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第四章 生まれ変わるジュノリス大国とジュノリス王!

108 少しの休憩時間を、ストレリチア村の家でゆっくり過ごしてリフレッシュ!

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 執務室を出ると王太子の部屋に戻り、ミスアーナにある拠点に帰りロスターナに洗濯をお願いすると「よく働いたのね~」と言われたが、嫌味一つ言わず洗濯してくれて助かった。とてもありがたい。
 明日からは少し自由時間だ。
 色々回ったり考えたりしたい。
 式までの時間は自分への少しのご褒美時間として使おうと思い「今日から少しだけ自由時間を貰って来たんだ」と苦笑いして伝えると「先生いつも忙しいですから、こう言う時こそリフレッシュですよ!」とテリアに言われて苦笑いが出つつ「本当にそうだな!」と笑顔を見せた。

 また、久々の休みと言う事もあり温泉に入って身体をリフレッシュさせるのもいいが、少し長湯して色々考えるのもまたいい。
「少し考え事をしたいからストレリチア村に行ってくるよ」と伝えてカナエと二人だけの家に戻ると、浴槽にお湯を入れ、長湯しても良いようにスーッとする入浴剤を数粒入れて服を脱いで身体を洗い浴槽に入り湯につかる。
 風呂場は大きく作っておいて良かった……匂いも肺に入ってもスーッとする感じで長湯が出来そうだ。

 此処暫く、あちらこちらにと走り回ったり、考えることが多かったり、やる事が多かったが、それもこれもある程度は報われていると思うし、感謝もされているのは分かる。
 シュウたちだって国をより良くする為に頑張っているし、暇さえあれば勉強会だってしている。
 ストレリチアの商売から始めた筈が、今ではジュノリス大国の王太子。
 自分もまた、国をより良くする為に働かねばならないのだと息を吐いた。

 改革したいことは色々あるが、長年守ってきた伝統等は大事にしたい。
 そもそもの問題として、ジュノリス大国がある程度ノスタルミア王国のように完結している所が次に進まない問題でもある。
 国内循環はある程度出来ていて、それでも一肌上げようとやってきて失敗した者達は多い。
 彼等を今後どうしていくのかは、噂雀たちに囀らせて何とか出来るだろうが……。


「問題は国外循環なんだよなぁ」


 塩や砂糖といった輸出しても大丈夫な物はジュノリス大国に豊富にある。
 とは言っても、ストレリチアが王家御用達になっているダングル王国とノスタルミア王国では俺や菊池が頑張っていると言うのもあるがラスカール王国にはボルドーナ商会、そしてジュノリス大国からの輸入と言う形で行きわたらせることが急務だろう。
 それに冒険者が多いと言う事は鉄資源もかなり多い。
 魔物から取れたものは国内の魔道具師たちが使ったり冒険者が使ったりしているのは知っている。
 その魔物から取れたものを、ノスタルミア王国の首都にあるミスアーナの魔道具師が買い取っているのも陛下の仕事を少し手伝った事で分かったことだ。

 故に、ミスアーナの魔道具師たちの活躍は目覚ましい。
 無論これからは冷蔵庫や冷凍庫、業務用までをジュノリス大国が国を挙げて作る事になるが、それが全体に回るまでは時間が掛かるだろう。
 案を出す事は可能だが、その先は是非この世界に住む人たちが大きくして行って欲しい。
 そう思いつつも、それだとどれだけ時間が掛かるか分からない訳で――。


「一度ジュノリス大国にある魔道具師たちの所に行ってみるか」


 進捗状況が知りたいし、俺に魔素だの氷の魔石だのの知識はないが、日本で色々な家電を使って生活してきたんだ、具体的な使い方の案を出せば彼等なら直ぐ理解しそうな気がする。
 そこからは彼らに任せよう。
 後すべきことは――ジュノリス大国が国を挙げて孤児院を作ったり老人たちの終の棲家となる場所を作る事。
 寝たきりの老人達も多いだろうが、動ける間は何か役割りを与えたい。ただ老いてゆく日々を過すのではなく心の糧となるモノを。勿論今の俺のように施設内の銭湯に入って身体を休めたりするのも大事だろう。
 無論転倒防止は大事だが。
 孤児たちの衛生状態も良くしたい。
 銭湯は必須だな。

