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第一章 要らないと言うのなら旅立ちます。探さないで下さい。

33 お菓子屋でエリーナの底力を見つつ、お弁当システムの話もして魔道具も設置する。

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 こうして昼をシッカリと食べると、午後はまず店舗の様子を見て足りない分の補充をしてから魔道具を置き、セバスディさんに魔道具を置いたことを説明すると喜んでいた。
 ついでにお昼過ぎくらいに銭湯に行き、魔道具を置くとこちらも喜ばれたのでホッとし、食べ終わったお弁当箱やスープジャーを受け取り拠点に戻り、カナエが洗い物を終えたらエリーナとカナエと一緒にお菓子屋に向かった。
 さぁ、頑張ろうか!!


「まず、贈呈用のお菓子をドンドン買って行こう。一つは中身が見えるようにしておいて、中のお菓子がどうなっているのか分かる見本を出しておくか」
「それが良いですね」
「これだけ店が広いと、何でも置けそうですね」
「そうだな、ケーキや生ものは金曜日に配置しよう」
「それがいいですね」
「まずはドンドン贈呈用のお菓子を出してくれ、チョコレートも惜しまず頼む」
「分かったわ」


 こうしてお菓子の大人買いが始まった。
 段ボールで届くお菓子の箱を開け、一つは中身を見せられるように開けておく。
 透明なフィルムがある為中身が零れないのだ。
 それをクッキーエリア、チョコレートエリア、パウンドケーキエリア、ビスケットエリアと置いて行く。チョコレートエリアとクッキーエリアは多めに場所を用意した。
 カウンターのバックヤードにはトイレと休憩室、そして左側には商談室が設けられ、此処にも商談を進めやすくする為、紅茶セットを準備し、お湯はケトルで沸かせるようにしてある。
 紅茶に合わせてあるので、大丈夫だろう。
 使い方を書いたこの世界の文字での説明書も置いてあるので、従業員には読んで貰いたい。


「カナエ、紅茶缶も頼む」
「はーい」


 紅茶缶は中央の場所に塔の様にそびえさせつつ、その後ろに砂糖菓子エリア、その隣はチュッパな塔が出来上がる。
 砂糖菓子用エリアは角砂糖から薔薇模様の角砂糖と用意して山の様に置いて行く。
 一つの台にそれだけあるのだから、早々直ぐには無くならない筈だ。
 また、砂糖菓子エリアには金平糖と瓶入り飴も多めに用意している為問題はない。
 やはり配置する時のエリーナは強い。
 素早い動きでお菓子の塔を作り、各種エリアにもドンドン箱を置いて見本も綺麗に置いて行く。
 1つのお菓子に付き3つの山を作っている訳だが、これが直ぐ無くなるとは思いたくはないな。
 それでも贈呈用なのでお値段は高く設定するが、売れるんだろうか?


「値段設定は細かくするつもりはないんだが、贈呈用のお菓子は大体金貨200~400枚にしようと思う」
「欲しい人はそれでも買いますからね」
「ケーキはもう少し高く設定するぞ」
「それが良いです」
「シュークリームも箱売りにするから、そこは少し安めに設定しようかと思う」
「シュークリームとバームクーヘンもですか?」
「そうだな、後はゼリーの箱詰めとか、プリンの箱詰めとかだな」
「あー確かにそれは欲しいです」
「アイスはアメリカンなアイスがあるだろう? 大きいサイズの」
「ありますね」
「それを多めに売ろうと思う。多種多様の物を取り揃えられたらそれでいい。必要ないかもしれないが一緒にアイスを丸くすくうヤツも購入しておいてくれ。」
「了解です」
「売れ残れば子供たちのおやつだ!」
「そうですね!」


 そう言っている間に内装はある程度出来上がり、ジュース類を並べていく作業だ。
 今回は環境を考えて紙パックのジュースも売る事にしたが、オレンジやリンゴと言ったジュースをドンドン並べていく。
 無論珈琲や紅茶も惜しみなく。
 そして馬車の中で飲む用の物も忘れない。
 終わる頃には爽快感溢れる程の量のお菓子と茶葉缶と飲み物の山が出来ていた。
 無論まだ生ものは置いていないが。
 そして値段と名前を一つずつ紙に書いて行き、分かりやすい位置に貼っていく。
 ズラリと並んだお菓子売り場はこうして出来上がり、丁度おやつ時間のチャイムが鳴った為急いで拠点に戻っておやつタイムを楽しみ、休憩後は在庫確保の為に動き出す。

 バックヤードに冷蔵庫大を三つ並べ、冷凍庫中を二つ並べる。
 一つはジュース用で、紙パックのジュースがスチールラックに所狭しに並ぶ。
 もう一つは馬車で移動用のジュースをこれまたスチールラックで重ねて置いて行き、無論最初の冷蔵庫の商品もだが、全てに名前を記載するのは忘れない。
 中の冷蔵庫の一つは冷蔵用のお菓子が入る予定で、スチールラックを用意する。
 シュークリームなどが此処に入るのだ。
 最後の中の冷蔵庫にはケーキを入れる予定だ。
 予約も承ると言う事にし、何時でも出せるようにする為だ。
 強気で出たが、売れればいいが。
 取り敢えず冷蔵庫にガムテープを貼り、中身が何かを記載して一階は完了だ。


