アイテムの使用者が見つかっているからだ。
今回、カズマは里帰りした際に用意して貰っておいた質のいいスーツを持ってくることが出来た。
現在マリリンの服同様に、付与師が魅了を含めたあらゆる毒や攻撃を防ぐと言う付与を行っている最中である。
「全く……最近はご法度とされている【魅了】を使ってでもカズマの気を引こうとする輩が多くて困るな!」
「魅了自体が見つかれば牢屋案件でしたね」
「魅了だけで国が滅んだ……。なんて逸話もあるからね」
「牢屋案件なのに使ってくる貴族の多さよ」
「それだけ魅了に頼らないと自信のない人々が多いのでしょう」
「正直、カズマに魅了してくる女どもを目潰ししてやりたい気分になるのを毎回堪えるのが大変だ。そろそろ一人ぐらい尊い犠牲を出しても良い頃合いかも知れぬ」
そう言うマリリンの指を僕がじっと見つめると、目が潰れるどころか脳まで死にそうだなと冷静に分析できた。
「そうだとも、カズマを守る為に一人くらい尊い犠牲がでても……」
「ダメですからね? 平和的解決を求めます」
「なぁに、何事も『ウッカリ』と言うものがあるものさ」
「ウッカリで脳死させるつもりですか。しかもマリリンの場合『ウッカリ目潰し』が『すっかり目潰し』に安定されて、さらには『ポックリ脳死』まで突き進むつもりでしょう?」
「なるほど、ウッカリがスッカリになってポックリになるのか。勉強になる!」
「マリリン、そんな良い笑顔で言う事じゃないですよ」
相変わらずの夫婦漫才。
敢えて言おう。マリリンは本気だ。
恋する乙女、恋する世紀末覇者の指から逃げられる者は、果たしているのだろうか。
多分、いない。
「寧ろ、義父さんが第二夫人としてこの娘はどうでしょうって連れてこられる方が困るよ」
「その時は遠慮なく目潰ししよう。安心するがいい」
「それは、女性に対して? 実の父親に対して?」
マリリンは親指を立てて頷いた。
果たしてどっちだったのだろうか。
「マリリン、流石に親父も実の娘に目潰しされたらショックだと思うぞ」
「何を言う兄さん、両方の目を綺麗に潰す事こそが、尤もらしい罰だろう?」
「そんな当たり前だろう? みたいなノリで言われてもだな」
「実の娘を追い出し、カズマが素晴らしいからと、実の娘の夫を実の父親が女を使って誑かす! 何という罪か! 何という悪行か! 10億回殺しても殺したりない!」
――肉片すら残さないまでに徹底的に殺す。
と、言っているのだろうと理解は出来たジャックは、実の父に後日「カズマに第二夫人にどうだと女性を連れてきた場合、肉片すら残さぬほどにその場で処刑されることをご報告いたします。命を大事になさってください」と言う手紙を出すことに決めたのはいう迄もない。
「まぁ、魅了は重罪だし、薬の製作者諸も強制労働30年と言う危ないものなのに、何故出回っているのかを確かめなくてはなるまい」
「それもそうですね、取引先の商人で使っている者はいないと記憶しています。多くは身分の高い貴族ばかりでしょう?」
「ムギーラ王国内で作られている訳ではなさそうだ。出どころはシッカリと把握せねばな。この案件、レディー・マッスルが解決すれば、カズマとマリリンの温泉旅行が3カ月くらい取れるんじゃないか?」
「是が非でも情報を手に入れるぞカズマァァァァア!!!!!」
マリリンは燃えている。
その温泉で妊娠できれば「子宝の湯」としてレディー・マッスルの財源は更に潤い、子供が欲しい夫婦がこぞってやってきてくれるだろう。
更にマリリンも20歳、そろそろ21歳に入ろうかと言う今こそ、結婚して早めに子供が欲しかったりするらしい。
まだ手を繋ぐだけの関係だが、いずれはキスだってしたい世紀末覇者。
調査する気満々である。
「兄さんは直ぐに付与師に連絡を! 魅了に関する防御態勢は最高峰まで上げろと!!! 最悪魅了使用者は吹き飛ばしても構わん!」
「了解だ!」
「夜会と言う名の血祭だ! カズマとの温泉旅行の為の前夜祭だ! 待っているがいい餌共よ!!」
――どっちが悪党だろうか。
そう思った僕だったが口には出さず、実家から持ってきたミカンを剥いて食べて現実逃避した。
と言うのも、レディー・マッスルと懇意にしたい貴族が多すぎると言う事もあるが、僕目当ての貴族の多さが問題だろう。
若くしてムギーラ国王の相談役になり、財産は豊富で見目麗しい。
隙あらば自分の娘を――と思う貴族は山ほどいる。
個人的なお話をと言うやり方は嫌でも見るし嫌程来る。
中には、僕とレディー・マッスル両方を欲しがる貴族さえいるのだから油断ならない。
結果として、王族及び、ムギーラ王が主催する夜会には参加するが、他の夜会には参加しないと言う暗黙のルールが作られる事となった。
そして、僕を守る為にジャックとマイケルは付きっ切りで、それこそトイレにも護衛するという徹底ぶりである。
今回参加するムギーラ王主催の夜会には、マリリン達が元拠点を置いていた国の女王もやってくるらしい。
あの国は現在傾いており、国が亡くなるのは時間の問題ではないだろうかと噂されている。
一応まだ他国からの侵略はなさそうではあるが、緊迫した状況になるのは間違いないだろう。
王配との関係も危ぶまれていると言う噂だが、夜会に来るより自国をまとめあげろと言うのが本音だ。
不穏分子は幾つもあるが、まずは自衛に勤めた方が良さそうだ。
と、言うのも――最近ムギーラ王国内の上位貴族の間で『魅了薬』なる錬金アイテムの使用者が見つかっているからだ。
今回、カズマは里帰りした際に用意して貰っておいた質のいいスーツを持ってくることが出来た。
現在マリリンの服同様に、付与師が魅了を含めたあらゆる毒や攻撃を防ぐと言う付与を行っている最中である。
「全く……最近はご法度とされている【魅了】を使ってでもカズマの気を引こうとする輩が多くて困るな!」
「魅了自体が見つかれば牢屋案件でしたね」
「魅了だけで国が滅んだ……。なんて逸話もあるからね」
「牢屋案件なのに使ってくる貴族の多さよ」
「それだけ魅了に頼らないと自信のない人々が多いのでしょう」
「正直、カズマに魅了してくる女どもを目潰ししてやりたい気分になるのを毎回堪えるのが大変だ。そろそろ一人ぐらい尊い犠牲を出しても良い頃合いかも知れぬ」
そう言うマリリンの指を僕がじっと見つめると、目が潰れるどころか脳まで死にそうだなと冷静に分析できた。
「そうだとも、カズマを守る為に一人くらい尊い犠牲がでても……」
「ダメですからね? 平和的解決を求めます」
「なぁに、何事も『ウッカリ』と言うものがあるものさ」
「ウッカリで脳死させるつもりですか。しかもマリリンの場合『ウッカリ目潰し』が『すっかり目潰し』に安定されて、さらには『ポックリ脳死』まで突き進むつもりでしょう?」
「なるほど、ウッカリがスッカリになってポックリになるのか。勉強になる!」
「マリリン、そんな良い笑顔で言う事じゃないですよ」
相変わらずの夫婦漫才。
敢えて言おう。マリリンは本気だ。
恋する乙女、恋する世紀末覇者の指から逃げられる者は、果たしているのだろうか。
多分、いない。
「寧ろ、義父さんが第二夫人としてこの娘はどうでしょうって連れてこられる方が困るよ」
「その時は遠慮なく目潰ししよう。安心するがいい」
「それは、女性に対して? 実の父親に対して?」
マリリンは親指を立てて頷いた。
果たしてどっちだったのだろうか。
「マリリン、流石に親父も実の娘に目潰しされたらショックだと思うぞ」
「何を言う兄さん、両方の目を綺麗に潰す事こそが、尤もらしい罰だろう?」
「そんな当たり前だろう? みたいなノリで言われてもだな」
「実の娘を追い出し、カズマが素晴らしいからと、実の娘の夫を実の父親が女を使って誑かす! 何という罪か! 何という悪行か! 10億回殺しても殺したりない!」
――肉片すら残さないまでに徹底的に殺す。
と、言っているのだろうと理解は出来たジャックは、実の父に後日「カズマに第二夫人にどうだと女性を連れてきた場合、肉片すら残さぬほどにその場で処刑されることをご報告いたします。命を大事になさってください」と言う手紙を出すことに決めたのはいう迄もない。
「まぁ、魅了は重罪だし、薬の製作者諸も強制労働30年と言う危ないものなのに、何故出回っているのかを確かめなくてはなるまい」
「それもそうですね、取引先の商人で使っている者はいないと記憶しています。多くは身分の高い貴族ばかりでしょう?」
「ムギーラ王国内で作られている訳ではなさそうだ。出どころはシッカリと把握せねばな。この案件、レディー・マッスルが解決すれば、カズマとマリリンの温泉旅行が3カ月くらい取れるんじゃないか?」
「是が非でも情報を手に入れるぞカズマァァァァア!!!!!」
マリリンは燃えている。
その温泉で妊娠できれば「子宝の湯」としてレディー・マッスルの財源は更に潤い、子供が欲しい夫婦がこぞってやってきてくれるだろう。
更にマリリンも20歳、そろそろ21歳に入ろうかと言う今こそ、結婚して早めに子供が欲しかったりするらしい。
まだ手を繋ぐだけの関係だが、いずれはキスだってしたい世紀末覇者。
調査する気満々である。
「兄さんは直ぐに付与師に連絡を! 魅了に関する防御態勢は最高峰まで上げろと!!! 最悪魅了使用者は吹き飛ばしても構わん!」
「了解だ!」
「夜会と言う名の血祭だ! カズマとの温泉旅行の為の前夜祭だ! 待っているがいい餌共よ!!」
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