召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

うどん五段

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第一章 要らないと言うのなら旅立ちます。探さないで下さい。

04 殺す神あれば救う神在り。その子達買います!!

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「はいはい!! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 明日には処分するから安くするよ!」


 そう言ってパンパン手を叩いている奴隷市場に目が行った。
 そこには二人の子供が入っていて、蹲った様子で顔を伏している。
 だが、その容姿は少し変わっていて――耳と尻尾があった。
 鑑定してみると【虎獣人の子供】とあり、もっと詳しく鑑定したところ――。


【虎獣人の子供・シュウ10歳:悪意察知・危険察知・投擲スキル7。現在のデバフ:衰弱】
【虎獣人の子供・ナノ8歳:回復魔法2・テイマー・空間収納(小)。現在のデバフ:高熱】


 その文字を見て俺と姫島はその奴隷商人に駆け寄った。


「すみません、その子たち二人買いたいんですが」
「お、お客さん買います? これ獣人ですけど良いです?」
「構いません!」
「直ぐに買い取りたいのですが」
「では是非こちらに。おい、二人を連れてこい」


 そう言うと従業員に二人を連れてこさせ、契約書を手にした奴隷商人はニヤニヤした顔で「偽善ですねぇ」と笑っている。
 偽善だろうがなんだろうが、衰弱している子供を放ってはおけない。
 もう一人は高熱だ、急いで治療してやらないと!


「二人合わせてお幾らでしょうか? 無論、処分品と言う事ですので無論お安いですよね?」
「まぁ、お安いと言えばお安いですよ?」
「と言うと?」
「ま~こっちもね、獣人って事で売れ残るだろうなーって思ってたんで、買ってくれるなら良いんですけどね?」
「だから買うと言っているだろう?」
「そうですね、一人金500。どうです? お買い得でしょう?」
「それ以上安くは?」
「値切りますか……うーん」
「二人合わせて500なら買おう。それ以外なら買わない」
「先生!!」


 ココは駆け引きだ。
 相手がそこで折れれば、元々処分品と書いてあって一人金貨20と書いてあった。
 俺がソコを見ていないと思っているのだろう。
 だから二人で500でも絶対食いついてくるはずだ。


「仕方ないですねぇ……衰弱してますしその値段で良いですよ」
「ではこちらの金貨500枚を」
「ありがとう御座います。奴隷の印をつけますか? それとも首輪だけにしますか?」
「首輪だけで頼む。取り外しは可能か?」
「奴隷の印ならまぁ……ジュッと焼いて付けておくだけなので良いんですが、首輪は外すと死にますよ」
「そうか……なら、一番小さい奴隷の印で頼む。出来れば見えない所にな」
「畏まりました」


 こうして衰弱している二人には申し訳ないが、もう少し頑張って貰い、身体の見えない位置に奴隷の印の一番小さい物を押し付けて俺の奴隷として登録した。
 二人は虚ろな目をしていたが、色々理解した様で絶望的な顔をしていたが――。


「では、二人を直ぐに連れて帰りたいので失礼する」
「あ、これ契約書です」
「私が受け取ります。先生は二人を」
「カエデ、すまん!」


 そう言うと少年を背負い、少女を抱き上げそのまま一気に外に出る。
 キャンピングカーに入れるにしてもまずは外に行かねば。
 急いで外に出て昨日の位置に向かうと、周囲に人気が無い事を確認し、直ぐにキャンピングカーを出して中に入る。


「カエデ!」
「ネットスーパーのレベルが上がったので、医療用品が買えます!」
「二人に飲むゼリーを! あと解熱剤と冷えるピタリ。あとアイスノン枕を頼む!」
「タオルも幾つか購入します!」
「男の子の方は衰弱で、女の子の方は高熱だ。床で寝かせたくないから布団も頼む!」
「はい!」


 頼んだものをポンポンと出すと、姫島はリビングに二つの布団を敷き、俺はまず女の子を寝かせ、次に男の子を寝かせて布団をかける。
 そしてカエデが女の子に飲むゼリーを飲ませている間に俺も男の子に飲むゼリーを飲ませ、体に優しいジュースを飲ませる。
 これはカエデが用意してくれたもので助かった。
 解熱剤は粉薬のようで、子供用の服薬ゼリーと一緒に飲ませる為に手伝い、アイスノン枕にタオルを巻いて二人の頭の下に敷き、おでこには冷えるピタリを張り付けた。
 体温計も出して貰い二人の熱を測ると39度近い熱が出ていて、男の子の方にも慌てて解熱剤を飲ませ、暫くは此処から動けそうにない。
 異世界人にどれだけの効果があるかは分からないが……取り敢えず明日まで様子を見ることになった。

 二人の事は心配だったが、これ以上どうする事も出来ない為、カエデと二人外に出て、その間に、拠点レベルが上がったというので外に出て拠点を出してみると、確かにログハウスの家が出てきた。


「確かにログハウスだな」
「そうですね。中はどうなんでしょう」
「入ってみるか」


 ドアを開け中に入ると、そこもまたとても広い空間が広がっていた。
 キッチンはキャンピングカーの倍の大きさはあるだろうか?
 冷蔵庫も大になっているがキッチンに関しては、他は変わった様子は無い。
 ただ、ログハウスだが個室が出来ていた。
 二部屋だが。
 それに風呂付きに脱衣所もあってトイレは二つ、機能はキャンピングカーと変わらない。
 食事をするダイニングテーブルとチェアが四つ。
 中央には少し長めのソファーとソファーの間に木製の机が一つ置いてあった。


「拠点が大きくなっていくと、部屋数も増えるのかも知れないな」
「そうかも知れないですね」
「複数の拠点を持つ事も出来るらしいから、本当にレベル上げてみないと分からないな」
「楽しみですね」
「ちなみに、ベッドはおフランスなベッドだった。一部屋に付きベッドが二つだ」
「高級品ですね」
「二人をこっちに連れてきた方がいいな……。こっちの方が色々と便利だ」
「女の子は私が観ます」
「男の子は俺が観よう」
「あと、こっちでも生活しやすいように色々用意していいですか?」
「そこは任せる。ベッドマットも通気性の良い……そうだな、ガーゼ系がいいか、それで頼む」
「分かりました。用意しておきます」


 そう言うと俺はログハウスから出てキャンピングカーに戻り、一人ずつ移動させてベッドに眠らせ、キャンピングカーは今は必要ないと思い消してからログハウスに入る。
 子供二人の呼吸はまだ浅いがさっきよりは楽そうだ。
 鑑定してみると飲むゼリーのお陰で少し栄養が入ったようで、【バフ:現在治療中】と出ていた。
 夜にもう一度飲むゼリーを飲ませ、解熱剤を飲ませてからドリンクを飲ませて横にし、アイスノン枕も交換して冷えるピタリも交換し、その日は心配しながら眠りについた。
 そして翌朝――。



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