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第三章 ノベルシカ王国の暴走と崩壊と……

47 即座に決めた事と、『天候を操る程度の能力』の使い道と。

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 アツシ兄上に別れを告げ、すぐさまネバリ王国に専用の箱庭師がいる為向かった。
 国民は不安に揺れているのが分かる。突如とした宣戦布告だったからだ。
 直ぐにネバリ国王に会わせて貰う事になり、俺も軍部に参加する事になったが、会議は難航していた。
 老害たちが邪魔をしているのだ。


「しかし、ノベルシカ王国が何故我が国に急に宣戦布告したのか見当もつかない」
「だが実際宣戦布告を受けている。何かしらの対策を練らねばやられますぞ!!」
「今はシュノベザール王国からの救援で兵士は国境沿いを守って下さっているが、何時までも頼りきりと言う訳には参りますまい!」


 実際そうなのだが、老害たちは俺の国の兵士に頼ろうとするのが透けて見える。
 自国の兵士を出したくないのが目に見えて分かるのだ。
 しかし、それをよしとしないのはネバリ王だった。


「軍部はどれだけ兵士を出せる」
「二日もあれば500人までは出せます」
「魔法が使える者達は?」
「それを含めてです」
「少ないな……」


 そう、ネバリ王国は伊達に広い土地を持っている訳ではない。
 だが軍事関係は縮小傾向にあったことが災いしたのだ。
 この事は以前勉強会で注意したところだが、まさか見事にそれが来るとは思っていなかったのだろう。


「我がシュノベザール王国でも出せるのは今の兵士くらいだ。それでどれだけ持ちこたえられるかは分からないが、俺のスキルを使っても抑え込む事が出来るのは半数の兵士くらいだろう」
「半数でも兵士を抑え込めれば御の字です!! シュライ様、どうかお力添えを!!」
「分かった……。そもそも和平協定を破ったのはアチラが先だ。我がシュノベザール王国はネバリ王国につく。天候を操る力で暫く苦しんで貰うとしよう。その間に兵士の準備を」
「畏まりました!」

 そういうと俺のスキルで『じめじめとして蒸し暑く呼吸がし辛い程の湿気と雷雨と大雨』をノベルシカ王国に降らせる事にした。
 以前もやった方法だが、当時は直ぐに根をあげたのだ。
 今まで天候が良好だった故に、俺がネバリ王国についたことは直ぐにノベルシカ王国の国民には伝わった事だろう。

 俺は人災も大変だと思っているが、自然災害こそ最も人間にとってどうする事も出来ない事だというのを前世で嫌と言うほどニュースで見てきた。
 所謂『地球が人類を殺しに来た』と言う言葉を使われていたな。
 この世界は俺が気候を安定させてから『自然災害』の恐ろしさを忘れかけている。
 それをこれからノベルシカ王国は嫌と言うほど知る事だろう。

 たかが大雨かもしれない。
 たかが雷雨かもしれない。
 たかが蒸し暑いだけかもしれない。
 だが、それは後に脅威になる。
 それを理解する日は、そう遠くないだろう。

 ノベルシカ王国とネバリ王国の国境沿いには大きな川が流れている。
 その川を渡ってこようと言う思惑は嫌でも解るし、唯一の橋から来るにしても下の川におちれば命はない。
 ネバリ王国は天候を安定させている為川にさえ気を付けていればいい。
 橋も扉を閉めてしまえば開けるのは困難だ。
 最悪橋が流れてしまえばネバリ王国に入る事も出来なくなる。
 その為に山側にも大量の大雨を降らせている。
 土石流が起きれば橋等簡単に壊れるだろう。
 そうすればノベルシカ王国は孤立する。

 唯一ネバリ王国に入ろうにも我がシュノベザール王国を経由するしかなくなる。
 しかしそこにはスキル10の魔法持ちや剣術持ち達が待ち構えている。
 無事では済まないだろう。
 兵士ならば殺すが、国民ならば受け入れることは通達済みだ。

 ――ここから、たかだか『天候を操る程度の能力』が敵意を見せた時、どうなるのかをノベルシカ王国は知る事となる――。

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