「ケーキはチョコレートからショートケーキから、季節限定のものまで出そう」
「そうですね。大きさは全て均等でいいですか?」
「そっちの方がいいだろうなぁ」
「じゃあ、ケーキは私が良いなって思ったのを選んでいいです?」
「ああ、俺は余りケーキを食べてないからソコは頼む」
「分かりました。値段は統一しておいて、季節のケーキだけ少し高めに設定しましょう」
「そうだな」


 次に二階に上がり、今回買った贈呈用のお菓子を段ボールに名前と番号を記載して所狭しに並べていく。無論こっちは倉庫用の棚をセットしたが、もう山の様に積み上げていく。
 紅茶缶も角砂糖系も飴も山のように。
 広い空間が思い切りお菓子で埋まった頃には、ストレリチアの閉店時間間近になっており、取り敢えず一旦お菓子屋は此れにて終了となった。
 その足で俺たちはストレリチア一号店に戻ると、掃除をしている最中だったようだ。


「すみません、遅れてしまいまして」
「いえいえ、大丈夫ですよ。途中補充して貰ったので助かりました」
「さっき大きなお菓子屋と酒屋を作ったので、後は生もの系を入れるだけにしてあります。ここは化粧品などが主になりそうです。食べ物担当はアンネさんでしたか?お店を移って頂くことになるかもしれません。」
「お菓子とお酒の専門店が出来るのは良い事ですね。その分こちらのお店に女性が喜ぶ新たな商品が増やせます。女性は美にお金を惜しみませんから。従業員の担当はギルドマスターとも相談したいと思います。」


 その通り、毎回エリーナがあれだけ作っているのに売り切れるのだ。
 カナエもまだまだ出したい商品があるらしく、この店は追々カナエ専用にしようと思っている。
 エリーナの調合師の経験が役に立つかもしれないし、美容品に強い女性従業員ももう少し必要になるだろう。


「今日の売り上げは金貨428,000枚です」
「凄い……売上ですね」
「まだ序の口でしょうね。土日はもっと増えますよ。何せシルクパジャマと言う強敵がいますから」
「なるほど」
「時計もある分すべて売れました」
「なるほど」
「シルクパジャマは在庫0です」
「分かりました」
「お菓子屋が出来るなら、内装を変えてもいいかもですね」
「そうですね、カナエ専用の店にしようと思います」
「ありがとう御座います先生!」
「好きに色々売るといい」
「はい!!」


 こうして簡単な掃除を終えた所で、セバスディさんに食事はどうしているのか今更だが聞いてみると、食べていないという事だったので、昼にサンドイッチとスープ、飲み物を用意するというと喜ばれた。
 お弁当システムである。
 こうして帰っていた皆を見送り、お金を二人で分け合って空間収納に入れる。
 金貨の山が出来そうだが、まだまだ増やしていきたい。
 やりたいことはまだあるしな。

 こうして本拠地に戻り、カナエにお弁当3つ作って貰っている間にテリアを呼ぶと料理作りが開始。
 その間に俺は子供たちの仕事場へと向かい皆がどれだけ作れたかをチェックして回る。


「ダグラス、明日の午後酒屋の手伝いを頼む。無論仕事になるから手当は出すぞ」
「そいつはいいねぇ」
「それから、奴隷は銀行を使えないと言う事だったから、取り敢えず奴隷印を消すまでの間は皆に金庫を渡すから、そこにお金とか貴重品を入れて管理して欲しい」
「「「「分かりました」」」」
「今回の休みの日はまだ給料が無いから買い物は出来ないだろうが、外で自由に遊んでもいいからな。正し遠出はしない事、保護者の近くで遊ぶこと、いいな?」
「「「「はーい!」」」」
「外で遊ぶ用の玩具を買ってあげるから、近隣の人の邪魔にならないようにな?」
「玩具買ってくれんの!?」
「ああ、幾つか用意するよ」
「やったああ!!」
「なら、室内用の玩具も欲しいです!!」
「ん――。風船とか人形か?皆で遊ぶならカードゲームもあるか? ん――、あとでカナエと相談してみるよ」
「やった!!」
「小さい子とも仲良く遊ぶんだぞ?」


 そう言うと仕事が終わる音が鳴り、最後の仕上げをした子供達とダグラスは部屋を出て行ったので、皆が作ったアイテムを空間収納に入れて行き俺の仕事も一先ず終了。
 後は玩具と金庫をカナエに買って貰うだけだ。
 手を洗いリビングに行くと、ご飯までの間テストが行われていた。
 エリーナが来てないと思ったら、どうやら簡単なテストを作っていたようだ。


「先生、お弁当用意できました」
「じゃあ渡してくるよ。様子も聞いてくる」
「はい、いってらっしゃい」


 こうして靴は要らないので持って行かず、その足で銭湯へ行ったのだが――。



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