 個人的には俺は学校を作りたい。
 せめて文字の読み書き、そして簡単な計算が出来る学校を大人にも向けて作りたいと思っている。
 これはジュノリス王に話しを付けてやらねばならないが、それだけで人生が随分と変わる。
 読めるけど書けない――では駄目だと思うんだ。
 知識は自分の武器になる。
 知恵は生きる為の武器になる。
 これは絶対だと思っている。
 文字の読み書きや計算が出来るようになれば働き口がぐっと増える。将来の幅が広がる事はかなり大きい。
 それに文字が読めないからと、理不尽な契約を交わし苦しむ事がないようにしたい。
 これは必ず成し遂げようと思う。

 問題は【ジュノリス大国のストレリチア村】だが、こちらは急いでいないしゆっくりでもいい。
 無論早く出来ることに越したことは無いが、相談役がな。
 ワイズ侯爵家は貴族の盾になってくれるが、作る側には向いていない。
 かといって、シズリー辺境伯のドーナ様に頼むのも何か違う。
 ジュノリス大国で親しい相談ができる貴族を作ると言うのも大事なのだろうか?
 いや、それとも宰相候補のランディールに相談しながらの方がいいだろうか。
 女性視点も欲しい為カナエには日焼け止めや日傘や帽子を準備して万全の状態でついて来て貰う予定だが。


「色々やる事が多いな。食べ物で言えばチョコレートにアイスにアイスキャンディーもか」


 工場を作ると言うのも大事だし、やはりストレリチア村は急がなくても良さそうだ。
 まずは国内安定。これを目指したい。
 そこから更に見えてくるものもあるだろうが……。


「ふう、後はゆっくり休んで脳を休めるか」


 最近働きすぎだったので少しは寝たい。
 今日はぐっすり寝て脳も癒し、これからの事は明日からだ。
 そう思い風呂から出て浴室を洗ってから外に出て身体を拭いて部屋着に着替えて、髪を乾かしてから布団に入る。
 そう言えば目も使ったし、ホッとするアイマスクでも付けて……15分くらい脳を空っぽにして横になりアイマスクをゴミ箱に捨てると、俺はグッスリと眠りについた。
 久しぶりに沈むように眠り、目が覚めると隣にカナエがいた。
 思わずギュッと抱きしめるとカナエも眠っていたらしく、時計を見ると子供たちの仕事が終わる時間帯だった。


「おはようカナエ」
「おはようアツシさん。随分と寝ていたわね」
「ああ、最近特に忙しくて……。考える事も兎に角多い。やはりこの家でリフレッシュするのが一番ホッとする」
「ふふ」
「それに、起きたらカナエがいるんだから幸せだ」
「もう直ぐ貴方の妻よ?」
「早く娶る事になってすまない。だが一生大事にすると誓う」
「ええ、私だけにしてね?」
「俺は器用じゃないから一人の女性しか愛せないよ」


 そう言って抱きしめてキスをすると、二人起きだして着替えを済ませミスアーナの家に戻る。
 子供達も久々に俺がいることに喜んでくれたし、ロスターナとテリアは「ご飯作り甲斐がありますね!」と喜んでいたし、菊池は「今日も凄い売り上げっすよー!」と目が金貨になっているし、井上は頑張って仕事をしているようで筋肉もシッカリついてきたようだ。
 今度水野のいる治療院にも行って様子を見に行きたい。
 時折カナエが医療品関連で行って来てくれているが、概ね順調としか聞いていないのだ。
 明日は少し水野の所に行って話を聞こうと思う。

 その後皆で夕飯を取り、「暫くあちらこちらの確認等をしつつ進めていくよ」と伝えると「先生のお休みって何時あるの?」と子供たちに聞かれ、「今日休んできたぞ!」と伝えるとホッとされた。
 うむ、子供たちに心配されないようにしないとな。
 ニノッチも俺の傍から離れることは無いし、良く飴を与えては嬉しそうにしている。
 今日はニノにも飴を与えると飛びはねて喜んでいた。
 こう言う癒しも大事だよな……そう思いつつゆったりとミスアーナの拠点で過ごしたのは言うまでもない。
 そして翌日――。


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