6 / 73
第一章 異世界人現る!!
第6話 カメラは偉大で、アルバムはもっと偉大である!
しおりを挟む
――カメラを異世界に持っていったらどうだ?
という話をしたのは、つい数十分前の事だ。
そして我が家にあった一般的なデジカメと一緒に母が持ってきたのは、僕の幼い頃から現在に至るまでの数冊のアルバムである。
ちなみに父は現在、別室にて僕の今までの写真からイイものをチョイスしたミニアルバムを制作中の様で、あとでマリリンの雄叫びが近所に響き渡りそうな予感がする。
「おお愛しき君よ!! 嗚呼! こんなにも愛らしい時期もあったなんて……これは最早国宝だ!! 国宝にすべきものだ!! 神殿を建て、あらゆる防御魔法を屈し、そこで全世界の者たちに我の夫の素晴らしさを伝える為に存在すると言っても過言ではない!!」
「母さん、僕いつの間にマリリンの夫になったの?」
「何時だったかしら~?」
このマリリンの様子からして僕はある事を悟った。
そう――オリハルコンを越える物は、こちらの世界には一般人が手に入れるには無理な話だと。
その上で考え付いたのが、こちらの世界でお手軽に手に入るアイテム、香辛料や砂糖や塩といった生活に根付いた物を浸透させていった場合、色々な場面で有利になるのは異世界ではなくこちらの世界ではないかと。
無論、それらはマリリンと言う世界最強冒険者と言う後ろ盾が無ければ成立はしないだろうし、マリリンなしでは僕自信が生き残れる可能性は極めて低いと言える。
異世界相手を掴むなら胃袋から……とも言えるだろうか?
無論、世界の半分を手に入れたいというのなら、美容関連の物を売りに出せば簡単に世界の半分は手に入るだろうが。
事実、マリリンがこちらの世界で生活し始め、母がマリリンの為に用意したシャンプーや美容液や洗顔などを使い始めてからというもの、彼女の荒れていた髪や肌がみるみる美しくなったのは紛れもない事実である。
「おお……おお!! 愛しのカズマとの子をなせたら、この様な天使が世界に誕生するのかっ! そうなれば生誕祭だ!! 人類全てが祝福し、生きとし生きる者全てが頭を垂れるだろう!!」
「どこぞの国王じゃないんだから……」
想像して感涙するマリリンンに僕は小さく溜息を吐きつつも、見た目はゴッツイ兄さんで女性らしい胸のふくらみ極小な彼女に対し、少なからずの可愛さと言う物を感じつつあった。ただし、マスコット的な意味合いでだが。
感涙するマリリンを僕と母とで見守る事数十分――父は一冊のアルバムを手に現れた。
「マリちゃん」
「何でしょう義父様」
「君の真摯な気持ちに答えてあげたくてね。コレを君にあげよう」
そう言って受け取ったアルバムを開いた瞬間、人間には聞こえない周波数の叫び声を上げたマリリンと同時に、森が一斉に騒めいた。
その日の夜――。
地元のニュースでは、一般道に多くの野生動物が出現し話題をさらっていった。
暫し興奮冷めやらぬマリリンをそのままに、僕は「オリハルコンのようなレアは無理でも、異世界の胃袋を掴むことは可能である」と両親に話し、両親もまた考えに同意した。
無論――世界の半分も諦めてはいなかった。
斎藤家……意外に強かであった。
という話をしたのは、つい数十分前の事だ。
そして我が家にあった一般的なデジカメと一緒に母が持ってきたのは、僕の幼い頃から現在に至るまでの数冊のアルバムである。
ちなみに父は現在、別室にて僕の今までの写真からイイものをチョイスしたミニアルバムを制作中の様で、あとでマリリンの雄叫びが近所に響き渡りそうな予感がする。
「おお愛しき君よ!! 嗚呼! こんなにも愛らしい時期もあったなんて……これは最早国宝だ!! 国宝にすべきものだ!! 神殿を建て、あらゆる防御魔法を屈し、そこで全世界の者たちに我の夫の素晴らしさを伝える為に存在すると言っても過言ではない!!」
「母さん、僕いつの間にマリリンの夫になったの?」
「何時だったかしら~?」
このマリリンの様子からして僕はある事を悟った。
そう――オリハルコンを越える物は、こちらの世界には一般人が手に入れるには無理な話だと。
その上で考え付いたのが、こちらの世界でお手軽に手に入るアイテム、香辛料や砂糖や塩といった生活に根付いた物を浸透させていった場合、色々な場面で有利になるのは異世界ではなくこちらの世界ではないかと。
無論、それらはマリリンと言う世界最強冒険者と言う後ろ盾が無ければ成立はしないだろうし、マリリンなしでは僕自信が生き残れる可能性は極めて低いと言える。
異世界相手を掴むなら胃袋から……とも言えるだろうか?
無論、世界の半分を手に入れたいというのなら、美容関連の物を売りに出せば簡単に世界の半分は手に入るだろうが。
事実、マリリンがこちらの世界で生活し始め、母がマリリンの為に用意したシャンプーや美容液や洗顔などを使い始めてからというもの、彼女の荒れていた髪や肌がみるみる美しくなったのは紛れもない事実である。
「おお……おお!! 愛しのカズマとの子をなせたら、この様な天使が世界に誕生するのかっ! そうなれば生誕祭だ!! 人類全てが祝福し、生きとし生きる者全てが頭を垂れるだろう!!」
「どこぞの国王じゃないんだから……」
想像して感涙するマリリンンに僕は小さく溜息を吐きつつも、見た目はゴッツイ兄さんで女性らしい胸のふくらみ極小な彼女に対し、少なからずの可愛さと言う物を感じつつあった。ただし、マスコット的な意味合いでだが。
感涙するマリリンを僕と母とで見守る事数十分――父は一冊のアルバムを手に現れた。
「マリちゃん」
「何でしょう義父様」
「君の真摯な気持ちに答えてあげたくてね。コレを君にあげよう」
そう言って受け取ったアルバムを開いた瞬間、人間には聞こえない周波数の叫び声を上げたマリリンと同時に、森が一斉に騒めいた。
その日の夜――。
地元のニュースでは、一般道に多くの野生動物が出現し話題をさらっていった。
暫し興奮冷めやらぬマリリンをそのままに、僕は「オリハルコンのようなレアは無理でも、異世界の胃袋を掴むことは可能である」と両親に話し、両親もまた考えに同意した。
無論――世界の半分も諦めてはいなかった。
斎藤家……意外に強かであった。
62
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~
八重
恋愛
【全32話+番外編】
「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」
伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。
ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。
しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。
そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。
マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。
※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?


【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。


異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる