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第三章 ラスカール王国とダングル王国に光を!!
84 一緒に生活していたが故の弊害を直したところで新たな問題。
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すると、シュウは意外な所から俺にお願いをしてきた。
何だろうかと思っていると――。
「先生の所で美味しい物を食べたからか、やはり味の薄い料理に戻るのは辛くて……」
「「あ――……」」
「そこで、取り敢えず我がダングル城からでいいので、王家御用達として調味料を運んで貰えたらと……あと調理本も添えて」
「確かに、あ――、確かにな!!」
「ナノちゃんなんて味の薄いご飯食べたら泣くわよ」
「それは大問題だな!!」
「お待ちくださいシュナイダー王。調味料等のスパイス関係はとても高く」
「いいよ、暫くタダで卸してやるから、シッカリと賢王に育ってくれよ」
「無論です! 必ず何時かは独り立ちできるようになり、民を導いて見せます!」
「宜しい。じゃあ後でこっちに俺の拠点も、」
「城の中に作って下さい。先生たちの拠点と繋がっていたいです」
「分かった。じゃあ俺に一つ部屋を貸してくれないか?」
「はい! 誰か、私の部屋に近い客室に先生と婚約者であるカナエ様二人の部屋をご用意してくれ。家具などは必要ない、部屋だけでいい。」
そう言うとメイドたちが走り出して行ったので、上の人達と話し合って部屋を決めるのだろう。
シュウとナノが息抜きに来れるように、いつも通り扉を繋げるつもりだ。
「先生、此方では詰め替えは必要ありませんからね?」
「全く、現場監督はちゃっかりしてるな」
「へへへ」
「なら、このまま俺は食材倉庫に向かわせて貰おう。空きスペースがあればそこに使いやすい砂糖、胡椒、醤油と用意するし本も料理人に渡す。でも、塩はこの国で手に入るんだろ?だったらそれを使いなさい。王が使わない塩なんて他国が欲しがらない。それでいいか?」
「……はい、それで大丈夫です。計量スプーンや軽量カップを多めに追加でお願いします」
「了解」
「何れは国民に還元したいですが、中々難しいですからね」
「忘れたのか? 砂糖であればストレリチア村でサトウキビから作っていただろう。 その国にあったやり方を考えればいいんだよ。 ダングル王国の強みを把握し国内で賄えない物は他国と貿易すればいいんだ。」
「はい!!」
会場が騒めく中、俺とカナエはそのまま退出し調理場へと向かい挨拶をする。
無論皆俺達の事を知っている為、陛下から頼まれた品を置きたいので倉庫を一部屋貸して欲しいと頼むと、案内された部屋はかなり広かった。
そこに箱買いした使いやすい調味料の詰まった段ボールをドンドンドンと積み上げて行き、一つ一つに商品の名前を書き、みりんや醤油もドンドン置いて行った。
「調理場の皆さん、陛下からの命令です。こちらの本を必ず読んで勉強するようにと、後此方は陛下から皆さんに料理を作る際使うようにと命じられた調理器具です。本に書いてある通りにやって行けば作れますのでお願いします」
と、同じ本を4冊ずつ多めに渡し、全員が読めるようにすると興味津々で読んでいた。
それだけの調味料が本当にあるのかと倉庫に行った料理人は、本当にあった調味料に腰を抜かし俺は笑顔で「陛下からのお願いですから必ず減ったら増やしに来ますので連絡下さいね」と伝え、皆は呆然としながら頷いていた。
長い事我が家で色々な調味料を使った料理を食べて来たシュウたちにとっては死活問題だろう。
食事面で力が出ないと他の所でも力は出ない。
それは俺が一番教職員をしていた際嫌程味わったものだ。
しっかり食べてこそ、仕事に挑める。
無理難題があっても何とか出来る。
ご飯はパワーだと言う言葉があるが、実際そうだと思う。
「問題はこれから三時のおやつタイムが楽しめないってことだろうなぁ」
「それはあるわねぇ。もしかしたら三時になったらドアを開けて『おやつを食べに来ました!』って言うかもね」
「あながち冗談じゃすまされない気がするよ。一国の王としてはどうかと思うが、それはそれで子供らしくていいんじゃないか?」
そう言ってカナエと笑いながら歩いていると、窓から見える雪のちらつく空を見て、随分と遠い所まで来たような気がする。そう思った。
異世界と言うだけでも意味の分からない世界だと言うのに、異世界の中でも俺はたったの四つしかない国の中で走り回って苦労して商売をして、この四つ以外に他の国が存在するのかも分からない中、俺達は何処に進むのだろうか。
少なくとも言える事は、もう元の世界には戻れないと言う事だけだ。
あのバス事故の際に飛ばされたのか、死んだのかさえも分からない。
他の生徒達は無事だろうか。
「先生?」
「ああ、随分遠くまで来たなと思ってな」
「そうですね」
「流石に大国にまで行きたいとは思わないが」
「ジュノリス大国ですか。理由を聞いても?」
「宗教国家で法律の国、と言うのが理由の一つだな。歴史において碌なことは無い」
「なるほど」
「茶化すな。でもそれで国が纏まっていると言うのなら話は別だが、中身はドロドロと言う事もある。そんな所に態々首を突っ込んで藪をつついて蛇を出したくもないからな」
「安全第一ですか」
「ああ。それに宗教国家、法律国家と言っている割には実力主義国家とも言っている。どうにもな」
「確かに言葉に出来ないけど、不安はありますね」
「行きたいとは思わないだろう?」
「ええ」
「リウスさん達なら色々知っているのかも知れないな、今度聞いてみるのもいいかもな。まぁ時が来ればだが」
そう言って廊下をまた歩きシュウたちの居る会議室へと入ろうとしたその時――。
「あのアツシ殿とか言う者をもっと上手く使う事は出来ないのですか?」
「そうですぞ、もっと搾り取るだけ搾り取ろうと思えば」
「あなた方は私たちの命の恩人を何だと思っている!」
シュウの怒りの声が木霊していた。
部屋に入らず様子を伺っていると、レアスキル故にもう少しここにいて好きに使おうと言う者達と、陛下の命の恩人に対して何という意地汚い。と言う声が木霊している。
「アツシ殿を騙してまで上手く使おう等と言う輩は今すぐこの部屋から出て行け」
「しかし陛下」
「これ以上のアツシ殿たちへの侮辱は反逆罪とする!!」
シュウの明らかな怒りの声に大臣たちは静まり返った。
「明日をも知らぬ命の中、どれだけ私とナノリシアが助けられたと思う。奴隷だと言ってもただの幼い子としてどれ程守られたと思う。どれだけの獣人奴隷がアツシ殿に助けられ、この国から出て行き居場所もなく虐げられていた同胞たちに【衣・食・住】を与え仕事を与え、どれだけ助かっていると思うのだ。その恩人を好き勝手使い倒そう等と、恥を知れ! それにアツシ殿達なら今直ぐ此処を去る事も出来るのだぞ!」
「「「「……申し訳ありません、陛下」」」」
どうやら上手くまとめているみたいだな。
俺達の事をアレコレ言われて頭に来るのは分かるが、それでも一つの纏める為のスパイスならば使いようはある。
シュウはそもそも頭がいい。
そして恩を忘れない。
そこは何よりも美徳でもあるが、まずは落ち着かせることが大事そうだな。
「あ――疲れた。沢山運んだな」
「そうね。あら、どうかしました?」
「先生、カナエ姉さん」
「シュウどうしたの、凄い眉間のシワよ?」
「……ついカッとなってしまいました」
「若さゆえだな。もう少し肩の力を抜け。それより今は貧困問題と今後の課題点を見つけられたか?」
そう教師らしく伝えるとシュウと大人たちは暫し沈黙し、俺はシュウの肩をポンポンと叩いて「こりゃ勉強会だな」と笑った。
「俺は歴史科の教師だから余り詳しい事は教えることは出来ないが、国のトップ故に勉強する事も大事だ。俺が暫く教師となってあげよう」
「先生自ら……国と言う勉強を教えてくれるのですか?」
「国の政治に正解なんてないと思うがな。簡単なことだけ、詳しい事は専門外だからな」
「それでしたら私等めが!!」
「第三者の意見もシッカリ聞くことがまず一歩だと思うがね? そちら側の意見は、俺をどううまく使い潰すか? でしたっけ? それってシュウもうまく使い潰すって聞こえますよ」
そう笑顔で口にすると聞かれていたことに驚いたようで顔を伏していた。
「それも一つの人の使い方でしょう。だがあなた方と俺とでは信頼関係は何もない。あなた方の言葉に、重みは無いんですよ」
「そうね、楽して発展させても後は潰れるだけよ」
「カナエですら分かる事をある程度の年齢にもなって理解をしていない。あなた方はそう言う人生しか歩んでこなかったという証となりますよ」
「「「ぐっ」」」
「丁度教えたい生徒がもう一人いるんだ。ラスカール王も一緒に勉強会をしないか?」
「したいです!!」
「じゃあ、後で魔道具を貸してくれ。ラスカール王に連絡してみよう」
「ラスカール王とシュナイダー陛下が勉強会だと!?」
「その様な事出来るのか!?」
「それとも、中間点であるミスアーナの何時もの家で勉強会でも良いぞ?」
「したいです、俺はやっぱり先生の所がいいです!」
「「「「陛下!!」」」」
「おやつ時間もあるしな! よし、直ぐ連絡して俺も動こう。ある程度の事さえつかめば、後は自分たちで考える事。その代わりどうしても分からない時は一緒に考えよう」
「はい!」
こうしてラスカール王とシュナイダー王との勉強会をノスタルミア王国の俺の拠点で開くと言う事になった。
とは言ってもそう難しい事ではない。
自国をどう売り出し社会を回していくかと言うだけの簡単な話だ。
ノスタルミア王国は既に陛下がチート級の力を持っている為、最早別次元ではあるが、ダングル王国とラスカール王国は今からがスタートだ。
ある程度の基盤は作ったので、後はどう進んでいくかを聞いてみたいと言うのもある。
その後、ラスカール王に「ノスタルミア王国の俺の拠点でシュナイダー陛下と国に関する勉強会をしないか」と聞いてみると「是非とも参加したいね!」との事だったので、ラスカール城に部屋を一室用意して貰い、ミスアーナの家と繋がる扉を設置したいと頼んでおいた。
先にダングル城の部屋にミスアーナの家と繋がる扉を設置しなくては!
「明日はラスカール王国に行って拠点への道を作って、我が拠点で勉強会が出来るようにするか!」
「三時のおやつも食べれるようにね。ナノちゃんも来たがってたわ」
「ははは!」
こうして次の日はラスカール王国へと飛ぶことになるのだが、その間に大臣たちと話し合いをシュウにはして貰う事にして――。
何だろうかと思っていると――。
「先生の所で美味しい物を食べたからか、やはり味の薄い料理に戻るのは辛くて……」
「「あ――……」」
「そこで、取り敢えず我がダングル城からでいいので、王家御用達として調味料を運んで貰えたらと……あと調理本も添えて」
「確かに、あ――、確かにな!!」
「ナノちゃんなんて味の薄いご飯食べたら泣くわよ」
「それは大問題だな!!」
「お待ちくださいシュナイダー王。調味料等のスパイス関係はとても高く」
「いいよ、暫くタダで卸してやるから、シッカリと賢王に育ってくれよ」
「無論です! 必ず何時かは独り立ちできるようになり、民を導いて見せます!」
「宜しい。じゃあ後でこっちに俺の拠点も、」
「城の中に作って下さい。先生たちの拠点と繋がっていたいです」
「分かった。じゃあ俺に一つ部屋を貸してくれないか?」
「はい! 誰か、私の部屋に近い客室に先生と婚約者であるカナエ様二人の部屋をご用意してくれ。家具などは必要ない、部屋だけでいい。」
そう言うとメイドたちが走り出して行ったので、上の人達と話し合って部屋を決めるのだろう。
シュウとナノが息抜きに来れるように、いつも通り扉を繋げるつもりだ。
「先生、此方では詰め替えは必要ありませんからね?」
「全く、現場監督はちゃっかりしてるな」
「へへへ」
「なら、このまま俺は食材倉庫に向かわせて貰おう。空きスペースがあればそこに使いやすい砂糖、胡椒、醤油と用意するし本も料理人に渡す。でも、塩はこの国で手に入るんだろ?だったらそれを使いなさい。王が使わない塩なんて他国が欲しがらない。それでいいか?」
「……はい、それで大丈夫です。計量スプーンや軽量カップを多めに追加でお願いします」
「了解」
「何れは国民に還元したいですが、中々難しいですからね」
「忘れたのか? 砂糖であればストレリチア村でサトウキビから作っていただろう。 その国にあったやり方を考えればいいんだよ。 ダングル王国の強みを把握し国内で賄えない物は他国と貿易すればいいんだ。」
「はい!!」
会場が騒めく中、俺とカナエはそのまま退出し調理場へと向かい挨拶をする。
無論皆俺達の事を知っている為、陛下から頼まれた品を置きたいので倉庫を一部屋貸して欲しいと頼むと、案内された部屋はかなり広かった。
そこに箱買いした使いやすい調味料の詰まった段ボールをドンドンドンと積み上げて行き、一つ一つに商品の名前を書き、みりんや醤油もドンドン置いて行った。
「調理場の皆さん、陛下からの命令です。こちらの本を必ず読んで勉強するようにと、後此方は陛下から皆さんに料理を作る際使うようにと命じられた調理器具です。本に書いてある通りにやって行けば作れますのでお願いします」
と、同じ本を4冊ずつ多めに渡し、全員が読めるようにすると興味津々で読んでいた。
それだけの調味料が本当にあるのかと倉庫に行った料理人は、本当にあった調味料に腰を抜かし俺は笑顔で「陛下からのお願いですから必ず減ったら増やしに来ますので連絡下さいね」と伝え、皆は呆然としながら頷いていた。
長い事我が家で色々な調味料を使った料理を食べて来たシュウたちにとっては死活問題だろう。
食事面で力が出ないと他の所でも力は出ない。
それは俺が一番教職員をしていた際嫌程味わったものだ。
しっかり食べてこそ、仕事に挑める。
無理難題があっても何とか出来る。
ご飯はパワーだと言う言葉があるが、実際そうだと思う。
「問題はこれから三時のおやつタイムが楽しめないってことだろうなぁ」
「それはあるわねぇ。もしかしたら三時になったらドアを開けて『おやつを食べに来ました!』って言うかもね」
「あながち冗談じゃすまされない気がするよ。一国の王としてはどうかと思うが、それはそれで子供らしくていいんじゃないか?」
そう言ってカナエと笑いながら歩いていると、窓から見える雪のちらつく空を見て、随分と遠い所まで来たような気がする。そう思った。
異世界と言うだけでも意味の分からない世界だと言うのに、異世界の中でも俺はたったの四つしかない国の中で走り回って苦労して商売をして、この四つ以外に他の国が存在するのかも分からない中、俺達は何処に進むのだろうか。
少なくとも言える事は、もう元の世界には戻れないと言う事だけだ。
あのバス事故の際に飛ばされたのか、死んだのかさえも分からない。
他の生徒達は無事だろうか。
「先生?」
「ああ、随分遠くまで来たなと思ってな」
「そうですね」
「流石に大国にまで行きたいとは思わないが」
「ジュノリス大国ですか。理由を聞いても?」
「宗教国家で法律の国、と言うのが理由の一つだな。歴史において碌なことは無い」
「なるほど」
「茶化すな。でもそれで国が纏まっていると言うのなら話は別だが、中身はドロドロと言う事もある。そんな所に態々首を突っ込んで藪をつついて蛇を出したくもないからな」
「安全第一ですか」
「ああ。それに宗教国家、法律国家と言っている割には実力主義国家とも言っている。どうにもな」
「確かに言葉に出来ないけど、不安はありますね」
「行きたいとは思わないだろう?」
「ええ」
「リウスさん達なら色々知っているのかも知れないな、今度聞いてみるのもいいかもな。まぁ時が来ればだが」
そう言って廊下をまた歩きシュウたちの居る会議室へと入ろうとしたその時――。
「あのアツシ殿とか言う者をもっと上手く使う事は出来ないのですか?」
「そうですぞ、もっと搾り取るだけ搾り取ろうと思えば」
「あなた方は私たちの命の恩人を何だと思っている!」
シュウの怒りの声が木霊していた。
部屋に入らず様子を伺っていると、レアスキル故にもう少しここにいて好きに使おうと言う者達と、陛下の命の恩人に対して何という意地汚い。と言う声が木霊している。
「アツシ殿を騙してまで上手く使おう等と言う輩は今すぐこの部屋から出て行け」
「しかし陛下」
「これ以上のアツシ殿たちへの侮辱は反逆罪とする!!」
シュウの明らかな怒りの声に大臣たちは静まり返った。
「明日をも知らぬ命の中、どれだけ私とナノリシアが助けられたと思う。奴隷だと言ってもただの幼い子としてどれ程守られたと思う。どれだけの獣人奴隷がアツシ殿に助けられ、この国から出て行き居場所もなく虐げられていた同胞たちに【衣・食・住】を与え仕事を与え、どれだけ助かっていると思うのだ。その恩人を好き勝手使い倒そう等と、恥を知れ! それにアツシ殿達なら今直ぐ此処を去る事も出来るのだぞ!」
「「「「……申し訳ありません、陛下」」」」
どうやら上手くまとめているみたいだな。
俺達の事をアレコレ言われて頭に来るのは分かるが、それでも一つの纏める為のスパイスならば使いようはある。
シュウはそもそも頭がいい。
そして恩を忘れない。
そこは何よりも美徳でもあるが、まずは落ち着かせることが大事そうだな。
「あ――疲れた。沢山運んだな」
「そうね。あら、どうかしました?」
「先生、カナエ姉さん」
「シュウどうしたの、凄い眉間のシワよ?」
「……ついカッとなってしまいました」
「若さゆえだな。もう少し肩の力を抜け。それより今は貧困問題と今後の課題点を見つけられたか?」
そう教師らしく伝えるとシュウと大人たちは暫し沈黙し、俺はシュウの肩をポンポンと叩いて「こりゃ勉強会だな」と笑った。
「俺は歴史科の教師だから余り詳しい事は教えることは出来ないが、国のトップ故に勉強する事も大事だ。俺が暫く教師となってあげよう」
「先生自ら……国と言う勉強を教えてくれるのですか?」
「国の政治に正解なんてないと思うがな。簡単なことだけ、詳しい事は専門外だからな」
「それでしたら私等めが!!」
「第三者の意見もシッカリ聞くことがまず一歩だと思うがね? そちら側の意見は、俺をどううまく使い潰すか? でしたっけ? それってシュウもうまく使い潰すって聞こえますよ」
そう笑顔で口にすると聞かれていたことに驚いたようで顔を伏していた。
「それも一つの人の使い方でしょう。だがあなた方と俺とでは信頼関係は何もない。あなた方の言葉に、重みは無いんですよ」
「そうね、楽して発展させても後は潰れるだけよ」
「カナエですら分かる事をある程度の年齢にもなって理解をしていない。あなた方はそう言う人生しか歩んでこなかったという証となりますよ」
「「「ぐっ」」」
「丁度教えたい生徒がもう一人いるんだ。ラスカール王も一緒に勉強会をしないか?」
「したいです!!」
「じゃあ、後で魔道具を貸してくれ。ラスカール王に連絡してみよう」
「ラスカール王とシュナイダー陛下が勉強会だと!?」
「その様な事出来るのか!?」
「それとも、中間点であるミスアーナの何時もの家で勉強会でも良いぞ?」
「したいです、俺はやっぱり先生の所がいいです!」
「「「「陛下!!」」」」
「おやつ時間もあるしな! よし、直ぐ連絡して俺も動こう。ある程度の事さえつかめば、後は自分たちで考える事。その代わりどうしても分からない時は一緒に考えよう」
「はい!」
こうしてラスカール王とシュナイダー王との勉強会をノスタルミア王国の俺の拠点で開くと言う事になった。
とは言ってもそう難しい事ではない。
自国をどう売り出し社会を回していくかと言うだけの簡単な話だ。
ノスタルミア王国は既に陛下がチート級の力を持っている為、最早別次元ではあるが、ダングル王国とラスカール王国は今からがスタートだ。
ある程度の基盤は作ったので、後はどう進んでいくかを聞いてみたいと言うのもある。
その後、ラスカール王に「ノスタルミア王国の俺の拠点でシュナイダー陛下と国に関する勉強会をしないか」と聞いてみると「是非とも参加したいね!」との事だったので、ラスカール城に部屋を一室用意して貰い、ミスアーナの家と繋がる扉を設置したいと頼んでおいた。
先にダングル城の部屋にミスアーナの家と繋がる扉を設置しなくては!
「明日はラスカール王国に行って拠点への道を作って、我が拠点で勉強会が出来るようにするか!」
「三時のおやつも食べれるようにね。ナノちゃんも来たがってたわ」
「ははは!」
こうして次の日はラスカール王国へと飛ぶことになるのだが、その間に大臣たちと話し合いをシュウにはして貰う事にして――。
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