35 / 49
35 とある大臣の悲鳴と叫び
しおりを挟む
――とある大臣side――
やはりとんでもない事になった!!
国王陛下は静養中と言いつつ、側妃と贅沢三昧をしているなんて思いも寄らなかった。
何時も病弱な国王陛下に変わり王妃様が代わりに仕事を為さっているのだと思っていたがどうやら違う様子。
国王陛下は仕事がしたくないから病弱な振りをして、王妃様に丸投げしていたこともシャルロット・フィズリーの言葉で明かされた。
他の大臣が「食糧事情にかなり問題が出てきている。このままでは国が飢える」と何度も口にしていたのを思い出す。
ソレが事実だとも思わず笑い飛ばしていたが、最早一刻の猶予もない事も語られた。
無論貴族たちや国民には【贅沢をしないように】と国王陛下からお達しが出ていたのにも関わらず――当の国王陛下は贅沢三昧。
これには貴族たちは怒り心頭だ。
「しかし、国王陛下が此処まで使い物にならんとは思いも寄りませんでしたな……」
「王弟殿下を次の王にしなくては、シャルロット・フィズリー様から知恵をお借り出来ませんぞ」
「王を引きずり下ろすしかない……このままでは国が終わってしまう」
そう大臣たちで集まって語り合う中、陛下にお目通りをと行っていた大臣たちが帰ってきた。
結果は【静養中の為会う事は出来ない】と言うもので、「扉の奥からは側妃と笑い合う国王陛下の声がしていた」と顔を真っ赤にして怒りに震える大臣もいた。
無論、本当に贅沢三昧をしているのかと、部下を数名陛下の部屋の近くに置いているが、動きがあれば連絡が来るはずだ。
その結果は――正にシャルロット・フィズリーの言う通りで、高級なお菓子や果物が運ばれ、食い散らかされた食事が運び出されている事が判明した。
これには国王陛下についていた大臣たちは掌を返して王弟殿下の派閥に入り、最早国王陛下に与する者達は居なかった。
「流石に古代人形であるシャルロット・フィズリーとの懇親会と言う名のパーティーには参加されるだろうが」
「現状を全く知らない国王陛下だろう?」
「シャルロット様に少しでも無礼を働いてみろ……見捨てられるぞ」
「最早陛下に与する貴族も大臣も居はしない」
「やはり毒殺するしか……」
「いやいや、幾ら国王陛下が馬鹿であっても、古代人形であらせられるシャルロット様に対して無礼を働くだろうか?」
「あの国王なら油断はできん」
「ああ、恐ろしい……ワシは恐ろしい」
そんな声が広がる中、貴族たちからも「陛下と国はどうなっている!」と言う怒りの声が連鎖的に広がり爆発していった。
最早貴族たちの怒りを抑える力は我々には無く、「王弟殿下に国王になって貰わねば我々は死んでいくのと同義だ!!」と言う声の大きさは日に日に増して行った。
たったの三日間――されど三日間。
何度も陛下にお伺いを立てたが結果は全て同じ――。
【静養中の為会う事は出来ない】と言うものだった。
その為、我々大臣たちは王妃様と王弟殿下の元へと助けを求めた。
だが結果は「我々も何とか陛下に仕事をして貰おうと必死だが、聞き入れて貰えない」と言うもので、一気に老けた大臣も多くいた。
夜も眠れない大臣もいる。
その結果――。
「我々各大臣と貴族の多くが最早国王陛下ではなく王弟殿下に与しております。どうか愚王である国王陛下に天罰を」
「我々は王弟殿下と王妃様に従います」
最早それしか我々ハルバルディス王国が生き残る術はなく……何より王弟殿下はシャルロット・フィズリーと懇意にしている事も明かされている。
無論シャルロット・フィズリーだけではない。
脳だけの人形であったアンク・ヘブライトに古代時代の世紀の天才と呼ばれたピリポ・ハルディアとも会話をしているらしく、聡明な王弟殿下は小さく溜息を吐くと、「全てはパーティーで終わるだろう」と苦しそうな表情を為さっていた。
途端に浮かんだ言葉は【断罪パーティー】で、国王陛下はシャルロット・フィズリーに断罪されるのではないだろうかと言う期待が胸に広がった。
「王弟殿下、我々ハルバルディス国民は愚王と共に滅びるつもりはありません。どうか、どうか我らハルバルディス王国を、そして民を導いて下さい。我々は貴方様に付き従います」
「……君たちの言い分は解った。それ程の覚悟があるというのなら、私も王妃様と共に、この国を導く為に動こうと思う」
――それは一筋の光。
ハルバルディス王国が生き残る為の、最初で最後の光のようにも感じられた。
「だがその為にはシャルロット・フィズリーに兄上と側妃を断罪して貰わねばならない。荒れたパーティーになる事だろうが、気に入らないと兄上が武力を行使する可能性もある。だが、既にハルバルディス王国の兵士達は私が掌握している。陛下の言葉は聞かないだろう」
「「「おおお」」」
「もう全ての裏は取れているのだ。最早、風前の灯だ。……これから忙しくなるが、ついてきてくれるか?」
「「「付き従います」」」
「ああ、頼んだよ」
「私も王弟殿下の為に頑張りましょう」
「王妃様、その際には是非よろしくお願いします」
――今夜行われるパーティーは、ハルバルディス王国の歴史に残るパーティーとなるだろう。だがそれこそが国をこれ以上壊さない為の、たった一つの方法である事には間違いなかった――。
やはりとんでもない事になった!!
国王陛下は静養中と言いつつ、側妃と贅沢三昧をしているなんて思いも寄らなかった。
何時も病弱な国王陛下に変わり王妃様が代わりに仕事を為さっているのだと思っていたがどうやら違う様子。
国王陛下は仕事がしたくないから病弱な振りをして、王妃様に丸投げしていたこともシャルロット・フィズリーの言葉で明かされた。
他の大臣が「食糧事情にかなり問題が出てきている。このままでは国が飢える」と何度も口にしていたのを思い出す。
ソレが事実だとも思わず笑い飛ばしていたが、最早一刻の猶予もない事も語られた。
無論貴族たちや国民には【贅沢をしないように】と国王陛下からお達しが出ていたのにも関わらず――当の国王陛下は贅沢三昧。
これには貴族たちは怒り心頭だ。
「しかし、国王陛下が此処まで使い物にならんとは思いも寄りませんでしたな……」
「王弟殿下を次の王にしなくては、シャルロット・フィズリー様から知恵をお借り出来ませんぞ」
「王を引きずり下ろすしかない……このままでは国が終わってしまう」
そう大臣たちで集まって語り合う中、陛下にお目通りをと行っていた大臣たちが帰ってきた。
結果は【静養中の為会う事は出来ない】と言うもので、「扉の奥からは側妃と笑い合う国王陛下の声がしていた」と顔を真っ赤にして怒りに震える大臣もいた。
無論、本当に贅沢三昧をしているのかと、部下を数名陛下の部屋の近くに置いているが、動きがあれば連絡が来るはずだ。
その結果は――正にシャルロット・フィズリーの言う通りで、高級なお菓子や果物が運ばれ、食い散らかされた食事が運び出されている事が判明した。
これには国王陛下についていた大臣たちは掌を返して王弟殿下の派閥に入り、最早国王陛下に与する者達は居なかった。
「流石に古代人形であるシャルロット・フィズリーとの懇親会と言う名のパーティーには参加されるだろうが」
「現状を全く知らない国王陛下だろう?」
「シャルロット様に少しでも無礼を働いてみろ……見捨てられるぞ」
「最早陛下に与する貴族も大臣も居はしない」
「やはり毒殺するしか……」
「いやいや、幾ら国王陛下が馬鹿であっても、古代人形であらせられるシャルロット様に対して無礼を働くだろうか?」
「あの国王なら油断はできん」
「ああ、恐ろしい……ワシは恐ろしい」
そんな声が広がる中、貴族たちからも「陛下と国はどうなっている!」と言う怒りの声が連鎖的に広がり爆発していった。
最早貴族たちの怒りを抑える力は我々には無く、「王弟殿下に国王になって貰わねば我々は死んでいくのと同義だ!!」と言う声の大きさは日に日に増して行った。
たったの三日間――されど三日間。
何度も陛下にお伺いを立てたが結果は全て同じ――。
【静養中の為会う事は出来ない】と言うものだった。
その為、我々大臣たちは王妃様と王弟殿下の元へと助けを求めた。
だが結果は「我々も何とか陛下に仕事をして貰おうと必死だが、聞き入れて貰えない」と言うもので、一気に老けた大臣も多くいた。
夜も眠れない大臣もいる。
その結果――。
「我々各大臣と貴族の多くが最早国王陛下ではなく王弟殿下に与しております。どうか愚王である国王陛下に天罰を」
「我々は王弟殿下と王妃様に従います」
最早それしか我々ハルバルディス王国が生き残る術はなく……何より王弟殿下はシャルロット・フィズリーと懇意にしている事も明かされている。
無論シャルロット・フィズリーだけではない。
脳だけの人形であったアンク・ヘブライトに古代時代の世紀の天才と呼ばれたピリポ・ハルディアとも会話をしているらしく、聡明な王弟殿下は小さく溜息を吐くと、「全てはパーティーで終わるだろう」と苦しそうな表情を為さっていた。
途端に浮かんだ言葉は【断罪パーティー】で、国王陛下はシャルロット・フィズリーに断罪されるのではないだろうかと言う期待が胸に広がった。
「王弟殿下、我々ハルバルディス国民は愚王と共に滅びるつもりはありません。どうか、どうか我らハルバルディス王国を、そして民を導いて下さい。我々は貴方様に付き従います」
「……君たちの言い分は解った。それ程の覚悟があるというのなら、私も王妃様と共に、この国を導く為に動こうと思う」
――それは一筋の光。
ハルバルディス王国が生き残る為の、最初で最後の光のようにも感じられた。
「だがその為にはシャルロット・フィズリーに兄上と側妃を断罪して貰わねばならない。荒れたパーティーになる事だろうが、気に入らないと兄上が武力を行使する可能性もある。だが、既にハルバルディス王国の兵士達は私が掌握している。陛下の言葉は聞かないだろう」
「「「おおお」」」
「もう全ての裏は取れているのだ。最早、風前の灯だ。……これから忙しくなるが、ついてきてくれるか?」
「「「付き従います」」」
「ああ、頼んだよ」
「私も王弟殿下の為に頑張りましょう」
「王妃様、その際には是非よろしくお願いします」
――今夜行われるパーティーは、ハルバルディス王国の歴史に残るパーティーとなるだろう。だがそれこそが国をこれ以上壊さない為の、たった一つの方法である事には間違いなかった――。
11
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
弓使いの成り上がり~「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした~
平山和人
ファンタジー
弓使いのカイトはSランクパーティー【黄金の獅子王】から、弓使いなんて役立たずと追放される。
しかし、彼らは気づいてなかった。カイトの狙撃がパーティーの危機をいくつも救った来たことに、カイトの狙撃が世界最強レベルだということに。
パーティーを追放されたカイトは自らも自覚していない狙撃で魔物を倒し、美少女から惚れられ、やがて最強の狙撃手として世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを失った【黄金の獅子王】は没落の道を歩むことになるのであった。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
クラスで異世界召喚する前にスキルの検証に30年貰ってもいいですか?
ばふぉりん
ファンタジー
中学三年のある朝、突然教室が光だし、光が収まるとそこには女神様が!
「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」
「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」
これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。
<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる