101 / 132
第四章 生まれ変わるジュノリス大国とジュノリス王!
101 ウエディングドレスのカナエと、制裁をくわえるニノッチと。
しおりを挟む
「もし娘がシュウと結婚したいって言ったら、その時は頼むぞ」
「はい!!」
こうしてシュウの頭を撫でてから俺とカナエはミスアーナの家に戻り手を洗いウガイをしてから久しぶりに皆と食事を摂り、色々な話を聞きつつ子供たちの成長と、ニノの頑張りを聞いてこれからはニノッチを頭に乗せて寂しがらせないようにしないと等、再度思ったのは言うまでもない。
久しぶりにミスアーナ自宅で寝て皆と朝ごはんを食べ終えた後はジュノリス大国に向かい王太子の部屋に到着するとランディールとメルディールが待っていた。
「「おはようございますアツシ様、カナエ様」」
「おはよう二人共。実は一つ報告があるんだ」
「「なんでしょう」」
「俺の従魔でスライムなんだが、その子が寂しがり屋で分裂してな。俺の頭の上かカナエの頭の上にいることが多いが、それは許して欲しい」
「分かりました。名は何とおっしゃるんでしょう」
「ニノッチだ」
「「ニノッチ様ですね」」
「ボク ココダヨ!」
そう言って俺の頭の上を跳ねつつ存在をアピールするニノッチに、二人は微笑ましく見つめているが、こ奴はレンジェンドモンスター。
その辺のスライムとは違うのだ。
「可愛らしいですね」
「でも、ニノッチの本体もニノッチも、レンジェンドモンスターで強いんだ」
「「……レンジェンドモンスター!?」」
「相手が悪意を持っていなければ制裁しないから大丈夫だと思う」
そう言って微笑むと「悪意だらけの重鎮や貴族への制裁が楽しみですね!」と目を輝かせるランディールと、「制裁は良いですが殺さないかしら」と心配するメルディール。
うん、俺も殺さないか不安しかない。
「ニノッチ。制裁するとしても生かせよ?」
「シカタナイナー」
そう言って俺の頭に戻ったニノッチにホッと安堵し、俺達は結婚式用の衣装に着替えることになった。
一緒の部屋での着替えだったが、衝立を置いての着替えだったのでこっちからは見えないが、俺はヒンヤリするシルクと言う夏の国ならではの布地に驚きつつ、カナエも数十分後着替えが終わったようで衝立を取って貰いカナエを見ると――余りにも綺麗で言葉を無くした。
無くしたが……。
「綺麗……過ぎるが……ティアラもそれは出来上がった物か?」
「はい、これだけで国宝級です」
「そうか、だが首元や耳元が寂しいからな。これをカナエにつけて上げてくれ」
そう言うと空間収納から取り出した純粋な本真珠のイヤリングとネックレスを取り出すと、侍女たちに手渡し中を確認されて固まった。
結構高い品だったがこれなら絶対似合う!!
そう思っていると――。
「この様な純度も丸さも整っていて美しい真珠を見たのは初めてです」
「これだけでも国宝級かと」
「ははは。カナエの為に奮発したからな!」
「「アツシ様はカナエ様を心底愛していらっしゃるんですね!」」
「それは当たり前だろう? 俺の大事なたった一人の妻だからな」
そう言うと震える手で真珠のネックレスを付け、イヤリングを付けて貰ったカナエを見ると、やはり真珠で正解だったと思った。
「どうかしら?」
「ああ、とてもよく似合ってる」
「ふふ」
「結婚式は半月後だったな」
「ええ、そう聞いているわ」
「ウエディングドレスは貰えるんだろうか?」
「歴代のウエディングドレスを飾る部屋がありますよ」
「そうなのか。ならそこでウエディングドレスは保管して貰って、ネックレスとイヤリングはどうする?」
「これは他の時にも使えそうだから持っておくわ」
「そうか、それはもうカナエのモノだから好きにするといい」
「ありがとうアツシさん」
そう笑顔で伝えるとメイドたちは「「はぁ……なんて相思相愛なんでしょう」」とウットリしており、ランディールとメルディールは誇らしげにしていた。
「この後は着替えを済ませてジュノリス王との会議があったな」
「はい、カカオに関する研究を始めたいとの事で、そちらの本等ありましたら助かりますし、重鎮たちに食べさせて理解させるのもアリかと思います」
「なるほど、チョコやココアを使ったお菓子や飲み物を用意すればいいんだな」
「そうなりますね」
「見た目もお洒落なチョコレートお菓子と、チョコチップ入りのクッキーとかチョコブラウニーになるかしら?」
「その辺が妥当だろうな。飲み物だとチョコドリンクと普通にココアで良いだろうし」
そう言うと着替えを済ませた俺達はソファーに座り「重鎮たちはどれ位の人数来る?」と聞くと50人もいるらしい。
そんなに多くはいらないだろうと思ったが、各種3つずつくらい用意し、飲み物は一人一つ用意してメルディールに「お菓子は更に並べて食べて貰えるようにしてくれ。飲み物はチョコドリンクとココアを用意しているので一人一つずつ渡して欲しい」と伝えると「指示がありましたら直ぐに」と言ってくれた。
チョコがジュノリス大国で作れる様になれば、他国にも行きわたりやすい。
貴族なら挙って買うだろう。
甘味と言うのはソレだけで需要があるからな。ついでに標高の高い所にコーヒーが見つかればいいんたが…
それに冷蔵冷凍魔石での輸出も出来るように成れば四つの国全部が纏まりやすくなる。
一度ジュノリス大国の料理を食べたが、テリアやロスターナが作るような味付けで美味しかった。
塩や胡椒等は沢山あると聞いていたので、その分の輸出も増える事だろう。
こっちにもボルドーナ商会のような大きな商会があるらしく、その他小さな商会も幾つもあり早く輸入輸出をしたいようだ。
今は馬車を多く作っている最中で、ミスアーナの魔道具店から多くの冷凍と冷蔵魔石を購入予定らしい。
多くの人に使って欲しいと言うノスタルミア女王の元、値段は安く抑えられている為、殆どの国が挙って買う事になる。
その為ミスアーナの魔道具師たちは必死に冷蔵と冷凍の魔石を作っている最中なのだとか。
「一応各国に魔道具師はいるのですが、ミスアーナの魔道具師たちには負けますね」
「技術が凄いんですよね、ミスアーナの魔道具師たちは」
「そうなのか?」
「大体の魔道具はミスアーナで作られていると言って過言ではないんです」
「ただ、他の大陸だと自分たちの国に合わせた魔道具を作っていると言うのが現状でして。冷風機なんかは近しい物がありましたが、今回のミスアーナの冷風機には負けますね」
「なるほど」
「我が国でもいい物が作れたらいいんですが」
そう会話をしつつジュノリス王の元へと向かっていると、国の重鎮の一人であるワイズ侯爵と出会った。
ワイズ侯爵は俺達を見て眉を寄せたが、一波乱ありそうだなと溜息が出そうになる。
「これは王太子殿下」
「お久し振りですねワイズ侯爵」
「今回は面白い商品を考え付いたとかで、流石商売で成り上がった異世界人は違いますな」
棘のある言葉。
だがその時――。
「アクイ タンチ!」
とニノッチが俺の上から触手を伸ばしワイズ侯爵の顔を鞭のようにして叩き飛ばした。
嗚呼、ほら見ろ。波乱の予感がするって思ったんだよ!!
「なっ! 何を」
「アクイ ハ セイサイ!!」
「ヒイ!!」
「ニノッチ、程ほどにしろよ」
そう言って頭を隠して尻を突き出したワイズ侯爵の尻をバチバチと叩くニノッチに、俺達は一瞬だけ遠い目をしたのは言うまでもないのだが――。
「はい!!」
こうしてシュウの頭を撫でてから俺とカナエはミスアーナの家に戻り手を洗いウガイをしてから久しぶりに皆と食事を摂り、色々な話を聞きつつ子供たちの成長と、ニノの頑張りを聞いてこれからはニノッチを頭に乗せて寂しがらせないようにしないと等、再度思ったのは言うまでもない。
久しぶりにミスアーナ自宅で寝て皆と朝ごはんを食べ終えた後はジュノリス大国に向かい王太子の部屋に到着するとランディールとメルディールが待っていた。
「「おはようございますアツシ様、カナエ様」」
「おはよう二人共。実は一つ報告があるんだ」
「「なんでしょう」」
「俺の従魔でスライムなんだが、その子が寂しがり屋で分裂してな。俺の頭の上かカナエの頭の上にいることが多いが、それは許して欲しい」
「分かりました。名は何とおっしゃるんでしょう」
「ニノッチだ」
「「ニノッチ様ですね」」
「ボク ココダヨ!」
そう言って俺の頭の上を跳ねつつ存在をアピールするニノッチに、二人は微笑ましく見つめているが、こ奴はレンジェンドモンスター。
その辺のスライムとは違うのだ。
「可愛らしいですね」
「でも、ニノッチの本体もニノッチも、レンジェンドモンスターで強いんだ」
「「……レンジェンドモンスター!?」」
「相手が悪意を持っていなければ制裁しないから大丈夫だと思う」
そう言って微笑むと「悪意だらけの重鎮や貴族への制裁が楽しみですね!」と目を輝かせるランディールと、「制裁は良いですが殺さないかしら」と心配するメルディール。
うん、俺も殺さないか不安しかない。
「ニノッチ。制裁するとしても生かせよ?」
「シカタナイナー」
そう言って俺の頭に戻ったニノッチにホッと安堵し、俺達は結婚式用の衣装に着替えることになった。
一緒の部屋での着替えだったが、衝立を置いての着替えだったのでこっちからは見えないが、俺はヒンヤリするシルクと言う夏の国ならではの布地に驚きつつ、カナエも数十分後着替えが終わったようで衝立を取って貰いカナエを見ると――余りにも綺麗で言葉を無くした。
無くしたが……。
「綺麗……過ぎるが……ティアラもそれは出来上がった物か?」
「はい、これだけで国宝級です」
「そうか、だが首元や耳元が寂しいからな。これをカナエにつけて上げてくれ」
そう言うと空間収納から取り出した純粋な本真珠のイヤリングとネックレスを取り出すと、侍女たちに手渡し中を確認されて固まった。
結構高い品だったがこれなら絶対似合う!!
そう思っていると――。
「この様な純度も丸さも整っていて美しい真珠を見たのは初めてです」
「これだけでも国宝級かと」
「ははは。カナエの為に奮発したからな!」
「「アツシ様はカナエ様を心底愛していらっしゃるんですね!」」
「それは当たり前だろう? 俺の大事なたった一人の妻だからな」
そう言うと震える手で真珠のネックレスを付け、イヤリングを付けて貰ったカナエを見ると、やはり真珠で正解だったと思った。
「どうかしら?」
「ああ、とてもよく似合ってる」
「ふふ」
「結婚式は半月後だったな」
「ええ、そう聞いているわ」
「ウエディングドレスは貰えるんだろうか?」
「歴代のウエディングドレスを飾る部屋がありますよ」
「そうなのか。ならそこでウエディングドレスは保管して貰って、ネックレスとイヤリングはどうする?」
「これは他の時にも使えそうだから持っておくわ」
「そうか、それはもうカナエのモノだから好きにするといい」
「ありがとうアツシさん」
そう笑顔で伝えるとメイドたちは「「はぁ……なんて相思相愛なんでしょう」」とウットリしており、ランディールとメルディールは誇らしげにしていた。
「この後は着替えを済ませてジュノリス王との会議があったな」
「はい、カカオに関する研究を始めたいとの事で、そちらの本等ありましたら助かりますし、重鎮たちに食べさせて理解させるのもアリかと思います」
「なるほど、チョコやココアを使ったお菓子や飲み物を用意すればいいんだな」
「そうなりますね」
「見た目もお洒落なチョコレートお菓子と、チョコチップ入りのクッキーとかチョコブラウニーになるかしら?」
「その辺が妥当だろうな。飲み物だとチョコドリンクと普通にココアで良いだろうし」
そう言うと着替えを済ませた俺達はソファーに座り「重鎮たちはどれ位の人数来る?」と聞くと50人もいるらしい。
そんなに多くはいらないだろうと思ったが、各種3つずつくらい用意し、飲み物は一人一つ用意してメルディールに「お菓子は更に並べて食べて貰えるようにしてくれ。飲み物はチョコドリンクとココアを用意しているので一人一つずつ渡して欲しい」と伝えると「指示がありましたら直ぐに」と言ってくれた。
チョコがジュノリス大国で作れる様になれば、他国にも行きわたりやすい。
貴族なら挙って買うだろう。
甘味と言うのはソレだけで需要があるからな。ついでに標高の高い所にコーヒーが見つかればいいんたが…
それに冷蔵冷凍魔石での輸出も出来るように成れば四つの国全部が纏まりやすくなる。
一度ジュノリス大国の料理を食べたが、テリアやロスターナが作るような味付けで美味しかった。
塩や胡椒等は沢山あると聞いていたので、その分の輸出も増える事だろう。
こっちにもボルドーナ商会のような大きな商会があるらしく、その他小さな商会も幾つもあり早く輸入輸出をしたいようだ。
今は馬車を多く作っている最中で、ミスアーナの魔道具店から多くの冷凍と冷蔵魔石を購入予定らしい。
多くの人に使って欲しいと言うノスタルミア女王の元、値段は安く抑えられている為、殆どの国が挙って買う事になる。
その為ミスアーナの魔道具師たちは必死に冷蔵と冷凍の魔石を作っている最中なのだとか。
「一応各国に魔道具師はいるのですが、ミスアーナの魔道具師たちには負けますね」
「技術が凄いんですよね、ミスアーナの魔道具師たちは」
「そうなのか?」
「大体の魔道具はミスアーナで作られていると言って過言ではないんです」
「ただ、他の大陸だと自分たちの国に合わせた魔道具を作っていると言うのが現状でして。冷風機なんかは近しい物がありましたが、今回のミスアーナの冷風機には負けますね」
「なるほど」
「我が国でもいい物が作れたらいいんですが」
そう会話をしつつジュノリス王の元へと向かっていると、国の重鎮の一人であるワイズ侯爵と出会った。
ワイズ侯爵は俺達を見て眉を寄せたが、一波乱ありそうだなと溜息が出そうになる。
「これは王太子殿下」
「お久し振りですねワイズ侯爵」
「今回は面白い商品を考え付いたとかで、流石商売で成り上がった異世界人は違いますな」
棘のある言葉。
だがその時――。
「アクイ タンチ!」
とニノッチが俺の上から触手を伸ばしワイズ侯爵の顔を鞭のようにして叩き飛ばした。
嗚呼、ほら見ろ。波乱の予感がするって思ったんだよ!!
「なっ! 何を」
「アクイ ハ セイサイ!!」
「ヒイ!!」
「ニノッチ、程ほどにしろよ」
そう言って頭を隠して尻を突き出したワイズ侯爵の尻をバチバチと叩くニノッチに、俺達は一瞬だけ遠い目をしたのは言うまでもないのだが――。
143
お気に入りに追加
4,135
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる